新人教育を効果的に行う5つのコツとは?失敗例や有効な手段もご紹介
「新人教育をしているけれど、最近の新人は何を考えているのかわからなくて困った」という方や、「将来的に新人教育をしなければならないので悩んでいる」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、新人教育を上手く行うポイントについてご紹介します。
また、新人教育の失敗例やNG例も記載しています。新人教育の失敗は早期離職の原因にもなりかねません。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
そもそも新人教育の意味や目的とは
新人教育の目的は、新人の即戦力化による企業全体の戦力底上げです。
生産性が高く戦力になる社員をスピーディに生み出せば、結果として新人教育の担当者自身が楽に仕事を進めることができます。仕事の分担も容易になり、一人ひとりの業務量が平準化されるでしょう。業務に余裕ができる分、質の高い仕事をすることができるため、適切な新人教育は企業の成長につながると言えます。
またコロナ禍においては人材の流動性は高まっており、業務内容に合わせて柔軟な人員配置をするためにも、新人をいかに素早く「一人前」にするかは重要視されています。
新人教育が失敗する例
ここからは、新人教育でついつい行いがちな失敗例をご紹介します。現在、新人教育で困っている方は、無意識のうちに失敗例に該当する新人教育を行っているかもしれません。
新人教育のやり方によっては、新人が心を閉ざしてしまい、コミュニケーションが円滑に取れなくなる恐れがあります。「最近の若者はわからない」と考える前に、まずは自分自身の教育の仕方を振り返ってみましょう。
社内用語や新人が理解できない言葉を多用する
社内でしか通じない専門用語や新人が理解できないようなビジネス用語を多用すると、新人は教育担当者が何を伝えたいのかわからなくなります。
例えば当たり前のように使ってしまいがちな「アライアンス」「PDCAを回して」「コミット・コミットメント」といった言葉も、多くの新人は理解できていない可能性があります。
「わからないなら質問すればいい」と思うかもれませんが、新人からしてみると教育担当者の話を遮りいちいち質問するのは勇気のいることです。不明点を質問できないというのは、新人が辞めてしまう大きな理由のひとつでもあります。
心理的安全性を担保してない
心理的安全性(psychological safety)とは、チームメンバーの一員として気兼ねなく発言したり、自分本来の姿を安心してさらけ出したりすることができる雰囲気やチーム環境を指します。新人に対して心理的安全性が担保されているかどうか見極めるのも、大切なことです。
例えば新人が失敗した場合、心理的安全性が担保されていれば新人は周囲が自分の失敗を認めて受け入れてくれると感じ、次の仕事に向けての反省・立ち直りが早くなります。しかし心理的安全性が担保されていないと、新人は誰にも相談できず一人で落ち込んだ気持ちや悩みを抱え込み続けることになるでしょう。
相談しない新人が悪いのではなく、新人が相談しにくい雰囲気を作っていることが問題かもしれません。
仕事の目的や背景を伝えない
新人につい、業務の概要や内容ばかりを説明していませんか?例えば目的も背景も伝えずただ「日報をつけなさい」と指示をしても、新人は「なぜこんなことをしなければならないのか」と疑問や不信感を抱き、やる気の低下や早期離職の原因となるでしょう。
「日報を付けるのは当たり前のこと」と思わずに、「上司がメンバーの状況を把握し、評価するために必要だから」「日々の振り返りによって課題が可視化されて成長につながるから」など、言葉にすることが大切なのです。
新人個人のビジョンを考えず、組織の意向だけ考えて仕事を丸投げする
新人個人のビジョンが、必ずしも組織と同じ方向を向いているとは限りません。将来的に独立しようと考えている新人もいれば、今より多く稼ぐことを目的にしている新人もいます。新人の数だけ目的や価値観は異なるのです。
にもかかわらず、組織の意向だけ考えて仕事を丸投げし続けていては、新人のやる気は低下します。「新人個人のビジョン=組織のビジョン」ではないことを前提に、新人個人のビジョンを知り、そこに多かれ少なかれ沿うことも大事です。
新人教育の5つのコツ
新人教育は一つずつ順番にステップを踏み、段階ごとに異なった教育をする必要があります。「このくらいわかっているだろう」と基本を省いて先に進んでしまうと、新人の成長はそこで止まってしまうかもしれません。
そこでここからは、段階的に教育するためのステップとそのコツを5つご紹介します。
ステップ1:新人が仕事をしやすい雰囲気を作ってあげる
失敗例として「心理的安全性を担保していない」という項目を挙げましたが、これを避けるにはまず、新人が仕事をしやすい雰囲気を作ることが重要です。
例えば新人が遠慮をして声をかけられないような状況を回避し気軽に相談・質問をしてもらうためには、メンター制度を導入する、雑談などコミュニケーションの時間を意図的に設けるといった対策が効果的です。
そのほか、失敗をしたときにリカバリーしやすい、またミスをしても評価が下がらないような評価制度を構築し、失敗や挑戦におおらかな社風を醸成することも大切です。実際に新人が失敗した際も、解決策にフォーカスした対応を心がけましょう。
ステップ2:新人のステータスや新人個人の目標を把握する
失敗例にあった「新人個人のビジョンを考えず、組織の意向だけ考えて仕事を丸投げする」の解決につながる話です。
人間は一人ひとり向き不向きや好き嫌いが異なります。まずは新人の個性に目を向けそれぞれの目標を把握すれば、どのように教育すべきかが見えてきます。例えば将来的に独立しフリーで働きたいと考えている新人には、一人でも仕事を回せるように仕事全体の流れを網羅的に教えていけば、積極的に吸収しようとするでしょう。
ただし、新人のステータスや目標を把握するには、心理的安全性を担保した上で月数回の1on1を実施するなど、会社としての具体的な取り組みが必要です。
ステップ3:仕事の目的と背景を伝える
こちらは、失敗例の「仕事の目的や背景を伝えない」の解決方法になります。対策は簡単で、実際に教育をする中でなぜその仕事を新人に振ったのか、組織としての目的や背景を説明しましょう。
前項にあったように新人のステータスや目標を把握しておけば、なぜその仕事を振ったのかという理由の説得力が増します。
組織が自分に何を求めているのかを理解し、その仕事はどんなスキルを伸ばすためのものなのか、チームで仕事をする上でどんな効果があるのかなどが明確になれば、新人はモチベーション高く、積極的に仕事にあたるようになるでしょう。
ステップ4:自走できる人材に必要な思考力を身に付けさせる
「自走できる人材」とは、自分で考えて行動を起こし、仕事を生み出せる人材のことです。新人が仕事で悩んでいるとき、教育担当者は悩みを解決するのではなく、なるべく解決のヒントだけを与えるようにしましょう。
ヒントをもとに考えて問題を解決させることで、新人が「指示待ち人間」になるのを防ぎ、自走できる人材へと成長します。時間はかかりますが、自走できる人材を作るためには必要なコストです。
ただし、ヒントを与えるだけで放置するのはNG。新人がどうしても行き詰まってしまったときは、きちんとフォローしてあげましょう。
ステップ5:次の仕事に活かせるようなフィードバックを行う
フィードバックとは、業務内容やその成果に対して、「何がよかったか」「もっと効率のいい方法があったのではないか」と評価し、改善につなげるプロセスのことです。
フィードバックは新人とのコミュニケーションのきっかけにもなるため、なるべく有益なフィードバックをするようにしましょう。
ただし、フィードバックが「頭ごなしの説教」にならないように注意してください。失敗を批判するのではなく「なぜダメだったのか」を論理的に説明して、今後の仕事に活かせる改善点を理解させましょう。
新人教育の有効な手段
新人教育は、主に「マニュアルを」「OJT」「Off-JT」の3つを上手く組み合わせて行うのが一般的です。これから新人教育を行う方も現在進行形で新人教育している方も、ぜひ参考にしてみてください。
マニュアル
わかりやすく、活用されるマニュアルがあれば、新人は何度も業務内容の手順を見返して学習できます。テキストだけのマニュアルだと作成する方も読む方も大変なので、画像や動画を載せたマニュアルが有効です。仕事の手順がわかりやすくなり、スキルの無い新人でも簡単に仕事を再現できます。
OJT
OJT(On-the-Job Training)は現任訓練ともいい、教育担当者が付き添って現場で業務スキルを学ぶ方法です。実務を通じた実践形式の研修では、通常業務の具体的手法を学べます。OJTを経験していれば新人の生産性は大きく向上し、即戦力として活躍できるでしょう。
またOJTは、個人の特性に合わせたスピードや内容でトレーニングを積むことができるだけでなく、特別な準備が不要なので教育費用を抑えられるのも特徴です。
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Off-JT
Off-JTは職場外でビジネスの基本や専門的な知識、業務内容を学ぶ教育訓練を意味します。OJTとは異なり実務を離れた座学での研修になるため、Off-JTを行う場合は特別な時間を設ける必要があります。
「実践形式のOJTだけでいいのでは」という意見もありますが、通常の業務を行いながら指導するOJTだけでは、十分な教育ができない恐れがあります。
特に部署によってはOJTのみだと基本的なビジネスマナーを学ぶ機会を得られないことがありますから、Off-JTの経験は新人の将来を考えると重要です。
業務のマニュアル化が新人教育の鍵
ここまでご紹介してきた通り、新人教育には押さえておくべきポイントや手法があります。その中でも、テレワークが進んでおりOJTやOff-JTがしづらい現在の状況で特に注目してほしいのが「マニュアル作成」です。以下ではその理由とマニュアルのメリットをご紹介します。
「マニュアルを見ればできる」状態が即戦力育成につながる
実は、業務の80%以上はマニュアル化が可能だと言われます。業務の多くは「誰がやっても同じ単純型」と「一定のパターンから選択する選択型」に分類されるからです。マニュアル化できない、「経験や知識を基に高度な判断を行う感覚型」の業務は、わずか10~20%程度です。
つまり、業務をわかりやすい形でマニュアル化すれば、新人社員でもマニュアルを研修材料として、ほとんどの業務をすぐに真似て実践できるようになるということです。
「すぐに完璧に習得するのは無理だろう」と思われるかもしれませんが、実際には100%再現する必要は全くありません。まずは、標準化された業務を60%程度でも再現できることが大切なのです。
一度業務を遂行できたら、フィードバックと改善を繰り返しましょう。PDCAを回していくことで新人はさらに成長し、社内には育成ノウハウが蓄積していきます。
また、マニュアルで予習しOJTで実践といったサイクルを作れば、教育効果はさらに高くなるでしょう。
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マニュアルによる育成のメリット
マニュアルのメリットはまだまだあります。ここでは学ぶ側、教える側それぞれの視点で考えてみましょう。
<学ぶ側のメリット>
学ぶ側からしてみると、いくらOJTで指導を受けても、ついうっかり学んだことを忘れることは頻繁にあります。かと言って、新人教育担当者に同じことを聞きづらいのは本記事で説明してきた通りです。テレワーク時であればなおさら聞きづらさが増します。
そんなとき、マニュアルがあればすぐに不明点を参照できるので、心理的安全性につながります。また、マニュアルの内容が業務の基準となるので、「先輩によって言っていることが違う」という事態も起きにくく、迷いが少なくなるでしょう。
<教える側のメリット>
教える側としても、教科書のように参照できるマニュアルがあるのは安心材料です。人によって異なる内容、間違った情報を教えてしまうといった不安をなくせます。
マニュアルがあればある程度のレベルまでは新人が自走して学んでくれるので、教育に必要な時間そのものの削減にもつながります。
マニュアル作成のポイントは「デジタル」で「わかりやすく」
こうしたメリットを享受するには、マニュアル自体がわかりやすく、使いやすくなければいけません。例えば文字だらけ、専門用語だらけのマニュアルでは、新人が見ても理解できないため活用されず、効果が発揮できません。
また紙のマニュアルだとアップデートがあった際に周知に時間がかかり、保管にも手間がかかります。更新性や活用のしやすさを考えると、マニュアルはデジタルで運用するのがマストです。デジタルなら、テレワークの環境でも新人に遠隔で学習を進めてもらえるのも利点です。
まとめ
新人教育は企業を成長させるためには欠かせないものです。新人教育する上で重要なのは、新人の心理的安全性を担保し、安心して働ける雰囲気を作ること。
そのためには、新人が余裕を持って何度も見返せるマニュアルを作成することも重要な要素です。画像や動画を使ってわかりやすいマニュアルが簡単に作成できる、Teachme Bizの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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さらに、Teachme Bizには検索機能があるので、目当てのページにすぐにアクセスできます。指示する場合にも「○○ページを見ておくように」と伝えるだけなので、手間がかかりません。また、検索履歴を見れば新人はどのような項目を検索しているのかがわかり、マニュアルの改訂の一助になるでしょう。
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