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【2020年最新版】年末調整の書き方マニュアル!提出期限を過ぎた場合はどうする?

毎年、年末になるとやってくる年末調整。令和2年分(2020年分)の年末調整は特に変更点が多いため注意が必要ですが、みなさんはもう年末調整の対策はできていますでしょうか?提出書類が多く手間のかかる年末調整ですが、なるべくスムーズに作業を進めて爽やかな年末を過ごしたいですよね。
そこで、年末調整について重要なポイントを理解し、年末調整を少しでもスムーズに行っていただけるように、年末調整についての基本知識から昨年までとの変更点、具体的な年末調整のしかた、よくあるトラブルまで徹底解説します。年末調整は全ての従業員にとって重要な手続きのため、年末調整の担当者だけでなく、従業員の方もぜひご覧ください。

※年末調整の提出が間に合わずお困りの方はこちらをご覧ください。

年末調整とは

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毎年必ず行う必要のある年末調整ですが、その必要性や対象者についてしっかりと理解していますか?

年末調整

年末調整とは、1年間納めてきた所得税と実際に納めるべき所得税の差額を計算し、年末にまとめて清算する業務のことです。企業は毎月給与を支払う際に、源泉徴収税額表によって所得税および復興特別所得税を源泉徴収しています。つまり、給与は所得税が引かれた状態で支払われます。しかし、企業が源泉徴収をした所得税の1年間の合計額は、本来年間に納めなければいけない税額と一致しないことがほとんどです。

差額が出てしまう主な理由としては以下のようなものがあります。

1年の途中で給与額に変更があった場合
源泉徴収税額表は年間を通して毎月の給与に変更がないものとして作成されているため、1年の途中で給与額に変更があった場合は差額が生じます。

1年の途中で控除対象扶養親族の数に変更があった場合
1年の途中に控除対象扶養親族の数に異動があった場合、異動後の支払分から修正を行いますが、異動前の各月の源泉徴収税額は修正されてないため差額が生じます。

生命保険料や地震保険料の控除などは、年末調整の際に控除が必要
生命保険料や地震保険料の控除などは年末調整の際に控除されるため、それらの控除をするためには年末調整が必要になります。

(参考)国税庁「Ⅱ年末調整とは(令和2年分 年末調整のしかた)

年末に年末調整を行い、税額を計算しなおすことで、本来納めるべき所得税額がはじめて分かります。年末調整では、納めた税額が本来納めるべき税額よりも多い場合は還付し、少ない場合は追加徴収することで差額を清算します。年末調整はいろいろと書類を用意しなくてはいけないため、多少面倒くさいと感じるかもしれませんが、比較的お金が還付される場合の方が多いため、お金が戻ってくる可能性を考えてポジティブな気持ちで挑みましょう。

年末調整の対象者

会社に勤めている場合は基本的に年末調整の対象ですが、対象外にならない場合もあります。年末調整の対象となる人、対象にならない人を詳しくご紹介します。

・年末調整の対象となる人

年末に行う年末調整の対象者
(1) 会社などに1年を通じて勤務している人
(2) 年の途中で就職し年末まで働いている人

年末以外に行う年末調整の対象者
(3) 年の中途で退職した人のうち
・海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人
・死亡により退職した人
・著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職をし、給与を受け取る見込みのある人は除く)
・12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
・いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)

(参考)国税庁「Ⅱ年末調整とは(令和2年分 年末調整のしかた)

・年末調整の対象とならない人

(1) 年末調整の対象者のうち、主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
(2) 年末調整の対象者のうち、災害により被害を受けて災害減免法の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
(3) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
(4) 年の中途で退職した人で、対象者の表の(3)に該当しない人

(参考)国税庁「Ⅱ年末調整とは(令和2年分 年末調整のしかた)

確定申告との関係性

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年末に近づいてくると年末調整とともに確定申告について考える機会が増えてくると思います。確定申告は年末調整と同じく、1年間の所得を計算し、納めるべき税額を算出して差額を調整する手続きのことです。年末調整は会社が行ってくれますが、確定申告は年末調整を行えない個人事業主や年末調整の対象外の人などが、自分自身で行うものになります。また、会社で年末調整をしてもらっている人でも、年末調整で申請できない控除については確定申告が必要になります。確定申告が必要な場合について詳しくご紹介します。

年末調整だけでは補えない控除

確定申告は年末調整だけでは補えない各種控除を補う役割を果たします。年末調整では以下に示す控除は申請できません。そのため年末調整を行っている場合でも、これらの控除を適用させるためには確定申告を行わなくてはいけません。

医療費控除
申告者もしくは同一生計の家族の医療費が10万円を超えた場合、医療費控除の対象になります。総所得金額等が200万円未満の場合は、医療費が総所得金額等の5%以上で医療費控除の対象になります。

寄付金控除
ふるさと納税を含め、ある特定の団体(国や地方自治体、日本赤十字社など)に寄付をした場合、寄付金額から2,000円を引いた金額を控除できます。

災害や盗難による雑損控除
災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合、損失の一部を所得から差し引き一定金額の控除を受けることができます。詐欺や恐喝による損害は控除の対象にはなりません。

住宅ローン等の適用初年度の減税控除
住宅借入金等特別控除として、個人が住宅ローン等を利用して、住宅の新築、取得、または増築等をした場合、それらに係る住宅ローン等の年末における残高を基準として一定金額を控除できます。適用初年度は確定申告を行わなければならず、2年目以降は年末調整でも受けることができます。

年末調整を行えない場合

個人事業主や年末調整の対象から外れた人は正確な納税が行えないため、必ず確定申告を行わなければいけません。また、副業や2つ以上のアルバイトをしており掛け持ちで働いている場合は1ヶ所の勤務先でしか年末調整が行えないため、年末調整を行っていない勤務先での収入に関しては確定申告を行う必要があります。

年末調整を修正する場合

年末調整の期限は1月31日となっています。年末調整に不備があった場合、期限前であれば修正して再提出することができますが、期限を過ぎてしまった場合は確定申告をする必要があります。そのため、会社で年末調整をしてもらった場合でも、年末調整の期限後に不備が発覚した場合、個人で確定申告をしなくてはいけません。無駄な工程を増やさないためにも、年末調整で提出する書類は正確に記入しましょう。

年末調整に必要な書類

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年末調整ではさまざまな書類を取り扱います。まずは、会社に提出する書類についてご紹介します。基本的に会社が税務署から必要書類の配布を受けるため、従業員は自分で準備する必要がありません。書類が必要な場合は国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。
▶国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等(異動)申告書など)

扶養控除等(異動) 申告書

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出典:国税庁「《記載例》令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例

扶養控除は、扶養家族の人数に応じて金額の決まる控除のため、この申告書で扶養家族について申告をする必要があります。全員が提出必須の申告書のため、扶養家族がいない場合でも提出しなければなりません。
詳しくは国税庁「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」をご確認ください。

配偶者控除等申告書

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出典:国税庁「《記載例》令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

配偶者控除等申告書(給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書)は、年末調整においてその年の基礎控除、配偶者(特別)控除、および所得金額調整控除を受けるための申告書です。これは給与取得者全員が必ず提出しなくてはいけない申請書ではなく、年末調整において配偶者控除等を受けようとする人のみ提出する申告書になります。
詳しくは国税庁「[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」をご覧ください。

保険料控除申告

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出典:国税庁「《記載例》令和2年分給与所得者の保険料控除申告書の記載例

給与所得者が生命保険や地震保険などの保険料や社会保険の保険料などを支払っている場合、保険料の控除を受けることができます。これも、給与取得者全員が必ず提出しなくてはいけない申請書ではなく、年末調整において保険料控除を受けようとする人のみ提出する申告書になります。
詳しくは国税庁「[手続名]給与所得者の保険料控除の申告」をご確認ください。

源泉徴収票

源泉徴収票の画像
出典:国税庁「令和2年分源泉徴収簿
源泉徴収票とは、会社から支払われた給料の総額と納めた所得税の金額を記載した書類です。基本的に会社が作成してくれるため個人で用意する必要はありませんが、年の途中で退職した場合に必要です。年内に再就職する際は、再就職先の会社で年末調整をするため、これまで働いていた会社から源泉徴収された税額が記載された源泉徴収票を受け取り、再就職先の会社に提出しなければなりません。また、再就職せず退職後に収入がない場合も確定申告において源泉徴収票が必要となるため必ず源泉徴収票は受け取りましょう。

税務署や市区町村に提出が必要な書類

年末調整では、従業員からあつめた書類をもとに会社が税務署や市区町村に法定調書を提出する必要があります。年末調整において提出が必要な書類を5つご紹介します。

源泉徴収票等の法定調書合計表

源泉徴収票等の法定調書合計表
出典:国税庁「平成 年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
法定調書合計所とは、源泉徴収票や支払調書、不動産の使用料等の支払調書など、法定調書の種類ごとに人数、支払金額、源泉徴収税額など全てをまとめた情報を記載し、税務署へ提出する合計を記載する書類です。翌年1月31日までに給与等の支払者が手続きを行う必要があります。
詳しくは国税庁「[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)」をご確認ください。

源泉徴収票

「年末調整に必要な書類」でもご紹介したように、源泉徴収票とは会社から支払われた給料の総額と納めた所得税の金額を記載した書類で、税務署と給与取得者へそれぞれ提出が必要です。こちらも翌年1月31日までに給与等の支払者が手続きを行う必要があります。

支払調書

支払調書とは、給与以外に報酬や使用料などを支払った場合に、それに対する源泉徴収税額を記載する書類です。こちらの書類も翌年1月31日までに提出する必要があります。

給与支払報告書

給与支払報告書の画像
出典:国税庁「令和2年度(元年分)給与支払報告書【個人別明細書】

給与支払報告書とは、従業員が居住する市区町村に対して、提出する書類になります。内容は源泉徴収票とほとんど同じで、市区町村ではこの書類に基づき住民税を課すため、地方税法第317条第6項「給与支払報告書等の提出義務」により提出が義務付けられています。提出を怠った場合は会社や担当者が1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられてしまうため、提出を忘れないように十分に注意しましょう。

昨年からの変更点とは?

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令和2年分(2020年分)の年末調整は改正事項が多いため、注意が必要です。昨年までの年末調整と同じ資料を用いて年末調整を行うと控除金額が合わないなどの不備が生じる可能性があるため、改正事項を必ず確認してください。

給与所得控除

給与所得控除の金額が10万円引き下げられ、給与所得控除の上限額が220万円から195万円に引き下げられました。
給与所得控除の改正前後の画像
出典:国税庁「昨年から変わった点

基礎控除および所得金額調整控除

基礎控除はこれまで、全ての納税者に対して一律で38万円が控除されていましたが、改正後は合計所得金額によって控除額に違いが設けられました。また、これまでは所得上限なく控除されていましたが、合計所得額が2,500万円を超える場合は基礎控除の適用外になりました。
基礎控除および所得金額調整控除の改正前後の比較表の画像
出典:国税庁「昨年から変わった点

扶養親族等の合計所得金額要件等

同一生計配偶者、扶養親族、源泉控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者及び勤労学生の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられました。
扶養親族等の合計所得金額要件等の改正前後の比較表の画像
出典:国税庁「昨年から変わった点

ひとり親控除および寡婦(寡夫)控除

これまではひとり親に対する税制上の措置として「寡婦(寡夫)控除」がありましたが、未婚のひとり親は対象外となっていたため、ひとり親も含めた税制上の措置として新たに「ひとり親控除」が設けられました。
具体的には、これまでの寡婦(寡夫)控除では過去の婚姻歴が条件にありましたが、未婚のひとり親を含めるために過去の婚姻歴については問わず、現在事実上婚姻関係にある人がいないことが控除の要件になりました。

対象者:以下の3つの条件を満たす人
(1)現在、事実上婚姻関係にあると認められる人がいないこと
(2)生計を一にする子がいること
※この場合の子はその年分の総所得金額が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養家族になっていない人に限る
(3)合計所得金額が500万円以下であること

控除額:35万円

ひとり親控除の創設に伴い、寡夫控除はひとり親控除に吸収されたため廃止され、寡婦控除の条件が改訂されました。寡婦控除においても事実上婚姻関係にあると認められる人がいる場合は対象外であり、今回の改正に伴い合計所得金額が500万円を超える場合は寡婦控除の対象外になりました。

寡婦控除

対象者:ひとり親控除の対象者に該当せず、以下のいずれかの条件を満たす人
(1)夫と離婚後に婚姻をしておらず、扶養家族がいる人で合計所得金額が500万円以下の人
(2)夫と死別後に婚姻をしていない、または夫の生死が明らかではない一定の人で合計所得金額が500万円以下の人(扶養親族の有無は問わない)

控除額:27万円

簡単にまとめると以下の表のようになります。ご自身がどの条件を満たしているか参考にしてみてください。詳しくは国税庁「ひとり親控除」、「寡婦控除」、「寡夫控除」をご確認ください。

ひとり親控除および寡婦(寡夫)控除の改訂前後の比較表
参考:国税庁「ひとり親控除」、「寡婦控除」、「寡夫控除

年末調整のしかた

ステップに沿って進めていく画像

従業員

会社から必要書類を渡されるため、それらの書類に必要事項を記入し控除証明書などとともに勤務先に提出します。

事前に用意する書類

保険料控除証明書
保険会社、金融機関などから書面を受領します。

源泉徴収票
転職してきた場合には前職の源泉徴収票を前職から受領してください。

社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
国民年金機構から発送されます。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
住宅ローン控除申請をする際には金融機関に発行してもらってください

年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
住宅ローン控除申請をする際に、住宅ローン控除を受けるために確定申告をした年の10月頃に、税務署から9年分まとめて郵送されてくるものを使用します。

年末調整の担当者

(1)11月下旬までに従業員へ必要書類の配布と回収
まずは必要書類を従業員へ配布します。従業員へ配布、回収する書類は以下に示すものになります。詳しくは「年末調整に必要な書類」をご覧ください。

全員必要
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

該当者のみ
保険料控除申告書と控除証明書類
配偶者控除等申告書
住宅借入金等特別控除申告書
(転職してきた人は前職での)「源泉徴収票」

(2)12月下旬までに回収した書類のチェックと年末調整の計算
書類を回収したら、記入漏れや記入ミスがないかを確認します。その後、年末調整の計算を行い、源泉徴収票にまとめます。

(3)1月31日までに法定調書の作成と提出
以下の法定調書を作成し、年末調整の期限である1月31日までに提出を完了し源泉徴収税の納付を行います。提出が必要な書類について詳細は「税務署や市区町村に提出が必要な書類」をご覧ください。

  • 源泉徴収票等の法定調書合計表
  • 源泉徴収票
  • 支払調書
  • 給与支払報告書

年末調整の電子化

書類とPCとがつながっている画像

令和2年分(2020年分)の年末調整から電子化に向けた施策が実施されました。電子化により年末調整の手続きを省略可することができ、今後電子化が進むことが予想されるため積極的に電子化を行いましょう。そこで電子化に関してどのようなメリットがあるのか、電子化した際に手続きがどのように変わるのかを解説します。
▶参考:国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)

電子化のメリットとは?

・従業員のメリット
従業員のメリットとしては、これまで手書きで記入していた手続き(年末調整申告書の記入、控除額の計算など)を省略できるため、より簡単に年末調整の申告書を作成できるようになります。また、これまでは書類で発行していた控除の証明書等を紛失した場合、発行元の機関に再発行を依頼しなければなりませんでしたが、電子化することで紛失の恐れがなくなり、再発行の手間を省けます。

・会社側のメリット
電子化することで控除額を自動計算できるため従業員一人一人の控除額の検算をする必要がなくなり、控除証明書等のデータを使用した場合は添付書類に関する確認作業も削減できます。また、電子化することで記入漏れや記載誤り等の減少による問い合わせ件数の減少や、書類を保管するためのコストの削減などが期待できます。

電子化するための事前準備

年末調整を電子化するためには事前に準備が必要です。電子化のための具体的な年末調整の事前準備をご紹介します。

(1)年末調整ソフトウェアの検討
まずは電子化を実施するにあたり、いくつか提供されているソフトウェアの中からどのソフトウェアを使用するか検討します。年末調整には企業が販売するソフトウェアだけではなく、国税庁が提供する年末調整控除申告書作成用ソフトウェアもあります。

(2)従業員への周知
年末調整を電子化するにあたり、控除証明書等を電子データで取得するように従業員へ早めに周知する必要があります。電子データはマイナポータル連携により取得することができますが、マイナポータル連携によってデータの取得ができない場合には保険会社等のホームページから取得してもらいましょう。また、電子化にあたり使用するソフトウェアを周知し、取得してもらいましょう。

(3)給与システムの見直し
年末調整のソフトウェアでは従業員から提供を受けるデータを、現在利用している給与システム等にインポートし、年税額等の計算を行う必要があるため、システムの改修を行いましょう。

(4)税務署への届け出
電子データにより年末調整申告書に記載すべき事項の提供を受けるためには。勤務先からあらかじめ所轄税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し承認を受けなくてはいけません。忘れずに提出しましょう。

こんなときどうしたらよい?

男性が悩んでいる画像
年末調整を行う際、資料を読み込むだけでは判断の難しい状況がいくつかあります。そこで、国税庁の「年末調整Q&A」の中からよくある質問を抜粋してご紹介します。

12月分の給与を翌月支給する場合はいつまでが対象になるのか

給与規定により毎月1日から末日までの給与を翌月に支給している場合があるかと思います。その場合、12月分の給与は1月に支給されますが、年末調整の対象は年内に支払の確定した給与であり、支払の確定日は実際に給与が支給された日を指すため1月に支給する12月分の給与の金額は年末調整に含まれません。その分、1月に支払う12月分の給与は翌年の年末調整に含める必要があります。

新型コロナウイルスによる休業手当は含まれるのか

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために従業員を休業させ休業手当を支給した場合、その手当は給与に含めて年末調整を行うのでしょうか?もし、この休業手当が労働基準法に基づく「休業補償」など、得税法の規定により非課税とされている場合は給与に含めて計算する必要はありませんが、特に非課税規定のない手当を支給した場合は年末調整の給与の総額に含めて計算しなくてはいけません。ただ、勤務先から休業手当を受け取っていない雇用保険法の被保険者に対して国から直接給付される「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」に関しては規定により租税が課されないため年末調整の対象ではありません。受け取った手当が非課税対象か否かを確認して判断をするようにしましょう。

年末調整のよくあるトラブル

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手順通りに進めていても、実際に年末調整を行ってみるとトラブルが発生することがあります。年末調整のよくあるトラブルと解決方法を知ることで、事前にトラブルの防止を行いましょう。

その年の途中に転職してきた人がいる

一番トラブルになりやすいのが、その年の途中に転職してきた人がいる場合です。その年の途中に転職してきて年末まで働く場合、転職先の企業がその人の年末調整を行わなくてはいけません。しかし、転職してきた人が転職前の企業が発行する源泉徴収票を持ってこなかったり、間違えて前年分の源泉徴収票を持ってきたりする場合があるので注意しましょう。また、外国の会社から退職金を受け取った場合や前職を退職する際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合などに、従業員が個人で確定申告を行わなくてはいけない場合もあるため、必ず確認してもらいましょう。

期限に間に合わない

年末調整の期限は1月31日となっています。従業員の書類提出が遅れたり、確認作業が遅れたりすることにより、期限までに企業の提出が間に合わなかったとしても、特に罰則は課せられません。数日の遅れの場合は所轄の税務署に問い合わせをすることで待ってもらえる可能性があります。また、もし間に合わなかった場合でも従業員に個人で確定申告を行ってもらえば大丈夫です。しかし、意図的に年末調整を怠った場合は脱税とみなされ、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が課される可能性があるため年末調整は必ず行いましょう。

記入漏れや変更が生じた

年末調整の書類を提出した後に記入漏れや変更が生じた場合、提出期限である1月31日までであれば修正が可能です。期限後にミスや変更が発覚した場合は従業員に個人で確定申告を行ってもらうことで修正可能です。

計算ミスによる従業員との金銭トラブル

年末調整にて計算ミスが発覚し従業員に追加徴収を行う場合、従業員との金銭トラブルが発生する可能性があります。ほとんどの場合は追加徴収に応じると思いますが、まれに追加徴収を快く思わず企業側の計算ミスのせいだとして企業にクレームを入れたり支払を求めたりする場合があります。しかし企業が支払う必要は無く、企業が代わりに支払うと従業員にその分の金額を支給したことになり年末調整がよりややこしくなるため、追加徴収の経緯を説明し、納得してもらうようにしましょう。

年末調整にはマニュアルが必要不可欠

女性が仕事している画像
従業員の中には何年も年末調整をやってきてやり方を熟知しているベテランから、今年が初めての新入社員や年末調整という言葉すら聞いたことがないアルバイトまで様々な人がいます。それらの人たち全員に口頭で手順を説明したり、毎回問い合わせを対応したりするのは労力が必要になり高コストです。また、毎年変更点があるため昨年は上手く手続きができたとしても今年はミスをしてしまう可能性が十分にあります。国税庁やネットの記事などで手順を紹介しているものもありますが、企業によって提出期限や提出先、電子化で使用するソフトウェアなどが異なるため、結局は自社独自の手順を作成しなくてはいけません。
そこで必要なのは従業員が誰でも簡単に理解できて、毎年の変更に対応できるマニュアルです。

マニュアルを利用するメリット

マニュアルに年末調整のやり方の手順をまとめることで、テレワーク中の従業員でも年末調整を行う事ができるようになり、やり方の分からない従業員でも手順に沿って記入するだけで年末調整の書類が用意できるため、問い合わせ件数の大幅削減が期待できます。今後、年末調整の電子化が進むことも考えると、やり方をマニュアルにまとめて誰でもどこでもできるような環境を整えることは必須となります。

バックオフィス業務の効率化にも有効

経理や総務、人事、法務、財務などの書類作成を行うことの多いバックオフィス業務においてもマニュアルは有効です。書類作成の問題点は、記入ミス、記入忘れなどによる書類の作り直しや問い合わせの対応です。それらのミスを事前に予防するために、書類作成の際の細かい注意点を手順とともにマニュアルにまとめることで、バックオフィス業務の効率化を進めることができます。

まとめ

ここまで年末調整に関して基礎知識から今回の変更点、年末調整のしかた、よくあるトラブルまでご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?年に一度の手続きのため、毎年確認が必要であり担当者の負担が多くなってしまう年末調整ですが、対策を事前に行っておくことで効率的に行うことができます。来年以降のことも考えて早めに電子化を進め、マニュアルを最大限活用することでより効率的に行う工夫をしましょう。