生産性向上

生産性の意味とは?詳しい計算方法から生産性の高い企業の特徴まで分かりやすく解説!

生産性という言葉は、働き方改革や業務改善の際によく使われるため耳にしたり使ったりする機会が多くなってきました。しかし、よく使う言葉だからこそ、正しい意味を理解せずになんとなく使ってしまっている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は生産性について、生産性の定義から生産性分析の方法や詳しい計算方法、生産性の高い企業の特徴までご紹介します。ぜひ、生産性の見直しの際にお役立てください。

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生産性向上とはどういう意味? 企業が実施できる7 個の対策方法

生産性とは?


よく耳にする生産性という言葉ですが、皆さんはその言葉の意味をご存じでしょうか?生産性は高い方が良い、低いと良くない、というのは直感的に分かります。しかし、何をもって生産性が高いというのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。生産性を高くするためには、まず生産性の言葉の定義についてしっかりと理解をする必要があります。まずは生産性の定義とその重要性について解説します。

生産性の定義

どんな生産活動を行う際にも必ず「生産要素」が必要となります。生産要素とは、従業員の労働力、機械設備やIT機器などの資本、土地をはじめ、原材料や企業者能力など、企業が生産活動を行う際に投入する資源のことを指し、生産性とは生産活動を行う際に投入したそれらの生産要素に対して得られた成果物の割合のことを指します。ここでいう成果物とは生産活動によって得られた利益や付加価値、生産物などのことを示します。
少ない生産要素から多くの成果物を生み出せるということは、より生産要素を効率的に利用できていることとなり、生産性が高いと表現できます。

例えば、A店では毎日5人で1日100杯のラーメンを売り、B店では毎日4人で100杯売っているとします。この場合、投入した生産要素を店員数、得られた成果物を一日の販売数とするとA店の生産性は20(杯/人)、B店の生産性は25(杯/人)となり、B店の方が生産性が高いと表現することができます。

このように、生産性はただの概念ではなく数値として比較することができます。単純に考えると、得られる成果物を多くするか、投入する生産要素を少なくすることで生産性を高めることができます。

生産性の重要性

生産性を高めると、より少ない生産要素で効率的に利益を生み出せるようになります。そのため、生産性はどの国のどの企業においても重要度の高い経営課題になっています。
その上、今後日本は少子高齢化と人口減少に伴い労働人口の減少が予想されるため、国内企業にとっては事業を存続、発展させるために生産性がより重要になります。

出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」(平成30年9月)

総務省統計局の労働力調査(2019年)によると2019年の労働力人口は2018年に比べ56万人増加し、7年連続で増加しています。このデータだけを見ると労働人口の減少を心配する必要がないように思えますが、経済産業省(平成30年)の発表資料によると2050年に日本の人口は約1億人まで減少し、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)比率の減少がより一層加速することが予測されています。労働人口は生産年齢人口から非労働力人口(労働能力を持たない人の数)を引いて計算されるため、生産年齢人口の減少に伴い労働人口が減少し、人手不足がより一層深刻な問題になることが予想されます。生産性が低いと人手不足になった際に有効に利益が生み出せず、事業の存続や発展が厳しくなるため、企業の今後を考える上で生産性は避けては通れない重要な課題となるでしょう。

生産性の主な種類

生産性と一言で言っても、様々な種類があります。その中でも、よく使われる労働生産性、人時生産性、資本生産性、全要素生産性の4つをご紹介します。

労働生産性

労働生産性とは、労働者数または労働時間に対して生産される成果物の割合を示したものになります。企業において生産性というと、労働生産性を指す場合が多く、よく使われる生産性です。労働生産性を求めることで、労働者1人あたり(または労働1時間あたり)どれくらい成果物に貢献しているのか、どれくらいの利益を生み出しているのかを可視化することができます。

人時生産性

人時生産性(にんじせいさんせい)とは、従業員1人が1時間当たりに生み出した成果物の割合を示したものになります。人時生産性が高いと短時間で効率的に利益を生み出していることになるため、競争力を高めるうえで重要な生産性です。労働生産性と似ているため混同されやすいですが、人時生産性は投入した生産要素が従業員の総労働時間であり、従業員1人の1時間当たりの成果物を示しているため、より限定的な意味をもっています。その点、労働生産性は労働力に対して広義な意味の生産性とも言えます。

資本生産性

資本生産性とは資本(機械設備や土地など)1単位に対して生み出された付加価値額の割合を示したものになります。こちらは労働生産性とは異なり、資本1単位あたりの値をだすため、保有している資本がどれだけ利益に役立てられているのかを可視化することができます。計算方法は、一般的に資本への投資額に対する成果物の値で表されます。稼働率や利用頻度を上げることにより成果物も多くなるため、稼働率や利用頻度を上げることで資本生産性を向上させられます。

全要素生産性(TFP)

全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)は労働や資産を含む投入した全ての要素に対して得られた成果物の割合を示すものになります。通常、労働人数や資本量などの全ての要素を数値化して計算することはできないため、全体の生産量の変化率から労働や資本の変化率を引くことで全要素生産性の増減を求めます。分析する際に使用する全要素生産性の値の具体的な求め方は、生産性分析の指標紹介にてご紹介します。

生産性分析とは?


生産性を見直す際には、ただ生産性について理解するだけではなく実際に生産性分析をする必要があります。そこでまずは生産性分析とは何を示すのか、生産性分析のメリットとは何か説明します。

生産性分析

生産性分析とは財務管理の一つであり、投入した資源がどのようにして付加価値を生み出したのかを分析することです。生産性分析では主に、物的生産性、付加価値生産性、全要素生産性の3つ指標を用いて分析を行います。分析に用いる指標と生産性の種類によって生産性の値が大きく変わるため、どの指標を用いるのか、どの生産性について分析するのかを明確にしなくてはいけません。

生産性分析のメリット

生産性分析を行うことにより、生産性の現状を可視化できるようになるため、生産性の到達目標を掲げやすくなります。また、目に見える形で一人一人の成果や、生産性向上のための施策の効果がわかると従業員のモチベーションアップにもつながるため、生産性分析に取り組むことで全体の士気を高めることができます。

生産性分析の主な指標と計算方法

生産性分析は基本的に生産性の定義でもご紹介した以下の式で計算します。


生産性分析では上記の式の「得られた成果物」の部分や「投入した要素」を目的に合わせて適切に設定することで分析を行います。その際に使う主な指標が物的生産性、付加価値生産性、全要素生産性の3つです。この3つの指標についてそれぞれの指標の意味と計算方法をご紹介します。

物的生産性

物的生産性とは、生産した量や大きさ、重さなど物理的に計測可能なものを成果物として計算する生産性です。労働者数や労働時間に対する物的生産性は、物的労働生産性と表現します。物的生産性を求めることで、投入した生産要素1つあたりの生産量や生産数を求めることができます。物的生産性は、製造業では特に用いられることの多い指標です。

付加価値生産性

付加価値生産性とは、生産額(売上高)から原材料費や外注加工費など外部から購入した費用を除いた付加価値を成果物として計算する生産性です。付加価値生産性は、付加価値額を投入した生産要素で割ることで計算できます。

全要素生産性(TFP)

全要素生産性とは、付加価値生産性に資本データを加味して計算したものです。ここでは、分析を行う際に用いる計算方法をご紹介します。計算は物的生産性や付加価値生産性に比べて複雑になりますが、技術革新や経営戦略など広義な意味での生産性について分析することができます。

上記の式を用いることにより全要素生産性を求めることができます。指数で表されたαと(1-α)は、それぞれ労働分配率と資本分配率を表しており、分析する際に重要度に合わせて任意に設定することで全要素生産性を求めます。労働者や資本の投入量を増やしていないのにも関わらず得られた成果物が上がった場合は、技術革新やイノベーションなどの外的要因によるものの可能性が高いため、全要素生産性の向上から技術革新やイノベーションなどの外的要因を得ることができます。

生産性の高い企業と低い企業の違いとは?


ここまで生産性とその分析方法について説明してきましたが、生産性の高さは事業規模や業種によって異なります。そこで、生産性の高い企業と低い企業についてどのような違いがあるのかをご紹介します。自分たちの企業は他の企業に比べて生産性にどのような特徴があるのかを理解し、生産性の到達目標を立てる際に参考にしてみてください。

中小企業と大企業の違い


出典:経済産業省「中小企業・小規模事業者の生産性向上について(平成29年10月)」

労働生産性という観点において中小企業と大企業ではそれらは大きく違います。一般的に大企業は中小企業に比べてITツールの導入や設備投資などの成長投資がしやすく、最先端の技術を取り入れることができます。そのため、労働生産性は技術革新と共に上がる傾向があります。一方で中小企業は大企業に比べて資本装備率が低く、最新の機械を取り入れるのが難しいため、生産性の向上が難しいという問題があります。中小企業でも、労働生産性の高い企業は存在しますが、それらの企業は成長投資を多くしているという特徴があります。成長投資を行うと一時的に資本生産性は下がりますが、最先端の技術を取り入れることができるため、労働生産性があがり結果的に全要素生産性も上がります。

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業種による違い

生産性は業種によっても異なります。業種には大きく分けて資本集約型と労働集約型と知識集約型の3つがあります。
資本集約型とは、多くの業務を労働力よりも資本設備に依存する産業のことで、ガス産業や不動産業などが当てはまります。一方で労働集約型は業務を労働力に依存する産業のことで、サービス業や流通業が当てはまります。また、最近急成長している知識集約型は情報通信業やコンサルタント業などの業務を人間の知的労働に依存する産業を指します。

生産性の観点から業種の特徴を比べると、資本が少なくても効率的に利益を生み出せる知識集約型の情報通信業や、資本は必要ですが少ない人数でも効果的に売上を生み出せる資本集約型の不動産業などは、生産性が高い傾向にあります。一方でサービス業などの労働集約型の業種では、常に多くの人員を確保する必要があるため、1人当たりの付加価値額は低く、生産性が低くなる傾向にあります。このように業種によって生産性の高さは異なるため、生産性の到達目標を掲げる際にはできるだけ同じ条件の業種を参考にしてください。

まとめ

今回は生産性について、その定義から分析方法、生産性の高い企業の特徴についてご紹介しました。一言で「生産性」といっても複数の種類があるため、意味はさまざまです。生産性について考えるときは、どの生産性をどの分析指標を用いて分析するのか明確にした上で、到達目標を掲げましょう。生産性についての理解を深めたら、生産性の向上に取り組み始めてはいかがでしょうか?生産性向上の対策方法は以下の記事に記載しておりますので、合わせてぜひご覧ください。

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