DX成功の秘訣はDX人材育成にあり!育成にあたり抑えるポイントを解説

最終更新日: 2022.05.11 公開日: 2021.03.18

DX成功の秘訣はDX人材育成にあり!育成にあたり押さえるべきポイントを解説

近年インターネットやスマートフォンが急速に普及し、さまざまなITツールが利用できるようになりました。ITツールを自社ビジネスに上手く活用するためには、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が大切です。

実際にDXを実現するには、専門分野に精通した人材の育成が不可欠です。そこで今回は、DX人材がどのような人物なのかを定義した上で、社内でDX人材を育成するメリットや育成方法、育成時に知っておくべきポイントなどについて説明します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)についてはこちらをご覧ください。
>>DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義やその必要性をわかりやすく解説

そもそもDX人材とは?

パソコンで仕事を行う人の画像

DX人材の定義

経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

つまりDX人材は、「データが示す意味や重要性を理解し、デジタル技術を上手く活用することで企業に変革をもたらす人材」だと定義できます。

参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

IT人材との違い

ここでいうIT人材とは、情報サービス業やインターネット付随サービス業、ITを活用する一般企業の情報システム部門に属する人を指します。

DX人材にはITリテラシーが求められますが、IT人材とイコールではありません。DX人材はあくまでITの知見を基にしてDXを推進する役割を担い、「企業や社会に変革をもたらす」というマインドセットを持つ存在です。
IT人材の中にはDX人材になり得る人もいる、と捉えておくと良いでしょう。

DX人材の育成が求められる背景と現状

そもそもなぜDX人材を育成すべき、と言われているのでしょうか。「DXを推進するにはDX人材が必要である」というのは当然の理屈ですが、実際の背景はぼんやりしている人が多いかもしれません。
ここではDX人材が求められる背景や現状について、簡単にご説明します。

日本企業のDXの遅れを脱却するためには先導者が必要

まず声高にDXが叫ばれている一方で、実際のところ日本はDXが遅れています。遅れているからこそ政府がガイドラインを発信し、企業が正しく社会のゲームチェンジについていけるように促しているのです。

DXが進まない原因は、ビジョンや戦略の不足、既存システムのブラックボックス化など。簡単に言えば、「何のためにDXをするのか目的ややり方がわからないし、そもそもシステムが古く複雑になりすぎて、新しいシステムが十分に活用できない」という状態です。

これらの状態を脱却するために必要なのが、経営の中期計画に基づき変革を実行できる先導者、すなわちDX人材なのです。

現状はDX人材になり得る人材が深刻化している

経済産業省によると、2018年の時点でIT人材の不足数は22万人ほどで、2030年には多く見積もって約79万人のIT人材が不足すると試算されています。
IT人材自体は増え続けると予想されていますが、簡単には今後の人材不足を補えません。

前述した通りIT人材とDX人材はイコールではないものの、DX人材には深いデジタルリテラシーが求められるため、IT人材の不足はそのままDX人材の不足にも直結します。
実際に経済産業省は、DX実現のために重要な役割を担う「IoTやAIを活用する人材」も今後大幅に不足すると予想しています。

現状の採用市場においても、DXの知見がある希少な人材はパイの取り合いが続いています。だからこそ今後は、「従来のシステムの受託開発や保守をおこなっていた人材」を「IoTやAIを活用できる人材」へと育成し、DXを推進していく重要性が高まる、というわけなのです。

参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

社内でDX人材を育成するメリットとは?

家族が手の中にいる画像

DX人材は中途採用や外部のコンサルタントといった形で求めることもできますが、企業が社内でDX人材を育成するからこそ生まれるメリットもあります。

社内体制が構築しやすくなる

DXは一部の部署で完結するようなものではなく、会社全体として取り組む必要があるため、部署間連携は必須です。
そこで企業の社風やカルチャーをよく知っている社内のDX人材が先導すれば、外部ベンダーやコンサルタントだけが入るよりも、企業全体としての改革をよりスピーディーに進めやすくなるでしょう。

事業に適したDXを推進できる

企業にDX人材がいると、何より自社にとって最適なDX推進を企画できます。DX人材はシステムを上手く活用して業務改善や新事業開発などの経営戦略を考える立場ですが、ここに自社の事業ドメインへの深い理解が加われば、非常に頼もしい存在になるのです。

例えば既存システムを活用するだけでなく、現場の状況にあわせた革新的なシステムの開発に着手する、付加価値の高い新しいシステムを導入して企業に定着させる、さらには既存事業とのシナジーも生み出すような新規事業を創出するといったことが一例です。

費用や時間はかかりますが、上手くいけば事業に革新が起き、生産性が高く競争力のある事業運営が可能になるでしょう。

企業のシステムに一貫性を持たせられる

DXを推進するにしても、システムの開発・改善などを外部企業に任せきりにしてしまうと、システムの一貫性が保たれずトラブルが生じるリスクがあります。一方で自社のシステムについてよく知ったDX人材が存在すれば、経営や事業を俯瞰的に見ながら、自社にとって最適なシステムを構築しやすくなります

またDXは既存システムを改修したり新規事業を立ち上げたりして終わりではありません。継続的にアップデートをしながら安定的な運用をする必要がある点を鑑みると、やはり企業でDX人材を育成し、一貫性のあるシステムを生み出すメリットは大きいと考えられます。

スキルで見る、DX実現に向けた人材育成方法

社員が共同で仕事をしている画像

では、DX人材はどのように育成すればよいのでしょうか?次の3つの観点から、DX人材が身に付けるべきスキルや知識について説明します。

デジタルリテラシー

DX人材には高度なデジタルリテラシーが求められます。例えば「アルゴリズム」「ビッグデータ」といったIT用語の理解や、IoTやAI、クラウド、 ブロックチェーンといったICT技術についての基本的な知識は必要でしょう。データ活用の側面ではデータサイエンス、より顧客に寄り添ったサービス開発の側面ではUI/UXに関する知識も、持っているに越したことはありません。
またプロジェクトで活用するシステムを安全に管理するために、セキュリティ管理についての知識や技術も求められます。

ビジネススキル

デジタルリテラシーが身に付いていても、その能力をビジネスに応用できなければ意味がありません。
デジタルリテラシーをビジネスに応用するには、市場の動向や社会情勢の変化に応じたビジネスプランを考える能力が必要です。また、経営的な視点を持ちながらシステムを活用するスキルも欠かせません。

ヒューマンスキル

DX人材は、IoTやAIなどを活用してプロジェクト先導する力が求められますが、このときもう一つ重要なのが人との関わり方です。
社員全員がデジタルの専門知識に精通しているわけではありませんから、DX人材は社内全体を上手く動かすためのファシリテーションスキルやマネジメントスキル、プレゼンテーションスキルなどを身に付ける必要があります。物事を論理的に考えて適切な判断を下し、それを上手く周囲の人に伝えられる能力を持っていれば、DX化を円滑に進められるでしょう。

DX実現に向けて人材育成すべき6つの職種とは?

パソコンで仕事をしている人の画像

DX人材にはさまざまな役割があり、DXの工程全てを一人の人材が担えるわけではありません。企業はこの点を踏まえ、誰をどのような目的で育成するかをできるだけ明確にしておくことも大切です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、DX人材を6つの職種に分けています。IPAの定義を参考に、DX実現に向けて人材育成する職種についても見てみましょう。

プロデューサー

プロデューサーは、DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材です。「DX人材」として最も強くイメージされるのが、この職種かもしれません。
プロデューサーは、顧客や取引先、他部署のメンバーと良好な関係を構築して、新事業の企画立案から展開まで全てのプロセスを管理する役割を持っています。
自社の置かれる状況を客観的に把握し、適切な経営判断をおこなった上で組織を率先する力が求められます。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担う職種です。
この役割を果たすためには市場のニーズや課題を適切に把握し、自社の既存アセットを生かしながら新たにどのようなビジネスにつなげられるかを考える力が必要です。さらに、生み出したアイデアを経営陣に提案し、部門内の担当者、協力企業などと連携するスキルも求められます。
このような人材を育成するには、発想力や企画力、チーム内の合意形成力を伸ばすことが重要です。

アーキテクト

アーキテクトは、DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計する職種です。既存事業や既存システムの分析から得られたアイデアを、新たなシステム開発に活かす能力が求められます。
アーキテクト育成する際は、システム構造の知識はもちろん、新システムを構築するための発想力の習得が重要です。

データサイエンティストやAIエンジニア

データサイエンティストは、DXに関するデジタル技術(AI・IoT等)やデータ解析に精通した職種です。
得られたビッグデータからビジネスへの活用法を見つけなければならないので、データを扱う能力のみならず、高度なビジネススキルが求められます。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーは、システムのユーザー向けデザインを担当する職種です。Webデザインやビジュアルデザイン、Webサイト設計などの技術が求められます。
DXやデジタルビジネスに関するシステムは使用感や利便性によって売上が大きく左右されるため、エンジニアと密にコミュニケーションを取りながらデザインを最適化していく能力も必要です。

エンジニアやプログラマー

エンジニアやプログラマーは、上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う職種です。
さまざまなビジネスアイデアをプログラムに落とし込み、可視化させる役割を担っているので、プログラミングに関する高度な知識や技術が必要とされています。

DX人材を育成する際に知っておくべきポイント

電子機器やペンの画像

DX人材を上手く育成するには、いくつかポイントを押さえておく必要があります。「とにかくスキルの高いエンジニアを探して育てればいいだろう」という考えではミスマッチが起きてしまうので、注意しましょう。

ITスキル一辺倒ではビジネスの革新にはつながらない

DX人材はどの職種でも、既存のビジネスプロセスに革新を起こす役割を担っています。しかし大きな変化を社内に促すにあたっては、ほかの従業員から不満を持たれたり、協力を得られなかったりするケースも少なくありません。
社長や役員の合意に得る、スモールスタートで小さな成功を積み重ねるなど対策方法はさまざまですが、いずれにせよDX人材には推進力とともに、精神的なタフネスや柔軟性が強く求められます。ときにはこれらが、ITスキルよりも重要となるでしょう。
これはIPA(情報処理推進機構)が唱えるDX人材の適正因子――「柔軟な対応力」や「失敗したときの姿勢」、「いざというときの突破力」などにも合致します。

参考:IPA(情報処理推進機構)「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」

知識や技術のアップデートが常に求められる

デジタル領域は変化が激しいので、常に最新の知識や技術をキャッチアップし続ける必要があります。
DX人材を育成する際は、ただ単に知識を詰め込むというよりは、時代の変化を敏感に察知して新しいことを積極的に取り入れる力を身に付けさせましょう
DX人材の育成は基本的に座学やワークショップ、OJTの繰り返しになりますが、知識のキャッチアップという観点で、社内外のネットワーク構築に目を向けるのも重要です。

長期視点で育成し、あらゆる手法も同時に検討する

DXを実現するには、これまでに存在していなかったシステムやビジネスを創造する人材を育成しなければなりません。
そのためただ闇雲に育成をするのではなく、そもそもDXでどのようなことを実現したいのか、自社にはどのようなDX人材が何名程度必要なのか、要件をある程度固めておくことが非常に大切です。
また短期間でのDX人材育成は難しいため、長期的な視野で取り組みましょう。その上で内部人材の育成だけにこだわらず、適宜中途採用を行う、外部リソースを活用するなどあらゆる手法の組み合わせも考慮するのがポイントです。

まとめ

矢印の積み木を積み上げる画像

当記事では、DX人材の定義やDX実現が求められる背景、DX人材の育成方法や職種について説明しました。
企業がDXを実現すれば、売り上げや生産性の向上など、さまざまなメリットがあります。そのために、DX人材の育成は不可欠です。デジタルリテラシー、ビジネススキル、ヒューマンスキルなどの観点から教育を行い、DX人材を育成しましょう。

また、DX人材の育成は短期的には難しいので、長期的な視点で行うことも重要です。本記事でまとめた内容を参考に、DX人材の育成を成功への第一歩を踏み出してみてください。

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