仕組み化が仕事のムダをなくす?!その方法・メリットを解説!
もしあなたが「今やっている仕事は、全部ムダです。」と言われたらどうでしょう。
もちろんいい気はしませんよね。誰しもムダなことをやろうとしているわけではないですし、どの仕事も必要性があって行われているからです。
しかし、実際はムダな仕事というのも多々存在してしまっているのが現実です。では、そのムダな状態が生まれないためにできることは何なのか。
本記事では実践的で有効な解決方法として「仕組み化」のメリットと、仕組み化を円滑に進めるためのステップをご紹介します。
目次
ムダの正体
そもそも「ムダ」とは何か、具体的にどんな状況かを考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。
ここでまず業務に関する3つの観点、Why(なぜやるのか)、What(何をやるのか)、How(どうやるのか)を整理してみます。
この3つはそれぞれ下記を表しています。
・Why(なぜやるのか):目的・ねらい
・What(何をやるのか):施策の設定
・How(どうやるのか):具体的な手段
この3つの観点でよく業務を観察してみると、目的・ねらい(Why)は合っているが施策の設定(What)がズレていて、実行する手段(How)が洗練されていないという状況が多く見られます。
例えば、「大量のデータ情報を整理したい」という目的に対して、エクセルの便利機能を活用せずにデータを一つひとつ手入力したり、関数やVBAなどを使わずに手計算をしたりするのは、明らかに非合理的です。
また、作業者によって使用するエクセルのフォーマットが違う、計算方法がバラバラといったケースも同様です。同じ作業なのに品質に差が生まれ、それを直すためにまた新たな作業が発生しては二度手間になってしまいます。手順が自己流になりすぎた結果、「この作業はあの人にしかできない」という、いわゆる属人化も発生しかねません。
このように目的意識は正しいにも関わらず、施策設定や手段が最適でない場合に「ムダ」が生じます。この「ムダ」を解消するのに効果的なのが、今回紹介する「仕組み化」というアプローチです。
仕組み化 って何?
「仕組み化」とは属人性を排除し、いつでも、どこでも、誰が行っても同じ成果を出せる方法を構築することです。
例えば、一人の優秀な社員がやっていることをほかの社員にもできるように環境を整えたり、全手動の作業を全自動に切り替えたりすることなどが「仕組み化」に当てはまります。
仕組み化前(全手動):あらゆる業務を手動で行う。業務手順が定められておらず、限られた人の感覚知に依る部分が大きい。属人性が高い。
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仕組み化後(全自動):業務手順が明確にマニュアル化、ルール化されており、運用方法や作業内容が明確。あいまいな意思決定がなく、何度も高速で業務を繰り返すことが可能。属人性が低い。業務が機械・コンピューターで行われることも多い。
もちろん、いきなり仕組み化前(全手動)から仕組み化後(全自動)に切り替えることは不可能です。手動で行っている業務を自動化していくには、まず何をどのように自動化するのかを明確にしていく必要があります。そしてこの手動から自動に向かう過程こそが「業務を仕組み化する」ステップでもあると言えます。
仕組み化のメリット
仕組み化を行うメリットは端的に言うと4つあります。
それは「能力」「モチベーション」「記憶力」に依存せずに仕事が進むこと、そして「ミスがなくなる」、「個人とチームの成長につながる」ことです。
「能力」に依存しない
優秀な社員が業務を全てこなしてしまうようでは、一部の人だけに特定の業務が偏ってしまい、長期的な視点で見たときに部下の成長が見込めません。
また、属人化している状態ではリスク分散ができず、その人が休んだり退職したりしたときに、業務が止まってしまう恐れもあります。
仕組み化によってマニュアルを整備すれば、特別優秀ではない、初めて業務に触れるような人であっても、一定の水準の結果が出せる流れを作れます。
「記憶」に依存しない
業務を仕組み化するということは、業務手順をなんらかの形で可視化するということです。仕組み化によって生み出されたマニュアルやルール、制度は会社の資産として残り続けます。これによって、仕事をする中で「誰かが覚えている作業を、記憶を頼りに口頭で伝える」という状況が発生しなくなります。確実に業務を引き継ぎできることもまた、仕組み化のメリットと言えるでしょう。
もし仕組み自体を変えることになったら、履歴をしっかり残し、社内に共有することがポイントになります。
ミスを減らせる
仕事にミスは付きものですが、業務を仕組み化しておけば「どの工程で」「なぜ」「どのように」ミスが発生したのかを特定しやすくなります。原因さえわかれば、改善も容易です。仕組み化によって徐々にミスを減らし、最終的にはゼロにすることも夢ではありません。
個人とチームの成長につながる
組織が全体として成長していくには、「仕事のバージョンアップ」を定期的に図る必要があります。業務の仕組み化によって若手社員でも一定のクオリティで仕事をこなすことができれば、ベテラン社員はより難易度の高い仕事に切り替えることが可能です。このサイクルを繰り返していけば、個々人の成長によって、組織そのものが成長できるでしょう。
仕組み化を進めるための3ステップ
ここまで仕組み化のメリットをご説明してきましたが、むやみやたらに全ての業務を仕組み化すべき、ということではありません。
業務の中でも何を、どのように仕組み化すべきなのかについて、3つのステップでご説明します。
ステップ1.業務の見える化
仕組み化を進めるには、まず業務の見える化を行いましょう。ここで言う「見える化」とは、その領域の専門家ではない初心者が見ても、業務内容のプロセスがはっきりとわかるような形にする、ということです。「業務の棚卸し」と言っても良いでしょう。
見える化をする際は、まず業務を大きく3つのタイプに分類します。
A.感覚型:経験・知識から高度に判断する業務
B.選択型:一定のパターンから選択してこなす業務
C.単純型:誰がやっても同じ業務
分類の仕方は、企業ごとの考え方や方針によって変わります。同じ「見積書の作成」であっても、ケースバイケースで柔軟な判断が必要ならAの「感覚型」になりますし、項目と金額が決まっていてそこから選ぶのであれば、Bの「選択型」になるでしょう。こうした基準を基に、業務内容を整理していきます。
ステップ2.現状の課題を把握
次に、ステップ1で見える化したA、B、Cの業務のどこにムダがあるのか、何を仕組み化すべきなのか、課題を抽出します。
見仕組み化しやすいのは主にBやCの領域の業務で、例えば月末の経費精算や報告書の提出など、「たまにやる業務」が当てはまるケースが多いです。
こういった業務はやり方をすぐに忘れてしまい、思い出すのに時間がかかります。結局人に聞いて解決することになると、自分だけではなく聞かれた人の時間まで奪うことになり、非常に効率が悪くなってしまいます。これは、迅速に仕組み化したほうが良いでしょう。
当社の長年のコンサル実績に照らし合わせると、Bの「選択型」とCの「単純型」が全体の業務で占める割合は、なんと80%以上です。つまり、業務の大半は仕組み化が可能であり、いかに自動化まで持っていくかが、仕組み化の命運を分けます。
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ステップ3.仕組み化
最後が、いよいよ仕組み化です。特定した課題を実際にどのように仕組み化するのが最適なのか、業務プロセスを決定します。これは、業務の標準化とも呼ばれる作業です。
標準化した内容を再現性と効率性がある形にするには、まずマニュアル化を行いましょう。マニュアルが整備されれば、それを見るだけでいつでも誰でも、同じ作業を効率良く再現することが可能です。
また、高頻度に行う業務であれば、より高速・高精度に行えるよう、ITツールなどを用いた自動化が有効です。
仕組み化を推進するためのポイント
仕組み化=全ての業務の自動化ではない
前項ではより効果的な仕組み化の手段のひとつとして、自動化にも触れました。現在は国を挙げてDXが推進されているため、自動化が上手くいくとつい「あれもこれも」とITツールで自動化したくなってしまうものです。
ただし注意が必要なのは、前項でご紹介したAの「感覚型」――経験や知識から高度に判断するような業務は、今はまだ自動化が難しい領域だということです。
感覚型の業務はクリエイティブで付加価値が高い領域ですから、その場の状況によって柔軟な判断が要求されます。つまり、業務の一部を自動化できたとしても、費用対効果が合わない可能性が非常に高いのです。
自動化の本質は、「人がやるべき高度な業務」に従業員がリソースを割けるよう、「機械でもできることは自動化する」という点にあります。これを忘れないようにしましょう。
「自分でやったほうが早い」という考え方をなくす
仕組み化を推進したくてもできない企業にありがちなのが、そもそもマニュアル化が面倒で、腰が重くなっているパターンです。特に業務が属人化している場合は、「業務をほかの人に任せたいけれど、業務のやり方を説明するのが大変だし、マニュアルを作る時間もない。だったら自分でやったほうが早い」という状況に陥ることが珍しくありません。仕組み化すべきだとわかっても、目の前の業務に追われてしまうのです。
そこで重要なのが、ビジュアルベース、つまり視覚的にわかりやすいマニュアルを、ツールを用いて簡単に作るということです。
言葉だけではなく画像や動画を使えば説明も簡単ですし、ツールならさほど時間を取られずにマニュアル作成が可能です。まずはスモールステップで、ツールを用いながら業務の一部をマニュアル化してみましょう。
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「画像や動画をレイアウトするのは難しそう」という心配もありません。テンプレートが用意されていますので、見やすいマニュアルが簡単に作成できます。
業務を進める中で手順を改善した場合も、マニュアルの更新は楽ちんです。PCやスマホ、タブレットなどどんな媒体からも簡単に修正が完了しますし、マニュアルはクラウドにアップされるので、すぐに社内に共有できます。
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