Word(ワード)でのマニュアル作成ガイド|手順やテンプレートを紹介
Word(ワード)は、文書作成ツールとして多くの人に利用されており、マニュアル作成にも使いやすい点が大きな魅力です。本記事では、初心者でも取り組みやすいマニュアルの作成手順や、構成のポイントをわかりやすく解説します。また、実際の業務で役立つテンプレートの紹介や、作成時に注意したい点についても紹介します。
目次
Word(ワード)での作成が向いているマニュアルの種類
Word(ワード)は、文章の構成やレイアウトを調整しやすく、印刷を前提とした文書作成に適しています。見出しや段落の整理が簡単にでき、スタイルも統一しやすいため、接客マニュアルや社内ポリシー、調理手順書など、文章が中心となるマニュアルに向いているでしょう。特に、業務の流れが複雑でない場合や、紙で配布したり掲示したりすることを考えている場合には、Wordを使うことで情報をわかりやすく整理でき、見やすいマニュアルを作成できます。
一方で、表やグラフなどの視覚的な要素が多く、複数の作業工程を管理したい場合には、Excel(エクセル)を活用するのが効果的です。Excelは、数値の集計や自動計算、シートごとの情報管理が得意です。例えば、進捗管理表や業務報告書など、データを見やすくまとめたり、視覚化したりする必要があるマニュアルにはExcelが適しています。
Excelを使ったマニュアル作成に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
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【手順】Wordでマニュアルを作成する方法
ここでは、マニュアル作成の基本的な準備から構成のポイントまで、初心者でも取り組みやすいように、手順をひとつずつわかりやすく解説します。
1. マニュアル化する業務と手順をリストアップする
マニュアルを作成する際の最初のステップは、対象となる業務の全体像をしっかりと把握し、それを具体的なタスクごとに丁寧に分けていくことです。業務の目的や手順、必要なツール、さらに現場で得られたノウハウなどを明確に整理することで、経験の有無に関係なく、誰でも迷わず作業を進められるマニュアルが作れます。
あらかじめ作業工程を細かく洗い出しておくことで、情報の抜けや漏れを防げるだけでなく、マニュアルを書く時の効率も大きく向上するでしょう。
2. 構成と見出し階層を設計する
次に、読み手が理解しやすいように、文章全体の構成を考えましょう。例えば、「概要→手順→注意点→トラブル対応」という順番で情報を並べると、全体の流れがわかりやすくなります。
また、階層的な見出しを設定し、目次や索引も取り入れることで、必要な情報を見つけやすくなります。見出しには、誰にでもわかるやさしい言葉を使い、専門用語や難しい表現はできるだけ避けることが大切です。
さらに、構成を考える時は、内容の時系列や重要度を意識して情報を配置すると、読み手の理解がより深まります。加えて、Wordの「スタイル」機能を使えば、フォントや文字サイズ、配置などの書式をまとめて管理できるため、見出しの統一や作業効率の向上、見た目が整ったマニュアルの作成が簡単にできます。
3. 手順をわかりやすく記述する
マニュアルを作成する際は、業務の具体的な手順を「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」といった5W1Hに沿って、わかりやすく書くことが重要です。専門用語はできるだけ使わず、やむを得ず使う場合は注釈を付けて、読む人が理解しやすいようにしましょう。
また、作業の理由もあわせて説明すると、内容への理解が深まり、応用力も身につきます。文章が長くなりすぎないように、箇条書きを活用して簡潔にまとめることも効果的です。
さらに、判断基準や締切、トラブルが起きた時の対応方法も明記しておくと、現場での混乱を防げます。統一されたフォーマットを使えば、マニュアル全体の見た目にも一貫性が生まれます。
4. 印刷・PDF配布を前提にレイアウト調整をする
印刷して配布することを前提に資料を作成する際は、視認性や内容の整合性を意識したレイアウトの最適化が大切です。例えば、余白や行間、フォントサイズを適切に調整することで、紙の資料でも読みやすくなるでしょう。
また、ヘッダーやフッターに日付・ページ番号・版数を記載しておくと、更新履歴の確認や資料の管理がしやすくなります。さらに、Wordの「改ページ」や「セクション区切り」機能を使えば、印刷を想定した章や節の整理ができるため、全体の構成もわかりやすくなります。
完成した資料はPDF形式で保存することで、レイアウトの崩れを防ぎ、改変されるリスクも抑えることが可能です。どの端末でも同じ表示にできるという点でも、PDFは内製マニュアルの運用において信頼性の高いファイル形式だといえます。
5. 現場からのフィードバックを受け定期的に更新する
マニュアルは一度作成して終わりではなく、現場の意見を取り入れながら継続的に改善していくことが大切です。完成した後は、実際に業務を担当する人や第三者にマニュアルを確認してもらい、使いやすさやわかりやすさをチェックしましょう。特に、業務に詳しい人とあまり詳しくない人の両方に見てもらうことで、さまざまな視点から改善点を見つけることができます。フィードバックは、アンケートや簡単なインタビュー形式で集めると効率的です。
集まった意見をもとに、マニュアルの内容をその都度更新するだけでなく、半年ごとや年ごとなど、定期的に見直すこともおすすめします。また、業務内容の変更や法律の改正があった場合には、すぐにマニュアルへ反映させることで、実用性を保つことが可能です。さらに、バージョン管理を行い、更新履歴を明確にしておくと、利用者からの信頼も高まります。
Wordでマニュアルを作成する時のポイント
ここでは、マニュアルの作成時に押さえておきたいポイントをご紹介します。
目次を設定して「構造化された文書」を作る
マニュアルをわかりやすく仕上げるためには、全体の構成がひと目でわかる「目次」を用意するのが効果的です。Wordでは、見出しスタイルを活用することで目次を自動的に作成でき、読み手が必要な情報にスムーズにたどり着けます。以下で、基本的な目次作成の手順を紹介します。
▼目次の挿入手順
1. 目次を挿入したい場所にカーソルを置く。
2. 「参考資料」タブの「目次」から、「自動作成の目次1」または「自動作成の目次2」を選ぶ。※「自動作成の目次1」や「自動作成の目次2」などから、好みのデザインを選択。
3. 内容を変更した場合は、「目次の更新」を行い、最新の情報を反映させる。
このように目次を活用すれば、長い文章でも必要な情報を簡単に探せるようになり、マニュアルの使いやすさが大きく向上します。
図形挿入で業務フローを視覚化する
業務プロセスを直感的に理解しやすくするためには、フローチャートを使って視覚的に表現する方法が効果的です。Wordの図形挿入機能を利用すれば、複雑な手順も整理して図にまとめることができ、業務全体の流れや各工程の役割をひと目で確認できます。
▼フローチャートの挿入手順
1. 「挿入」メニューから「図形」を選び、続いて「フローチャート」を選択する。
2. 使いたい図形を文書内に配置する。
3. 図形同士を線でつなぎ、各工程の関係を示す。
4. 図形を選択し、「テキストボックス」機能で文字を入力する。
さらに、図形の配置や色の調整、効果の追加を行うことで、見やすくわかりやすい業務マニュアルを作成できます。
画像・写真を入れて視認性を上げる
文章の見やすさを高めるためには、画像や写真をうまく使うことが大切です。文字だけでは伝わりにくい操作手順やポイントも、画像を使って視覚的に補足すると、読者が理解しやすくなります。ただし、画像が多すぎるとファイルサイズが大きくなり、動作が遅くなることがあるので注意しましょう。画像を挿入する手順は以下のとおりです。
▼画像挿入の手順
1. Wordのメニューから「挿入」タブをクリックする。
2. 「画像」をクリックし、画像が保存されている場所を選ぶ。
3. パソコン内から挿入したい画像(「このデバイス」や「オンライン画像」など)を選択する。
4.「挿入」ボタンを押す。
5. 画像のサイズや位置を調整する。
※4番「挿入」ボタンの横にある「▼」をクリックして「ファイルにリンク」を選択すると、画像を直接埋め込まずに外部ファイルとして参照表示できます。この方法ではWordファイルの容量は抑えられます。ただし、元の画像ファイルが移動または削除されるとリンク切れになり、画像が表示されなくなるため注意が必要です。
全体のデザイン・書式・フォントを統一する
マニュアルを作成する際は、全体のデザインや書式、フォントを統一することが重要です。工程ごとに見出しの色やフォントがバラバラだと、読む人が混乱しやすく、内容を理解しにくくなるためです。
そのため、「テーマ」や「スタイルセット」といった機能を使い、一括でデザインを変更できるようにすると作業が効率的になります。さらに、見出しの配置もそろえることで、見た目が整い、より読みやすくなります。これらのポイントを意識すれば、限られた予算やITリテラシーの範囲内でも、内製で質の高いマニュアルを作成できるでしょう。
見やすいマニュアルの作り方については、以下でも詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
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見やすいマニュアルの作り方|8つのワザで視覚的にわかりやすく
Wordでマニュアルを作成するメリット
Wordを使ってマニュアルを作成すると、次のようなメリットがあります。
文章作成の補助機能が充実している
Wordには、誤字脱字や文法ミスを自動でチェックする校正機能のほか、目次の自動作成や引用文献の一元管理、ページ番号の自動設定など、長文の作成をサポートする多くの機能が備わっています。これらの機能を活用すれば、文書の構成や内容の一貫性を保ちながら、正確かつ効率的にマニュアルを作成できます。
特に、社内規定や業務手順のように構成が複雑で情報量の多いドキュメントでも、手作業の負担を減らしつつ、必要な情報をわかりやすく整理して提示できる点は大きなメリットです。
印刷を前提とした調整がしやすい
Wordで作成するマニュアルは、印刷を前提とした調整がしやすいことが大きな特徴です。例えば、用紙サイズや余白、フォントの種類や大きさなどの基本設定から、ヘッダーやフッター、ページ番号の挿入まで、さまざまな項目を柔軟にカスタマイズできます。そのため、目的に合わせて印刷レイアウトを簡単に整えることが可能です。
また、印刷プレビュー機能を使えば、実際の仕上がりを事前に確認できるので、印刷ミスややり直しを防ぐことができます。さらに、完成したマニュアルはすぐに紙として出力できるため、現場で配布したり掲示したりと、実務での活用もスムーズです。特別なソフトや高度なスキルがなくても扱いやすいため、マニュアルを自社で整備したい企業にとって、Wordは頼りになるツールといえるでしょう。
ファイルの容量が軽い
テキストを中心としているため、容量が比較的少なく済むのも特徴のひとつです。また、多くの図や写真を含む資料でも、画像を直接挿入せず、「ファイルにリンク」を選べば、外部参照として管理でき、Wordファイルの容量を抑えられます。
容量の小さいファイルはメールに添付したり、オンラインストレージで共有したりする際にも手間がかからず、関係者との情報共有がよりスムーズに進みます。ただし、リンクされた元の画像ファイルが移動または削除されると表示されなくなるため、Wordファイルと同じフォルダで管理するなど、リンク切れを防ぐ工夫が必要です。
Wordでマニュアルを作成する際の注意点
Wordでマニュアルを作成する際は、ただ文章を入力するだけでは不十分です。読み手にとってわかりやすく、運用しやすい文書にするための工夫や注意点を、以下で詳しく解説します。
スマホなどの端末からだと読み書きがしづらい
Wordは、もともとパソコンでの利用を前提に作られているため、スマホやタブレットで使うと表示が崩れたり、動作が重くなったりしやすいという問題があります。また、書式設定を含む編集作業も、モバイル端末では操作が難しくなるでしょう。画面が小さいことで見やすさが下がり、タッチ操作による誤操作のリスクも高まります。さらに、モバイル端末で編集機能を使うには、専用アプリのインストールやMicrosoft 365の有料ライセンスが必要になる場合もあり、使い勝手が悪くなることがあります。
このような理由から、現場作業や外出先での利用が多い職種にはあまり向いていません。そのため、すべての業務にマニュアルを浸透させたい場合には課題が残ります。一方で、閲覧専用として使う場合は、例えばPDF形式に変換して共有するなどの工夫を行えば実用可能です。
リアルタイムでの共有・編集ができない
Wordは、リアルタイムで複数人が同時に編集する作業にはあまり向いていません。そのため、共同作業を行う場合、バージョン管理が複雑になりやすいという問題があります。
また、マニュアルの内容を更新してもすぐに全員に反映されず、別のファイルが増えてしまうことで、どれが最新の情報なのかわかりにくくなります。こうした状況では、情報の食い違いや混乱が起こりやすくなるでしょう。
バージョン管理に手間がかかる
マニュアルのバージョン管理は、多くの企業にとって大きな悩みのひとつです。特に、Wordで作成されたマニュアルの場合、更新するたびに新しいファイルとして保存しなければならず、過去のバージョンとの比較や整理が複雑になりやすいという問題があります。
また、誰がいつどの部分を変更したのかを正確に把握するのは難しく、その結果、誤った情報が社内で共有されてしまうリスクも高まります。
情報へのアクセス性が悪い
マニュアルをWordなどで作成すると、ひとつのマニュアルごとにファイルが分かれてしまうため、膨大な数のファイルを管理しなければなりません。また、ファイル名だけでは中身がわかりにくいため、必要な情報を探すたびにファイルを開いて確認する手間がかかります。さらに、検索機能は各ファイルの中でしか使えないため、関連する情報をまとめて探すことが難しくなります。
このように、情報へのアクセスがしづらい状況は、現場の社員にとって大きな負担となり、業務効率の低下につながるでしょう。
大きな画像・グラフの挿入が難しい
Wordでは、高解像度の画像や複雑なグラフを挿入すると、ファイルの容量が大きくなり、動作が重くなることがあります。また、ページをまたぐような大きな表を配置すると、レイアウトが崩れやすくなるため、配置方法に工夫が必要です。
さらに、横向きのレイアウトに変更しても表示できるサイズには限りがあるため、図や表が小さくなって見づらくなる場合があります。このような制約があるため、特に大きな表や複数の図を含むマニュアルをWordで作成する際は、レイアウトやフォーマットの調整に多くの手間がかかり、作業効率が下がる可能性があります。
Word特有の機能や制限を理解する必要がある
Wordには独自の書式設定や段落の動きがあり、これらの仕様を正しく理解していないと、思わぬレイアウトの崩れや見づらい表示が起こることがあります。特に、インデントや改行の使い方に慣れていない場合、思い通りのデザインに整えるまでに時間がかかり、その結果、マニュアル作成の効率が下がることも考えられます。
さらに、作成した文書を他のソフトに変換した際に書式が崩れるなど、互換性の問題が発生するリスクもあります。そのため、マニュアルを自社で作成する場合は、Word特有の機能や制限をしっかり理解し、体裁を統一して作業効率を高めることが大切です。
マニュアル作成で使用できるテンプレート
MicrosoftのWordやExcelには、業務マニュアルやチェックリスト、操作手順書などに使える多彩なテンプレートがそろっています。レイアウトや構成があらかじめ整っているため、フォーマットに悩まず作成作業に集中できるのが魅力です。用途に応じてテンプレートを選べば、初めてのマニュアル作成でも効率よく形にできます。
テンプレート活用のコツや、さらに詳しい作成手順については以下の記事で紹介しています。
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【保存版】誰でも簡単に業務マニュアルが作成できるテンプレート集をご紹介
Teachme Bizの活用で、マニュアル作成時間と手間を大幅削減!
多くの企業が業務マニュアルをWordで作成していますが、「作成に時間がかかる」「見づらく、更新もしにくい」といった課題を感じている現場も少なくありません。そこで、こうした問題を解決する方法として、誰でも簡単に使える「Teachme Biz」が注目されています。
場所・人を問わず、作成・修正・閲覧ができる
Teachme Bizは、パソコンだけでなく、スマホやタブレットからも簡単にマニュアルを作成・修正できるサービスです。そのため、場所や時間を選ばずに活用できます。また、テンプレートや動画挿入機能が用意されているので、専門的な知識がなくても、短時間で見やすくわかりやすいマニュアルを作ることが可能です。
さらに、常に最新の情報を共有できるため、現場での活用が進み、「作ったマニュアルが使われない」といった課題の解決にもつながります。加えて、複数の端末から同時に同じマニュアルへアクセスできるため、チームでの情報共有もスムーズに行えるでしょう。これらの特徴は、自社内で効率よくマニュアルを作成したいというニーズに応えています。
マニュアル共有が自動化できる
Teachme Bizを使うことで、マニュアルの共有作業を効率よく自動化できます。作成したマニュアルはクラウド上に安全に保存され、完成すると自動で通知が届くため、作成者が個別に連絡する手間がかかりません。
また、アカウントごとに閲覧や編集の権限を細かく設定できるので、部署や役割ごとに適切な情報管理が行えます。こうした仕組みにより、社内でマニュアルを作成する現場でも、部署間や外部委託先との共有がスムーズになり、セキュリティ面の不安も減らせます。
まとめ
Wordはマニュアル作成に広く使われているツールですが、共有のしにくさや更新の手間、使用できる端末の制限といった課題も抱えています。そうした課題を補う手段として、有力なのがTeachme Bizです。
Teachme Bizは、視認性の高いテンプレートや動画機能、スマホ対応といった機能を備えており、マニュアルの共有や更新も簡単に行えます。こうした機能のおかげで現場の作業が効率化され、特にマニュアルを自社で整備したいと考える方にとっては心強いサポートとなるでしょう。