新入社員向けの研修内容や目的・研修担当が知っておきたいポイント

最終更新日: 2023.10.03 公開日: 2022.12.11

新入社員研修
新入社員研修とは、仕事を行う上で必要な知識やスキル、心構えを学ぶ新入社員向けの研修のことです。新入社員研修を成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。本記事では、新入社員研修の目的や具体的な研修内容、カリキュラムの作り方について解説するとともに、研修を成功へ導くためのポイントを紹介します。

社員教育の教科書

新入社員研修の目的

新入社員研修は、一般的に企業に新卒で入社した者および中途採用者を対象に行う研修のことです。研修内容は新卒と中途採用者で多少変わりますが、どちらも実施する目的は、業務を行う上での基本的な知識やスキル、心構えを身につけ、社内での自分の役割を理解してもらうことです。

自社への理解を深める

就職活動で企業理念について学んでいても、すべてを学習・理解しているとは限りません。そのため、さらに自社への理解を深めてもらうために、研修で企業理念をはじめ、事業の方向性や社内規定、就業規則などを学びます。これらをきちんと理解することで研修受講者は、企業の一員としての自覚を持て、社内での自分の役割を意識しやすくなります。また、仕事に対してのモチベーションややりがいを高めることも期待できます。

基本的なビジネスマナーを身につける

社会人経験がない新卒者の場合、業種や職種に関係なく、基本的なビジネスマナーを習得する必要があります。ビジネスマナーが身についていないと、社内外問わず失礼な言動などが原因でトラブルが生じるリスクがあります。また、服装や髪などの身だしなみに問題があると取引先や顧客に不快感を与えかねません。
社内外の人たちとスムーズに仕事を進めるためにも、言葉遣いや身だしなみ、電話対応、メールの書き方、名刺交換、コミュニケーションスキルなど、ビジネスシーンで必要なマナー研修を行いましょう。

特に「報連相(報告・連絡・相談)」は、どんな働き方でも必要です。報連相の徹底がなされていないと、業務に支障が出る可能性があるため、コミュニケーションコミニケションスキルの習得とともに重要性について理解してもらいましょう。

社内のコミュニケーションを深める

入社したばかりの社員は、周りに知っている人がいないため、不安や悩み、ストレスを抱えるケースが少なくありません。不安や悩み、ストレスを抱えたまま就業しても、本来の実力を発揮できず、仕事に対するモチベーションの低下を招くおそれがあります。

新入社員研修には、同期の社員と交流して良好な関係を築き、関係性を強化する目的もあります。仕事で悩んだとき、業務で困ったときなどに仲の良い同期がいれば、相談にのってもらいやすく離職防止につながります。また、同期だけでなく上司や先輩社員ともスムーズなコミュニケーションが図れる研修を盛り込むことで、仕事を円滑に進めやすくなり、仕事に対するモチベーションの向上が期待できます。

業務で必要となる専門的なスキルや知識を身につける

新入社員といっても企業にとっては貴重な戦力であることに違いありません。ただ、中途採用者ですら業務に必要な専門的スキルや知識を知らないため、実務に入る前の新入社員研修で覚えてもらう必要があります。特に業務内容が多い部署では、業務中に先輩社員や上司がマンツーマンで新入社員に一からスキルや知識を教えるのは難しいです。そのため、新入社員が自信を持って実務に臨めるように研修で業務に必要な知識やスキルを習得させましょう。

なお、場合によっては営業職やエンジニアなどの専門職に配属予定の新入社員に対しては、現場に配属されたのちに実務で使う専門的な知識やスキルを習得させることもあります。

新入社員研修の具体的な手法

研修手法にはいくつか種類がありますが、それぞれ得られるメリットが異なります。それぞれどういった手法で、どのような効果を得られるのかを理解した上で、事業内容や目的に合った研修内容にしましょう。

グループワーク

グループワークは新入社員をグループに分け、課題を与えてディスカッションさせた上で代表者に発表させる、もしくはグループ内で協力して課題を解決させる研修方法です。
この研修を通して研修受講者は、コミュニケーション力やプレゼンテーション力などが鍛えられます

企業側にとっては参加者の性格や協調性、コミュニケーション力、またはリーダーシップ、フォロワーシップなどを確認できます。さらに課題解決能力の確認にも役立ちます。

レクリエーション

レクリエーションは新入社員をチームやペアに分けてゲームなどを行う研修です。内容は脱出ゲームや質問ゲーム、ジェスチャーゲーム、ドミノチャレンジ、共通点探しゲーム、野外研修などさまざまです。
同期の仲間と足並みをそろえて目的達成に突き進む感覚を養うのが目的です。
また、ゲームを通じてコミュニケーションが自然と増えるため、団結力も高められます。そのため、研修の最初や合間に実施するのが望ましいです。

ロールプレイ

ロールプレイとは、実際の業務をシミュレーション形式で学ぶ手法です。例えば、コールセンターのオペレーター業務なら、新入社員は「顧客」と「オペレーター」になり、実際の業務と同じようなやり取りをします。

業務における動き方や適切な立ち居振る舞いは口頭で説明されてもイメージがわきにくく、かといって、いきなり実務に臨むと顧客や取引先に迷惑をかけるおそれがあります。ロールプレイはこのようなリスクを回避できる研修手法です。

また、実際の業務で起こり得るトラブル事例を取り入れることで、座学などで学んだ知識をいかしつつ、適切な対応や解決策を実践形式で学べます

さらにロールプレイを行うことで個人の課題が明確になり、克服するための対応策を実務前に取り組めます。特に営業職や接客業では弱点を克服し、成功体験を積むことで、自信を持って学んだ知識やスキルを発揮できる可能性が高いです。

OJT

OJTは「On The Job Training(オン ザ ジョブ トレーニング)」の略で、実際の現場で業務を学ぶ研修方法です。ロールプレイとは異なり、実際の業務とあわせて新入社員を育成するのが特徴です。もちろん、いきなり1人で業務を任せるようなことはしません。基本的には先輩社員や上司から業務の流れや実務で使うツールの操作方法、企業が扱う商品やサービスなどを学びます。

OJTのメリットは、実務を通して学べるため、研修終了後に即戦力としての活躍が期待できます。
また1人の研修受講者に1人の指導員が付くケースでは、個々に合わせた指導がしやすく、指導員となる先輩社員や上司とも人間関係が構築できるというメリットがあります。

ただし、研修にあたる既存社員の時間が割かれ負担が多くなるため、本来の業務に支障が出ないように配慮する必要があります。

Off-JT

Off-JTは「Off The Job Training(オフ ザ ジョブ トレーニング)」の略で、職場から離れた場所で業務などを学ぶ研修です。例えば、外部の研修やセミナーへ参加させます。

Off-JTのメリットは業務以外で必要とされる専門性の高いスキルや知識、ビジネスマインドの習得が効率よく行えることです。また、OJTと異なり既存社員の負担が少なく、研修受講者は同じ研修を受けるため、研修の質にばらつきが生まれにくいのも魅力です。

ただし、専門家を講師として招く、著名な講師のセミナーへ参加させる、となると相応のコストがかかります。

eラーニング

eラーニングは、パソコンやタブレット端末などのデバイスとインターネット環境を用いた学習方法です。新型コロナウイルスの流行によって、外部セミナーへの参加などが難しくなったことから、eラーニングを研修に取り入れる企業が増えました。

eラーニングを利用した研修のメリットは、学習の質を均質化でき、研修受講者に反復練習などの自発的学習を促せるところです。

ただし、eラーニングは自習が基本であるため、研修受講者のモチベーション維持が難しく、eラーニングを導入する手間やコストがかかります。また、同期や先輩社員、上司とのコミュニケーションが取りづらいため、ほかの研修方法と組み合わせたり、懇親会を開催したりするなど、eラーニング以外にコミュニケーションの場を設ける必要があります。

新入社員研修を行う上でのポイント

では、新入社員研修を実施するにあたり、どこに注意しなければならないのでしょうか。ポイントは研修の目的を明確にし、新入社員が質問しやすい環境を整え、研修後にフォローアップを行うことです。

研修の目的を具体的にする

研修の目的が具体的でないと、せっかく時間やコストをかけた研修なのに「研修で学んだことが現場でいかされていない」といった事態を招く危険性があります。そのため、新入社員が配属される部署に「研修後にどのような人材になってほしいのか」「研修でどんな知識やスキルを身につけてほしいか」などをヒアリング調査し、新人社員の能力レベルを考慮しつつ、研修の目的を設定しましょう。
研修の目的が明確になれば、研修カリキュラムが作成しやすくなり、効果的かつ意味のある研修が実施できます

質問のしやすい環境を作る

研修受講者が質問や発言しやすい環境を整えることも重要です。あまりにも殺伐とした雰囲気の研修では、新入社員が萎縮してしまい、モチベーションの低下も招きかねません。研修が和やかで質問や発言がしやすい環境であれば、新入社員はその場で疑問点や抱いている不安を解消できます。また、研修で学んだことをベースに自ら考えた意見や質問をアウトプットできれば、学んだ知識が定着しやすく、仕事への自信にもつながります

研修後のフォローアップも行う

研修ではさまざまなことを学びますが、それらは時間の経過とともに忘れてしまう可能性が高いです。そこで一定期間が経過したタイミングでフォローアップを行いましょう。フォローアップを実施することで、研修で身につけた知識やスキルの復習ができ、さらなる知識やスキルの定着アップが図れます。

またフォローアップはほとんどの場合、配属後に行うため研修後3カ月が経過したフォローアップなら配属先での不安や悩みごとの聞き取りができ、研修後6カ月~1年であれば今のやる気具合やキャリアアップなどについて確認ができます。これらの話題を通して新入社員の悩みを聞き、フォローすることでモチベーションの向上につながり、離職防止にも役立ちます。

新入社員研修のカリキュラムの作り方

新入社員研修のカリキュラムを作る上でもいくつか注意があります。ポイントを押さえて研修を成功させましょう。

現場へヒアリングし研修の目標の設定する

前述した研修の目的同様に、研修の目標設定も必要です。目標を決める際も研修目的同様に新人社員の能力を把握した上で、配置される部署の管理職や社員などにヒアリングを行い、達成可能な目標を決めましょう。このとき、無謀な目標を設定するとモチベーションを低下させる要因になります。例えば、「研修後はビジネスマナーが身について、自社商品についての理解度が深まっている状態にする」など、努力によって達成可能な具体的目標を設定しましょう。

研修期間を設定する

新入社員研修の期間は企業ごとに自由に決められますが、あまりにも研修期間が短すぎると新入社員が十分な知識やスキルを学べないおそれがあります。また、期間が長すぎても緊張感や集中力が途切れてしまい、研修の質の低下を招く可能性があります。

そのため、期間を決めるときは新入社員の能力と研修目的・目標を考慮した上で決めることが大切です。さらに、研修期間中に繁忙期だったり、社内イベントがあったりすると、研修と業務に支障が出るおそれがあります。そこで年間スケジュールや部署ごとの予定を把握し、早めに研修期間や研修内容を決めて研修がスムーズに進むように調整しましょう。

なお、企業規模や職種によって違いはありますが、一般的に新人研修は1~3カ月程度で実施されることが多いです。

研修の手法を設定する

研修目的や目標が決まったら、研修期間内で必要な知識やスキルが身につくように研修の手法を設定します。例えば、基本的なビジネスマナーや顧客への対応を習得させたいならロールプレイでの研修が有効です。また、できるだけ早く即戦力として活躍してほしいなら、実務を通じて学べるOJTが望ましく、コンプライアンスの習得や新入社員個々のスキルレベルが異なり、一律の研修が難しいのであれば、繰り返し学習できるeラーニングがおすすめです。

さらにこれらの研修手法をどのタイミングで実施するかも重要です。座学であれば、企業理念を把握した上で具体的なスキルを学ばせるなど、知識が習得しやすいようにカリキュラムを作成し、またできるだけ集中力を維持してできるように研修内容も工夫しましょう。

まとめ

新入社員研修の目的は、業務に関する知識やスキルの習得および組織の中で自分が何をすべきかを把握してもらうことです。具体的な手法には、グループワークやレクリエーション、OJTなどがあり、それぞれ得られるメリットが異なるため、特徴を理解した上で設定しなくてはなりません。
そして新入社員研修を成功に導くには、現場へ研修でどのような知識やスキルを取得してほしいかヒアリング調査を行い、研修の目的・目標を明確にしましょう。さらに社員が質問をしやすい環境を作り、研修後のフォローアップを行うことが大切です。

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