【成功事例付き】新卒社員の育成を成功に導くコツとは?

最終更新日: 2023.09.29 公開日: 2020.12.21

ここ数年採用において「即戦力化」という言葉をよく耳にしますが、即戦力化で重要になるのは今いる社員や中途採用ではなく、新卒採用で入社した新入社員です。中途採用で入社してきた社員はすでにスキルを持っているため育成方法に困ることはありませんが、新卒採用の社員は社会にでたばかりなため教える内容が多く、即戦力化のためには人材育成をしっかりと行わなくてはいけません。

ですが、どのように人材育成を行えば即戦力化できるのか分からない、コストをかけて育成しても早期離職率が下がらない、などの悩みをお持ちの場合も多いのではないでしょうか。そこで、今回は新卒採用を成功に導く人材育成について、今重要視されている理由から課題やポイント、成功事例までご紹介します。

2021年度新卒採用市場の最新動向

棒グラフや円グラフの画像
まずは、新卒採用に関する基本情報をご紹介します。

新卒採用とは

新卒採用とは、これまでに企業で就業をした経験のない、学校を卒業する予定の学生を採用することです。日本の多くの企業では卒業予定の学生に対して採用活動が一斉に行われる場合が多く、新卒採用された学生は卒業後すぐ企業に入社することになります。

新卒採用のメリット

新卒採用は、毎年同じ時期に新卒採用者が入社するため定期的に組織の活性化を行う事ができるなど、多くのメリットがあります。その中でも、企業にとって重要なメリットは以下の3つです。

・安定して人材の確保ができる
3月に卒業予定の学生が一斉に就職活動を始めるため、中途採用に比べて多くの求職者に対して自社をアピールすることができ、人材を確保しやすくなります。また、一度新卒採用を行ってしまえば、次年度以降もある程度同じように採用活動ができるようになるため、安定して一定数の人材を確保することができます。

・企業の戦力UPにつながる
新卒採用では、中途採用に比べて、会社に対して関心が高く優秀な人材を確保することができます。そのため、将来的に会社の未来を担うような人物を獲得し育てることで、将来的な戦力UPにつなげることができます。

・組織の活性化、成長につながる
進化を続ける世の中で企業が生き残っていくためには、企業も時代とともに変わり続けなければなりません。いつまでも古参の人ばかりでは、時代についていけず成長を見込むことができません。そのため、毎年決まった時期に若い人材を取り入れることは組織の活性化につながります。また、定期的に新人を迎え入れることによって社員の「教える」という能力が養われ、既存社員が業務のあり方について見直す機会にもなります。特に2年目、3年目の社員は新人の教育に積極的に参加することで、いつまでも新人の気分ではいられず自分の仕事に対する責任感を養うことができます。

新卒採用のデメリット

・採用までに多くのコストがかかる
新卒採用は中途採用と違い、社会人経験がなくキャリアや実績もない学生を採用するため、その人のポテンシャルを図るのが難しく、選考に時間や費用などのコストがかかります。また、同時期に他の企業において就職活動を行う学生がほとんどのため、内定を出しても他の企業に受かったなどの理由から入社してもらえない場合があります。

・景気に左右される
新卒採用のメリットとして安定して人材が確保できることをご紹介しましたが、新卒採用は景気に左右されてしまうというデメリットもあります。しかし、新卒採用は企業の未来への長期投資でもあるため、不景気だからといって採用活動をストップしてしまうのは避けましょう。

・育成に多大な工数がかかる
新卒採用者は社会人経験がないため、業務に加え社会人としての基本的なマナーも一から教えなければなりません。そのため、業務を遂行してもらうことができず、育成期間は会社の直接的な利益にはつながらず育成コストだけがかかります。育成のためには、教育担当の社員の時間も奪われてしまいます。そのため、新卒採用は採用だけではなくその後の育成まで含めて考えなければいけません。

新卒採用のメリットとデメリット

メリット デメリット
  • 安定して人材の確保ができる
  • 企業の戦力UPにつながる
  • 組織の活性化、成長につながる
  • 採用までに多くのコストがかかる
  • 景気に左右される
  • 育成に多大な工数がかかる

新卒採用市場の最新動向

大卒求人倍率調査のグラフ画像
出典:リクルートワークス研究所「第37回 ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)」

リクルートワークス研究所によると、2020年3月卒の求人倍率は1000人以上の企業においては上昇した一方で、1000人未満の企業において低下し、特に300人未満の企業は5.22ポイントも低下しました。また、1000人未満の企業を希望する学生が増加する一方で、1000人以上企業を希望する学生が減少していることより、学生の希望が大企業から中小企業へシフトしていることがわかります。

新卒採用における人員確保状況のグラフ
出典:リクルートワークス研究所「第37回 ワークス大卒求人倍率調査(2021年卒)」

企業側の採用予定人数に関しては、2021年3月卒(6月調査)が2020年の3月卒(2月調査)に比べて大きく減少しており、新型コロナウイルス感染拡大により、企業が採用活動を縮小していることが伺えます。

なぜ今、新卒の人材育成が重要視されるのか

新入社員を教育している画像
新卒採用で入社してきた社員は、社会人経験がなく、すぐに戦力としては使えないため人材育成を行わなくてはいけません。どの会社においても新卒に対して何かしらの新人教育を行っていると思いますが、実はこの新卒の人材育成が企業において今後、より重要な役割を担うことが予想されているのはご存じでしょうか?なぜ今後新卒の人材育成がより重要になるのか、その背景についてご紹介します。

労働人口の減少

現在、日本では少子高齢化が問題になっています。これらは直接企業に影響がないように思えますが、実は少子高齢化は将来的な労働人口の減少を意味しているため注意しなくてはいけません。経済産業省(平成30年)の発表資料によると2050年に日本の人口は約1億人まで減少し、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)比率の減少がより一層加速することが予測されています。これは、労働人口が減少によって人手不足がより一層深刻な問題になることを意味しています。毎年一定の人数の新卒採用をしていた企業においても、そもそも採用できる母数が減り労働者不足の問題が起きる可能性が高くなります。特に、中小企業においては、大企業に比べて新卒採用による人材の確保が難しいため、採用した人材をいかに即戦力化させられるかが今後の企業にとって、より重要になります。

早期離職の防止

新卒3年離職率の棒グラフ画像


厚生労働省「新規学卒者の離職状況」をもとに作成


出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

早期離職とは、入社後3年以内に離職することを指しますが、厚生労働省の報道発表資料(2020年10月)によると新規高卒就職者の早期離職率は39.5%、新規大卒就職者の早期離職率は32.8%となっています。早期離職の原因として、「人間関係が上手くいかない」、「やりがいを感じない」、「仕事が上手くいかない」など様々な原因が挙げられますが、それらの中には初期の人材育成を改善することによって解消できるものもあります。早い段階から会社の文化を知ってもらい理解してもらえば、長く一緒に働いていくことができます。また、人材育成をしっかり設計することで、仕事がうまくいかないことを回避することが可能です。

新卒の人材育成の実情を振り返ってみましょう

ここまで新卒の人材育成がより重要になる背景についてご紹介しましたが、ここで一度ご自身の会社の人材育成の状況を振り返ってみてください。
新卒採用したものの実際には人材育成に割り当てる時間がなく、しばらく放置してしまっている、教える側のスキルが足りていないなどの問題はありませんか?実は、慣習的に新卒採用を行ってしまい、新卒採用のメリットを生かしきれていなかったり、時代に合わない人材育成をしてしまったりしている企業は意外と多いです。転職に対するハードルが低くなり、早期離職を防ぐのがより難しくなっている今だからこそ、新卒の人材育成について考え直してみましょう。


社員教育の教科書

新卒の効果的な人材育成方法とは

アクションプランを立てている画像
人材育成の見直しとして、まずは人材育成の方法について考えてみましょう。新卒の人材育成方法としては主に「集合研修」「OJT(On the Job Training)」「自学自習」の3つがあげられます。これらの手法にはそれぞれ得意とする学習内容があるため、学習内容に合わせて上手く組み合わせて活用することが重要です。

集合研修

ここでいう集合研修とは、講義のように講師が多数の人に対して行う研修のことです。最近ではオンラインで集合研修を行うケースも増えています。対面で行う集合研修の利点としては、一度に多くの人に対して同じ内容を教えることができるため、1人1人に対して教えるよりも効率的に研修を行う事ができます。また、同期と一緒になって学ぶ事ができるため、ただ学習を行うだけではなく人間関係を築き上げ、仲間意識をもつことができます。入社してすぐは分からないこと、できないことが多く悩みも多いですが、同じ環境で相談できる仲間がいることでお互いに支えあいながら成長できることは集合研修の良いところです。

OJT(On the Job Training)

OJTとはOn-The-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称で、職務現場において実際に業務を行いながら教育する方法のことです。基本的には1対1で実際の業務を行いながら学ぶことができるため、疑問や不安な点をその場ですぐ解決でき、教育担当の上司とコミュニケーションを取ることで信頼関係を築くことにもつながります。

教材を活用した自学自習

人材育成での自学自習とは、eラーニングやマニュアルなどの教材を利用して社員が1人で学ぶことです。この方法は講師が必要なく、多くの人に対して同一の教育を行えるため、教育担当者の時間を割くことなく育成することができます。また、一番のメリットは場所や時間を選ばずに学習でき、いつでも自分が必要なときに探して学習できるため、新卒にとって困ったときの心強い味方になります。

▶こちらの記事のぜひご参考にしてみてください。
「eラーニングとOJTの組み合わせで人材の即戦力化を実現!その方法とは?」
「新人教育をうまく行うポイントは?失敗例やマニュアル化のコツもご紹介!」

新卒の人材育成における課題

男性が悩んでいる画像

人材育成の計画を立てる前に、新卒の人材育成をする際に起きる可能性のある課題について理解し、対策をしておきましょう。

時間や費用などのコストがかかる

新卒の人材育成は教えることが多く、大人数に対して一定期間行われるため時間や費用などのコストがかかります。特に集合研修は、講師の人を呼ぶことに加え、講義の時間もかかるため多くのコストがかかります。自社の社員の時間をなるべく取らないように外部の企業に依頼している会社も多いのではないでしょうか。

その場しのぎで終わってしまう

新卒のために、と思っていろいろ考えて準備しても、新卒がいやいや受けているような状況になってはいませんか?そのような状況では、とりあえず研修を受け、とりあえず課題をこなすだけのその場しのぎで終わってしまい、研修の効果はなくなってしまいます。特に集合研修に関しては、ある程度長い時間、集団で受けるため1人1人の集中力を持続させるのが難しくしっかり研修に取り組まれないという課題があります。

早期離職が懸念される

既に述べた通り、人材育成に十分に取り組めば早期離職に繋がりますが、新卒の人材育成はなかなか1人1人を見ることができず、フォローがしにくいため辞めてしまう可能性があります。新卒は社会に出たばかりのため分からないことも多く、ちょっとしたことに対しても不安を抱えています。そんな中、進捗報告のためのテストが上手くいかなかったり、上司に上手くコミュニケーションが取れなかったりする状況が続くと、本格的に業務を始める前に「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と思い早期離職に至ってしまいます。

新卒の人材育成における重要なポイント

黒板にポイントと書いた画像
では、こういった課題を克服するためにはどうすれば良いのでしょう。
新卒の人材育成にはいくつかおさえておくべき重要なポイントがあります。これから紹介するポイントをおさえることで人材の即戦力化や早期離職の対策ににもなるためぜひ参考にしてみてください。

現場のリアルを伝える

新卒はこれまで会社勤めした経験がないため、企業に対して理想を高く持っています。そのため、入社前や入社したての頃に伝えていた会社のイメージと実際に働き始めてからの現場があまりにかけ離れていると「こんなはずではなかった...」と感じてやめてしまう場合が多いです。早期離職を防ぐためにも、内定者研修などの早い段階から良い意味でも悪い意味でも会社の本当の姿を伝え、知ってもらったうえで一緒に働き始めましょう。

厳しくも暖かい雰囲気づくり

研修でテストを行う企業も多いと思います。研修の達成度を図るためには効果的な方法ですが、環境が変わり緊張が多い中、自分が査定されているような気分になったり、出だしで躓いた気分になってしまったりして、働き続けるモチベーションを失ってしまう場合があります。厳しく指導し、教えることはしっかりと教えて会社の雰囲気に慣れてもらう必要はありますが、今後一緒に働いていく仲間ということを念頭に置いて、上司がフォローしてあげるような暖かい雰囲気づくりをしましょう。

早い段階からリーダーへと育てる

新卒採用は中途採用に比べ、長期間働いてくれる人材が多いため、将来的に会社の中心となる存在として、早い段階からリーダーを意識して育てることが重要です。積極的に責任ある立場に抜擢することで、仕事に対する責任感やリーダーシップを養うことができ、即戦力化により企業の成長へとつなげることができます。

早期離職率の低下を実現した事例をご紹介

プロジェクトが成功した画像
新卒の人材育成の成果が直結して結果に現れるのは早期離職率です。新卒採用の早期離職率が下がった場合、それは人材育成が効果的に行えており、より働きやすくより愛される会社に変化したという証拠です。そこで、働き方や研修方法を改善して早期離職率の低下を実現した事例を4つご紹介します。業界に関わらず取り入れることができる施策もございますので、ぜひご覧ください。

職場環境・人材・医療品質・患者層が好循環(医療法人社団伊藤歯科クリニック様)

開業して1年半~2年が経って少し落ち着いたと感じた頃に、患者様が増えて忙しくなり、医院内の雰囲気が悪化したことがありました。マニュアルがなかったためスタッフがどう頑張ればいいのか分からないというものが原因の一つでした。歯科業界は複雑な業務ゆえに離職率の高い業界でもありますが、マニュアルを整備しマニュアルが機能し始めてから定着率も向上しました。生涯を通して働いてもらえるように職場環境が改善し無理のない勤務体制を心がけた結果、“売り手市場”とされる衛生士も新たに5名の採用が決定しました。

新人スタッフの不安を解消し、早期離職率を改善!(株式会社インテンツ様)

以前までは集合研修はせずにトレーナーが赴いて、現地にて3人ずつ程で研修を行っていましたが、事業拡大のフェーズに突入し従業員の数も急増した結果、それまでの方法が現実的に不可能になってしまいました。トレーナー用のマニュアルがなかったため、教え方や順序に個人差があり、研修に80時間(10日間)を要していましたが、現在ではマニュアルを活用したことで56時間(7日間)まで短縮された上、1日を振り返る時間を設けることで、不明点や不安を引き出し、解消することができました。分からないときにいつでも確認できるマニュアルを設置したことで、入社後1年以内の離職率は、目に見えて低下しました。

マニュアルの活用で社員教育の効率化、離職率の低下を実現(株式会社竹屋旅館様)

ホテル業のサービスの多くは目に見えないものであり言語化して教えるのが難しいため、新人教育は基本的にOJTで行っていましたが、人員増加により教育担当者の手が回らなくなってきました。また、担当者によって教育の質にばらつきが出始め、現場からの問題提起も増えました。そこで、画像や動画を使ったマニュアルを作成し整備した結果、アルバイトやパートの即戦力化に成功しました。また、これまでは会社が求める接客レベルがうまく伝わらず、入社後にギャップを感じて辞めてしまう方が多かったのですが、TeachmeBizを導入したことで、面接の段階から会社が求める接客レベルを正しく理解してもらうことができ、離職率が低下しました。

まとめ

女性が計画を立てている画像
ここまで新卒採用と人材育成についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
即戦力化を実現しつつ早期離職率を減らすのは、どの業界においても今後、重要な課題になります。コストがかかるためコストカットされてしまいやすい新卒採用ですが、新卒採用のメリットをしっかりと活かすことができればよりよい組織の成長につながるため、企業の未来への投資として新卒採用を積極的に行いましょう。その際、ただ採用しただけでは終わりでなく、その後の人材育成についてもしっかりと整備して、組織の成長を実現しましょう。

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