DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義やその必要性をわかりやすく解説

最終更新日: 2022.08.12 公開日: 2021.03.18


近年、多くの日本企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。政府機関や地方自治体などもDXに積極的で、DXという言葉はかなり身近になってきました。しかし、実際にはDXを推進しにくいと感じている企業が多く、日本は諸外国と比較して遅れをとっているのが現状です。
本記事では、改めてDXの概要を再確認すると共に、そのメリットや推進方法、推進における壁などを他社の成功事例を交えてご説明します。


dxの基本

目次

DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味とは

まず、DXとは何か、その意味をおさらいしましょう。以下では、広義のDXと狭義のDXに分け、意味を解説します。

広義のDX(デジタルトランスフォーメーション)

DXは、「デジタル技術の浸透によって、人々の生活のあらゆる面で起こる良い変化や影響」を意味します。この概念は、スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏によって2004年に提唱されました。

広義のDXとは、社会全体の変化を捉えている概念です。しかし、ビジネスの現場においては捉える意味や範囲が異なるケースもあります。このため、状況に応じた意味合いを把握し、仕事でDX推進が求められるケースでは認識統一が必要です。

狭義のDX(デジタルトランスフォーメーション)

ビジネスシーンにおける狭義のDXは、「データやデジタルの活用でビジネスに変革を起こし、収益をもたらすと共に企業の強みや価値を創出すること」として用いられる場合が一般的です。

ビジネスでのDXの手法はさまざまですが、基本的には上記のように企業価値の創出に重点を置いた解釈がなされていると考えるとよいでしょう。
実際に経済産業省も、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と、DX推進のガイドラインで定義しています。

参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

DX(デジタルトランスフォーメーション)と混同しやすい用語との違い

DXと、「デジタイゼーション(Digitization)」や「デジタライゼーション(Digitalization)」、「デジタル化」、「IT化」との違いがわかりにくいという声もよく聞かれます。基本的に、デジタイゼーションやデジタライゼーションといった取り組みは、DX実現の前段階で実施されるものと考えるとわかりやすいでしょう。また、デジタル化やIT化は、DXとはそもそもの目的が異なります。これらDXと混同しやすい用語との違いを確認しておきましょう。

デジタイゼーションやデジタライゼーションとの違い

デジタイゼーションとは、アナログで行われていた作業をデジタル化することです。マニュアルや請求書などのペーパーレス化、RPA導入による既存業務の自動化など、いわば「単純なデジタル化」と解釈するとよいでしょう。

一方でデジタライゼーションとは、ビジネスプロセスのデジタル化を意味します。各作業のデジタル化によって、サービスや製品、ビジネスモデルに付加価値を与えることまでが含まれます。例えばAIやセンサーなどを用いたモニタリングのように、デジタル化による商品力強化や企業競争力の向上などが主な目的となります。

つまりデジタイゼーションはデジタル化の第一段階であり、デジタイゼーションの推進ありきでデジタライゼーションも実現できるといえます。DXには3段階のステップがあり、DXを行うためにはまずデジタイゼーションとデジタライゼーションが必要になると考えましょう。

デジタル化やIT化との違い

前述の内容と関連しますが、デジタル化・IT化とDXは目的が異なります。

まずデジタル化は、業務の効率化および生産性の向上を目的として、これまでアナログで行ってきた業務の一部や業務フローそのものをデジタルに置き換えることをいいます。デジタイゼーションやデジタライゼーションを日本語に直訳した言葉がデジタル化です。

たとえば、紙の書類で行っていた経費精算業務を、経費精算システムを導入してクラウド上で業務を完結できるようにする場合や、対面で行ってきた商談や面接をWeb会議ツールの活用でオンライン化にする場合などが業務のデジタル化です。
デジタル化を実現する過程では、必要に応じて業務プロセスに変更を加える場合もあります。また、極端にいえば、デジタル化は実際に業務効率が改善されたかどうかに関係なく、デジタル技術を導入した時点で達成されます。

一方、IT化とは、ITツールやシステムを取り入れて情報を整理し、業務に活用しやすい状態にすることです。ちなみにITとはInformation Technologyの略で、コンピュータとネットワーク技術を総称した言葉です。IT化もデジタル化と同様に効率化による生産性の向上を目的としていますが、作業を効率化しても業務プロセスの変更を伴わない点でデジタル化とは異なります。

いずれにせよ、デジタル化もIT化もDXを実現するための第一段階であり、DXではデジタル化やIT化を手段としてビジネスを変革していくことを目指します。DXはデジタル技術によって業務を改善して終わりではなく、そこから得られた利点を新しいサービスや事業につなげる、より発展的な動きです。

上記の用語については以下のデジタル化に関する記事でも解説しています。
デジタル化とは? DXとの違いやメリット・デメリット、事例を簡単に解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる理由とは?

なぜ、DXは多くの企業で求められているのでしょうか。DXが必要とされる背景には、新たなIT技術の発達や消費者ニーズの変化などが挙げられます。

変化の激しい時代で企業が生き残るため

さまざまなビジネスが市場に展開される中、ことさら現代はそれらの変化が急速かつ激しいものとなりました。未来の予測が難しい社会=VUCAの時代が到来し、技術革新や社会環境の変化に合わせた新たな商品・サービスが市場にひしめいている状況です。企業がどのような課題を抱え、改善によっていかに市場で有利に事業展開を図るか考える際は、DXによる経営方針の大幅な転換が求められます。

VUCA(ブーカ)とは? 予測困難な時代に必要なフレームワークやスキル

既存システムが古くなっているから

従来も、ITツールの活用で事業運営の効率化を図る企業は存在しました。しかし次々と新たなデジタル技術が生み出される近年、従来のツールで事業に革新を起こすことは次第に困難になっています。

企業によっては導入ツールが部門単位で独立しており、各部署での連携や企業全体でのデータ統合が行えない場合も考えられます。性能の高いツールを持っていても、それらの連携が適切に行えなければ得られる効果は限定的です。このため、DXによる新システムへの移行の重要性は高いといえます。

これは従来のツールやシステムが劣っているという意味ではなく、古いツールやシステムを刷新せずにいると、さらなる複雑化やブラックボックス化を招くということです。先述した、部署間の連携が困難な状態が続くケースのように、本当の意味でのDXが進まなければ新たな価値の創出が滞り、経済損失を招く恐れも想定されるでしょう。

消費者のニーズが変化したから

消費者のニーズの変化も、DXが求められる理由の一つです。

従来は商品を購入し所有することが、一般的な消費活動と考えられていました。しかし近年の消費者は、「モノの所有」よりも「質の高い体験」で得られる満足感や、生活品質の向上を重視する傾向があります。このような変化に対応するには、デジタル技術を上手く活用した新たなビジネス戦略の立案が重要になるでしょう。

リモートワークの推進が求められるようになったから

近年は社会情勢の変化により、単一のオフィスを離れて業務を進める「リモートワーク」の推進が求められています。リモートワークで事業成果を出すには、Web会議やクラウドでの情報共有、ペーパーレス化など、リモートワークを前提としたデジタル環境構築やインフラ整備が欠かせません。

リモートワーク化を検討する際には「どの部分から取り組むか」を明確にし、計画的な移行を図りましょう。柔軟に事業方針を切り替えるには、「チェンジマネジメント」を意識して取り組むことが大切です。

チェンジマネジメントとは何か?成功事例と共に徹底解説!

経済産業省によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けた動き

DXは、各企業が将来的に競争力を維持したり、強化したりするために自主的に推し進めていかなければならない取り組みです。経済産業省でもDXに関するガイドラインを発表するなどしてDX推進の必要性を唱えています。

同省では、既存のITシステムの老朽化や複雑化が、日本企業におけるデータ活用を妨げている状況を踏まえ、平成30年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を立ち上げました。そこでは、日本企業がDXを実現していく上での課題の整理と対応策の検討を行いました。近年、話題となっている「DXレポート」は、そこでの提言を取りまとめた報告書です。2025年までにDXを推進できなかった場合、それ以降、毎年最大12兆円の損失が見込まれるとして企業に警鐘を鳴らす内容で、多くの企業に対して既存のITシステムの見直しを深刻に考えさせるきっかけとなりました。

とはいえ、自社のITシステムに不便さを感じていても、具体的な課題を明確化する作業は容易ではありません。そこで、同省が2019年7月に公開したものが、DXに関する課題を自己診断できる「DX推進指標」です。この指標は、9つのキークエスションとサブクエスチョンで構成されます。定性指標、定量指標の双方から質問に回答していくことでDXの実現に向けた現在の成熟度を把握できるものです。
なお、自社の診断結果を政府の中立組織・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)に提出すると、他社とのデータ比較が可能となるベンチマークを作成できます。

また、民間企業がDXを推進する際の参考にできるよう、経営者向けの注意点や、取締役会や株主がDXの取り組みをチェックする際、活用できるように要点をまとめた「DX推進ガイドライン」を策定・発表しています。このガイドラインは、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」という2つのテーマで構成されています。DX実現のために必要なマインドセットや、システム構築に向けた体制・仕組みづくりと具体的な実行プロセスなどが紹介されています。

あわせて読みたい
【カンファレスレポート】政府から見た日本のDX~現状とこれからを紐解く~

DX(デジタルトランスフォーメーション)によって生じるメリット

DXに取り組むことにより、大きくは以下の3つのメリットを得られます。

企業にイノベーションが起こる可能性が高まる

デジタル技術を活用して、競合他社にない企業価値を生み出せる可能性が高まります。

例えば他部門との柔軟な連携や顧客管理のクラウド化、AIを活用したビッグデータの分析などにより、従来にはなかったビジネスモデルの発案につながるかもしれません。

生産性が向上する

DXは、顧客への新たな価値の提供が可能となるだけではなく、生産性を向上させられるメリットも生みます。

例えば営業やマーケティング業務の自動化など、ツールの活用によって以前はマンパワーに頼って行っていた業務を効率化できます。限られた人材の効率的な活用が可能となるため、より高い成果を得られる可能性が高まるでしょう。

事業の継続性が高まる

DXに取り組むことで、時代や社会情勢の変化にも対応しやすくなります。

例えば、「実店舗での販売に力を入れていたが、オンライン販売にも力を入れる」といった施策もそのひとつです。コロナ禍で外出しにくくなった顧客へ配慮できるとともに、人口減少に伴う売上減などへの対応策にもなるでしょう。将来を見据えてDXに取り組めば、長期的な売上創出を期待できます。

DXへの取り組みは、BCP(事業継続計画)の充実にもつながります。BCPとは、自然災害やパンデミック、システム障害といった不測の事態に陥った際でも被害を最小限に抑えて業務を継続する、あるいは業務が停止したとしても速やかに通常業務を再開できるようあらかじめ対策方法などを定めた計画のことです。BCPは主に災害発生時を想定して策定されるものです。しかし、いくら綿密な計画を立てたとしても、あらゆる災害に対応するには限界があります。DXによって日常の業務や業務プロセスをより柔軟かつ効率的な形に再構築し、時間や場所にとらわれずに業務を遂行できる体制を整えることは、結果として業務の継続力を強化することにつながります。

働き方改革促進につながる

DXを進める過程で業務をデジタル化することは、働き方改革の推進にも貢献します。
働き方改革法案では、「長時間労働の解消」「非正規と正社員の格差是正」「多様な働き方の実現」の3つを改革の柱として掲げています。多くの日本企業が直面するこれらの課題は、ITやデジタル技術の活用で解消していくことが可能です。

たとえば、日々のルーティンワークにRPAを導入して業務を自動化すれば、作業にかかる時間や負担を軽減できるため、労働時間の短縮が期待できます。また、テレワークを推進して通勤時間を有効活用できるようになれば、仕事と育児・介護との両立がしやすくなるほか、ワーケーションをはじめとする新しい働き方も実現できるでしょう。

働き方改革とは?基本知識や取り組み方を徹底解説

レガシーシステムの見直しができる

DXは、複雑化・ブラックボックス化した古いシステム(レガシーシステム)の見直しにもつながります。レガシーシステムは、古い技術で構築されているために拡張性が悪く、メンテナンスもしにくいことから、新しい技術やビジネスモデルに対応できない点がデメリットです。
経済産業省のDXレポートによると、約8割の企業がレガシーシステムを抱えています。その保守・運用にIT人材の労力を割かなければならない状況にあることが指摘されており、レガシーシステムへの対応に頭を抱える企業は少なくありません。DXの推進にあたってはレガシーシステムの刷新が不可欠となるため、これまで放置されてきたレガシーシステムを見直す機会となると同時に、2025年問題への対応にもなり得るのです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を実現させるポイント

DXを実現させるために、適切な手順や心構えを知っておきましょう。

経営トップがコミットメントする

DXを推進するには、まず経営トップが本気で取り組む必要があります。
DXは特定の部署や業務のレベルではなく、それらを横断した全社レベルでの大規模な改革です。それを実行に移すには、経営層の理解や経営視点での計画、戦略的な予算の投入が欠かせません。

経営者がITやシステムに詳しくない場合にありがちなのが、IT担当者に改革の推進を丸投げしてしまうケースです。経営戦略が曖昧なままDXを進めようとしても、従業員の理解が得られなかったり、抵抗する従業員が出たりして担当者の負担ばかりが増大し、結果的に失敗する可能性が高まります。

DXの実現には、組織のあり方や企業文化など、根本的なマインドセットの変革が求められます。そのため、一部の人材に任せきりにするのではなく、経営者が旗振り役となって強い意志で改革を進めることが重要です。

推進のための体制を構築する

DXを実現するには推進プロジェクトが確実に進行するような体制を構築する必要があります。それには推進専門チームの立ち上げや人材配置が重要です。推進チームを編成する際は、大きく分けてIT部門の機能を拡張する、実際に事業を担う部門の業務を拡張する、DX専門の部署を新たに立ち上げるという3つの方法があります。このうち、既存の部門が通常業務と並行してDXを進めるとなると負担が大きくなりすぎて上手く進まない可能性が高いでしょう。そのためなるべく専門部署を新設した方が現実的です。

DX推進に向けた人材を確保・育成する

DXの推進に向けて組織を編成するには、デジタル技術に精通した適切な人材を確保・育成することが不可欠です。社内で十分な人材を確保できない場合、外部リソースに頼る手段も有効ですが、計画をスムーズに進めるためには自社の事業をよく理解し、部門を超えたアプローチができるような人材が求められます。また、単にITやデジタルに関する知識が豊富であるだけでなく、新規プロジェクトの立ち上げや統括といったプロジェクトマネジメントの経験がある人材も必要です。

推進を成功に導くDX人材とは?

DXを実現に導くDX人材には、デジタル技術への知識を活かし、プロジェクトを統括して進行するスキルが求められます。これらのスキルはいずれも専門性が高く、すべてのスキルを有している人材を確保・育成するというよりも、各々の専門領域に詳しい人材を集めて組織するのが一般的です。

DXの実現を担う職種には、自社の経営環境を鑑みて企業全体のDX化を統括する「ビジネスプロデューサー」、ビジネスプロデューサーや社内の関係各所との折衝に当たる「ビジネスデザイナー」、統計解析やビッグデータの分析などに精通した「データサイエンティスト」、DXにおけるシステム設計を担う「アーキテクト」、アーキテクトの設計をもとに実際のシステムを構築する「プログラマ・エンジニア」、DXに使われるシステムのインターフェースのデザインを担う「UXデザイナー」など、さまざまなものがあります。
ビジネスプロデューサーやビジネスデザイナーは、自らがデジタルの知識やスキルを駆使して業務に当たるわけではありません。しかし、技術職のメンバーと円滑に意思の疎通を図るためには、IT・デジタルの基礎知識も身につけていなければなりません。

あわせて読みたい
DX成功の秘訣はDX人材育成にあり!育成にあたり抑えるポイントを解説

企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例

DXの概要は理解できても、具体的に会社としてどのような取り組みができるのか、イメージが湧かないかもしれません。ここでは、DXの取り組みに成功した企業の事例を見ていきましょう。

総合化学メーカー

ある総合化学メーカーでは、デジタル技術開発室を設置し、ほかの企業から最高デジタル責任者(CDO)を招き入れることで積極的にDXを推進しています。

AIを導入して化学プラントの設備保全を行うなど、マンパワーでは膨大な手間がかかる業務を効率化させる取り組みを企画・実践しており、社内業務や業界に革新を起こしています。

国内自動車メーカー

国内自動車メーカーでは、自動運転技術の開発やICTを活用した運転支援ツールの開発に力を入れる形で、DXを推進しています。

また、自動車のシェアリングサービスの立ち上げやガソリンに頼らない自動車の開発など、従来はなかったサービスや製品の創出によって、ビジネスプロセスそのものにも変化を生み出しています。

タクシー配車アプリ

以前、タクシーを呼ぶには手を挙げてアピールしたり、電話で配車を依頼したりする必要がありました。

しかしタクシー配車アプリの登場で、スマートフォンアプリからタクシーを呼べるようになりました。顧客とタクシー会社双方の負担を軽減し、効率的なタクシー配車の実現に成功しています。

民間宿泊施設紹介サービス

近年認可された民間宿泊施設は魅力的なサービスですが、大手旅行会社の宣伝に埋もれ顧客へのアピールが弱くなりがちでした。

しかし、民間宿泊施設紹介サービスの登場によって、宿泊費用を安くしたい人や民泊への関心が高い人のニーズをマッチングさせることに成功。これにより、宿泊市場に大きな革新をもたらしました。

フリーマーケットアプリ

従来、個人の不用品は地域のフリーマーケットや掲示板などで売買されるのが一般的でした。

しかし、フリーマーケットアプリの登場により、インターネット上で不用品を売買できる環境が整いました。「不用品を販売しよう」という思考がなかった人のニーズの開拓にも成功し、今では多くのユーザーに利用されるサービスへと成長しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の阻害要因とは?

ビジネスに革新をもたらすDXですが、いくつかの阻害要因が指摘されています。実際に、デル・テクノロジーズの調査では日本企業の9割はDX推進が進まず足踏みしている状況がデータでも明らかになっていますが、どのような課題が深刻化しているのでしょうか。

効果が出るまでに時間がかかる

DXは企業の運営方針を根底から変える場合もあり、取り組みを開始してから効果を感じるまでに一定の時間を要するでしょう。そのためDXに取り組む際は長期的な視野で計画を立案し、粘り強く施策を続けなければいけません。

またDXを実現するには、デジタル分野における高度な知識や技術を持つ人材の育成が欠かせません。人材育成にも、長期的な視野で計画して根気よく取り組むことが必要です。

多額のコストがかかる場合がある

DXを実現するには、さまざまなデジタル技術を新規導入する必要があります。

さらに取り入れるツールによっては、多額の導入費用が発生します。効果を感じるまでには時間がかかることも同時に考慮しつつ、長期的な資金計画を立てることが大切です。

レガシーシステム依存からの脱却が困難

企業によっては、レガシーシステムに長年頼っている影響で、システムの複雑化や肥大化、ブラックボックス化を招いている可能性があります。老朽化したシステムを放置していることで、新システムや他部署のシステムと適切に連携できず、業務に影響を与えている場合もあるでしょう。

このような状況下からDXを進めるには、レガシーシステムに紐付いている現状の業務フローを一新する必要があります。

プロジェクト規模が巨大化する

DX推進のためには、先述したレガシーシステムの脱却をはじめ、アナログ業務のデジタイゼーションなど、数多くの変化が求められます。それらの実現には長期的な計画が必要であるとともに、予算規模が莫大なものとなる場合があります。

大規模な取り組みになれば、全社的な意思疎通や事業部ごとの自発的な動きも必要ですし、部署間の適切な連携や協力体制の構築も求められます。そこまでプロジェクトが大規模化してしまうと、何から着手すべきか分からなくなる可能性もあります。またゴールが見えないままツール導入などの実務だけ推進することで、それらの活用が滞って形骸化することも考えられるでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に役立つ補助金

DX推進の過程では、新しいツール・システムの導入や人件費などで多額のコストが発生します。社内で予算を確保するのが難しいためにDXへの着手を先送りにしている企業もあるかもしれません。そこで検討してほしいのが補助金の活用です。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、生産性の向上や営業力の強化に取り組む中小企業を支援する目的で、経済産業省と中小企業基盤整備機構が監修している制度です。中小企業がITツールを導入する際の費用の一部を補助してくれます。

申請枠には「通常枠」(A類型・B類型)に加え、2022年度からは会計ソフトや受発注ソフトなどの導入費用補助に特化した「デジタル化基盤導入類枠」(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)が新設されました。

通常枠では補助対象となるITツールや、ソフトウェアに必要な業務プロセス数などの要件が定められています。デジタル化基盤導入類枠はインボイス制度の開始を見据えて導入されたもので、補助率が通常枠よりも多いのが特徴です。PC、タブレット、レジ、券売機なども補助対象に含まれています。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金とは、生産性向上に資するサービス開発、生産プロセスの改善に向けた設備投資を支援する補助金で、中小企業庁と中小企業基盤整備機構が実施している制度です。今後、複数年にわたって企業が直面することになる、さまざま制度変更への対応を支援する目的で制度化されました。中小企業を対象としており、申請枠には「一般型」と海外事業の拡大を支援するための「グローバル展開型」があります。一般型には「通常枠」とは別に「デジタル枠」が設けられており、DXに向けた革新的な製品・サービスの開発や、AI・ロボットシステムなどを活用した生産プロセス・サービス改善などが要件として定められています。

まとめ

本記事では、DXの概要やメリットをご説明し、他社の成功事例やDXを阻害する要因についてもご紹介しました。

DXの実現によって、企業にイノベーションがもたらされるだけではなく、商品・サービスを利用する顧客や社会全体にも大きな変化を及ぼす可能性があります。しかし、そこまで大きな変化は一朝一夕で生み出せるものではありません。時代や市場ニーズの変化を注視し、長期的な視点で計画を進めることが大切です。
本記事にて説明した内容を参考にして、企業に革新を起こす取り組みを考えましょう。

DX推進を本気で取り組みたい方に向けて、DXの概要から推進の方法をまとめた資料を用意しました。ぜひこちらもあわせてご覧ください!


dxの基本

この記事をSNSでシェアする

STEP2 マニュアルに取り組もう

関連カテゴリ

「デジタル化」の最新記事

マニュアルで生産性革命をおこそう

マニュアルは、上手く扱えば「単なる手順書」以上に大きな効果を発揮します。
生産性の向上はもちろん、「企業を大きく変える」可能性を秘めています。

Teachme Bizは、マニュアルであなたの企業にある課題を解決し、
生産性を向上するパートナーでいたいと考えております。
「組織の生産性を向上したい」「変える事に挑戦したい」と思う方は、
わたしたちと生産性の向上に挑戦してみませんか。

マニュアル作成・共有システム
「Teachme Biz」はこちら