働き方の多様化を実現するには? 背景やメリット、企業の取り組み例も紹介

最終更新日: 2024.07.04 公開日: 2024.03.07

働き方の多様化を実現するには? 背景やメリット、企業の取り組み例も紹介

政府が推進する働き方改革や感染症の流行などを背景に、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制といった多様な働き方が注目されています。本記事では、企業として多様な働き方を提供するメリットや具体的な取り組み内容、実現するためのポイントなどを解説します。


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働き方の多様化が推進されている背景

働き方改革関連法の制定

2019年4月1日、働き方改革関連法が施行されました。働き方改革は、働く人が多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革です。この法律によって以下のような規制が定められました。

  • 時間外労働の上限規制
  • 残業時間の上限は原則月45時間、年360時間とする。加えて、月45時間を超えることが可能なのは年間6か月までとする。
    時間外労働は特別な事情があっても、上限は月100時間未満(休日労働を含む)・年720時間以内とする。

  • 年次有給休暇の取得義務化
  • 年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の有給休暇については使用者が時季を指定して取得させることが必要。

  • 雇用形態に関わらない公平な待遇の確保
  • 正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けることを禁止。

働き方改革関連法の施行を受け、企業も自社の従業員が多様な働き方を選び、ワークライフバランスを実現できるように、環境の整備や取り組みを進めていくことになりました。

新型コロナウイルスの影響

法律の施行を受け社会は働き方改革に大きく舵をきりましたが、それをさらに推し進める出来事が起こります。それは新型コロナウイルスの蔓延です。外出自粛や感染症対策など社会活動に与えた影響は多大で、生活様式が変わったことで働き方の変革を求められました。

代表的なのが、出社率削減のために実施したテレワークです。以前からあった働き方ですが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに急速に普及し、アフターコロナの現在でも引き続き採用する企業は多くあります。

また、コロナ禍により人々の価値観も変化し、従来のような仕事第一主義からの脱却も加速しました。仕事だけでなく自分の生活や家庭、ワークライフバランスを大事にしたいと考える人々が増えたことで、企業はこれまでのように画一的な働き方を提供するだけでは優秀な人材を確保することが難しくなっています。

ダイバーシティの推進

グローバル化や女性の社会進出が進んでいる昨今では、ダイバーシティへの注目が高まっています。ダイバーシティとは性別、年齢、人種、障がいの有無、宗教など異なる背景を持つ人々が、尊重され平等に扱われることを意味します。日本では女性の管理職登用や、障害者雇用、シニア雇用や外国人雇用などが実践されています。

少子化が進み労働力人口が減少している日本では、労働力の確保が国や企業の重大な課題です。労働力を確保するためには、雇用形態や性別、年齢や国籍による不合理な差別をなくし、個々がキャリアアップの機会を得られるように働き方を変えていく必要があります。また、異なるバックグラウンドを持った人材の採用により新たな価値を生み出し、国際競争力を高めていくことも重要です。

働き方の多様化で企業が得られるメリット

生産性の向上

従業員一人ひとりに合った働き方ができることでストレスが減少し、生産性の向上が期待できます。

たとえばテレワークやフレックスタイム制の導入により、通勤ストレスが軽減され、精神的なゆとりが生まれます。時間の融通が利きやすくなることで、育児や介護など家庭との両立が容易になり、従業員の意欲やモチベーションの向上につながるでしょう。結果として高いパフォーマンスを発揮できるようになり、生産性が向上します。

また、最近では副業を解禁する企業も増えています。副業の解禁により、従業員は新たなスキルや経験を積み、本業に活かすことが可能です。このことは、生産性や競争力、利益の向上といった形で企業にも大きなメリットをもたらします。

コストの削減

従業員が働く場所や時間を自由に選択できるようになることで、効率のよい働き方が可能になり、長時間労働が是正されます。これにより、人件費の削減が可能です。

また、テレワークや在宅ワークを導入すれば出社率の低下につながります。出社率が下がれば広いワーキングスペースは不要となり、賃貸料や光熱費を削減できます。通勤にかかる交通費や消耗品のコストなども削減可能です。

人材の新規獲得や定着率向上

働き方の多様性を尊重することで、時短勤務や在宅ワークなど新たなワークスタイルが生まれます。それによりこれまで育児や介護などで働くことを諦めていた人といった新たな労働力の確保が可能です。

柔軟なワークスタイルを採用することで従業員の満足度が高まり、離職率を低下させ定着率を高める効果があります。定着率の高い企業は求職者にとっても魅力的に映るため、新規採用の面でも大きなアピールになるはずです。

新たなアイデアの創出

働き方の多様化により、従業員に従来にはなかった自由な環境が生まれます。時間や場所にとらわれない働き方から得た発見が、新しいアイデアの創出につながることがあります。

柔軟な働き方によって時間的な余裕が生まれ、仕事以外の時間を持てるようになることでインプットする機会も増えます。そこで得た学びを通じて、従業員一人ひとりがスキルアップしていくことが可能です。これにより、企業全体の成長につながっていきます。

ダイバーシティの推進も新たなアイデアを生み出します。異なった背景を持つ人々が集まり意見を交わすことで、付加価値を生み出すことがあります。

働き方の多様化につながる企業の取り組み例

テレワークやリモートワーク

代表的な取り組みがテレワークやリモートワークの導入です。国も関係省庁と連携して推進しています。国土交通省による令和4年度テレワーク人口実態調査によると、テレワークに関する実態は以下のようになっています。

  • 勤務先にテレワーク制度が導入されている就業者の割合 37.6%
  • 勤務先が週1日以上テレワークを認めている割合 19.4%
  • 職種別では、専門・技術職(保健医療等を除く)が最もテレワーク頻度が高く、1週間あたり2.9日以上(令和4年)

テレワークのメリットとして、通勤の負担軽減など時間が有効活用できる点が挙げられます。育児や介護などとの両立もしやすく、社員の満足度を高める取り組みとしても有効です。

一方で、生産現場職や運輸・保安職、医療・福祉・教育関係などテレワークが難しい職業もあります。この他にも業務内容によってはテレワークには向かない職種もあるため、テレワーク導入の際には社内ヒアリングの実施をおすすめします。

令和4年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-(p.14、p.20、p.34)

フレックスタイム制度

フレックスタイム制は、あらかじめ定められた総労働時間の中で、従業員が自由に出勤・退勤の時間を設定できる制度です。フレックスタイム制の導入により、従業員満足が向上し、定着率も高まります。

従業員は自分の都合によって勤務時間帯を調整できるので、子育てとの両立や通勤混雑時の回避、病院に寄ってからの通勤などこれまで困難だったことが可能になります。労働時間を効率的に分配することで、生産性の向上にも期待できます。

時短勤務や時差出勤

時短勤務や時差出勤はストレスの軽減につながり、生活事情に合わせた働き方が可能になります。

時短勤務は、育児・介護休業法(法第23条)に基づく制度です。制度の適用条件を満たしている場合、以下に該当する従業員が希望すれば1日6時間の勤務時間に短縮できます。

  • 3歳未満の子を養育する従業員
  • 要介護状態にある対象家族を介護する従業員

時差出勤は通勤ラッシュ時を避けて通勤するために、いくつか決められた労働時間のパターンを設定する取り組みです。事前に勤務パターンを決定するのは、勤務開始時間を明確にするためです。会社側が時差出勤パターンを決定する場合は、就業規則に記載する必要があります。

時間単位の有給制度

年次有給休暇を時間単位で取得できる制度です。労使協定を締結すれば年に5日を限度とする時間休を取得できます。

学校行事への参加や通院など短時間休みたいという要望をかなえる柔軟性のある制度で、従業員満足度を高める取り組みのひとつです。労働基準法では一定日数の年次有給休暇付与を定めていますが、取得率が低く問題視されています。時間休を取得できるようにすれば、取得率の向上につながります。

副業や兼業の解禁

労働力人口の減少や働き方改革を受け、政府は副業や兼業を推奨する方針を打ち出しています。公務員は副業が禁止されていますが、その他の職種であれば本業に支障をきたさない範囲での副業を解禁する企業も増えてきました。副業・兼業により従業員は経済的な余裕の獲得とともに、スキルアップや自律的なキャリア形成の機会を得ます。

企業側も従業員のスキルアップによる生産性の向上や、副業者を受け入れることによる労働力の増強が見込めます。副業者にスポット対応してもらうなど、足りない労働力を一時的に補うことも可能です。

フリーアドレス制度

フリーアドレス制はオフィス内で席を固定せずに、好きな場所で働く自由度の高いワークスタイルです。自由度の範囲が広がると、新たなアイデアや部署を超えたコミュニケーションが生まれやすくなり、イノベーションの創出につながります。離席率の高い職種の席数を減らすことで、スペースやコスト削減の効果も期待できます。

一方で、誰がどこにいるのかわからなくなる、共有スペースで仕事をするため集中力が落ちるなどのデメリットもあります。導入する前に、こうした失敗を防ぐための対策を検討することが大切です。

週休3日制

週休3日制を導入している企業もあります。週休3日制は従業員の満足度を高める取り組みとして対外的なアピールとなるため、社会的評価の向上に期待できます。また、勤務日数を減らすことで総労働時間を無理なく短縮できるため、長時間労働の抑制効果もあります。

しかし、人手不足の中小企業では導入が難しいのが現状です。週休3日制の実現には、業務効率化や生産性向上に向けた取り組みが欠かせません。時短勤務もあわせて導入して選択制にするなど、従業員が自分の都合や価値観で選べるようにすることも大切です。

働き方の多様化を実現するために企業が行うべきこと

労働環境の見直しと改善

働き方の多様化を進めるためには、労働環境の見直しと改善が必要です。

まずは現状が、従業員にとって負担や不満の大きい労働環境になっていないか見直すところから始めましょう。たとえば時短勤務制度があっても、一人あたりの業務量が多すぎて取得できる状況にない、制度を取得すれば他の従業員の負担が増大することが明らかといった状況では、制度の活用は進みません。現状をどのように改善すれば働き方の多様化を推進できるのかを考える必要があります。

労働環境の実態を把握するために、社内アンケートの実施も検討しましょう。匿名にするなどして、従業員が現状や意見を気兼ねなく伝えられるアンケートにすることが大切です。

効果的なITツールの導入検討

IT技術を有効活用して、働くすべての人にとってよりよい環境を整備しましょう。

テレワークなどの場所にとらわれない働き方を取り入れる場合は、パソコンや周辺機器、通信環境の整備などが欠かせません。コミュニケーション円滑化のために、ビジネスチャットやWEB会議を採用することも有効です。

働く時間を短縮する場合には業務の効率化が必須なので、業務フローの改善や効率的なスケジュール管理などが可能なツールが必要です。多様な働き方の導入にともなう管理職の負担を軽減するために、勤怠管理システムや業務の進捗管理ツールの導入なども検討しましょう。

マニュアルの整備

働き方が多様化すると、時間や場所にとらわれない自由な働き方が実現できます。その一方でどこにいても、社内で執務する場合と変わらない業務品質や作業効率を維持する体制を整える必要があります。そのために必要となるのが、マニュアルの整備です。マニュアルがあれば誰でも同じ品質で業務を完成できるとともに業務の属人化を防ぎ、業務スピードの向上も期待できます。

「Teachme Biz」は、マニュアルをステップ化して共有できるサービスです。煩雑な作業も画像付きで共有できるので、誰が見ても一目瞭然のマニュアルが作成できます。閲覧状況の確認や自動翻訳機能、PDFデータ取り込み機能など多彩な機能があり、作業効率アップにつながります。

適切な社内整備で多様な働き方への対応を

企業が将来にわたって労働力を確保するには、多様な働き方を提供することが必要です。そのためには、まず社内体制を整えましょう。無料トライアルもできるTeachme Bizの機能を体験して、労働環境の整備に必要なマニュアルの作成にお役立てください。

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