補助金・助成金・給付金の違いとは? 種類や申請の流れも紹介

最終更新日: 2024.09.18 公開日: 2020.09.17

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昨今において、インボイス制度への対応に向けての「IT導入補助金」や、低所得層向けの「物価高騰対応重点支援給付金」など、補助金・助成金・給付金の存在を意識する機会が増えています。これらはいずれも、国や自治体から支給される返済不要の資金です。しかし、それぞれの言葉が指す意味や違いについて、きちんと理解している人は少ないかもしれません。

本記事では、知っているようで知らない補助金・助成金・給付金の違いや共通点、具体例、注意点をわかりやすく解説します。

補助金・助成金・給付金の違い

補助金・助成金・給付金の違いについて紹介します。

補助金 助成金 給付金
管轄 主に経済産業省 主に厚生労働省 主に国・地方自治体
対象 主に事業者 主に事業者 事業者や個人
目的 新事業・新規サービスの導入、新政策の促進やサポート 企業の雇用・労働環境の改善、研究開発、人材育成 個人の生活支援など
金額 多い(数百万円~) 少ない(数十万円~100万円程度) 少ない(数万円~10万円程度)
公募期間 短め(1カ月程度) 長め(通年募集) ない場合が多い
申請 必要 必要 必要
返済 不要 不要 不要
審査有無 あり なし なし

実施元や給付の目的

補助金・助成金・給付金は、それぞれ異なる目的に応じて支給される資金です。補助金は主に経済産業省(中小企業庁)が管轄しており、中小企業などの事業支援を目的としています。助成金は多くの場合、厚生労働省が管轄し、雇用環境の改善や人材育成を支援するために支給されます。一方、給付金は国や自治体が主管し、主に個人の生活支援を目的とした資金が多いです。

審査の有無

受給するための条件や審査が異なります。補助金は申請しても、厳密な審査を通過しなければ受給が認められません。一方、助成金は受給条件を満たしていれば、基本的にほぼ100%の確率で受給が可能です。また、給付金に関しても審査は設けておらず、一定の要件を満たしている場合に支給されます。

給付金額

補助金・助成金・給付金では、支給される金額がそれぞれ異なります。補助金は、特に新規事業や事業拡大の支援を目的としているため支給額が多く、数百万円から、場合によってはそれ以上の金額が支給されることもあります。助成金は、一般的に数十万円から100万円程度の金額です。給付金は、主に個人の生活支援を目的としたものが多く、数万円から10万円程度の比較的少額となっています。

公募期間

補助金は公募期間が短く、通常は1カ月程度と限定的です。一方、助成金は比較的長めで、通年募集が行われることが多く見受けられます。給付金に関しては公募期間がない場合が多く、自治体が対象者を選定し、定められた期限内に申請する形が一般的です。

補助金とは

以下より、補助金の概要やプロセス、種類をそれぞれ詳しく解説します。

補助金の概要

補助金は新規事業や新規サービスの導入、新規政策の促進やサポートなどを目的として支給される資金です。これらは、主に経済産業省やその管理下にある団体が管轄しています。

補助金を受給するためには、特定の用途や事業に対して申請する必要があり、受給条件を満たしていても、厳しい審査を通過しなければ受給できません。新規事業やサービスの導入を検討する際は、該当する補助金制度を調査し、早めに申請手続きを行うことが重要です。

申請から受給までの流れ

補助金を受給するまでのプロセスは以下の通りです。

【1. 申請】
まず、対象事業について申請を行います。申請書類には事業計画や予算などを詳細に記載します。

【2. 審査】
提出された申請書類は、補助金の目的や条件に合致しているかどうかを確認するための審査が行われます。

【3. 採択】
審査を通過すると、申請した事業が採択され、補助金を受給する資格が得られます。

【4. 交付申請】
採択後、実際に補助金の交付を求めるために交付申請を行います。

【5. 対象事業の実施】
交付申請が承認されると、実際に計画した事業を実施します。

【6. 事業報告】
事業が完了したら、その成果や進捗を報告書として提出します。

【7. 補助金支給】
事業報告が受理されると、補助金が支給されます。

補助金の種類

補助金の具体例として、以下の3つを紹介します。

小規模事業持続化補助金

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人が、働き方改革や賃上げなどへの取り組みの一部を補助し、生産性向上と持続的発展を目的とした補助金です。次回(第17回)の実施は未定(2024年8月時点)ですが、持続的な成長を目指している場合におすすめの補助金です。

小規模事業持続化補助金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://s23.jizokukahojokin.info/

事業再構築補助金

コロナ禍における新分野展開や業態転換、事業・業種転換などへの取り組み、事業再編またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大などを目指す企業・団体を支援する補助金です。公募要領は、公募開始と同時に公表されます。

事業再構築補助金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者に対して、ITツールの導入にかかる経費の一部を補助し、業務効率化や売上向上を促進する補助金です。まだIT導入が済んでいない、または新たなIT導入を検討している場合、独自にITを導入するより大幅に負担を減らせます。

2024年のIT導入補助金では、「通常枠」「インボイス枠インボイス対応類型」「インボイス枠電子取引類型」「セキュリティ対策推薦枠」「複数社連携IT導入枠」の5つの申請区分に分かれ、それぞれ補助対象や補助率、補助額が異なります。

IT導入補助金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://it-shien.smrj.go.jp/

また近年では、IT導入により生産性の向上や人材の即戦力化を実現する企業が増えています。例えば、手順書ツールを導入することで、手順書の作成や共有が容易になり、業務効率化が進む事例が多く見られます。マニュアル手順書ツール「Teachme Biz」は、PCやスマートフォン、タブレットから手順の作成や共有、管理を簡単に行えるため、働き方改革や生産性向上、コスト削減を目指す企業で広く利用されています。オンラインでのサービス説明・デモも無料で提供しているので、気軽に相談可能です。

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助成金とは

以下より、助成金の概要やプロセス、種類をそれぞれ詳しく解説します。

助成金の概要

助成金は、新規雇用の創出や雇用の維持、人材育成を目的としています。主に厚生労働省が管轄していますが、申請先や支給先は都道府県労働局です。助成金の多くは審査がなく、条件を満たせば受給が可能です。

しかし、対象となる経費は限定的であり、賃金や研修費用など、特定の用途に限られています。したがって、助成金を活用する際は、対象経費がどのように定められているかをしっかり確認することが重要です。

申請から受給までの流れ

助成金を受給するまでのプロセスは以下の通りです。

【1. 実施計画の作成】
まず、対象となる事業や活動の実施計画を作成し、その計画が受給要件に合致していることを確認します。

【2. 実施計画の実施】
作成した実施計画に基づき、実際に事業や活動を行います。この段階では、計画通りに進行させることが重要です。

【3. 助成金の申請】
事業や活動が完了したら、助成金の申請を行います。必要な書類を準備し、所定の手続きに従って申請を行います。

【4. 助成金支給】
基本的に審査はありませんが、審査が必要な助成金の場合は、申請後に審査が行われます。審査を通過すると、助成金が支給されます。

助成金の種類

助成金の具体例として、以下の3つが挙げられます。

働き方改革推進支援助成金

労働時間の改善促進などの働き方改革に関連した、中小企業・事業主向けの助成金です。取り組む事業によって、「業種別課題対応コース」「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」「団体推進コース」の4つのコースに分かれ、それぞれ要件や支給額が異なります。

働き方改革推進支援助成金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html#h2_free3

業務改善助成金

中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援する助成金です。事業場内における最低賃金の引き上げを目的としており、一定額以上の賃金引き上げを行った場合に、生産性を向上させるための機器(POS端末、機械設備など)導入にかかる費用の一部を助成します。

業務改善助成金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

キャリアアップ助成金

企業内での非正規雇用の労働者(有期雇用、短時間、派遣など)のキャリアアップを促進するための助成金です。正社員化支援の「正社員化コース」「障害者正社員化コース」と、処遇改善支援の「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「社会保険適用時処遇改善コース」の6つのコースに分かれています。各コースの実施日の前日までに、「キャリアアップ計画」の提出が必要です。

キャリアアップ助成金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

給付金とは

以下より、給付金の概要と種類をそれぞれ詳しく解説します。

給付金の概要

給付金は国や自治体を財源としており、受給条件を満たしていれば、申請することで受給が可能です。事業に対する支援だけではなく、話題になった「特別定額給付金」や「子育て世帯への臨時特別給付金」など、一般の国民に向けたものもあります。

給付金の種類

給付金の具体例として、以下の2つが挙げられます。

物価高騰対応重点支援給付金

物価高の影響を特に受けやすい低所得層を支援するために、新たに創設された給付金です。2024年度に住民税が非課税となる世帯や、住民税均等割のみが課税される世帯が対象となります。最大10万円が支給されますが、対象世帯の中で18歳以下の子どもを含む場合は、子ども一人あたり5万円が追加されます。

ただし、2023年度の住民税非課税世帯などに対する物価高騰対策支援給付金(7万円または10万円)が支給された世帯は対象外です。

物価高騰対応重点支援給付金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.chisou.go.jp/tiiki/rinjikoufukin/juutenshien.html

住居確保給付金

主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内であるなど、一定の要件を満たした場合、市区町村ごとに定める額を上限に、実際の家賃額を原則3カ月間(延長は2回まで、最大9カ月間)給付されます。安定した住居を維持しながら次の仕事や事業の再開に集中できるため、生活再建への一歩を踏み出しやすくなります。

住居確保給付金について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html

補助金・助成金の申請・受給にあたっての注意点

申請・受給にあたって、期限や課税対象であることをしっかり確認し、不正受給にも注意しなければなりません。以下より、それぞれ詳しく解説していきます。

期限を確認

補助金・助成金・給付金は、いずれも申請に期限があります。毎年必ず交付される助成金などは、期限を過ぎても次の機会がありますが、緊急性の高いものは特に期限を過ぎてしまうと受給できなくなってしまうため、必ず期限を確認し申請を行いましょう。

課税対象かどうかを確認

基本的にどの資金も収入とみなされるため、課税対象になります。しかし、特別定額給付金や子育て世帯への臨時特別給付金、ベビーシッター利用支援事業のように、特例として法律により非課税となる場合もあるので、申請する交付金が課税対象であるかどうか確認しましょう。

不正受給に注意

最も注意しなければならないのが「不正受給」です。受給条件を満たしていないにも関わらず、受給するために偽った情報で申請を行うと、不正受給とみなされます。これは実際に受給した場合だけではなく、受給しようとしただけでも不正受給とみなされるので、十分注意してください。

書類を偽造した場合は詐欺罪にあたり、実際に詐欺罪で懲役1年6カ月の判決を受けたケースもあります。社会保険労務士などが代理申請した場合も、事業者にペナルティが科せられます。

助成金の不正受給とみなされた場合、与えられる処分や社会的ペナルティは以下の通りです。

    【処罰】

  • 支給された助成金の全額返還
  • 上記に加え、不正受給の日の翌日から納付の日まで、年5%の割合で算定した延滞金と不正受給により返還を求められた額の20%相当額の支払い
  • 不正受給とされた日、または支給を取り消された日から5年間、雇用保険料を財源としたすべての助成金の受給禁止
  • 【社会的ペナルティ】

  • 不正受給を行った事業主の名称と代表者の氏名の公表
  • 不正受給を行った事業所の名称・所在地・事業概要の公表
  • 不正に受給した助成金の支給決定取消日と不正受給の金額の公表
  • 不正の内容の公表
  • 社会保険労務士または代理人や教育訓練を行う者が不正に関与していた場合には、それらの者の名称や所在地の公表

資金繰りを理由に不正受給を行っても、処罰により逆に余計な金銭を払うほか、社会的信用も失ってしまいます。万が一、提出後に申請内容に誤りがあったと気が付いた場合は、すぐに申請先の機関へ申し出ましょう。意図的ではないと判断された場合、処罰が軽くなったり、支給された資金を返金したりするだけで済む可能性があります。

まとめ

補助金・助成金・給付金はそれぞれ、目的や管轄、金額、申請方法、審査の有無が異なります。取り組みたい事業や受けたい支援に合わせて、締切までにしっかり申請しましょう。これらの制度は事業運営において非常に役立ちますが、不正受給には十分注意し、正しく活用することが重要です。

また、支給された資金を受給するだけではなく、同時に既存業務の効率化を積極的に進め、支出の削減を図ることも有効です。

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