コスト削減のアイデアとは?事例を6つ挙げてご紹介!
会社を経営するために不可欠な人件費や通信費などの経費・コスト。いくら売上を伸ばしても、それ以上にコストがかかってしまうと利益率が下がり、収益力の弱い組織になってしまいます。そのため、コスト削減は会社にとって必要不可欠です。しかし、いざコスト削減しようと思っても、具体的に何をすればいいのかわからない場合も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではコスト削減に関する目的やポイント、さらに実際の事例もご紹介します。
そもそもコスト削減とは?
コスト削減に取り組むにあたり、そもそも「コスト」とは何を指すのでしょうか。
コストとは主に、会社を運営するために必要な費用のことです。人件費・賃料・水道光熱費など、以下に記すような目に見えるコストから、時間や社員同士のコミュニケーションなど目に見えないコストまで、会社を運営するためにはさまざまなコストが発生します。
- 事務用品・消耗品
- 水道光熱費・通信費
- 賃料
- 交通費
- 採用コスト
- 人件費 ...など
6つのコスト削減方法・アイデア
では、さまざまな場面で発生する6種類のコストを削減するには、どのような方法やアイデアが考えられるでしょうか。
1.離職防止から始める採用コスト削減
- 社内環境を整え、早期離職率を下げる
- 採用フローを見直す
- 社員紹介採用を行う
- 求人広告媒体を見直す
採用に手間と時間をかけたにもかかわらず、採用した人がすぐに辞めてしまうと、その人にかけた採用コストが無駄になってしまいます。離職率が高いままでは、さらにコストをかけて新たな人材を採用してはすぐに辞めてしまう悪循環に陥る恐れもあります。
採用コストを見直す際には、離職率を下げることを最優先にしましょう。離職率が高い場合は、何が離職の原因なのか、どうすれば早期離職を防止できるのか根本から見直す必要があります。
2.業務効率化による人件費削減
- 研修を効率化し、準備や実施の時間を短縮する
- 組織体制や業務フローを見直す
- システム導入によって作業時間を短縮する
- マニュアルを用いて業務効率化する
- 多能工化する
人件費を削るために安易に人員を削減するのは得策ではありません。システムやマニュアルを活用し、無駄な作業を削減して業務効率化を図ることで、残業や労働時間を見直しましょう。
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3.モノの無駄をなくして消耗品コストを削減
- 白黒印刷やペーパーレス化を進め、コピー・印刷費を削減する
- 事務用品・消耗品の管理方法を見直す
- 消耗品はなるべく安く買えるオンラインで購入する
物理的なコストとして、事務用品・消耗品は節約の意識を持ち、無駄にたくさん使わない、買わないようにすることで削減できます。中でも、ペーパーレス化を進めることは紙や印刷代の削減だけではなく、書類とじ器やのり、ペンなど事務用品の削減にもつながるため、ぜひ実行したい取り組みです。
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4.こまめな節電で水道光熱費・通信費を削減
- LED照明に交換する
- 使っていない部屋の電気はこまめに消す
- エアコンの使用時間を制限する
- テレワークの利用によってオフィスにいる人員を削減する
- 電力会社、プロバイダを見直す
水道光熱費は、水道を出しっぱなしにしない、電気をこまめに消す、使わない部屋のエアコンを切るなどのちょっとした工夫があれば、比較的容易に減らせます。また、通信費は利用プランを見直すことも有効です。つまり、このような固定費は必要最低限に抑え、無駄にたくさん使わないといった地道な取り組みが、コスト削減につながります。
エアコンや電気のスイッチ、コピー機などに注意喚起するポスターを貼り、従業員のコスト意識向上を図っていくのもよいでしょう。
5.オフィス賃料の再確認で固定費を削減
- 賃料の安いオフィスへ変更する
- テレワークの利用によってオフィスを縮小する
- シェアオフィスを利用する
固定費として高額になりがちなオフィスの賃料も、削減対象の候補になります。
昨今は、新型コロナウイルスの影響でテレワークの導入が進み、オフィスの縮小や契約を解除する企業が増えています。通常、業務をするのに何人オフィスに出社する必要があるのか、臨時でオフィスへ出勤しなければならないケースはあるのかどうか、テレワークでどこまで補えるのかなど、これを機にオフィスの必要性を再確認しましょう。
6.交通費や出張費を見直して人件費を削減
- 定期代を1か月定期ではなく3か月や6か月定期の代金にして支給する
- 最短・最安経路であるか確認を行う
- タクシー利用を制限する
- 出張の際は安い出張パックなどを利用する
- テレワークを利用する
テレワークは近年急速に広まり、安定した環境を整えられるようになってきています。テレワークを活用すれば、社員が通勤する際にかかる通勤交通費を削減できるでしょう。しかし、就業規則の通勤手当がテレワークに対応していない場合、通勤していないのに交通費を支払わなくてはいけなくなってしまう可能性があります。テレワークを導入する際には、就業規則もあわせて見直すことが必要です。
コスト削減の手順
コスト削減に取り組む際、とくに分析もせずやみくもに実施すると、効果を生まないばかりか労力や時間を無駄に使い、逆に効率が悪くなってしまいます。では、実際にどのような手順でコストを削減していけばよいのでしょうか。
現在の支出の洗い出し
現在、何にどれだけコストがかかっているのかを知らずにコスト削減は実現できません。そのため、日々の業務プロセスはもちろん、会社が経営していく中で発生するコストも含め、全ての支出を洗い出すことから始めましょう。
全コストをリストアップして可視化すると、これまでの慣習でなんとなく無駄に使っている項目を発見しやすくなります。すると、削減すべき対象がおのずと絞れるようになるのです。
得られる効果のシミュレーション
削減の対象をいくつかピックアップした後は、削減に取り組むことでどのような効果があるのかをシミュレーションします。
ただ基本的に、どの項目も取り組むには労力や時間がかかります。取り組みにかかるコストと得られる効果とを比較し、明らかに効果が上回ればコストをかけても取り組む価値があると考えられるでしょう。
また、シミュレーションすると、プラスの効果だけではなくマイナス面のリスクも同時に見えてきます。例えばCMなどの広告宣伝費を削減すると、認知度の低下や販売機会の損失といったリスクを想定できます。
このように、プラス面・マイナス面を総体的に見た上で、削減すべきかどうかを見極められることがシミュレーションのメリットです。
目標やプランの設定
シミュレーションによって削減すべき項目が決まったら、具体的に目標値を設定します。どの項目をいつまでに、どこまで削減するのか、タイムリミットを決めて現実的な目標を定めることがポイントです。
また、目標達成のためにどのような方法やプランを用いるのかについても明確にし、従業員へ周知徹底します。すると、全員が迷うことなく、一丸となってコスト削減に取り組めるでしょう。
プランの実行・改善
コスト削減のためのプランを一通り実行した後は、生まれた効果と当初の目標とを照らし合わせ、目標に達しなかった、あるいは効果として芳しくない項目については、その原因を探っていきます。
原因を分析した結果、より効果的に削減させるためのポイントが見つかれば、それに焦点を当てて改善していきましょう。コスト削減は一度きりで完了できるものではありません。分析と改善を繰り返すことで、より大きなコスト削減の効果を生み出せるようになります。
コスト削減のポイント
では、コスト削減に取り組む上で重要なポイントとは何でしょうか。
大きい効果が期待できるものから取り組む
取り組みの規模と成果は、必ずしも比例するとは限りません。目標を実現させるために、シミュレーション結果を見て、より大きな効果が期待できるものを優先的に実施するとよいでしょう。
とくに、水光熱費や賃料といった常時かかるランニングコストは、わずかな削減でも長期的に見れば大きな効果を及ぼす場合があるため、早めに取り組むのが得策です。
また、バックオフィス業務のように直接的な利益は生まないものの、固定費に関わる項目についてはアウトソーシングなど外部の専門家へ委託することで、人件費を抑えやすくなります。
PDCAサイクルを意識する
一度コスト削減を実施して効果が出ても、効果が持続しないことは往々にあります。そのため、PDCA(計画→実施→確認→改善)サイクルを常に回す仕組みづくりが大切です。
例えば月末、四半期末、年度末といった節目に、データによる効果の分析を行うとよいでしょう。また、分析の結果、効果が薄れてきていれば、どの項目をどう改善すればよいかを検討する機会や場を設けると、継続して高いコスト削減の効果を得られるようになります。
ムダ・ムラ・ムリをなくす
何気なく行っている業務をより効率化させたいときに注目すべきポイントが「ムダ・ムラ・ムリ」です。「ムダ・ムラ・ムリ」とは、本来は必要ないものに余分な労力や時間をかけてしまっている状態を指します。
とくに特定の従業員しか対応できないような、属人化された業務は「ムラ」であり、担当者の不在時や退職後には「ムリ」へと発展します。また、日々のルーティン作業は本来の目的を見失いがちで、実施することが目的化してしまうと「ムダ」が発生します。臨機応変な対応を求められる業務でも、人材や予算、時間をかけられなければ、現実的に「ムリ」になってしまうでしょう。
このように、従業員の作業量とキャパシティのバランスがとれているかを確認し、人員の配置や仕事の割り振り、目標設定などを適宜見直すことが重要です。
コスト削減を行う際の注意点
メリットの多いコスト削減ですが、取り組む際に注意すべき点もあります。
必要なコストまで削減しない
まず、削減する対象を決める際、目的を無視して効果だけに着目するとかえってコストを増大させる結果になりかねません。コスト削減の必要性だけでなく、業務を行う従業員全員が心身ともに健康的に働けるかどうかも含めて検討するようにします。
ある一部の部署に負担を強いたり、高すぎる削減目標を設定したりすると、従業員のモチベーションが低下し、業務効率も下がってしまいかねません。削減のために無理をさせた結果、不満から離職率が高まれば、前述した採用コストの増大という形で割に合わないコストを支払うことになる恐れがあります。
コスト削減は、会社が一丸となって取り組むべき課題です。効果だけではなく、一部の従業員のみに負担がかかるものではないかなどを確認した上で、対象や方法を検討しましょう。
手段と目的を混同しない
「何のためにコスト削減するのか」、目的を明確化することも注意すべき点です。コスト削減に取り組んでいると、それがいつしか目的化してしまうケースがよくあります。コスト削減とは本来、無駄を省いて業務効率化や利益増加を図り、ひいては従業員への還元や、将来にわたって自社を成長させることを目的とします。
経営層は、このような目標やビジョンを明確にし、全従業員に周知徹底していくことが重要なのです。なぜコスト削減に取り組むのかがはっきりすると、各取り組みに対する意識も上がり、成功しやすくなるでしょう。
マニュアルを用いたコスト削減の事例4選
実際にマニュアルを用いた人件費削減とはどのようなものなのか、具体的にどのように人件費を削減しているのか、Teachme Bizの導入事例を用いて紹介します。
離職を防ぐオンボーディングを実現
株式会社Phone Appli(IT・情報通信業 )
組織が拡大する中で、「質問しなければ業務が理解できない」といった状態に陥っていた同社では、新人社員のエンゲージメントは下がり、質問される側もフラストレーションがたまっていました。そこでこの問題を解決するため、簡単に検索できるマニュアルを導入したところ、疑問が生じたときに人に聞かなくてもその場で解決できるようになりました。早期離職を防ぐオンボーディングの実現に成功した良い事例です。
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ペーパーレスで消耗品コストを削減した例
株式会社富士薬品(卸売業・小売業)
同社では、A4の紙に印刷された530種類に及ぶマニュアルが存在していましたが、マニュアル作成・改訂における不便さ、検索性の悪さから現場では活用されず、不満の声が上がっていました。そこでTeachme Bizを利用することで、マニュアルを見る側、作る側ともに負担を軽減でき、紙のマニュアルを全てペーパーレス化できたのです。
結果として、紙のマニュアルを使用していたときに比べ、2,000万円のコスト削減を実現できました。
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500超のマニュアルをクラウド化、2,000万円のコストカットを実現
研修の効率化で育成コストを削減した例
株式会社ビッグ・エー(卸売業・小売業)
従業員が頻繁に入れ替わる現場では、新人研修に多くの時間がかかります。同社では、年間約1,000人の従業員が入れ替わる状況で、新人従業員が独り立ちするまでに14日間もかかっていました。しかし、Teachme Bizを用いたことにより、研修時間は10日間に短縮。年間16,000時間の研修時間が削減され、大幅なコストカットを実現しました。さらに、今まで誰に質問すればいいのかわからず困っていた従業員もマニュアルを検索することで簡単に疑問を解消できるようになりました。その結果、エンゲージメントが改善され、離職率の低下にもつながったのです。
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オンライン研修の活用で育成コストを削減した例
ビジュアルSOPマネジメントプラットフォーム「Teachme Biz」の開発・販売を行っている株式会社スタディストでは、コロナウイルスの影響により集合研修からオンライン研修へシフトしました。従来は業務手順書と反転学習を掛け合わせた集合研修で、2時間かけてレクチャーしていたところ、事前学習を徹底することで30分に短縮されました。またオンラインでの実施により、育成にかかるコストを大幅に削減できたのです。
>>詳しくはこちら
これらの事例からもわかるように、効果的な業務マニュアル手順書の作成・共有は、人件費削減のための有効な方法として期待できるでしょう。
その他の導入事例はこちらからご覧いただけます。
まとめ
「リストラ」を筆頭として嫌なイメージを持たれることが多いコスト削減ですが、会社を経営するためには避けては通れない重要な課題です。なぜコストを削減するのか、何を削減するべきなのかを検討し明確にすることで、社員の意識を変え、全員で協力してコスト削減を成功させましょう。
\Teachme Bizで効果的な人材教育を/
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