【外国人労働者問題】調査で読み解く「外国人スタッフ受け入れ」の正攻法
外国人労働者と日本の労働市場がどう向き合っていくのか。
2018年10月末時点で過去最高人数を更新している外国人労働者数は、2019年4月には改正入管法の施行も控え、ますます増加すると予測されています。
外国人労働者をいかに戦力化し、労働力を補填していくかという課題は、日本にある企業であれば避けては通れない道です。
今回私たちは特に、「外国人労働者の育成」に焦点を当てています。既に外国人労働者を受け入れている業界の就業者への調査を通して、どのような課題を持っているか。そしてどうすればスムーズに外国人労働者の受け入れが実現されるか考察していきます。
目次
調査に至った背景
まず調査結果に入る前に、今回我々がなぜ「外国人労働者の育成」に関する調査を行ったのかをお伝えしなければなりません。「外国人労働者人口の動向」や「改正入管法の施行」、そして想定される未来の観点からご紹介します。
外国人労働者数の動向
近年、全国的に外国人労働者が増加しています。厚生労働省の発表した、「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)によれば、外国人労働者数は、2018年10月末時点で約146万人と届け出の義務化以来過去最高人数を更新しています。
届け出を義務化した2008年10月末時点で約49万人だったことを鑑みても、10年で約3倍に増加していることからその勢いがうかがい知れます。
改正入管法の施行
前述した外国人労働者数の増加を一層後押しするのが、「改正入管法」です。
これは、現行の出入国管理及び難民認定法の外国人労働者受け入れを拡大する出入国管理法改正案のことを言います。
将来的には外食や介護など14業種で受け入れが想定されており、日本の深刻な人手不足を解消することに期待が寄せられています。
想定される未来
外国人労働者の増加は、人手不足解消などのメリットがある反面、多くの問題をはらんでいます。
その中でも、「外国人労働者の受け入れ態勢づくり」は特に深刻な問題です。「改正入管法」で、未だその詳細が定まっていないことは、言語も生活習慣も違う外国人を受け入れる企業側の混乱を生み出します。
これは日本の労働力を補填すると考えられていた期待の戦力を、うまく戦力化できず採用や育成のコストだけが益々かさんでいくという未来を予想させます。
調査へ
このような「外国人労働者の育成」に関する課題は、今後大いに増えていくはずです。そこで、既に外国人の受け入れを行っている企業が実際どのような状況にあるのか調査を行うことにしました。
この調査から、受け入れの「どんな部分に難しさがあるか」、育成に「何が役立つと考えられるか」を明らかにし、将来少しでもスムーズな外国人労働者の戦力化が実現できないか考察を行っていきます。
調査結果
外国人労働者の育成における課題
- 8割以上 が 外国人労働者の育成において苦労
- 約5割 が「口頭での指示が正しく伝わらなかった」と回答
建設業・製造業・卸売業・小売業・宿泊業・飲食サービス業の企業に勤務し、5年以内に外国人労働者の育成経験がある男女735人に対して「外国人労働者の育成において苦労したこと」について調査したところ、8割以上 が 「外国人労働者の育成において苦労したことがある」 と回答しました。
最も該当者の多かった苦労は「コミュニケーションが取りづらかった」(51.8%)、次に「口頭での指示が正しく伝わらなかった」(46.7%)で、業務指示など必要なコミュニケーションを取るうえで特に苦労しているという実態が明らかになりました。
外国人労働者の育成において役に立つと感じるもの
- 互いの文化を理解することが重要
- 5割以上が「動画や画像を用いた業務マニュアル」も役に立つと感じると回答
「外国人労働者の育成において役に立つと感じるもの」を調査したところ、最も多く「役に立つと感じる」と回答されたのは「互いの文化を理解する時間」(49.7%)、次いで「動画や画像を用いた業務マニュアル」(49.4%)となりました。
外国人労働者に期待する役割
- 9割以上 が「今後外国人労働者が担う役割は増えると思う」と回答
- 約6割 が外国人労働者に対して「日本人人材が足りない業務の支援」を期待
「今後外国人労働者に期待する役割」を調査したところ、9割以上 が 「今後、外国人労働者が担う役割は増える」 と回答し、外国人労働者に対する大きな期待が見られました。また、約6割 が 「日本人人材が足りない業務の支援」を期待していると回答し、最も多い結果となりました。
考察
上記で行った調査から、今までに外国人労働者の育成を経験された方の多くが育成におけるおける難しさを実感されていました。その反面、外国人労働者に対して日本の人材不足を解決する糸口になることを期待していることも明らかになりました。
こうした現状を踏まえると、いかに外国人労働者を戦力化し活躍させることができるかどうかが、今後の日本の労働市場を考えるうえで重要になってきます。
では、実際にどういった対応が求められるのでしょうか?
調査結果からひも解いてみると、大きく二つの方向性が見えてきました。
相互の文化理解
考えられる対応の一つに「相互の文化を理解する」ということがあります。
外国人が日本で就業する際、言語の壁はもちろんあるものの、それ以上に文化の壁が存在しています。時間を遵守する意識や「和」を重んじて行間を読むことは、日本の中では当たり前の文化として根付いていても、外国人にとってはそうではないことが多いです。
外国人労働者に日本語や文化を理解してもらう体制を整えると共に、日本人も海外文化の違いを理解しようとする歩み寄りが求められます。
コミュニケーションの円滑化
そしてもう一つ重要になってくるのが「コミュニケーションを円滑に行う」ということです。
業務を進めるうえで、どんなに技術力のある優秀な労働者を職場に迎え入れても意思疎通がうまく図れないことには意味がありません。
ものごとを伝える手段を、ハードルの高い「言葉」のやりとりだけでなく、見ただけでわかる「画像」や「動画」を用いて行うことで、コミュニケーションの苦労を軽減できるはずです。
具体的な対応策
それが、画像や動画をベースとした業務マニュアルの整備です。
就業する外国人が何を参考にして、業務を行うのか考えてみると文章ではなく、視覚で直感的にわかる画像や動画ベースとしたマニュアルは必須と言えるのではないでしょうか?
つまり、外国人労働者を戦力化するためには、誰でも理解しやすく業務の再現性の高めるマニュアルを作成・管理・運用することが不可欠ということです。
とはいえ、そうしたマニュアルの整備は時間がかかってしまうことが多く、賢くITツールを使うことが求められます。
そうした手間のかかるマニュアル作成から運用面までを助けるITツールの一つが、「TeachmeBiz(ティーチミー・ビズ)」です。
「Teachme Biz」は、タブレットやスマホを使って写真や動画を撮影し、そのまま文字を追加するだけで、マニュアルを作成できます。PCを使って画面のキャプチャを取ることもできます。
マニュアルは、以前は文章が中心で外国人労働者が理解するのに困難を極めていました。しかし、「Teachme Biz」では視認性の高い動画や画像を中心とした高品質のマニュアルを簡単に作成し運用することができるので、業務を間違いなく伝えることができます。
画像や動画をベースとした業務マニュアルを活用していくことで、
外国人労働者に対する
- コミュニケーション負担の減少
- 意思疎通の正確さ
それに伴う
- 人材育成品質の向上
- 生産性の向上
といった効果の達成に大きく近づくことができます。
今後、押し寄せる外国人労働者の育成課題の波に備えて、ツールを活用した業務マニュアルの整備を検討してみてはいかがでしょうか?