テレワーク導入を阻む障壁。2019年の日本の働き方を変える考え方とは?

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テレワーク導入を阻む障壁。2019年の日本の働き方を変える考え方とは?

テレワーク労働者

働き方において、「テレワーク」という選択肢の認知が広まり、今日においては一般的になってきました。

ただ、その恩恵を存分に受けているという実感を持っているという方はどれだけいるでしょうか。
思った以上に社内との連携に骨が折れたり、スピード感がなくなったりした経験は案外多いかもしれません。

今回は現状を明らかにしたうえで、「テレワーク」という働き方がスムーズに導入される際に大切な視点を提示できれば、と思います。

約4割が「残業時間の上限規制」をわかっていない

2019年4月に順次施行されていく「働き方改革関連法案」ですが、具体的にどんなものなのかわかっていない方は予想以上に多いようです。

労働者が、それぞれの事情に即した多種多様な働き方を選択できる社会を実現するのが「働き方改革」です。
その働き方改革を総合的かつ継続的に推進する大きな方針は3つあります。

長時間労働の是正

この中では残業時間の上限規制について、月45時間、年360時間を原則として、臨時的な特別な事情がある場合も、年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間と定めています。
また、有給休暇についても10日以上付与される労働者に関しては、5日は毎年折を見て指定して与えることを義務付けています。

多様で柔軟な働き方の実現

主なものとして、前日の終業時刻と翌日の就業時刻の間に一定時間の休息確保に努める勤務間インターバル制度普及の促進や、産業医・産業保健機能の強化、高度プロフェッショナル制度の創設を定めています。

公正な待遇の確保

いわゆる「同一労働・同一賃金」が掲げられています。
短期間・有期雇用労働者が正規雇用労働者との不合理な待遇を受けることが禁止されることに関して、個々の待遇が適切と判断されるべき理由を明確化することを定めています。
また、待遇差がある場合はその内容と理由等に関する説明も義務化されています。

▶出典:「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要」

「時間外時間の上限規制」の認知度・準備状況

「時間外時間の上限規制」の認知度・準備状況
(資料)「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」集計結果(東京商工会議所)より作成

日本・東京商工会議所の行った「働き方改革関連法案への準備状況等に関する調査」では働き方改革関連法案の各打ち手に関して認知度と準備状況を調査しています。

その中で、例えば「残業時間の上限規制」に焦点を当てると、アンケート回答企業の約4割が内容をわかっていないという結果になりました。
また、実際に「残業時間の上限規制」に関して、具体的なアクションを起こすことができていない企業は半数を超えます。

時間があまりない中で、長時間労働の是正は喫緊の課題となるでしょう。

テレワークの導入率は増加傾向

テレワークとは

効率的な労働と長時間労働の是正を目指すうえで、「テレワーク」という働き方は外せないでしょう。

「テレワーク」を簡単に説明すると、ICT(情報通信技術)を利用して、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことです。
テレワークは、「リモートワーク」と表現されることもあります。

テレワークと言っても働く場所によって、

  • 自宅を就業場所とする「在宅勤務」
  • 顧客先や移動中など施設に依存しない「モバイルワーク」
  • 勤務先以外のオフィススペースで働く「サテライトオフィス勤務」

の3つに分けられます。

この働き方の導入率は年々増加しており、総務省が公表した「平成29年通信利用動向調査の結果」によると、2017年のテレワーク導入率は導入予定企業も含めると18.2%となり2012年の14.4%から3.8%増加しています。

テレワークの導入率(2012年から2017年の推移) (資料)「平成29年通信利用動向調査の結果」(総務省)より作成

テレワークのメリット

実際「テレワーク」の導入によって、業務上あらゆる面でのメリットを期待されています。

1) 生産性の向上

場所や時間にとらわれずに働けるので、通勤や移動時間の削減や会議時間の短縮につながります。
企業がテレワークを導入する目的の中でも「勤務者の移動時間の短縮」や「定型的業務の効率性(生産性)の向上」は約半数に上ります。

2) コストの削減

出張にかかる旅費や交通費、オフィスの費用を削減しコストを削減することができます。

3)労働環境の改善

決まった時間に決まった場所で業務を行わなければならないという制約がなくなることで、働きやすくなり働きがいの向上につながります。

データで見るメリット

また、数値でもその効果は裏付けられています。

テレワークの導入と一社当たりの労働生産性の推移

総務省が公表する「平成28年通信利用動向調査の結果」ではテレワークを導入している企業は、導入していない企業と比較して一社当たりの労働生産性が約1.6倍となっています。
※労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業者数

これは、テレワークの有用性を示す重要な数値と言えるでしょう。

事例で見るテレワークの導入効果

その効果は実際の企業事例で確認することができます。

日本マイクロソフト株式会社では、実際にテレワークを導入することで多くの効果を上げています。
社員がフレキシブルに働くことを目的として2010年に取り組みを始め、2015年までの5年間でワークライフバランス満足度は40%、社員一人あたり売上は26%改善され、残業時間は5%、女性離職率も40%削減しました。

日本マイクロソフト「働き方改革」主な成果

▶出典:Work×IT 「日本マイクロソフトが推進する働き方改革の最前線(後編) テクノロジーと商習慣のバランスが取れる、新しいハードワーカーとは」

フェイス トゥ フェイスでコミュニケーションをとることの大切さも理解しながら、各々の働き方の多用さも許容できたことや技術のみならず人事制度を含めた改革を行えたことが、労働生産性を始めとして多くの良い効果をもたらしたと言えます。

テレワークの実態と限界

これまでテレワークの利点について数多く触れてきましたが、そうであれば皆が導入するはずです。

しかし、現状増加傾向であるとはいえ導入率は限定的です。
それはなぜなのでしょうか?

テレワークの現状

先ほど挙げた、総務省が公表した「平成29年通信利用動向調査の結果」の中でテレワーク未導入の企業は全体の約8割以上でした。

中でも導入しなかった理由の約7割が「テレワークに適した仕事がない」という理由を挙げています。
つまり、現状多くの企業がテレワークは必要ないというよりもテレワークの導入に意味を見いだせていないということです。

世界的に見ても日本を含むアジア圏ではテレワークの導入率はかなり低い水準です。

行政を主体としてテレワークの推進を試みる韓国でも導入率は日本と同水準です。
一方で、テレワーク発祥国であり推進国であるアメリカ合衆国では85%の導入率を誇り、勤務の一形態として広く普及しています。

テレワークの限界

また、日本において「テレワーク」を取り入れたとしても、必ずうまくいくわけではないことも事実です。
さらに言えば、テレワークの導入が上手くいく、という前提が崩れると「テレワーク」の豊富なメリットがデメリットにもなりかねません。

例えば、

業務が切り分けられていないため確認事項が増える→コミュニケーションコストが発生してしまう→生産性の低下に。

といったことです。

こうした、リスクがある以上テレワークを制度上だけ、あるいはツールだけ導入したとしても逆効果になってしまいます。

テレワークを日本で普及させていくことは無謀なことなのでしょうか?
実は、日本でテレワークを導入していくためには重要な考え方があるのです。

業務の「切り出し」がテレワークの肝

「そもそも」に立ち返る

日本でテレワークを普及させるカギは、「そもそも」という問いを立てることにありました。

そもそも、日本で中々広まらない「テレワーク」という勤務形態が、アメリカ合衆国ではなぜ勤務のスタンダードと言えるまでに普及しているのでしょうか?

それは、アメリカと日本における「雇用形態」の違いに答えがあります。

アメリカはいわゆる「ジョブ型」と言われる雇用形態です。

この雇用形態では「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」に記載されている職務が人事・賃金制度の判断基軸になっています。
これにおいて、個人の仕事と責任の範囲が明確化されているので、主体的に業務が遂行できるのです。

加えて、昇給についても基準に基づいた業績が判断基準になることが多く、勤務場所が人事評定の障壁になりづらいといった背景もあります。

こうしたテレワークと相性の良い雇用形態が、アメリカ合衆国のテレワーク普及を後押ししているといえます。

一方で、日本や韓国で多く見られるのが「メンバーシップ型」の雇用形態です。

この雇用形態では、年功序列や終身雇用を前提としていて、職務範囲を明確には定めず、企業が必要に応じて部署の異動や転勤を命じることができます。
これにおいて、個人の仕事の範囲がどこまで及ぶのかがわかりにくいということが言えます。

また、賃金は勤続期間によって賃金が定まるため、勤務時間を測定しづらいテレワークは普及しにくいといえます。

ここからわかることはなんでしょう?

日本では「業務の見える化」がされにくい

それは、テレワークには「業務の見える化」が不可欠だ、ということです。

アメリカの雇用形態と日本の雇用形態を比べた時、その特性上アメリカでは業務が可視化されていて、個人の責任の範囲が明示されていました。

これによって、従業員個人が行う業務内容とプロセスを明確にしたうえで、テレワーク勤務に必要な業務を切り出すことができていた、ということです。

そう考えた時、現在日本でテレワークが普及しないボトルネックを振り返るとわかることがあります。

前章であげた、テレワーク未導入企業がテレワークを導入した理由。その多くは「テレワークに適した仕事がない」という理由でした。

これは果たして本当なのでしょうか?

答えは「No」ということです。

ここで国土交通省が公表した「平成29年度テレワーク人口実態調査」の結果を見て、考察してみましょう。

テレワークの普及度合いと実施実態 (資料)「平成29年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省)より作成

業種別にみた場合、テレワーカーは「情報通信業」(33.8%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(27.0%)の割合が高く、「医療・福祉」(8.4%)、「宿泊業・飲食業」(7.2%)の割合が低くなっています。

一方、職種別で見た場合、テレワーカーは「管理職」(33.2%)、「営業」(29.2%)、「研究職」(28.7%)の割合が高く、「生産工程従業員」(5.0%)、「運送・清掃・包装従事者」(4.5%)の割合が低くなっています。

この結果では、自己管理的な業務や異動が多い業種・職種ではテレワークの活用が活発で、顧客と直接顔を合わせて業務を行うことが多い業種・職種ではテレワークの活用が進んでいないということがわかります。

ただ、テレワークが全く適用できない業種・職種はないとも考えられます。

現状、日本では業務の可視化があまり進んでいません。
つまり、業務の棚卸しと見える化によるテレワークに適した業務の「切り出し」が十分に行われていない可能性がかなり高いのです。

たとえ顧客と顔を合わせることが主な業務でも、「データの入力」や「資料・情報の収集」などの持ち出し可能な仕事は必ずあるはずです。

この文脈で、日本の企業で言われる「テレワークに適した仕事がない」という言葉は、テレワークに適した仕事を「見つけていない」と読み替えられるでしょう。

個人の業務を細分化してテレワーク可能な仕事を切り出す習慣がつけば、日本でのテレワーク普及率は上昇していくはずです。

業務の見える化=マニュアル化が有効

日本において、テレワーク導入の金科玉条は業務の「見える化」でした。
しかし、日本の雇用形態の特徴として業務の棚卸しと細分化ができていないということでした。

ここで、有効なのが「マニュアル化」です。
それは、マニュアルを作成すること自体が業務内容・プロセスの明確化に他ならないからです。

ただ、「どんな業務をするのか」業務内容を定義し、「どう業務を進めるのか」業務手順を可視化することを1からやろうとするのはかなり根気がいることです。

最近では、こうした煩雑なマニュアル化の工程をクラウド上のプラットフォームで作成し、配信や更新管理できるサービスが登場しています。

『Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)』もその一つで、業務の定義や細分化を手助けしたうえで業務の担当者がスムーズにマニュアルを作成できます。
その上で、スマートフォンやタブレットで管理することができるためテレワークとも相性の良いサービスです。

テレワークを導入される際は、「そもそも」どんな業務を行っているのかを明確にしたうえで、マニュアル化することを心掛けてみてはいかがでしょうか?

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