ビジネス用語解説

IT導入補助金とは?補助金の対象範囲と申請方法について

場所や時間に制限されない自由度の高い働き方として人気の高い「テレワーク」は、感染症対策においても社会的な貢献度が高く、導入する企業が増えています。テレワークを実施するためには、PCやインターネットの準備やITツールの導入など、業務環境の整備が必要です。

IT導入は費用的な負担も大きいことから、経済産業省では補助金制度の公募を行っています。今回は、中小企業や小規模事業者が積極的に活用したい「IT導入補助金」について、また補助金の対象範囲や申請方法について解説します。ITツールの導入によって、快適なテレワーク環境構築や生産性向上を実現しましょう。

IT導入補助金とは

具体的な申請方法を紹介する前に、まずは「IT導入補助金とは何か?」について簡単に解説します。

IT導入補助金とは、ITツールの導入による業務効率化や売上拡大を目的とした経産省の補助金制度です。中小企業、小規模事業者のソフトウェアやクラウドサービスなどのITツールの導入を支援する形で、最大450万円の補助が受けられます。この補助金は5つの種類に分かれており、それぞれ補助金額や補助率が異なるのが特徴です。

具体的な補助金申請額と補助率

種類別の具体的な補助金申請額と補助率は以下の通りになります。

IT導入補助金の種類
種類 申請額 補助率
通常枠 A類型 30万~150万円未満 1/2以内
B類型 150万~450万円以下 1/2以内
特別枠 C類型-1 30万~300万円未満 2/3以内
C類型-2 300万~450万円以下 2/3以内
D類型 30万~150万円以下 2/3以内

※横スワイプでご確認いただけます。

図のように、申請の目的や金額によってIT導入補助金の種類が異なる仕組みです。通常枠のA類型とB類型は、補助金の申請額が異なります。申請金額が30万~150万円未満であればA類型を選択し、申請金額が150万~450万円であればB類型になります。

通常枠とは別に設けられた「特別枠」とは、2021年度に新たに追加された「低感染リスクビジネス枠」のことです。コロナウイルスの感染拡大リスクを回避する目的で、非対面で業務を行う環境を整備するために設けられました。企業で感染対策を強化したいケースにおいては、特別枠の利用を検討しても良いでしょう。

IT導入補助金を受けるための条件

中小企業、小規模事業者が対象であるIT導入補助金は、誰でも受けられるわけではありません。補助対象となる条件が定められているため、自社が条件に該当するかどうかを確認しましょう。具体的な条件としては「資本金と従業員数が対象内であること」が条件です。

例えば、製造業、建設業、運輸業であれば資本の額又は出資の総額が3億円以下、従業員は常勤で300人以下と定められています。卸売業は資本金1億円以下、従業員100名以下です。小売業は資本金5000万円以下、従業員数50人以下と、業種・組織形態ごとに定められています。その他に飲食業、宿泊業、医療・介護、保育等も対象です。

注意点として、補助金申請額と補助率、補助金を受けられる条件などは、制度の改定や見直しなどに伴い変更される可能性もあります。そのため、IT導入補助金のより詳しい情報に関しては、「一般社団法人 サービスデザイン推進協議会」が運営するIT導入補助金のオフィシャルサイトをご確認ください。

参照:トップページ | IT導入補助金

IT導入補助金と持続化補助金の違い

IT導入補助金と同様に、小規模事業者を支援する補助金制度として知られる「持続化補助金」があります。それぞれの違いを端的に挙げれば、「補助金の目的」が異なるという点です。

わかりやすく言えば、IT導入補助金の目的が「ITツールの導入によって企業の業務効率化や売上向上、感染リスクの軽減」なのに対し持続化補助金が「小規模事業者が自ら作成した経営計画をもとに行う販路開拓や生産性向上、感染防止対策の支援」を目的としています。

持続化補助金の、具体的な補助金申請額と補助率は以下の通りです。

持続化補助金の種類
種類 補助額上限 補助率
一般型 50万円(単独申請) 2/3
500万円(共同申請) 2/3
低感染リスク型 100万円 3/4

※横スワイプでご確認いただけます。

小規模事業者持続化補助金についても、一般型と低感染リスク型が用意されています。一般型は店舗の改装やチラシ作成、広告掲載などが対象です。PCやタブレットなどのIT機器導入に対する補助はありませんので注意しましょう。低感染リスク型は、感染防止対策にかかる費用や、対人接触機会を目的としたテイクアウトやデリバリーのサービス導入、ECサイト構築の支援を目的としており、補助額は上限100万円、補助率は4分の3となっています。

同じ補助金制度として、IT導入補助金と持続化補助金は同一視されることもしばしばですが、違いを覚えておきましょう。持続化補助金の具体的な情報については、以下のオフィシャルサイトをご参照ください。

参照:持続化補助金とは | 経済産業省 中小企業庁

IT導入補助金の対象となるもの

IT導入補助金の対象は、「ソフトウェアやサービスといったITツール」です。対象となるものを具体的に紹介します。

  • パッケージソフトの本体価格
  • ミドルウェアのインストール費用
  • クラウドサービスの初期費用
  • クラウドサービスの1年分のサービス利用・ライセンス料
  • ITツール本体の費用、導入費用、初期費用
  • ITツールの研修、コンサル費用
  • ホームページ制作費用、1年分のWebサーバー利用料

ITツールは用途別に3つにわけられます。顧客と対面する「フロント業務」に使用するツール。原価や納期、品質などを管理しフロント業務を支える「ミドル業務」に使用するツール。会計や給与、勤怠管理などの「バックオフィス業務」に使用するツールがあります。このうち2つ以上のコア機能を含むITツールが補助の対象となります。

ちなみに、IT導入補助金ソフトウェアやサービスに対する補助金となるため、PC等のハードウェアの購入費は補助の対象外です。一方、特別枠の低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)は、ハードウェアレンタル費等が対象となります。また、IT導入補助金の対象となるツールは事務局の認定を受けたツールのみとなります。いずれにしても「すべてのIT機器が補助の対象ではない」という点を留意しておきましょう。

IT導入補助金でITツールを導入するメリットや効果

IT導入補助金は、ITツールの活用による生産性向上を目的としています。生産性向上は「限られた人員や時間でより大きな成果を獲得するための取り組み」です。人や時間といったリソースを使用する代わりにITツールを導入することで、以下のような様々なメリットを享受しやすくなります。

業務効率化

ITツールを活用する一番の効果は、なんといっても業務効率化です。例えば、取引先との契約内容や顧客との対応履歴を記録する「顧客管理ソフト」を導入すれば、営業活動の効率化に繋げやすくなります。このほか、従業員の給与計算や休暇管理などを担う「勤怠管理ソフト」であれば、人事や総務の業務負担を減らしやすくなります。IT導入補助金を利用する場合は、業務負担を緩和したい部署に合わせてITツールを選ぶのがおすすめです。

テレワークの推進

ITツールを活用するメリットはそれだけはありません。非対面化のためにテレワークへ移行するためにもITツールの導入は不可欠です。コミュニケーションに必要なWeb会議システムやチャット等のツール、出退勤や休暇申請を管理できる勤怠管理システムなどを用意する必要があります。その他にも、コミュニケーション不足を解消するための仮想オフィスやナレッジ共有のサービスなども人気が高まっています。

テレワーク環境が整えば、感染症対策として有効なだけではありません。災害や感染症蔓延など有事の際でも、通常通り業務を継続できるという点もメリットです。また、テレワークが可能になれば、これまで採用することができなかった人材を組織に迎えることができます。ITツールは、種類によって機能こそ異なりますが、働き方改革を企業で推し進める上では欠かせない存在です。

売上の向上

このほか、ITツールを活用することで売上の向上も期待できます。これはマーケティングツールや営業・販促ツール、顧客管理ツールなどを活用することで、顧客接点の増加、販促アプローチの改善などが期待できるためです。また、近年注目が高まっているRPA(ロボティックプロセスオートメーション)も、IT導入補助金を活用してツールを導入することができます。オフィス系のソフトで受発注の管理や在庫管理などを行っているのであれば、これを機にRPAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

以上、ITツールを導入するメリットや効果を紹介しました。飲食店や宿泊業、サロンなどを運営していれば、予約管理のシステムの導入で受付業務や管理業務が効率化できます。IT化やDXに着手できていない組織・業界であれば、なおさら積極的に活用したいものです。

ただし、売上の向上を見込んでITツールを導入するだけでは、不十分であるのも事実です。導入したツールは、「ツールを使いこなせる従業員」がいてこそ初めて真価を発揮します。とはいえ、従業員の働き方が変化しつつある現代では「人材をどのように育成していくか」に悩む企業担当者も少なくないでしょう。

オンライン時代の
人材育成の教科書とは?
資料のダウンロードはこちら

IT導入補助金の申請方法までの流れ

IT導入補助金の概要やメリットを紹介できたところで、IT導入補助金を活用するために必要な手続きや申請方法、流れを把握しておきましょう。まず、IT導入補助金の事業について理解を深めた上で、導入するツールを選定します。ツールの選定と合わせてIT導入補助金申請のための事前準備も合わせて進めておきましょう。具体的な導入手順は、以下のIT導入補助金のオフィシャルサイトに掲載されています。

参照:申請・手続きフロー | IT導入補助金

IT導入補助金のオフィシャルサイトで公開されている通り、申請までの準備物は法人と個人事業主で異なります。法人であれば履歴事項全部証明書、法人税の納税証明書、印鑑証明などが必要です。個人事業主であれば、運転免許証や住民票など、所得税の納税証明書、直近の所得税確定申告書、印鑑登録証明書などです。また、「gBizIDプライム」のアカウント取得と実施と、「SECURITY ACTION」の実施が必要になりますのでIT補助金の公式サイトから手続きを行いましょう。

導入するITツールが決まったら、交付申請を行います。その後、ツールを導入し、支払い実績のわかる領収書や契約書などとともに事業実績報告を行うと補助金が交付されます。交付申請時に立案した労働生産性の実績を報告するところまでが一連の流れとなります。

ITツールを選定する際には、労働生産性を高めるためにどんなツールを導入すべきかをしっかりと見極める必要があります。また、IT導入補助金の対象となるツールは事務局の認定を受けたもののみとなりますので、事前に確認しておきましょう。公式サイトには認定を受けたツールの一覧が掲載されています。しかし、あまり使い勝手が良くなく、必要なツールを見つけるのが難しいと感じるかもしれません。どのようなツールが適しているのかわからない場合は、IT導入支援事業者に相談することができ、交付申請や導入後の効果報告なども支援してくれる事業者もあります。

まとめ

IT導入補助金を活用することで、新たなITツールの導入の負担を軽減し積極的に導入することができるだけではありません。業態転換といった新たな取り組みへのチャンスや、テレワーク導入による大幅なコスト削減など大きな可能性を秘めています。近年、実に様々なITツールやクラウドサービスが開発されています。組織の生産性向上と働きやすい環境の構築を目指してITツールを活用しましょう。

Teachme Bizを運営する株式会社スタディストは、IT導入補助金の導入支援事業者ではないため、ツール導入を直接的に支援することはできかねますが、支援事業者登録をしているパートナー企業を通じて支援することが可能です。市町村の補助金などご自身で申請するものであれば対応可能な場合があります。

ITツールの導入・浸透のためには、使用方法やルールを分かりやすく全社に伝えるためのマニュアルが効果的です。Teachme Bizなら、簡単にマニュアルを作成できて即時配信することが可能です。必要な人にきちんとマニュアルを届けて閲覧を促す機能が備わっています。

5分で分かる
Teachme Bizの
サービス概要資料を

ダウンロードする