電子マニュアルとは?紙マニュアルとの比較&効果的な運用方法を解説

最終更新日: 2025.09.30 公開日: 2022.02.16

e-manual

業務の円滑化には使いやすいマニュアルが欠かせません。昨今では、検索性や更新のしやすさといった観点から、電子マニュアルを導入するケースが増えています。本記事では、電子マニュアルと紙のマニュアルを比較しつつ、効果的なマニュアルの作成方法、マニュアルをクラウド化する場合に押さえておきたいポイントなどをまとめました。効率的なマニュアルの運用方法や業務改善のヒントが得られますので、ぜひご一読ください。


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目次

電子マニュアルとは

電子マニュアルとは、紙ではなくデジタルデータ形式で作成した作業手順書や説明書のことです。閲覧にはPCやスマホ、タブレットなどの電子機器を使用し、社内ネットワークやインターネットを介して提供されることも少なくありません。電子マニュアルのデータ形式はさまざまで、PDFやHTMLなどをはじめ、電子書籍の形式や動画が活用されることもあります。
職場によっては、マニュアルをWordやPDFで作成したうえで紙に印刷し、配布しているというケースもあるはずです。印刷して配布するのではなく、原本のWordやPDFファイルを各端末から閲覧できるようにすれば、それも電子マニュアルに含まれます。

電子マニュアルのメリット

電子マニュアルは、単に紙のマニュアルをデジタル化したものではありません。リアルタイムでの更新やメディア活用など、紙媒体では実現できなかった多くのメリットがあります。これにより運用の柔軟性が高まり、情報管理も効率化できるため、利用者にとっての利便性も向上します。業務のスピードや正確性を高めるツールとして電子マニュアルの導入が進んでいるのは、こうした利点が理由です。ここでは、電子マニュアルのメリットについて詳しく解説します。

作成や更新、変更、追加など編集が容易

電子マニュアルは、データ上で作成や改訂にまつわる作業が全て完結します。画像の追加や文言の差し替えなど、細かい修正も随時可能です。完成したマニュアルはデータのまま配信すればよく、紙のマニュアルのような配布の手間はほぼありません。

膨大な情報も検索しやすい

企業によっては業務内容が膨大で、紙に印刷すると数百ページにも及ぶマニュアルもあります。こんなとき、データならほとんどの場合ファイル名やテキストをキーワード検索できるため便利です。マニュアルの目次から手作業で探し出す手間はかかりません。

端末さえあればどこでも閲覧可能

データとして保存すれば、端末で持ち運び・閲覧できるのも利点です。サーバーにアップロードされた電子マニュアルであればそのままサーバー上で閲覧できますし、自分の端末にダウンロードも可能です。
仕事場ではもちろん、自宅など場所を選ばずマニュアルを閲覧できるので、テレワーク下でも利用が簡単です。紛失したり、汚してしまったりするような恐れもありません。仮にデータを削除してしまっても、コピーであればすぐに復旧できます。

電子マニュアルの注意点

電子マニュアルには多くのメリットがありますが、万能とは限りません。利用シーンや業務内容によっては、デジタルならではの制約や、紙媒体と比べたときの使いづらさが課題となるケースもあります。電子マニュアルの導入や運用にあたっては、こうした注意点を事前に把握し、適切な対策を講じることが重要です。

デバイスがなければ閲覧できない

上記の通り電子マニュアルはどこでも持ち運べるというメリットがありますが、このためには閲覧や持ち運びに適した端末が必要です。そもそもPCやタブレットなどを持っていない人であれば、閲覧環境を整えるために一定のコストがかかります。

人によっては見づらさを感じる

現代は多くの人がスマホを所持しており、液晶画面を眺めることも日常的になりました。
とはいえ、業務内容を確認するために液晶画面を長時間じっくり見つめるのは、人によっては目が疲れてしまうなど苦痛が生じます。紙の本を読むのとは勝手も違うため、「液晶画面の文字は頭に入りづらい」という人も一定数存在します。

複数ページを同時に閲覧するのが難しい

例えば「AとBの作業工数を見比べたい」といった場合、データでは切り離しなどが自分でできないため、閲覧性の点でデメリットが生じることがあります。特にマニュアル自体に「詳しくは関連ページを参照してください」といった記載があると、行き来が面倒です。
PCであれば画面が大きいので、データを複数のウィンドウで開きそれぞれ異なるページを表示することも可能ですが、やはり若干手間です。

紙のマニュアルのメリット

あらゆるシーンでデジタル化が進む現代においても、紙のマニュアルに根強い支持があるのは事実です。特に作業現場や教育研修など、即時性や柔軟な操作性が求められるときは、紙ならではの利便性が際立ちます。ここでは、紙媒体ならではのメリットについて解説します。

印刷さえすればどこでも閲覧可能

電子マニュアルと同様、紙のマニュアルも持ち運びには便利です。必要なのは印刷されたマニュアルそのものだけなので、電子マニュアルのようにネットワーク環境や閲覧のためのデバイスは不要です。
ただし、数百ページにも及ぶような大量のマニュアルでは、この利点は損なわれてしまいます。

自由に書き込み、付箋も貼り付けられる

紙のマニュアルは読んでいて何か気付いたことや覚えておきたいことがあれば、直接メモを書き込めます。重要な部分はマーカー線を引いておくなど、自分のやり方に合った使い方も可能です。
現在は電子マニュアルでも、iPadをはじめとした一部のタブレット端末を使えば書き込みができるケースもありますが、環境が限定的であり端末自体も高額なため、まだまだ汎用的とは言えません。

複数ページの同時閲覧やページの行き来がしやすい

紙は実際に手に取って閲覧できるマニュアルなので、冊子が複数あれば関連ページを参照しやすくなります。マニュアルが一冊でも、メインで見ているページを開いておいて、別のページをちらっと見る、といった動きができるのも紙ならでは。電子ではこうした確認が直感的にやりづらく、不便に感じることがあります。

紙のマニュアルの注意点

紙のマニュアルは直感的な操作や自由な書き込みが可能で、一定の利便性があります。しかし、運用面ではコストや管理の煩雑さといった課題も少なくありません。特に社員数が多い企業や頻繁な改訂が必要な業務では、紙媒体ならではの制約が顕在化しやすくなります。紙のマニュアルを導入・継続する際に注意すべきポイントを整理します。

社員数やマニュアルの量によって印刷コストがかさむ

紙のマニュアルは、分厚いマニュアルであればあるほど一冊あたりの印刷コストがかさみます。社員に配布するなら、社員数分だけ印刷費もかさむことになります。一度の配布で終わりではなく、改訂があれば刷り直しが発生するのも難点です。
かといってコスト削減のためにひとつのマニュアルを複数人で兼用しては、書き込みや持ち運びがしづらく、紙のマニュアルのメリットを発揮しきれません。

変更やアップデートが手間

紙のマニュアルは改訂に非常に手間がかかります。改訂をしたら印刷して社員全員に再配布が必要ですし、配布後は古いマニュアルをシュレッダーにかけてもらう、変更点や新しい運用方法を伝えるなど、丁寧なアナウンスも必要です。仮に修正内容に誤りがあったら、即座に印刷のし直しになり訂正アナウンスの手間もかかるので、改訂には常に緊張感を強いられます。
苦労して改訂しても、紙だと最新バージョンのマニュアルを社員が使ってくれるとは限らない、また使ってくれていてもその状況を把握しづらいのが懸念点です。

情報を検索しづらい

マニュアルは一度読んで終わりではなく、何度も確認して手順を頭に入れる必要があります。特に新人の頃は、何か不明点が出てマニュアルを参照したい場面が数多くあります。
しかし膨大な紙のマニュアルだと、該当の箇所を探すのは非常に面倒です。結局手短に済ませるために人に聞いてしまうなど、どちらにしても社員に負担がかかります。

紙はNG?改めて確認したい「マニュアルの目的」

さて、簡単に紙と電子両方のメリット・デメリットを簡単におさらいしてみましょう。

電子マニュアル 紙のマニュアル
作成・更新のしやすさ
    ×
検索のしやすさ
持ち運びのしやすさ
複数ページの同時参照
書き込みのしやすさ
    ×
配布コスト
    低い
    高い

上記を踏まえ、「電子にもデメリットがあるなら、紙のままでいい」と思う方もいるかもしれません。しかし、紙のマニュアルを運用し続けるうえでは注意が必要です。本来マニュアルで解決したい会社の課題を解決できているかどうか。ここに注目しましょう。

マニュアルが本来解決したい4つの課題例

マニュアルは業務内容の手順を体系的に文書として書き記したものです。こうしたマニュアルが必要とされるのは、以下の課題を解決するためだと考えられます。

  • サービス品質のバラつき
  •  

  • 社員教育や研修に時間がかかる
  •  

  • 店舗や各部署から管理部門への問い合わせ対応コストが膨大
  •  

  • 新規業務がなかなか浸透しない

人に言われたり一度研修を受けたりしただけではすぐに忘れてしまう業務内容を、高い精度で再現する。紙のマニュアルでは、これらを実現できない可能性があります。

紙のマニュアルがネックになるのは「運用のしづらさ」

上記の課題を解決へと導く共通項は、「一定化された業務手順を正しく伝達することで、情報共有不足を解消し、スムーズな業務進行を実現する」ということです。そのためには、常に最新で誰にでも理解しやすい業務マニュアルが欠かせません。しかし紙のマニュアルには、改訂の手間や情報量の制限といった課題があります。1枚の用紙に収められる情報量には限界があるため、丁寧に説明しようとすると冊子が厚くなり、運用効率が低下します。加えて、改訂のたびに印刷や配布が必要となり、コストの増加も避けられません。
こうした状況を受けて、電子マニュアルへの移行を進める企業が増えています。電子化によって情報の更新や共有が容易になり、業務効率の改善にもつながるためです。

効果が出る電子マニュアルを作成するポイント

電子マニュアルは、業務の標準化や効率化を支える重要なツールです。しかし、ただ紙の内容をデジタル化するだけでは十分とは言えません。実際に現場で活用され、業務改善につながるマニュアルにするためには、いくつかの工夫が必要です。以下に、実用性を高めるための要点をまとめました。

手順を細かく区切り明確にする

紙から電子マニュアルに移行するのは、業務手順を棚卸しする最適なタイミングです。作業の流れを改めて洗い出し手順を細かく区切ることで、業務内容をより明確にしていきましょう。
そのためには、ステップ形式でマニュアルを作成できるツールを選ぶのが最適です。

画像や動画を使ったマニュアルにする

電子化をしたのに、肝心の内容が専門用語たっぷりのテキストだけでは、電子の強みをほとんど活かせません。
画像はもちろん動画なども用いれば、これまで紙では伝わらなかった業務内容の細かな手順やニュアンスまで、解像度高く伝えられます。

検索しやすくする

マニュアルの検索性にも気を配りましょう。例えばPDFでは、書き出しの仕方によってテキスト検索できない場合があります。ファイル名や保存場所もバラバラでは、結局目視で見つけなければいけません。HTMLで作成する場合も、きちんとシステムを作り込まないと上手く検索できず不便です。
全てのマニュアルから該当ワードを検索し、目当ての内容を見つけられるようにすることが重要です。

編集が簡単なツールを選ぶ

何か変更やアップデートがあった際に、すぐにマニュアルを編集できる環境を作ることも重要です。例えばPDFやPPT、HTMLなどで編集するには、専門の知識が一定量必要です。一部の人にしか扱えないツール・システムでは、マニュアルの更新が滞る可能性があります。
ポイントは、誰でも簡単な操作で更新できること。極力シンプルに運用できるツールを採用しましょう。

クラウドで運用する

電子マニュアルを社内に確実に浸透させるには、クラウドでの運用が最適です。個人PCにマニュアルデータが散在していると、最新版かどうかの確認や共有の際に手間がかかり、誤送信や情報漏えいのリスクも生じます。サーバーからのダウンロード形式でも、社員が最新のマニュアルを使っているかを把握しづらく、管理の負担は紙マニュアルと大きく変わりません。
一方、クラウド上でマニュアルを作成・編集・閲覧できる環境を整えれば、社員全員が常に最新の情報にアクセスでき、確認漏れも防げます。さらに、更新時に通知を送る機能を活用すれば、改訂情報の周知も簡単になり、管理やアナウンスにかかる手間を大幅に削減できます。

クラウドで電子マニュアルを運用するメリット

業務手順や社内ルールの共有に欠かせない電子マニュアルですが、その作り方や運用方法によって、現場の生産性や情報の正確性に大きな差が生まれます。ここでは、クラウドで電子マニュアルを運用することで得られる効果を解説します。

従来の電子マニュアルよりも簡単に作成できる

クラウド型のマニュアル作成ツールを活用すれば、従来のExcelやWordでのマニュアル作成に比べて、作業工数を大幅に削減できます。あらかじめ用意されているテンプレートを使用すれば、テキストを入力したり画像を選定したりするだけでマニュアルが完成するため、ゼロから構成を考える必要はありません。
また、マニュアルに更新があった際に従業員へ知らせる通知機能や、従業員がマニュアルを確認したかどうかを把握する進捗管理機能など、紙のままでは実現できない便利な機能も搭載されています。これにより確認漏れや周知の手間も軽減され、業務の生産性向上につながります。

マニュアルの共有・更新が効率的に行える

クラウド型の電子マニュアルは、更新や共有のしやすさも大きな魅力です。従来のExcelやWordで作成されたマニュアルは、印刷して配布する場合も、データで送信する場合も最新版の管理や共有に手間がかかり、更新漏れや情報の混乱が起こりがちでした。
クラウド運用であれば、誰もがクラウド上にある原本を参照するため、常に最新の情報を全社員に届けられます。またインターネットを介して全国の支社や店舗で同じマニュアルをリアルタイムで閲覧できるため、研修や業務の統一もスムーズです。複数拠点での運用や、頻繁なマニュアル改訂が必要な業務において、クラウド型は共有・更新の効率化に大きく貢献します。

ペーパーレス化によってコストを削減できる

マニュアルをクラウドで運用することで、ペーパーレス化によるコスト削減が可能です。従来からある紙のマニュアルは印刷代や用紙代がかかるうえ、全社で共有するための郵送代、さらに保管スペースという物理的なコストなども無視できないものでした。
その点、クラウドベースのマニュアル作成ツールであれば、印刷の必要がなくなるだけでなく、物理的な管理コストも不要です。さらに、一般的な電子ファイルと異なり、容量を気にせずに運用できる点もメリットです。
ペーパーレス化は単なる経費削減にとどまらず、業務の効率化や情報の一元管理にもつながります。クラウド運用によって、マニュアルの作成・共有・保管までをスマートに行える環境が整います。

クラウド型の電子マニュアル作成ツールを選定する際のポイント

業務マニュアルをクラウド化するためのツール選定においては、「作りやすさ」だけでなく「運用のしやすさ」や「運用支援機能の有無」など、複数の観点を統合して判断することが求められます。以下では、導入前に確認すべきポイントを順に解説します。

マニュアル作成機能以外が充実しているか

マニュアル作成ツールを選ぶ際は、作成機能だけでなく、運用面の機能が備わっているかどうかも重要なポイントです。例えば、作成したマニュアルを誰が閲覧したかを確認できる「閲覧履歴の確認機能」や、更新時に関係者へ通知できる「更新通知機能」があると、情報の伝達漏れを防げます。
また、全文検索機能や閲覧権限の設定機能、コメント機能などがあれば、現場での活用度が高まり、業務の属人化防止にもつながります。マニュアルは作って終わりではなく、実際に活用されてこそです。現場での閲覧や継続的な管理を見越した運用のための機能が揃っているか否かで、導入後の定着率や業務改善効果が大きく変わるため、作成機能以外の部分にも目を向けましょう。

無料トライアルが利用できるか

マニュアル作成ツールは、企業によって求める機能や運用スタイルが異なるため、導入前に自社に合っているかどうかを見極めることが重要です。多くのサービスでは無料トライアルやお試し期間が用意されており、実際の業務に近い形で操作性や機能を確認できます。
お試し期間中にマニュアルの作り方や共有方法、閲覧履歴の管理などを実際に試し、導入後のイメージを明確にしておくと安心です。また、サポート体制が整っているサービスであれば、操作に不安がある場合でも安心して検証を進められます。ミスマッチというリスクを避けるためにも、まずはお試しサポートを活用し、自社の業務にフィットするかどうかをしっかりと見極めましょう。

導入サポートがついているか

電子マニュアルを作ろうと思っても、どこから手をつければよいかわからない、作成に時間がかかって他の業務に影響が出る、といった課題も少なくありません。そんなときに役立つのが、ツールの提供会社による導入サポートです。
導入サポートの内容は、電子マニュアルに記載すべき業務内容の整理、具体的な操作方法、効果的な活用方法などのレクチャーなど、多岐にわたります。さらに、運用体制の整備や担当者の割り振りなど、定着に必要な知識に関するサポートを受けることも可能です。
導入サポートの有無によって、電子マニュアルをどれだけ活用できるかが変わってきます。信頼できるサポート体制が備えているかどうかは、ツール選びの重要なポイントのひとつです。

まとめ

紙と電子、それぞれのマニュアルには一長一短がありますが、継続的な改訂や全社共有が求められる時代には電子マニュアルのメリットが際立ちます。本記事で紹介したように、重要なのは「紙をそのまま置き換える」のではなく、電子化の特性を活かして使いやすいマニュアルを構築することです。Teachme Bizなら、画像や動画を活用したわかりやすいマニュアルを手軽に作成でき、常に最新の情報を共有できます。業務効率化や教育コスト削減を目指す方は、ぜひチェックしてみてください。

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