2040年問題とは? その背景や企業ができる対策を解説

最終更新日: 2024.07.05 公開日: 2024.07.02

2040年問題とは? その背景や企業ができる対策を解説
国内では総人口の減少と高齢化率の上昇が加速しており、2040年には労働力不足や財政の悪化、市場規模の縮小など、さまざまな問題が顕在化すると予測されています。企業が持続的に発展していくためには、2040年に起こり得る諸問題への対策を講じなくてはなりません。本記事では「2040年問題」の概要や対策について解説します。

2040年問題とは?

2040年問題とは、国内における高齢化率の上昇と総人口の減少に伴う社会問題の総称です。2040年には1971〜1974年に生まれた「団塊ジュニア世代」と呼ばれる人々が65歳以上になり、労働市場の担い手となる生産年齢人口が大きく減少するとともに、国内の高齢化率が約35%(※1)に達すると推計されています。

世界保健機関(WHO)と国際連合(UN)では、65歳以上の高齢者の割合が総人口の21%を超えた社会を「超高齢社会」と定義しています。総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によると、国内の高齢化率は2023年9月時点で29.1%(※2)と、日本はすでに超高齢社会へと突入しており、高齢者人口の割合は世界一です。また、厚生労働省の調査によると2023年の合計特殊出生率は1.20(※3)と過去最低を更新し、日本の少子化の進行も危機的な状況です。

2040年にはこのような少子高齢化がさらに進むことが予測されており、それに伴って労働力不足や社会保障費の増大、財政の圧迫、市場経済の縮小など、さまざまな社会的・経済的問題が生じると懸念されます。

(※1)参照元:我が国の人口について|厚生労働省

(※2)参照元:統計からみた我が国の高齢者(p.2)|総務省

(※3)参照元:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況(p.2)|厚生労働省

2025年問題との違い

2025年問題とは、1947~1949年に生まれた「団塊の世代」の人々が全て75歳以上となり、超高齢社会に突入することで起こり得る諸問題のことです。厚生労働省によると2025年には日本の総人口の約18%(※4)が75歳以上の後期高齢者になると見込まれており、医療・介護での需要と供給のバランス崩壊や社会保障費の増大が懸念されます。

そして2025年問題の延長線上にあるのが2040年問題です。2040年問題は単なる高齢化率の進行にとどまらず、労働市場の構造変化や市場経済の衰退、都市部と地方部の格差拡大といった複合的な課題を含んでおり、2025年問題よりもさらに深刻度が増すと見られています。

(※4)参照元:我が国の人口について|厚生労働省

2030年問題との違い

2030年問題とは、少子高齢化や生産年齢人口の減少によって2030年に直面する社会的問題のことです。2025年問題から続く高齢化率の上昇や社会保障費の増大、財政の悪化などに加えて、国内ではさまざまな産業で労働力不足が顕著になると予測されています。

たとえば、物流業界では ECの普及による宅配需要の拡大や人材不足、就業者の高齢化も相まって、これまで通りの物流サービスの提供が困難になると予想されています。2030年問題の対策が十分でなかった場合、2040年にはこれらの課題がさらに悪化し、社会全体が機能不全に陥るリスクが懸念されます。

2040年問題が生じる背景

前述したように2040年問題が生じる大きな要因として挙げられるのが、団塊ジュニア世代の高齢化です。1947年から1949年の第1次ベビーブームの頃に生まれた「団塊の世代」と、1970年代前半生まれの「団塊ジュニア世代」は、日本の人口構造の大きなウェイトを占めます。この世代の人々が高齢者および後期高齢者となることで、後述するさまざまな社会的な課題や経済的な問題が顕在化すると予測されます。

2040年問題で課題とされていること

日本の人口動態が現状のまま推移した場合、少子高齢化と生産年齢人口の減少が同時進行し、2040年には国内の市場経済や社会保障制度が危機的状況に陥ると予測されています。2040年問題における社会的・経済的な懸念事項として挙げられるのが以下の5つです。

  • 顕著な労働力不足
  • 医療介護の人材不足
  • 財政悪化の可能性
  • 経済規模縮小の懸念
  • 都市のスポンジ化

顕著な労働力不足

2040年問題の重要課題となるのが、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足です。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、国内の生産年齢人口は1995年を頂点として減少し続けており、2041年には総人口に占める生産年齢人口の割合が55%(※5)を下回ると見込まれています。

つまり2040年にはさまざまな産業で深刻な人的資源の不足と、それに伴う労働生産性の低下が懸念されます。また、民間企業だけでなく公務員も同様に労働力不足に陥ると予測されるため、公共サービスの品質低下を招く要因になりかねません。

(※5)参照元:日本の将来推計人口 令和5年推計(p.4)|国立社会保障・人口問題研究所

医療介護の人材不足

2040年問題における重大な懸念事項のひとつが、医療・介護分野における需要と供給のバランス崩壊です。高齢化率の上昇と生産年齢人口の減少により、医療・介護従事者の需要が供給を大きく上回り、医療・介護の人材不足が深刻化すると予測されます。

厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書」によると、このままでは2040年には医療・介護分野における就業者数の不足数が約96万人(※6)に達する見込みです。また、医療・介護の業務は心理的・肉体的負荷が大きく、担い手不足が深刻化すると既存の従業員が過重労働に陥る可能性があるため、離職率の増大につながるおそれも懸念されています。

(※6)参照元:令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-(p.7)|厚生労働省

財政悪化の可能性

2040年には現在の超高齢化社会をさらに超えた状態となるため、年金や医療、介護といった社会保障費の増大が予想されます。社会保障制度は私たちが納める保険料や税金が、高齢者や病気の人々の支援に使用される相互扶助の仕組みで成り立っています。

しかし、2040年になると高齢者の増加によって社会保障の給付が増える一方、生産年齢人口の減少に伴って納税者が減少するため、現役世代に経済的な負担が集中するおそれがあります。そして生産年齢人口の減少による税収の減少が重なることで、財政の健全性が著しく損なわれてしまう可能性が懸念されます。

経済規模縮小の懸念

2040年問題における課題のひとつは、人口オーナス期への突入による経済規模の縮小です。人口オーナス期とは、15~64歳の生産年齢人口に対して14歳以下の年少人口と65歳以上の高齢者人口の比率が相対的に上昇している状態を指します。端的にいえば高齢者層の比率が高く、若年層の比率が低い人口構造の状態です。

人口オーナス期になると現役の労働力が減少し、社会保障制度の維持が困難になることで経済成長を阻害する要因となります。また、貯金する現役世代が減少し、貯蓄を取り崩して生活する高齢者も増えるため、社会全体の貯蓄率が低下します。その結果、金融資産への需要が減少して国内市場の縮小につながる可能性があります。

都市のスポンジ化

高齢化率の増大と人口減少の同時進行で発生し得る懸念事項のひとつが都市のスポンジ化です。都市のスポンジ化とは、都市の人口が減少することで空き家や空き地が増加し、スポンジのように都市の密度が低下する状態を意味します。

都市のスポンジ化が起こると、道路や下水道といったインフラの維持・管理が難しくなる、採算の合わない商業施設や企業が撤退する、地域におけるコミュニティが衰退するなど、さまざまなリスクが懸念されます。加えて、空き家や空き地の増加によって治安や景観の悪化につながる可能性も無視できない懸念事項です。

2040年問題に向けて企業ができる主な対策

2040年問題に向けて企業は未来に起こり得る課題を見越した上で、現在を起点とする対策を講じなくてはなりません。2040年問題に向けて企業ができる主な対策は以下の6つです。

  • 潜在労働力の活用
  • DXとICTの活用
  • 働き方の多様化に向けた整備
  • 健康寿命延伸に向けた取り組み
  • リスキリングやスキルアップのサポート
  • 企業価値向上に向けた職場環境づくり

潜在労働力の活用

生産年齢人口の減少が必至の社会状況で現在と同等以上の労働生産性を確保するためには、高齢者や女性、障がいのある方といった潜在労働力の活用が欠かせません。たとえば、定年延長や再雇用制度の充実により、高齢者は引退後の経済的不安が解消され、企業は経験豊富な人材を長期的に活用できます。
また、育児や介護と仕事を両立できる仕組みを整備できれば、少子化対策に寄与しつつ、女性の長期的な雇用につながる点もメリットです。さらにCSR活動の一環として障がいのある方の雇用を促進することで、地域社会との関係性を強化するとともに、労働力を確保しつつ組織の多様性が育まれるという利点があります。

DXとICTの活用

DXの推進とICTの戦略的活用は2040年問題に向けた重要な対策です。AIやIoT、ビッグデータ分析、ロボティクスなどのICTを活用して先進的な生産体制を整備できれば、人材不足による労働生産性の低下を補いつつ、コスト削減やサービス・品質の向上を実現できます。

とくに介護分野は高齢化の進展に伴って需要と供給のバランス崩壊が懸念されるため、介護ロボットの活用が不可欠です。現状では導入費用や管理コスト、技術的な問題の観点から普及率は決して高くありませんが、介護現場のニーズに適したロボットを普及させるべく、官民挙げての開発・導入が加速しています。

働き方の多様化に向けた整備

高齢化率の上昇と生産年齢人口の減少が加速するなかで労働力を確保するためには、いかにして従業員のエンゲージメントやロイヤルティを向上するかが重要です。そのためには在宅勤務やフレックスタイム制の導入など、従業員の希望に合わせて働き方を選べる組織体制の形成が求められます。

また、超高齢化社会の状況下では医療・介護の担い手不足により、介護離職の大幅な増加が懸念されます。介護離職を防止して人的資源を確保するためには、在宅介護と仕事を両立できる仕組みが不可欠です。
働き方改革の実現に向けた取り組みに関しては以下の記事を参考にしてください。

関連記事:働き方改革とはなにかを簡単にご紹介!働き方改革の推進に必要なこととは?

健康寿命延伸に向けた取り組み

2040年問題に向けた取り組みとして欠かせないのが健康寿命の延伸です。従業員の健康管理を徹底し、年齢を重ねても心身ともに健やかな状態で社会に参画できるようにすることで、企業は長期的に安定した労働力を確保しつつ、社会保障の負担を軽減する効果が期待できます。

具体的な取り組みとしては、定期的な健康診断やメンタルヘルスチェックを実施し、病気の早期発見と早期治療を促進します。さらに従業員が健康的な生活習慣を維持できるよう健康教育や運動プログラムを提供する、または人間工学に基づくオフィス家具を導入して疲労軽減を促進するなどの対策も重要です。

リスキリングやスキルアップのサポート

2040年問題に備えるためには人的資源の確保に注力するとともに、獲得した人材の定着率を高める仕組みが必要です。リスキリングやスキルアップ、キャリアアップなどのサポート体制を整備し、従業員の自己実現を支援する環境を形成することで離職率の改善と定着率の向上が期待できます。

また、2040年問題に向けて企業の競争力を維持するためには、デジタル技術の進展や市場環境の変化に対応できるDX人材の育成が必要です。DXの実現に向けて職業能力の再開発・再教育を推進することで、従業員の能力向上と経営基盤の総合的な強化に寄与し、変化が加速する時代に対する備えとなります。

企業価値向上に向けた職場環境づくり

少子高齢化に伴って生産年齢人口が減少する社会では、人的資源という労働力を奪い合う状態になると予測されます。そのような社会的背景のなかで優れた人材を確保するためには、企業価値の向上を図るとともに、市場におけるポジショニングを確立しなくてはなりません。

たとえば公正な人事評価制度を導入し、正当な報酬や昇進の機会を提供する、あるいはダイバーシティを推進して多様な価値観を尊重する組織風土を確立するなど、企業価値の向上に向けた環境づくりが必要です。また、福利厚生の充実を図ることで従業員満足度が向上し、優れた人材を獲得できる可能性が高まります。

まとめ

2040年問題とは、1971〜1974年に生まれた「団塊ジュニア世代」の人々が65歳以上になり、労働市場の担い手となる生産年齢人口が減少することで起こり得る社会的・経済的な問題の総称です。それにより、医療・介護の人材不足、財政悪化、市場規模の縮小などの問題が顕在化すると予測されます。

なかでも医療・介護分野における需給バランスの崩壊は無視できない重要課題です。労働力不足の解消にはマニュアルによる業務の標準化が欠かせません。人材不足による労働生産性の低下を補うためにも、医療業界での活用実績が豊富なマニュアル作成システム「Teachme Biz」の導入をご検討ください。

関連ページ:【医療業の生産性向上】Teachme Biz

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