ナレッジとは?ノウハウとの違いや管理・運用方法のポイントを解説

最終更新日: 2022.06.06 公開日: 2022.02.03

knowledge

ビジネスで何気なく使われている「ナレッジ」という言葉は、実は企業にとって非常に重要な存在です。ナレッジとはすなわち、会社がこれまでに蓄積してきた事業やビジネスの知識や知見そのもの。ナレッジを活かせば、それだけ企業の成長につながります。
とはいえ、形のないナレッジを上手く活用するには、「ナレッジマネジメント」の意識を持ってナレッジの管理・運用に努める必要があります。

本記事では改めてナレッジの意味やナレッジマネジメントの方法について詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ビジネスにおけるナレッジとは?

ナレッジは企業にとって有益な知識や事例のこと

そもそもナレッジ(knowledge)とは、英語で知識、情報、見聞などを示す単語です。

日本では主にビジネス用語として用いられ、「この分野に関するナレッジが必要だ」「ナレッジを得るために書籍を読んだ」といった形で使われます。ビジネスシーンにおける具体的なナレッジとは、企業が事業活動を行う上で有益となる知識や事例のことを指します。

ナレッジとノウハウの違いは「体験」の有無

ナレッジと混同して使われがちな言葉に「ノウハウ(know-how)」がありますが、両者はどのような違いがあるのでしょうか。

ナレッジは通常、マニュアルや本にまとめられた文章から得られる知識や、知識のある人との会話でもたらされる情報といった意味合いがあります。ナレッジそのものは人に伝えやすいため、企業が蓄積して適切に管理、利用することで、業務に役立てることが可能です。言い換えると、せっかく得られたナレッジもうまく業務に利用できなければ意味がありません。

一方のノウハウは、実際に毎日業務を行っている現場での体験から得る知見を意味します。「作業のノウハウを身につける」といった使い方にもあるとおり、自身が時間をかけて習得した実務的な「勘」や「コツ」といったニュアンスを持ちます。通常業務では大いに役立ちますが、一方で新たな発見をもたらすことはあまりありません。また、経験から得られるものであるため、他者との共有が難しいという特徴もあります。

ナレッジを使った言葉

「ナレッジ」が入った言葉は、「ナレッジベース」「ナレッジワーカー」などさまざまなものがあります。ビジネスにおいてよく使われる「ナレッジ」を使った言葉を紹介します。

ナレッジベースの意味

「ナレッジベース」とは、企業内の業務における従業員の経験や知識、ノウハウなどをまとめたデータベースを指します。ナレッジベースは通常、営業活動や書類作成業務などの業務で得られた事例を収集し、データベースの形で運用します。蓄積された業務に関する有用なナレッジは、従業員が閲覧したり、変更があった際には情報の上書きしたりすることで共有されます。

ナレッジベースを活用することで、従業員個人が業務上で発生した不明点を能動的に確認する仕組みが構築できるでしょう。他にも、業務の引き継ぎや社員教育の効率化、部署をまたいだ情報共有の簡素化、といった幅広いメリットが得られるのです。

ナレッジワーカーの意味

「ナレッジワーカー」は、「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた、「知識労働者」を意味する造語です。経営学者・社会学者のピーター・ドラッカーが著書の中で「自らの知識を使用して経済的利益を生みだし知識経済を支える労働者」と定義し、提唱した言葉として知られています。

ナレッジワーカーはオフィスで働くという意味ではホワイトカラーと同義ですが、言葉のニュアンスが異なります。ホワイトカラーは「任された業務をこなす」という意味合いが強いですが、ナレッジワーカーと呼ぶ場合には「豊富な知識を活かして新しいアイデアを出し、付加価値を生み出す」という意味が込められる傾向にあります。近年ではITの発展により、AI(人工知能)やロボットが単純な作業を行うケースが増加しています。そのような状況において、高度な課題を解決したり、新しい価値を創出するナレッジワーカーの働き方が注目されているのです。

ナレッジの重要性

そもそも、なぜナレッジマネジメントといった手法が存在するほど「ナレッジ」は企業にとって重要なのでしょうか。ナレッジがもたらすさまざまなメリットや活用の目的について、簡単にご紹介します。

業務の効率化

企業としてナレッジを上手く蓄積・運用すれば、第一に業務の効率化を図れます。社員には一人ひとり個性があり知識量やスキルも異なりますが、ナレッジを用いることによってバラバラだった業務品質を均質化できるためです。また業務を進める中で何か不明点が出てきても、ナレッジを参照できる状態にあれば、つまずくことなくスムーズな進行が可能です。

人材育成のサポート

新人教育を行う際は、研修やOJTなどを通したノウハウの習得が必要になります。このとき、体系化されたナレッジがあれば研修資料として利用が可能です。OJTを受ける前に社員が自学自習を行うといったこともできるため、教育担当の育成負担が減ります。

効率的な育成が実現できれば時間的・人的コストカットにつながりますし、新人が素早く成長すれば即戦力としての活躍も見込めるでしょう。

属人化の防止

業務のナレッジが社内に蓄積・共有されていないと、「属人化」というデメリットが発生する可能性があります。
属人化とは、特定の業務の知識や進め方を一部の社員しか把握していない状態を指します。属人化が起きると「その人にしかわからない業務」が生まれるため、一部の人に仕事が集中し、ボトルネックになりかねません。

また属人化された業務は社員個人が自分なりのやり方で進めてしまうため、業務の品質が一定しない、社員の間でスキルに差が生まれ顧客満足度が低下するなど、さまざまな問題が発生します。新人が新たなスキルを得られないため成長しづらく、離職率も増加するかもしれません。

このため社内で誰もがナレッジを共有し、特定の人に知識や業務が集中しないようにする意味でも、ナレッジの運用は重要です。

知的財産の蓄積

知的財産とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創造物などが、財産的な価値を持ったもののことです。知的財産の種類はさまざまですが、ナレッジもいわば、企業の「知的財産」の一つとして捉えられます。事業にまつわるナレッジを活用することで自社ならではの強みを発揮したり、新しい技術や技能を生み出して事業に付加価値をつけることができるからです。

仮にナレッジが存在しなかったとしたら、企業は常にゼロベースで事業にトライしなければなりません。事業活動を行う上で、ナレッジの蓄積は必須といえるのです。

人材流出時の対応

ナレッジが蓄積されていないと、先ほどお伝えした会社の知的財産はイコールで「人材」になってしまいます。つまり、事業を成長させていくための知識や知見が、全て社員の頭の中にしか存在していないということです。

これは転職が当たり前になり人材の流動性が高まっている現代において、非常に危険です。例えばベテラン従業員の存在によって会社としての技術力や企画力などが担保されていた場合、その人が急に退職してしまうと、企業は人材と一緒に知的財産を失うことになります。

「人財」といった言葉もあるように、企業にとって人材は貴重な財産です。しかしそれとは別に、人が培ったナレッジをバックアップとして保存しておき、何かあったときのために備えておかなければならないのです。

ナレッジマネジメントの概要

企業内のナレッジを全体で共有・活用して生産性の向上を図る経営手法を表す言葉として、「ナレッジマネジメント」があります。これは、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏らが提唱した「知識経営」を基礎としており、現在では多くの企業が取り入れている概念です。ここからはナレッジマネジメントの重要性とメリットについて解説します。

ナレッジマネジメントの重要性

ナレッジマネジメントとは、従業員が業務上で得たノウハウやナレッジなどを企業内で共有して業務に活用し、生産性を向上させる経営手法のことです。ただ単に従業員個人のナレッジを管理・共有するだけでなく、既存のナレッジから新たに企業に有用なナレッジを生み出して活用することを目的としています。

ナレッジマネジメントの基礎理論として、野中郁次郎氏らが示した「SECI(セキ)モデル」があります。これは、個人が独自で持っている「暗黙知」(ノウハウ)を、全体で共有できる「形式知」(ナレッジ)へと変換・移転するプロセスを説明するモデルです。これまでの日本企業では、ベテラン従業員が「暗黙知」により業務を行い、世代ごとにそれが引き継がれていく方法が一般的でした。この方法では人材育成に時間がかかり、安定した生産性が見込めません。ナレッジマネジメントにより「暗黙知」を「形式知」に変換して共有・活用することで、従来よりも効率的な経営が可能となるのです。

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントの導入により、「人材教育・育成の効率化」「顧客マネジメント向上」「業務改善・効率化」といった、さまざまなメリットが期待できます。

人材教育・育成においては、新入社員や新しい業務に取り組む従業員に対して必要なノウハウ(暗黙知)を、ナレッジ(形式知)として的確に伝えられるため、高い教育効果が得られやすくなります。

顧客マネジメントの分野では、顧客データを共有することで各部署が顧客ニーズに迅速に対応できる環境の構築につながるでしょう。例えば、営業担当者などに属人化していまいがちになる顧客データが共有されることで、引き継ぎ時の顧客トラブルを防ぐことができ、顧客満足度向上が期待できます。

業務改善・効率化にも、日常業務に関するデータを共有・管理するマネジメントが効果的です。個々の従業員がそれぞれ作成している日報データを共有したり、業務に関するFAQを作成していつでも確認できる状態したりすることで、従業員が能動的に不明点の解決を行えるようになり、業務効率化や生産性の向上が図れるでしょう。

多くの企業ではナレッジマネジメントが上手くいっていない

ナレッジマネジメントには、多くの場合文書管理ツールやグループウェアなどのITツールが用いられます。これらによって形のないナレッジを目に見える文書などに落とし込み、参照して運用できるようにするというわけです。

これらのツールを活用してナレッジマネジメントを行うには、社員の積極的な協力が必須です。しかし実際には、ナレッジマネジメントを社内の新たな取り組みとして浸透させるのは難易度が高いもの。以下では、そんなナレッジマネジメントの失敗要因の一例をご紹介します。

失敗要因1:目的を従業員に共有していない

ナレッジマネジメントを行う目的をしっかり定めて全社的に共有をしていないと、社員は思ったように動いてくれません。社員にとって「ナレッジの共有」は、新たな作業の手間が増えるということになるからです。

情報ツールに記入し、ナレッジとして蓄積した後にどう活用されるのか。この計画が不透明では、モチベーションも上がりません。「手間だからやりたくない」と思われ、取り組みは進まないでしょう。

中には、ナレッジの共有自体に抵抗感を抱く人もいます。自分だけがナレッジを持っていることで、社内で「デキる社員」としての付加価値を発揮するためです。また自分はナレッジを発揮してスムーズに業務にあたれているとしたら、ナレッジを社内に共有するメリットがわからないケースも考えられます。

社員の協力を得られるようにするには、まずは経営層やナレッジマネジメントプロジェクトのリーダー自身が、導入の目的や期待する効果を腹落ちさせておく必要があります。それをしっかり社内に共有して、コンセンサスを得ましょう。

失敗要因2:最初から全社導入を行ってしまう

経営者や役員からしてみると、「いちはやく自社のナレッジを蓄積したい」と考え、ツールや施策を大々的に全社導入したくなるものです。しかし、それらの取り組みが本当に自社に合うかどうか、検討段階ではなかなか予想しづらいものです。社内の運用が上手くいかないと、導入した結果コストだけがかかってしまった……という失敗事例になってしまいます。

まずはチームや部署単位など限定的なスモールスタートで導入し、狭い範囲で上手く運用できるかどうかを見定めましょう。

失敗要因3:ツール運用のルールや仕組みが整っていない

ツールが一見運用されているように見えても、実は失敗しているというケースもあるので注意が必要です。特にナレッジマネジメントを正常に行うためのルールや仕組みが統一されていないと、以下のような状態が起こるかもしれません。

  • ケース1:ツールを使うにしても社員が各々で使いこなそうとしてしまい、
    せっかくのナレッジがバラバラの形式で保存されてしまう
  • ケース2:「ただ単にデータを入力しただけ」という状態になってしまい、
    役に立たない情報だけが蓄積されてしまう
  • ケース3:実際にツールを使う人、使わない人も差が出る

またツールそのものが使いにくいと、「使われてはいるが社員の不満は溜まっている」ということにもなりかねません。こういったケースでは社員の作業負担だけが増えて、ナレッジの運用には至れません。無駄なデータだけが積み上がり、そのうちツールの活用も形骸化してしまいます。

蓄積しただけで終わっては意味がありませんから、自社に合うツールを選んだ上で、ナレッジ活用のためのルールや仕組みをきちんと整えましょう。

ナレッジマネジメントにはマニュアルが有効

ナレッジマネジメントを行うための方法はさまざまですが、本記事では特にマニュアルの作成・運用をおすすめします。以下のポイントを参照して、取り組みを検討してみてください。

おすすめポイント1:ナレッジを行動レベルにまで落とし込める

マニュアルは誰もが知る通り業務内容を手順化したものですが、それこそがナレッジの集合体になります。数あるナレッジの形の中でも、「体系的な知識資産」だといえるでしょう。

例えばマニュアルは、「新人でも理解できる」ことを前提に作られます。さらに業務ごとに手順が解説されているため知りたい内容を参照しやすく、即座に仕事に反映できます。「業務で不明点があれば参照し、仕事の品質を維持する」という一連の動きが実現し、そのままナレッジ活用の成果となるのです。

おすすめポイント2:暗黙知まで可視化しやすい

マニュアルに画像や動画を用いるなど、見せ方を工夫して細かなステップにまで落とし込めば、経験や勘、直感に基づくようなノウハウ――いわゆる「暗黙知」まで、目に見える「形式知」として見える化が可能です。業務のことを何も知らない社員にとっては、うってつけの教材になるでしょう。

おすすめポイント3:更新し続ければナレッジを進化させられる

マニュアルは作業の手順書なので、業務内容に変更や改訂があれば更新する必要があります。体系化された資料であると同時に普段の業務の中で頻繁に活用するものだからこそ、改善ポイントを発見しやすいのも特徴です。つまりナレッジを古いままにしておかず、常に「使える」最新の情報を保存しておけるのです。より良いアイデアを都度加えていくことで、業務改善や生産性向上にも寄与するでしょう。

Teachme Bizを活用してナレッジマネジメントを行った事例

Teachme Bizなら、画像や動画を用いた誰にでもわかりやすいマニュアルを簡単に作成できます。以下では実際にTeacme Bizを用いてナレッジマネジメントに成功した事例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

事例1:Teachme Bizの活用で、蓄積されたノウハウの横展開が可能に

株式会社エフ・ジェイ ホテルズ様は、ホテルごとにマニュアルが異なる上、内容は専門用語が多く難解になっており、新人の指導が課題でした。
そこでTeachme Bizを活用し、ビジュアルベースのマニュアルを200点ほど作成。新人が一人でもノウハウの習得を進められるようになりました。
教育期間は半年から3ヶ月にまで半減し、サービス水準の向上にもつながっています。

事例2:マニュアル改廃の管理負担がゼロに!組織の活性化も実現

株式会社新生堂薬局様はこれまで紙のマニュアルを運用していましたが、改廃作業が店舗スタッフにとって大きな負担となっており、管理者はマニュアル自体の活用状況も把握できていませんでした。
そこでマニュアルの電子化のためプロジェクトチームを組成し、Teachme Bizの導入から1年で完全にデジタル媒体に移行。月に1回は運用のためのミーティングを行い、マニュアルのブラッシュアップを行うようにしました。
その結果、これまで店舗から管理者に対し毎月600件ほど入っていた問い合わせが50件にまで激減し、月間92時間もの対応時間削減に成功しました。

まとめ

ナレッジは企業活動を進める上で、非常に重要な位置付けのものです。ナレッジを蓄積・運用するためのナレッジマネジメントは企業にとって欠かせません。しかし、実際には社員の協力を得られず、ナレッジマネジメントに失敗するケースも多々あります。まずはナレッジマネジメントの目的を定め、社内理解を得ることからスタートするのが肝要です。

ナレッジマネジメントを行うための手法やツールはさまざまですが、体系的にナレッジを集約するなら、業務のマニュアル化が有効です。「わかりやすいマニュアル」を作成し改善を続けることで、生きたナレッジを企業に蓄積していきましょう。

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