デジタル化とは? DXとの違いやメリット・デメリット、事例を簡単に解説
時代の変化に適応して売上を伸ばし続けるために、企業が検討すべきひとつのメソッドとして「デジタル化」があります。デジタル化の取り組みは費用や時間などのコストがかかる一方、業務の効率化や生産性の向上という大きなメリットが期待できます。
しかしながら、デジタル化の推進がうまくいっているケースは少なく多くの企業でデジタル化の推進に苦労しているというのが実情です。
本記事では、改めてデジタル化の定義を解説すると共に、デジタル化の推進に必要なポイント、推進する上で乗り越えなくてはいけない壁、さらにはデジタル化による業務効率化の事例などについてご紹介します。
あわせて読みたい
【カンファレスレポート】政府から見た日本のDX~現状とこれからを紐解く~
目次
そもそもデジタル化とは?
事業のデジタル化を進めるには、まずデジタル化の概念について知っておきましょう。以下では、デジタル化の定義についてご説明します。よく混同しがちなデジタルトランスフォーメーション(DX)との違いも解説していますので、ぜひチェックしてください。
デジタル化が持つ2つの意味
まず、デジタル化という言葉には、以下の2つの意味があることを押さえましょう。
1.アナログをデジタル化すること(デジタイゼーション)
具体的にイメージしやすい「単純なデジタル化」を指すのがデジタイゼーションです。主に業務の効率化や合理化を図る目的で、以下のような施策が行われます。
- マニュアルや請求書など書類のペーパーレス化(電子化)
- Zoomなどを用いたオンライン会議やオンライン商談の実施
- RPA導入による既存業務の自動化
- 署名のクラウド化 など
2.ビジネスプロセスのデジタル化(デジタライゼーション)
デジタライゼーションは、デジタル化によってサービスや製品、ビジネスモデルに付加価値を与えることを指します。以下のように、デジタル化による商品力強化や、企業競争力の向上などを目的としたものです。
- AIやセンサーなどを用いたモニタリング
デジタライゼーションを行うには、まず業務に関連する事柄がデジタイゼーションされている必要があります。デジタイゼーションはデジタル化の第一段階であり、デジタイゼーションが進んだ先に実現可能なのが、デジタライゼーションなのです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)との違い
ビジネスにおけるDXとは、デジタライゼーションからさらに一歩進み「事業にテクノロジーを活用して変化を起こし、より大きな利益を生み出す経営戦略や業界の仕組みを再構築すること」です。
例えば、スマートフォンアプリの位置情報を利用したタクシーと乗客のマッチングサービスは、DXに該当します。従来は道路でタクシーを拾って移動することが一般的でしたが、このサービスの登場で、業界に大きな革新が生じました。
このように、DXは、関連する業界や人々の生活にまで大きな変化を与えるものです。DXはデジタル化と混同されがちですが、これらは順序立てて実現を図るべき異なる概念です。具体的には、デジタル化はDXの前段階にあたります。デジタル化の実現後に、初めてDXが可能になると考えるとよいでしょう。DXの推進を検討する企業は、まず足がかりとしてデジタル化に取り組むことが求められるわけです。
DXについて解説している記事はこちら
デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例を徹底解説!
なぜ今デジタル化やDXが注目されているのか
デジタル化とDXが注目されている背景には、どのような社会事情があるのでしょうか。昨今の情勢を踏まえ、今後デジタル化やDXが必要となる理由を探っていきましょう。
「2025年の崖」問題
経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」を契機に、DXという言葉が一般層にも注目されるようになりました。レポートの内容は、各企業の当時の状況における以下の課題を取りあげ、DXに取り組むことの重要性を説くものです。
-
課題1:既存システムの複雑化やブラックボックス化
課題2:既存システムの問題点を解消すべく改革へ取り組むことへの現場層の抵抗
もし上記の課題を克服できず、DXの推進が滞ったままだと、2025年には年間最大12兆円もの経済損失が生じるという推測も記述されています。これが、いわゆる「2025年の崖」と呼ばれる指摘事項です。
将来の人材不足問題
少子高齢化が急速に進む日本では、労働人口の減少によって特に中小企業における人材確保が困難になると予測されています。
その解決方法として有効とされるのがDXです。DXによる業務負担軽減や多様な働き方への対応が可能となれば、少数の人材でも生産性の確保が見込め、企業競争力の保持につながります。
新型コロナウイルス感染症によるニーズの高まり
デジタルの利点として、非接触型・非対面型のコミュニケーションや取引を行いやすいことが挙げられます。
昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的流行にともない、テレワークへの移行が進められる中、デジタル化とDXのニーズがさらに高まっています。
業界別にみるデジタル化のパターン
デジタル化は業界ごとにパターンが見受けられます。例えば、製造業であれば自動検出システムやロボットの導入、金融業ならデジタルバンク、物流業界であればAIを用いた業務の自動化といった具合です。ここでは業界ごとの取り組みについていくつかピックアップします。
製造業におけるデジタル化
製造業におけるデジタル化の事例として、ロボットの導入が挙げられます。従来、人の手で行ってきた作業をロボットに担当させることで、ヒューマンエラーの防止や生産性向上などの効果が期待できます。
また、画像認識や自動検出システムの導入も、製造業界で進んでいます。これらの導入により、不良品や異物などを早期に発見でき、品質の向上が期待できるのです。人間のように集中力が低下する心配もなく、安定したパフォーマンスを発揮してくれるのも魅力です。
IoT機器を導入する製造企業も増えてきました。IoT機器の導入により、設備機器の不具合を早期に発見し、生産におけるロスの回避につながります。また、生産工程を可視化できるため課題の抽出や改善が可能なのもメリットです。
金融業におけるデジタル化
金融業におけるデジタル化のトレンドとして、デジタルバンクの開設が挙げられます。デジタルバンクとは、入出金や振り込み、送金など、銀行の窓口やATMで行うさまざまな手続きを、スマートフォンで行えるサービスです。
デジタルバンクの導入で有名なのは「みんなの銀行」でしょう。日本で初となるデジタルバンクサービスを開始し、口座と財布を一体化させたウォレットや、お金の管理を行えるボックスなどの機能をスマートフォンアプリで利用できます。
加えて、アナログなシステムからデジタル化へのシフトも始まっています。例えば、OCR技術を用いた帳票の自動読み取りや、AI審査の導入が挙げられます。これらのデジタル化により、業務効率が高まり従業員の業務負担も軽減につながっているのです。
物流業界におけるデジタル化
物流業界におけるデジタル化の取り組みとして、業務の自動化が挙げられます。たとえば、これまで人が手作業で行っていたピッキング作業や配送などを、自動化する取り組みが行われています。
倉庫管理や在庫管理システムの導入もポピュラーです。倉庫内における荷物の流れや入出庫情報、在庫情報などを管理できるシステムで、業務効率化を促進します。ほかにも、物流サプライチェーンの最適化や、AI技術を活かした最適なルート検索なども代表的な取り組みです。
物流業界におけるデジタル化は、作業者の業務負担を軽減するだけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。また、効率よく業務に取り組める環境を構築でき、人手不足の解消にもつながるとみられています。
小売り業におけるデジタル化
小売り業におけるデジタル化として、管理システムの導入が挙げられます。管理システムの導入でデジタル化を推進することで、販売数や在庫数、売上などさまざまな情報を一元的に管理できるようになり、より正確なデータの取得と現状把握が可能です。
さらに、セルフレジの導入も進んでいます。現在では、大手スーパーマーケットチェーンやコンビニチェーンなどでセルフレジの導入が進み、人手不足の解消に役立っています。また、キャッシュレス決済も導入すれば、レジ前の混雑解消につながるほか、従業員の業務負担軽減にも効果を発揮します。
デジタル化の前に考えるべき3ステップ
デジタル化はDXを進めるための前段階にあたる過程といえます。しかしデジタル化を進める際に、ITツールをいきなり導入することは避けるべきです。ここでは、企業がデジタル化を行う際は、まず何を準備するべきかをご紹介します。
ステップ1.業務の棚卸し、見える化を行う
まずは業務の棚卸しを行い、現在行っている作業を可視化します。その上で、ルーティンで実行できる作業やバックオフィス業務に多く含まれる「アナログな業務」を抽出しましょう。それらの業務から優先的にデジタル化を検討すると、実行のハードルを下げられます。
ステップ2.業務上の課題をピックアップする
また、業務上で課題を感じている部分こそ、デジタル化によって解決できる可能性があります。ステップ1で見える化した業務を俯瞰して、自分たちで課題の存在に気付くことが大切です。
「紙の書類が多く扱いが大変」、「単純な入力作業に時間を取られがち」など、業務内で改善したいと感じる点を洗い出してみてください。
「他社もやっているから自社もペーパーレス化をする」といった安直な動機ではなく、自社にとって切実に必要な改善点のデジタル化を目指すとよいでしょう。
ステップ3.デジタル化の必要性を検討する
デジタル化の検討事項がピックアップできたら、さらにその必要性について再検討します。デジタル化のプロジェクトによく見られるものとして、「どのようなITツールを導入すればいいのか?」という議論になりがちです。しかしただ単にツールを導入したからといって、デジタル化が進む訳ではありません。ITツールは正しい使い方をすれば、企業の課題解決、生産性の向上に寄与するものですが、正しい使い方で使われなければツールとしての効果を発揮しません。ITツールの導入はあくまで手段であり、それ自体が目的ではないことを意識しなければなりません。
そのためには、「デジタル化で達成したいことは何か」→「それは本当にデジタル化で可能か」→「ではどんなツールが最適か」という順序で、じっくり検討します。デジタル化の必要性を明確にした上で、取り入れるべきITツールについて考えましょう。
上記3つの準備事項は一見単純ですから、本当に踏むべき手順なのか疑問を感じるかもしれません。しかし、自社が抱えた課題の解決をデジタル化で図るには、最も重要な過程です。これらの準備を怠らず、確実に課題解決につながるデジタル化を実現しましょう。
デジタル化の具体例と役立つツール・サービス
デジタル化の具体例を知ることで、取り組みのイメージを描きやすいかもしれません。デジタル化に役立つツールやサービスは多々ありますが、課題の解決に役立つか、また目的を達成できるかを考慮して選定を進める必要があります。
契約や決済のデジタル化
契約や決裁の電子化は、コストや時間の削減に有効です。紙の契約書を用いた契約は、文書を作成する手間や時間がかかるほか、紙代やインク代、郵送費用などの経費が発生します。一方、契約を電子化すれば、これらの手間やコストを削減でき、契約までの期間短縮にもつながります。
決裁の電子化も、業務効率化に有効です。稟議を経て最終決裁者に許可を得るケースでは、多大な手間と時間がかかり、場合によっては機会損失も発生します。決裁を電子化すれば、スピーディーな稟議を実現でき、上記のリスクも回避できるでしょう。
役立つサービスとして、電子契約サービスが挙げられます。契約書の作成や契約の手続きをオンラインで完結できるサービスで、コスト削減と契約までの期間短縮が実現できます。また、電子決済システムを導入すれば、オンラインで稟議を行え、スピーディーな意思決定をサポートします。
会議やコミュニケーションのデジタル化
会議やコミュニケーションのデジタル化で考えられるのは、オンライン会議の導入です。新型コロナウイルスの影響や、働き方改革の推進でテレワークを導入する企業が増え、オンライン会議へとシフトするケースも増えました。
オンライン会議は、Web会議システムを導入することで環境と整えられます。オンライン上でリアルタイムに会議を開催でき、資料の画面共有や会話内容の文字起こしなどを行える製品もあります。
また、スピードが求められる現代ビジネスにおいては、よりスピーディーにコミュニケーションがとれる仕組みも求められます。メールだけではどうしてもタイムラグが生じるため、ビジネスチャンスを逃しかねません。
社内外コミュニケーションの高度化には、ビジネスチャットツールの導入が有効です。メール以上にスピーディーなやり取りを実現でき、各種データの共有も可能です。
プロジェクト・業務などの管理のデジタル化
プロジェクトのデジタル化で考えられるのは、進捗状況やタスクの可視化です。プロジェクトの進捗を正確に把握できていないと、納期の遅延やリソース不足などを招くおそれがあります。
プロジェクトの進捗管理や可視化には、プロジェクト管理ツールが役立ちます。ガントチャートやカンバンボードなどでプロジェクトの全体像や進捗を可視化でき、状況を正確に把握できます。製品によっては、ツール上でコミュニケーションできるものもあります。
営業活動やマーケティングプロセスの管理も、デジタル化により効率化が可能です。たとえば、ツールを用いて商談の進捗状況や担当者の行動を把握する、リード管理や育成を自動化するなどが考えられます。
営業活動のデジタル化には、SFA(Sales Force Automation)が有効です。SFAは営業支援ツールを指し、商談の進捗や担当者の行動履歴、案件管理などを行えます。一方、リード獲得や育成など、マーケティングの効率化にはMAツールの導入が有効です。リード管理やスコアリング、シナリオ作成機能などを利用でき、マーケティングの自動化を実現できます。
デジタル化で失敗しないためのTips
スムーズに業務をデジタル化させるには、そのための必要事項を押さえておくことも大切です。というのも、デジタル化は簡単に進められるものではなく、従来の業務フローや手法の大きな転換は避けられません。これらの変革により、社員にも大きな負荷がかかってしまうという認識が必要です。
デジタル化の成功には大きな壁を越えることが必須ですが、その壁を乗り切るにはどう推進することが求められるのでしょうか。
何のためのデジタル化なのかを明確にする
デジタル化の推進に向け、まずは何のため、何を解決するためにデジタル化をするのかを明確にして、社内で共通認識を持ちましょう。前項でも解説した通りこれが最も重要です。この目的が明確になっていない限り、周りは動いていくことができませんし、仮に動けたとしても正しい方向にプロジェクトは進んでいかないでしょう。
小さな成功体験を積み上げる
「小さい成功体験」を築いていくことを意識しましょう。例えば、「紙の書類をデジタルで管理する初歩的なデジタイゼーション」から始めるなどでもよいと思います。
デジタル化による便利さを実感でき、効果を理解してもらえるよう、小さな成功体験を積み重ねていってみてください。従業員たちが自らデジタル化の利点に立ち会うことで、その先の推進体制も作りやすくなるはずです。
従業員にとっての使いやすさを重視する
優秀なシステムを導入しても、実際に運用する社員が使いにくいと感じればすぐに形骸化してしまいます。
ですからツールを実際に活用する段階では、現場の従業員からフィードバックを集める仕組みを整えることも大切です。従業員の声を吸い上げ、「使いにくければやり方を変える」という方向転換がすぐにできるようにしましょう。
現在はITツールも、サブスク型など導入が容易で安価に利用できるものが増えています。仮に自社にマッチしなかったとしても、それらなら費用負担は少なく済むでしょう。無料トライアルなどのキャンペーンが行われていれば、それをきっかけに試すこともおすすめです。あえて失敗も想定内に含め、トライアンドエラーの姿勢で臨んでみてください。
デジタル化に遊びを取り入れる
デジタル化した業務に従業員が早く慣れるためには、ほどよく遊びを取り入れることも大切です。
例えば、ビジネスチャットツールを導入した場合なら「自由に会話できるスレッドを立てる」、「趣味の写真を自由に投稿できる機会を設ける」といった取り組みを試みてみましょう。それにより、さらに興味を持ってツールを積極利用してもらえるかもしれません。
デジタル化のメリットと各種事例
企業がデジタル化を進めることで得られる大きなメリットのひとつが、業務の効率化です。どのような点で業務を効率化できるのかを、事例とともに改めて確認しましょう。
リモートワークの促進
インターネットやITツールの活用で、オフィスにいなくても会議や資料の作成・受け渡しができれば、リモートワークが促進されます。
具体的には、ZoomやGoogle Meetといったオンライン会議ツール、SlackやChatworkなどチャットツールの導入をはじめ、書類の電子化、ハンコからオンライン署名への切り替えなどが有効です。
リモートワークが広く普及することで通勤が不要になったり、資料を保管する場所の確保や探す手間を省いたりでき、そのコストを別の作業に充てられます。
以下の事例では、多くの社員を1拠点に招いて行っていた研修制度をオンライン研修に変えたことで、研修時間の大幅な短縮と教育担当の負担軽減を実現しました。
テレワーク環境でも新入社員研修を効率化!
集合研修からオンライン研修に切り替え、研修時間を4分の1に圧縮した事例
社内情報共有の一元管理
ITツールの導入を進めることは、社内情報の一元管理にもつながるでしょう。以下のような社内情報共有の一元化への具体的な取り組みで、より業務を効率化できます。
- 勤怠ツールの導入による情報の一元化で勤怠管理負担を軽減
- グループウェアの活用でスケジュールや資料の共有を一元化
- プロジェクト推進ツールを取り入れてメンバーのタスクを一元化
- CRM(顧客管理ツール)による顧客管理情報の一元化 など
以下の事例では、社内マニュアルをクラウドサービスによって一元化し、マニュアルの頻繁な更新があっても全社一括シェアが可能に。社内の混乱を回避できました。
業務の一部自動化
ロボットやRPAの活用で、従来は人が行っていた業務を自動化できます。
部品の組み立てをロボットで自動化できれば、ロボット管理に従事する少数の人員のみで生産を行えます。また作業速度が向上し、より短期間で部品を多数組み立てられるでしょう。
またRPAはパソコン上で行う業務を自動化できるため、バックオフィス業務の業務効率化が図れるとして、注目を浴びている取り組みです。
以下の事例では、人手不足の問題をデジタル化によって克服しようとマニュアルのデジタル化と併せて業務のRPA化を図り、年間20,000時間もの業務の自動化に成功しています。
年間で20,000時間の業務をRPA化!労働力不足の問題をクリアした事例
ペーパーレス化
従来は紙で管理していた書類をPDFで保存するほか、そもそもペーパーワーク自体を全てデジタル化してしまえば、ペーパーレスを実現できます。
これによって書類の提出や保管の手間を省くことができるため、業務効率の改善につながります。
以下の事例では、各種業務マニュアルとその活用状況をデジタル化したことで、マニュアルに関する社内問い合わせの削減とさらなる業務の標準化を実現しています。
マニュアル改廃の管理負担がゼロに!組織の活性化も実現した事例
各種手続きの簡素化
デジタル化によってペーパーワークを減らすことで、各種手続きもスムーズに進められます。
例えば契約などの手続きは、クラウドサービスの利用によってオンライン上で済ませられます。書類によってボタンひとつで承認できる場合もあり、やりとりにかかる時間を省略することで効率的に業務を進められます。
以下の事例では、飲食店チェーンにおけるレシピやメニューの共有をデジタル化しました。結果、レシピ・メニューに関する新情報が店舗で適用されるまでの期間を、従来の2週間程度から2日後までに短縮しています。
2週間かかっていた新メニュー周知が2日以内に!レシピ変更は1分!
「見える化」する企業文化を実現した事例
デジタル化にデメリットはある?
さまざまなメリットがあるデジタル化ですが、初期費用など一定のコストが発生する等のデメリットも存在します。また、デジタル化を進めるにあたり従業員に浸透させる必要があったり、新たなセキュリティリスクに対処したりといった負担も生じます。ここではデメリットとして考えられることと、解消するためのポイントをご紹介します。
初期費用などのコストがかかる
デジタル化を進めるには、ITツールやサービスの導入が不可欠であり、初期費用や月額料金などのコストが発生します。長い目で見れば、デジタル化によるコスト削減効果が期待できるものの、ハードウェアやツール、サービスの導入に要する初期費用は高額になるケースが多いため注意が必要です。
初期費用だけでなく、ランニングコストにも着目しましょう。クラウドサービスであれば、月々の利用料金が発生します。ツールやサービスによっては、プラン、利用人数などで月額料金が変化するものもあるため、導入前の確認が必須です。
また、導入を検討しているツールやサービスが、真に必要かどうかもよく考えなくてはなりません。場合によっては、「そもそもデジタル化では解決できない課題だった」というケースも考えられます。事業や組織の規模にマッチしているか、必要な機能が実装されているかなども考慮しつつ慎重に選定を進めましょう。
社内理解が必要不可欠
デジタル化の影響を最も受けるのは、現場で働く従業員です。長い目で見れば組織や従業員にとってメリットが多いデジタル化であっても、シフトした直後は仕事への取り組み方などが大きく変わる可能性があり、従業員の反発を招くおそれがあります。
従業員の中には、大きな変化に抵抗がある人もいるでしょう。それを無理やり抑え込んだとしても、従業員のモチベーション低下を招き、最悪離職されてしまうかもしれません。
デジタル化を成功させる鍵は、社内の理解を得ることです。そのためには、なぜデジタル化が必要なのか、現場の従業員にどのようなメリットをもたらすのか、といったことの周知徹底の方法についても考えていかなくてはなりません。
具体的には、デジタル化に関する勉強会やセミナーを開催する、現場の従業員と意見交換する場を設けるなど、柔軟な対応も求められます。
厳重なセキュリティ対策が必要
デジタル化に伴い、組織が扱うさまざまなデータをオンラインでやり取りするケースも増えるでしょう。万が一、蓄積してきたノウハウや顧客の個人情報など、社内の重要な情報が外部に漏えいしたとなれば、組織としての信頼を失ってしまいます。
上記のリスクを避けるため、デジタル化と同時に厳重なセキュリティ対策が必要です。高度なセキュリティを実現しているツールやサービスを導入するのはもちろん、従業員のセキュリティーリテラシー向上に向けた取り組みも求められます。
セキュリティに優れたツールやサービスを導入しても、扱う人間のセキュリティーリテラシーが低いと情報漏えいや改ざんなどを招きかねません。重要なデータをUSBメモリーなどの記録媒体で持ち帰らない、テレワークでは端末にロックをかけるなど、教育とルール作りが必要です。
まとめ
この記事ではデジタル化の意味やデジタル化の推進に必要なポイントについてご説明しました。
デジタル化には、「各種手続きがスムーズになる」、「時間やコストの削減につながる」などさまざまなメリットがあります。生産性が上がることで、売り上げや企業競争力向上も期待できるでしょう。
デジタル化の推進には、まず現在行っている業務を可視化し、課題点を洗い出すことが重要です。「とりあえずデジタル化してみれば業務改善できるだろう」といった安易な取り組み方は避け、明確に解決したい課題を見付けて準備しましょう。
課題解決の手段としてデジタル化を選定し、推進を図るという順序を大事にしつつ、デジタル化に取り組んではいかがでしょうか。