動画マニュアルは効果がある?メリットとデメリットを解説

最終更新日: 2023.04.21 公開日: 2023.01.28

動画マニュアル メリット

現在、リモートワークの普及など働き方の変化に伴って、ビジネスの動画利用はニーズが高まっています。その中でも特に注目されているツールの一つが動画マニュアルの作成です。
従来は紙でもデジタルでも静止画が基本だったマニュアルを動画化すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。動画マニュアルの活用例やおすすめのマニュアル作成方法などとともにご紹介します。


動画マニュアルの教科書

社会的に高まる動画活用の需要

すでに広い世代で、動画の閲覧は日常的になっています。特に若い世代はTikTokやInstagramなどSNSで頻繁に動画を見る機会があるほか、動画配信サービスの利用者は全世代にわたり数多く存在します。MMD研究所の調査によれば、18~69歳の男女のうち、61.2%は動画配信サービスの利用経験があるとの回答でした。

ビジネスに目を向けてみると、コロナ禍を受けて特に需要が伸びているのがeラーニングです。矢野経済研究所の調査によれば、eラーニングの市場規模は右肩上がりで、2020年時点で約2917億円まで拡大。2022年はこれが約3645億円にまで伸長する予測です。

対面での研修や教育ができない場合、オンラインで完結するeラーニングサービスは有用です。近年はその中でも動画教材――オンデマンド配信やオンライン講義、あるいはコンテンツの一部に動画を活用するといった形の利用が広がっています。

動画マニュアルとは

動画マニュアルとは、主に業務内容や操作手順などを動画で解説したものです。一般的な写真や文章のマニュアルと比べて、視覚的にわかりやすく、効率よく多くの情報を伝えられるのが特徴です。

動画マニュアルの活用例

動画活用の潮流がある中、マニュアルを動画化するニーズも増えています。株式会社CTの調査によると、マニュアル整備を担当者の約8割が「マニュアルを動画にしていく必要性を実感している」と回答していました。
では、動画マニュアルはどのように活用できる可能性があるのでしょうか。以下で4つのケースについてご説明します。

業務手順マニュアル

多くの企業では業務手順をマニュアル化しており、これらの手順やフローをそのまま動画化するケースがあります。例えば工場の機械操作やバックオフィスの業務など、業界・職種を問わず幅広い活用が見込めます。
言葉だけでは説明しづらい細かな手順や動作を、動画によって視覚的に伝えられるのが利点です。

営業マニュアル

営業担当者が顧客に対して行うテレアポ、訪問営業などの中で駆使している営業ノウハウを動画化する方法もあります。トップセールスがどのような手法で売上を獲得しているのか、ロールプレイを通してプロセスや重要なポイントを学んでもらえます。

研修マニュアル

新入社員や各役職に対して行う研修も、動画マニュアル化が可能です。例えば名刺の渡し方やお辞儀の仕方など、従来は直接先輩が教えていたような動作が伴う細かなビジネスマナーも、動画を見てもらうだけで手軽に教えられます。
そのほか企業理念や社内ルール、事業内容、業界知識といった、概念的な内容も動画化が可能です。図版やナレーションを駆使すれば、ただ静止画で見てもらうよりも伝わりやすくなるでしょう。

製品のチュートリアル

製品の使い方を伝えるマニュアルの動画化も有用です。例えば新製品やサービスが登場したときに、操作手順やお客様に対する訴求ポイントをまとめておけば、動画を見るだけで商品特性を素早く理解できます。

紙のマニュアルより便利?動画マニュアルのメリット

活用例でもいくつか動画の利点はご紹介しましたが、マニュアルを動画化することによるメリットはまだまだたくさんあります。特に一般的な写真と文章の紙のマニュアルと比較してみるとさまざまな特性が見えてくるため、ぜひチェックしてください。

視覚的にわかりやすい

テキストだけでは伝えきれない細かなニュアンスや動きなどを視覚的に伝えられるのが、動画の何よりの特性です。

例えば「鍋の中のお湯がふつふつしてきたら具材を取り出しましょう」と文字だけで書かれても、料理をしたことがない人は「ふつふつ」がどの程度の状態を指すのかわかりません。その点動画なら、映像で「ふつふつ」状態が一目瞭然です。

ビジネスマナーの基本である名刺を渡すときの動作についても考えてみましょう。お辞儀の角度程度であれば「45度」と言われれば想像できますが、受け渡しの動作について「相手と正面に向かい合って名刺を両手で持って差し出し、そのまま先に相手の名刺を片手で受け取り……」と文章で説明されると、非常にややこしいですよね。動画なら一連の流れを映像で見てもらい、要点だけ文字で説明すればいいので簡単です。

情報伝達量が多い

動画が伝えられるのは「視覚」「聴覚」「言語」という3つの情報です。動きを目で見て、音を耳で聞き、言語を読んで理解するという3つの「認知特性」を活かせるのは、動画ならではのメリットだと言えるでしょう。
認知特性とは、人間が情報を理解し、整理し、記憶しておく際に使う能力のことです。人によって、「文字で読んだほうが覚えられる」「映像のほうが理解しやすい」など、得意な認知特性はさまざまです。
動画なら全ての認知特性を網羅した情報伝達が可能なので、学習進度の個人差が生まれにくくなります。

記憶に残りやすい

学習方法と平均学習定着率の関係を示した「ラーニングピラミッド」によると、動画による学習は「講義を受ける」「自分でテキストを読む(読書)」学習方法よりも、定着率が高いことがわかっています。
講義は定着率5%、読書は10%であるのに対し、動画(視聴覚)は20%です。

動画よりも「グループ討論をする」「自ら体験する」「他人に教える」といった方法のほうがさらに定着率は高まりますが、これらは「アクティブラーニング」と呼ばれる能動的な学習方法で、基本的に人的リソースが必要です。ビジネスの現場でも実践やロールプレイのほうが効果は高くなる一方、何度も繰り返し行うのはコストがかかるデメリットがあります。
動画は受動的なパッシブラーニングの中では最も効果が高く、いつでも繰り返し見返せるのがメリットだといえるでしょう。

言語の壁を超えた内容を作成可能

外国人労働者など日本語以外を母語とするメンバーが社内にいる場合は、動画マニュアルを使って言語的な壁を超えた指導が可能になります。日本語理解が浅い人でも内容を工夫すれば視覚的に業務内容を伝えられますし、字幕で翻訳文を入れればさらに理解の助けになるでしょう。

紙に比べて運用コストが低い

これまでマニュアルで活用されてきた紙と比べると、運用コストが低いのも動画マニュアルの魅力です。紙のように従業員分印刷するための紙・インクの費用は不要ですし、当然製本の手間もありません。
また紙の場合はどこかに置き忘れるなど紛失のリスクがありますが、動画はデータなので共通のフォルダにまとめておくといった管理をすることで防げるでしょう。

動画マニュアルのデメリット

一見メリットばかりのように思える動画マニュアルですが、もちろんデメリットもあります。「これからのマニュアルは動画だ」と決断する前に、どんなマイナス面があるのかもしっかり把握しておきましょう。

閲覧用の端末やネット環境が必要

動画マニュアルに紙のような印刷コストは不要ですが、閲覧にはPCやスマートフォン、タブレットなど端末の準備が必要です。今はほとんどの人がスマートフォンを所持しているといっても、動画を閲覧するには画面が小さく不向きなことがあります。職場環境によっては、新たにPCやタブレットを用意する初期投資が必要になるかもしれません。

また、データをクラウドで保存する場合は閲覧や更新にネット環境が必須です。従業員に対して会社がWi-Fi環境をしっかり整えておかないと、「見たいときにマニュアルが見られなくて不便」なんて状況もありえます。

作成や更新の負荷が高い

動画マニュアルを作成する際は、どんな内容にするのか企画を立てた上で撮影や編集作業を行う必要があります。
撮影のためには台本の作成や音声の録音、スタジオ(撮影場所)の確保といった準備に手間がかかりますし、時間をかけて撮影をした素材はそのまま使えるわけではありません。視聴者が見やすいように適宜カットをする、テロップ、図版を入れるなど、一定以上の編集スキルが求められます。馴染みがない場合は、作成ハードルが非常に高くなってしまうでしょう。

また作成後に変更が必要になった場合は、再撮影や再編集をしなければならず、更新にもやはりコストがかかります。

「動画を確認しながらの作業」がしづらい

動画は全体の流れを見て物事を理解することに秀でたツールですが、「動画を見ながら作業をする」ことには不向きといえます。
これは、テレビで料理番組を見ながら実際に自分も料理するのは難しいのと似ています。動画が流れるのと同じスピードで作業はできませんから、一時停止や巻き戻し再生を繰り返さなければならず、非効率的です。

動画がマッチしない情報もある

上記に関連して、動画化する利点がない情報があることも押さえておきましょう。
例えば書類の手続きなど細かな手順や要項があるような内容は、動画化しても結局一時停止をしてじっくり確認することになり、静止画と変わりません。
ほかにも規則など暗記しなければならない内容も、静止画で一覧にまとまっていたほうがベターです。せっかく動画にしたのに結局自分でメモを取り見返すことになっては、マニュアルの意味がなくなってしまいます。

静止画と動画の良いとこ取りでメリットを最大化しよう

動画は便利ではありますが、万能ではないことがわかりました。そこでおすすめしたいのが、静止画(写真)と動画の良いとこ取りをした、ハイブリッドなマニュアル作成です。
まずは改めて、「静止画」と「動画」にそれぞれどのような特性があるのかをおさらいしておきましょう。

静止画:一度に伝えられる情報量は少ないが、大事な情報をピンポイントかつ瞬間的に伝えられる
動画:一度に伝えられる情報が多く、動きやニュアンスを表現できる

上記の特性を組み合わせれば、幅広い業務内容をカバーしたマニュアルを作成可能です。動画のほうが伝わりやすい内容は動画で、そうでない部分は静止画や文字をミックスしたマニュアルにしましょう。

例えば、動きを伝えたい部分だけを短い動画にするのも一つの方法です。何か変更があればその部分だけを撮り直せばいいだけなので、動画のデメリットである作成や更新の負荷も軽減されます。
重要ポイントや暗記してほしい内容は静止画にまとめましょう。従業員が必要な部分だけをぱっと見返せるような、使い勝手の良いマニュアルになります。

動画も含めたマニュアルを作成するならTeachme Bizがおすすめ
静止画と動画をミックスするといっても、例えば「静止画はPDFで、動画は別のフォルダに保存されている」ような状態では、従業員が自分の見たい内容をさっと参照できません。動画も活用した一つのマニュアルを作るなら、マニュアル作成ツールを活用して静止画も動画も一つのマニュアルにまとめてしまいましょう。

Teachme Bizならステップ形式のテンプレートを用意しているため、画像で説明したいところは画像を、動画を見せたいところが動画をドラッグアンドドロップで挿入し、説明文を入れればそれでOKです。簡単にハイブリッドなマニュアルが完成します。

まとめ

動画は講義を受けたり読書をしたりするよりも定着率の高い、優れた学習方法です。自宅にいながら閲覧できるためビジネス的にもニーズが広がっており、動画マニュアルもさまざまなシーンでの活用が想定できます。
一方で動画の特性をきちんと理解しておかないと、せっかくのメリットを生かせないマニュアルになってしまう可能性が大です。静止画やテキストだからこそ理解できる内容、動画だからこそ理解できる内容をきちんと区分けして、良いとこ取りのマニュアル作成をしてみてください。

この記事をSNSでシェアする

関連カテゴリ

関連記事

STEP3 事例を学ぼう

「マニュアルの考え方」の最新記事

マニュアルで生産性革命をおこそう

マニュアルは、上手く扱えば「単なる手順書」以上に大きな効果を発揮します。
生産性の向上はもちろん、「企業を大きく変える」可能性を秘めています。

Teachme Bizは、マニュアルであなたの企業にある課題を解決し、
生産性を向上するパートナーでいたいと考えております。
「組織の生産性を向上したい」「変える事に挑戦したい」と思う方は、
わたしたちと生産性の向上に挑戦してみませんか。

マニュアル作成・共有システム
「Teachme Biz」はこちら