RPA導入を成功させるには?成功を裏付ける導入手順と運用ルール

  1. HOME
  2. ブログ
  3. RPA導入を成功させるには?成功を裏付ける導入手順と運用ルール

TeachmeBiz

RPA導入を成功させるには?成功を裏付ける導入手順と運用ルール

RPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)は、ここ数年で急激に耳馴染みのあるものになってきました。

実際、生産性向上や業務効率化を高次元で達成するRPAのインパクトは計り知れず、数々の企業がRPA導入を推進しています。

しかしながら、RPAをうまく使いこなせていない企業が多いこともまた事実です。

この記事では、RPAとは具体的に何なのか、またその導入成功に何が必要なのか。全体像を踏まえて、お伝えしていきます。

Teachme BizでPoCから運用開始後まで、RPA導入を効果的に進めたい方はこちら
>> RPA導入の鍵!試作から運用までチームと現場をワンストップに

RPAの仕組み

RPAとは

RPAは、これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するものです。

具体的には、ユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)など複数のアプリケーションを使用する業務プロセスをオートメーション化します。

ホワイトカラーの定型業務を人間に代わって担う存在となることから、「デジタルレイバー(仮想労働者)」と呼ばれることもあります。また、複数の手順を記憶し自動的に実行するという点で「マクロ」と類似する部分があります。

参考)マクロとRPAの主な違い

・アプリケーション連携の範囲:RPAはマクロよりも多くの連携が可能。
・設定に要する知識:RPAはプログラミング知識のない人でも扱いやすい。
・大量のデータ処理にかかる時間:RPAは大量のデータを高速で処理することができる。

RPAの特徴

RPAによってどんなことができるのか、大枠を掴んだところで、RPAが注目を集める理由を簡単に整理してみましょう。

ここではArvato社が紹介する5つの特徴を人件費と比較して紹介していきます。

1.Cost(費用)
平均的にRPAを導入するコストはフルタイムで働く人件費の約1/3と言われており、コストを抑えることが可能です。

2.Speed(速さ)
ソフトウェアであるため人間のように休憩する必要がありません。したがって365日休まず稼働し続けるので、業務処理の速度も上がります。

3.Accuracy(正確さ)
データ入力などの単純作業で起こりやすい人為的なミスを起こす心配がありません。

4.Scalability(拡張性)
ビジネスアウトソーシングのような新たにリソースを追加する際のリードタイムがなく、簡単に調整ができます。

5.Analytics(分析)
RPAを利用することで膨大な量のデータを手にすることができ、問題の原因を特定し解決策を導きだす機会を創出します。

RPAは機能・対象によって3つに分類される

RPAという言葉は広範にわたる概念です。RPAの中には Class 1 から Class 3 まで3つのレベルがあり、搭載された機能や適用対象となる作業によって呼び方が分類されます。

Class 1. RPA(Robotic Process Automation)
狭義の意味での「RPA」を指します。ルールに沿った定型業務を正確にこなし、単純作業を得意としています。

Class 2. EPA(Enhanced Process Automation)
大量のデータを解析して、結果を出力することが主な適用範囲です。 Class 1 と違い、与えられたルールや指示を踏まえながら自律的に考えて次の行動に移すことができることが特徴です。

Class 3. CA(Cognitive Automation)
Class2以上の高度に自律的な行動ができ、情報整理や分析を踏まえて意思決定まで行うことができます。



総括すると、指示された動きを忠実に行うのが Class 1 であり、現況を踏まえて自ら先読みして判断することができるのが Class2 および Class 3 になります。

しかし、数字の高いクラスになるほど自律的に物事を判断し高レベルの作業を行わせることができる反面、導入コストや運用・維持コストが増加してしまうことには注意しなくてはなりません。

そのためそれぞれのクラスのRPAが得意なことと与える仕事を勘案し、適切なクラスのRPAを選択していくことが重要です。

今回は、狭義の「RPA」である Class 1 を前提に話を進めていくことにします。

RPAとAIの違いとは

RPAはロボットによる業務自動化ということもあり、AI(人工知能)が引き合いに出されることが多いですが、その違いはなんでしょうか。

両者ともに人間が行ってきた作業を自動化するシステムという点では同じですが、「どこに主眼を置くのか」に決定的な違いがあります。

「実行」重視のRPA

人間の行う業務を自動化するRPAですが、あくまでも業務効率を向上させるためのツールに過ぎません。

つまり運用する際には、人間が行ってきた業務を一定のルールに基づいて再現していくためのメンテナンスが欠かせないのです。

そういった意味で、業務の負担を減らすことはできても、完全になくすことは難しいでしょう。

「思考」重視のAI

一方で、人工知能は自ら学習し、判断できる自律的な存在です。

つまり、便利ツールとして利用できる以上に、蓄積した情報を整理・分析したうえで意思決定をすることができる存在なのです。

この文脈においては、人間が負担している業務をAIが肩代わりしてくれる可能性があるでしょう。

前述したRPAの Class 2 および Class 3 は機械学習する機能が備わっているため、RPAの中にAIが含まれるという解釈もできます。


RPAの現況

RPA台頭のワケ

日本の生産労働人口が減少局面にあるなか、労働力を維持しつつ国際競争力を強化するためには、労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要でした。

近年の「働き方改革」という動きの中でも、人手不足を補いながら生産効率を上げるためのさまざまな施策が講じられてきています。

たとえば、テレワーク推進をはじめとするワークスタイルの柔軟化による人材の確保や、ICTの高度活用による業務効率改善といったものが挙げられます。

そうした流れの中で注目を集めたのが、これまで述べてきたRPAです。

従来用いられていた工場ラインなどでのIT・ロボット導入の範囲を越えて、人間が行っていたホワイトカラー業務にまで範囲を拡大して新たな戦力になると期待されています。

国内市場規模の拡大、1年間で4.4倍に

さらに、いち早くRPAに目を付けたのは金融業やサービス業でした。銀行口座の開設や注文の予約管理などの事務作業を自動化することで効果を上げています。

いまでは、業界にかかわらず、また人事・経理などのバックオフィス業務への適用も進み、多くの企業がRPAに関心を持つようになりました。

独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アールが行った調査でもその注目度がわかります。

国内でのRPA市場規模は2015年頃から急激に大きくなり、2016年度に8億円だった総売上金額は2017年には35億円にまで到達するなど、高い成長率を誇っています。

今後も先行導入企業の成果が広く認知されれば、関心が高まり拡大傾向は続いていくと予想されます。



世界的に見ても、その傾向は変わりません。市場調査会社TMR(Transparency Market Research)のレポートによれば、2013年に約2億ドル程度だった市場は、2020年には50億ドルにまで拡大すると予測されています。

このように、RPAの市場規模は国内・国外を問わず大きく成長しており、これからも広く浸透していくと考えられます。

RPAの限界

「RPA導入・運用に課題を持つユーザー数は9割超」

業務効率化を図るうえで有効なRPAですが、導入済み・導入予定企業で働く従業員のほとんどが不安を感じているという調査結果が出ています。

バーチャレクス・コンサルティング株式会社はRPAを社内で既に導入済み、または近いうちに導入予定である企業に所属している人を対象に、RPA導入・運用に関する調査を実施しました。

その調査では、RPAを導入する前後において、導入・運用の課題について26.6%が「かなりある」、65.5%が「多少ある」と答えています。導入済みの企業に関しても83%もの企業が課題を抱えているという結果になりました。

図.RPAの導入前/導入後において、運用上の課題や不安ごと/困りごとはありますか

出典:バーチャレクス・コンサルティング株式会社<RPAに関する実態調査>調査結果①:企業が抱える、RPA導入に伴う課題・悩みとは?

その際、導入前に最もボトルネックになっている課題は「コスト」(67.0%)にありました。また、導入後に関しては約半数が「人材・組織体制が不十分」という課題を抱えていました。

コスト削減や業務処理のスピードアップを図るためにRPAを導入しようとしたはずなのに、上記のような課題が出てきてしまうのはなぜなのでしょうか。

RPAで対応できる範囲は「デジタル」×「定型業務」のみ

RPAはどんな業務も効率化できるわけではありません。したがって、どんな業務を効率化できるか否か、といった視点で整理することが必要になります。

RPAで自動化するのは、人間が「パソコン上で行う定型業務」です。裏を返せば、それ以外の業務はRPAでは対応できないということです。

例えば、

  • 物の運搬や組み立て
  • 「どのように売り上げを伸ばすか」といった思考・判断を要する頭脳労働
  • といった「デジタル」の領域における「定型業務」は自動化することができますが、

  • 蓄積したデータの整理や分析
  • パソコン操作の自動化
  • 社内のシステムとアプリケーションの連携
  • などの「アナログ」または「非定型業務」を自動化することはできません。

    このような、一見すると当たり前に感じられる業務の見える化が行われていないと、導入がうまくいかず大きな代償を払う可能性があります。

    導入における実質的なコスト

    RPA導入においてどのような不安の根源がありそうか、更に詳しく見ていきましょう。

    RPAを導入するフェーズごとに、解決すべき課題は異なります。
    そういった解決すべき課題への適切な準備・対応ができていないと、不安の種になってしまいます。

    導入前
    前述したように導入前には、RPA化できる業務範囲を明確化しておかなければ設計・設定などで手戻りが発生するなど負担が大きくなってしまいます。

    導入中
    RPAを導入している過程では、操作方法や設定の伝達コストを無視することはできません。

    導入後
    導入後も、業務変化にともなって人による定期的なメンテナンスが必要で、「人間が行う業務とRPA化した業務をどう共存させるか?」といった業務ルールの再設計も重要になります。

    その結果として、導入前に想定していなかったコストや稼働が増えてしまった…という場合もありうるのです。

    コストの増減イメージ

    RPA導入の成功に向けて

    「業務の明確化」と「スモールスタート」が合言葉

    では実際にRPAを導入する際には、フェーズごとにどのような手順で進めると失敗が少ないでしょうか。

    上記の図では、各フェーズごとに必要となる具体的な手順を示しています。

    まず大事なのは、どのような段階を踏んでRPA導入を推進していくかイメージし、「どのようなツールで、どのような業務を、どんな目的に基づいて自動化していくか」を定義する下準備に多くの力を注ぐことです。

    導入する前の目的意識や業務選別の要件がズレてしまうと最終的な効果は大きく変わってしまいます。

    また導入する際には、リスクを最小にして効果を最大限にするために、小さな範囲でトライ&エラーすることです。そうして効果検証を踏まえたうえで全社導入する場合と、いきなり全社導入する場合では、運用面でのハードルの高さが全く違ってきます。

    RPAはポテンシャルを秘めた「新入社員」

    RPAは「デジタルレイバー」とも称され、従来のシステムと比較しても人間に近い機能・役割を担う新戦力になると考えられてきました。

    しかし、ただRPAを導入するだけでは、本来の持ち味を引き出すことは難しいでしょう。新しい戦力を迎え入れる際には、それが人間の戦力であれ、「デジタルレイバー」としての戦力であれ、受け入れる側の役割や能力を認識していなくてはなりません。

    野村総合研究所でプリンシパルを務める福原氏はNRI JOURNALの中で、RPAは即戦力のスター人材というよりはポテンシャルを秘めた「新入社員」と捉えたほうが良い、と語っています。

    RPAは新入社員と同じように、「得意/不得意分野がある」「教えなければ何もできない」「フォローがないと働かなくなる」といった特性があるということは、頭に入れておかなくてはいけません。

    これは、職場で新人を迎える際の具体例に置き換えることもできます。

    右も左もわからない新人に対しては、その人が何が得意で何が不得意かを正確に理解した上で仕事を教えていかなくてはなりません。また、上手くパフォーマンスが発揮できないときには、細かく問題を切り分けてその解決までフォローに入る必要があります。

    こうした新入社員の受け入れ対応を間違えてしまえば、潜在能力を持った新人は本来の力を出せないままになってしまいます。

    RPAにおいても同じことが言えます。ポテンシャルを持った「新入社員(=RPA)」をいかせるかどうかは、導入側の管理能力にかかっているのです。

    人材育成とマニュアル化でRPA導入を確実に

    こうした導入のプロセスを確実なものにするためには以下の2つの方法が有効です。

    RPA人材の育成

    先にも述べたように、RPAを導入した時には業務整理や業務フローの再構築が必須です。

    しかし、それだけでなく導入した後も継続的にメンテナンスしていくことが必要となります。

    その中で有効な方法の1つは社内のRPA人材の育成を強化することです。

    RPAは決められたルールに沿った行動は忠実に再現できる反面で、そのルール上で少しでもトラブルがあると作業をストップしてしまうのです。この際、やはり人間がルールを書き換えるなどの介入をして方向修正しなくてはいけません。

    こうしたことから、RPAを導入する際にはRPAをよく理解した人材育成は欠かせないのです。

    実際に、RPA人材を育成することを目的としたサービスを開始した企業もあります。
    パーソルテクノロジースタッフとパーソルプロセス&テクノロジーは、RPAツール「UiPath(ユーアイパス)」の知識をもった技術者を育成するサービスを、2018年9月より展開しています。

    RPAの知識を有する技術者は慢性的な不足状態で、RPA人材の育成や派遣によって企業のRPA導入をサポートする需要は高まってくると予想されます。

    ただ、長い目で見た時に社内で「内製化」することは非常に重要になってきます。長期期間にわたって外部の専門家に頼り続けるわけにはいきません。
    社内で効率的に運用するなかで運用のナレッジを蓄積し、RPA運用に長けた人材を育成することがカギになるはずです。

    フェーズごとのマニュアル化

    もう一つはフェーズに合わせたマニュアル化です。

    RPAを導入するにあたって、自動化の対象とする業務の範囲策定や、自動化した業務・されなかった業務を組み合わせた新しい業務フローの設計をする必要が出てきます。

    導入前であれば、点在する業務の中から自動化できる「デジタル」×「定型業務」を洗い出すことになります。

    この時点で、RPA化の対象となった業務を取り出して、「マニュアル化(つまり、自分でなくてもだれもができるような仕事に切り分けて仕組み化すること)」をしなければ、RPAに置き換えることは難しいといえるでしょう。

    更に導入した後であっても、自動化した作業と人間が介在しなくてはならない範囲が曖昧だと、運用の効率が低下します。そこでも、業務の範囲や業務フロー・作業手順を定義する必要があります。

    また当然ながらRPAツールを導入する際、その操作やメンテナンスの方法を伝えるマニュアルは必要になるはずです。

    その際には、確実な導入手順に沿って小さなチーム単位で導入し効果測定を行っている中で細かくマニュアルを更新・最新化していくことも欠かせないでしょう。

    マニュアル作成ツールの有用性

    RPAを導入するにあたって、上記のようなマニュアル作成は欠かせません。

    マニュアルを導入する場合、作成から配信に至るまで骨が折れる作業かつ継続的に発生します。その中で簡単に、マニュアルの作成・更新や配信までの運用に優れた、クラウド型のマニュアル作成ツールを活用することは挫折しない解決策の一つといえます。

    その都度で改善点を反映した鮮度の高いマニュアルを、RPA導入体制の中にうまく組み込むことができれば、RPAは備えつけた能力を遺憾なく発揮するだけでなく、人間の業務とRPAの業務のほどよい共存を達成し得るでしょう。

    クラウド型マニュアル作成・共有ツール資料はこちら