BCP対策とは?効果的な策定方法や対策事例を紹介!

公開日: 2022.09.13

BCP対策とは?

企業が事業を継続する中で、イレギュラーな事態に遭遇するケースはいくつも考えられます。いざそのようなシーンに直面したとき、適切な対応をしないと組織を窮地に立たせかねません。BCP対策は、このようなリスクを軽減するための取り組みです。本記事では、BCP対策の概要や効果的な策定方法、事例などをご紹介します。

BCP対策(事業継続計画)とは?

BCPとは「Business Continuity Plan」の略であり、日本語では「事業継続計画」と訳されます。自然災害や戦争、テロ、パンデミック、システム障害などの非常事態が発生したとき、組織へのダメージを最小限にとどめ、少しでも早く事業を再開するための計画です。

BCP対策では、人的資源や施設・設備、資金、データなどのカテゴリごとに、介在するリスクや必要なもの、行動の指針などを策定します。カテゴリごとに想定されるリスクや、具体的に取るべき行動などをあらかじめ決めておくことで、非常時に組織を守れます。

近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しました。新型コロナウイルスの世界的な流行をはじめ、大国による争いや領土問題をめぐる諍いなどが生じ、いつ企業が窮地に立たされるかわかりません。

緊急事態にどのような行動を取るべきかあらかじめ決めておかないと、いたずらにダメージを受け、事業継続が危うくなるおそれがあります。このようなリスクを避け、企業として存続するために適切なBCP対策が求められます。

BCM、防災との違い

BCMは「Business Continuity Management」の略であり、日本語では「事業継続マネジメント」と訳されます。BCPが事業継続の計画そのものを指すのに対し、BCMはその計画を組織へ浸透させ、正しく機能するようマネジメントすることが目的です。

適切にBCPを策定していても、組織に浸透していなければ、いざというときに機能しません。このような事態を避けるべく、BCPが正しく機能するよう組織全体へ浸透させる取り組みが求められます。

一方、防災は災害による被害を防ぐ、もしくは最小限にとどめるための取り組みです。自然災害の発生は防げませんが、被害の拡大を食い止めることは可能です。BCPと防災の違いは目的であり、前者が事業継続を目的としているのに対し、後者は災害による人や資産への被害拡大を防ぐことに重きを置いています。

BCP対策が注目される背景

従来、日本企業では災害や感染症の拡大といった非常事態に対し、個別で対応するケースがほとんどでした。このような対策でも自社の復旧は可能ですが、事業を継続できるかどうかは別問題です。

たとえば、早期に業務を再開できる体制を整えたとしても、取引先が壊滅的なダメージを受けたとなるとどうでしょうか。ビジネスに深く関わる取引先であれば、自社の事業継続に大きな影響を及ぼします。このようなリスクに対応するため、BCPが重視されています。

BCP対策の目的

BCP対策の目的は、自社の事業を守ることです。事業を守ることが、ひいては組織と従業員を守ることにもつながります。また、適切なBCP対策により企業のイメージアップにつながるほか、経営戦略にも役立てられます。

事業を守る

事業を守るとは、組織を守ることと同義です。企業の目的は、事業により利益を得ることです。すなわち、事業を守れないのは企業としての価値を失うこと、といっても過言ではありません。

繰り返しにはなりますが、BCP最大の目的は事業継続です。非常事態に陥った際に適切な行動を起こせる体制を整え、組織の瓦解や事業縮小を回避することが目的です。

しっかりとBCPを策定しておけば、緊急事態にも慌てることなく対処でき、組織を守ることにつながります。反対に、計画が曖昧であったり、機能していなかったりすると、スムーズに事業を再開できず、むしろ被害が拡大してしまう可能性もあります。

経営戦略に役立てる

BCP策定においては、優先的に復旧すべき事業を検討します。イレギュラーな事態が発生したとき、すべての事業を存続できるとは限りません。場合によっては、一部の事業を切り離さなくてはならない可能性もあります。

あらかじめ優先的に存続させる事業を決めておけば、いざというときに慌てずに済みます。また、優先する事業を検討するプロセスにおいて、今まではあまり目に見えていなかった重要な事業・業務が見えてきます。

これがきちんとできていないと、重要度の低い業務を優先的に復旧してしまい、真に重要な業務の再開が遅れてしまうおそれがあります。検討の過程で優先順位をつけて選定しておけば、このようなリスクを回避できます。

企業価値を高める

BCP対策に力を入れることで、企業価値が高まりイメージアップにつながります。適切な対策を行っている企業であれば、緊急事態に陥ってもスムーズに事業を再開し、消費者や取引先に与える影響も最小限にとどめられるためです。

誰もが簡単にあらゆる情報を入手できる現代では、消費者の目が以前にも増して厳しくなっています。イレギュラーな事態が発生したとき、すぐに商品やサービスの供給がストップしてしまう企業と、速やかに事業を再開できる企業とでは、消費者はどちらを信頼するでしょうか。

非常時でも速やかに事業を再開し、安定した経営を行う企業は、取引先からも大きな信頼を得られます。末永く良好な協力体制を築け、経営の安定化にもつながります。

BCP対策はマニュアル化が重要

緊急時に適切かつ速やかな対応を行うには、マニュアル化が必須です。きちんとマニュアル化したうえで内容を組織内で共有すれば、いざというときスムーズに対応できます。

BCPで策定すべきことは多々あります。災害が発生したとき何が必要なのか、どのように従業員を守るのか、設備の扱いはどうするのかなど、さまざまなことを決めなくてはなりません。

これらを頭の中だけで覚えておくことは困難です。緊急時に取るべき行動は、従業員全員が知っておくべきことであり、上層部だけ理解できていても意味がありません。きちんとマニュアル化し、全従業員が閲覧できる状態にしておくことが大切です。

なお、BCPの対策マニュアルと災害対策マニュアルは、似ているようで内容はそれぞれ異なります。災害対策マニュアルは、あくまで災害時における具体的な対処方法などを記したコンテンツです。一方、BCP対策マニュアルは事業継続に焦点を当てており、取引先と連絡が取れないときの対処などについても記載されます。

BCP対策のマニュアルの種類

企業の事業継続を脅かす存在は多々あります。地震や水害、強風などの自然災害をはじめ、バイトテロや社員による情報漏えいといった内的要因、サイバー攻撃やテロなどの外的要因が挙げられます。

自然災害

日本は、自然災害が比較的多い国です。台風や地震などが発生し、甚大な被害をもたらすことも少なくありません。そのため、自然災害に備えるマニュアルの作成は事業継続の観点から重要です。

自然災害への対策マニュアルに記載する内容として、従業員の避難方法が挙げられます。大規模な地震が発生したときなど、どこへ避難するのか具体的な場所を記していないと、従業員が犠牲になってしまうかもしれません。

また、安否確認の方法も記載すべき内容です。落ち合う場所や情報の発信方法、安否確認システムを導入しているのなら使い方なども記載しましょう。

業務がストップしたあとの復旧方法も記載しなくてはなりません。どのタイミングで復旧するのか、その指示は誰に仰ぐのかなども記載しておくと安心です。ほかにも、従業員の連絡先リストや、優先的に連絡すべき順位なども該当します。

内的要因

内的要因とは、組織内部からもたらされる危機です。たとえば、バイトテロや従業員による情報漏えい、役員の不祥事などが該当します。

バイトテロや情報漏えいが発生すると、社会的な信頼の失墜につながりかねません。消費者はもちろん取引先の信頼も失い、事業継続が難しくなる可能性があります。そのため、このような事態に備えたマニュアルの整備も必須です。

マニュアルには、謝罪文に記載すべき内容やテンプレートなどを記載します。不祥事を起こしたときは速やかに対処する必要があるため、これらの内容は必ず記載しておきましょう。また、記者会見を開くときの手順も決めておくと、いざというときスムーズです。

不祥事をきっかけに、従業員が大量に離職してしまうかもしれません。このような事態も想定し、マニュアルに対処方法を記載しておくべきです。優先的に取り組むべき業務や、一時的な対処として人材をどこから確保するのか、といった内容が該当します。

外的要因

企業を窮地に立たせる可能性がある外的要因として、サイバー攻撃が挙げられます。サイバー攻撃を受けると、システムの不具合やデータの消失などを引き起こすおそれがあるため、データの復旧方法をはじめとした具体的な対処を決めておかねばなりません。

サイバー攻撃により、既存システムが使えなくなる可能性もあります。そのままでは業務を遂行できず、機会損失も発生します。マニュアルには、既存システムやIT機器が使えなくなったとき何で代用するのか、どのように使うのかなどを記載しておきましょう。

また、仕入れ先の倒産やテロといった外的要因への備えも必要です。仕入れ先が倒産すると、商品の仕入れが難しくなり、顧客や取引先に迷惑をかけてしまいます。そのような事態が発生したとき、社外の関係者や顧客へどのように説明するのか、誰が担当するのかなどを決めておきましょう。

BCP対策の効果的な策定方法

BCP対策の策定を行き当たりばったりで進めるのは非効率です。また、いざというときにBCPが機能せず、被害が拡大してしまうおそれもあるため、正しく策定を進めていきましょう。

1. プロジェクトチームの編成

BCP対策の策定は、プロジェクトチームを立ち上げたうえで進めます。基本的には、組織を構成する各部門から選定したメンバーをチームに加えて編成します。

BCPの目的は組織としての事業継続であるため、メンバーが特定部門に偏ってしまうのはリスキーです。企業における事業は、複数部門を横断しているケースが多いためです。組織全体で非常時の対策を決めなくてはならないため、複数部門からメンバーを招集しましょう。

スムーズにBCP策定を進めるには、マネジメントを担う事務局も必要です。進捗状況のチェックをしつつ進めなくてはならないため、組織全体の事務や業務に深く関わる総務部を事務局として、取り組みを進めるケースが多く見受けられます。

2. 自社の中核事業を特定

中核事業とは、企業活動における中核をなす事業のことです。事業の遅延や停止により、組織が窮地に立たされる可能性がある事業を指します。

そのためBCP策定においては、自社の中核事業を特定しなくてはなりません。中核事業は組織が優先的に守るべき事業であり、可能な限り早期に復旧すべき事業でもあります。

いくつもの事業を同時に進めている大企業であれば、中核事業の特定は難しいかもしれません。売上や顧客関係はもちろん、企業価値の維持に必要な事業はどれなのかなど、多角的な検討が求められます。

3. 中核事業が受けるリスクや被害の想定

中核事業が受けるリスクや被害を想定しておかないと、適切な対処ができません。自然災害やサイバー攻撃、システムの不具合、内部からの情報漏えいなど、考えられるリスクを丁寧にリストアップしましょう。

また、非常時にどの程度の被害を受けるのかも想定しておく必要があります。被害状況によって、取るべき対処が異なるためです。

このプロセスで、耐えられる状況とそうでない状況がはっきりします。そのうえで、耐えられないケースにおける具体的な対処を考えなくてはなりません。

4. 復旧時間の予測

事業復旧の遅れは、組織としての存続に関わります。復旧に費やす時間が多すぎると、顧客や取引先からの信頼を失い、事業継続が困難になるかもしれません。そのため、復旧時間の予測は、BCPにおいて重要なウエイトを占めます。

復旧時間の目標を立てるときは、取引先との協議も必要です。自社が掲げた復旧時間目標と、取引先が求める復旧時間に大きな差異があるかもしれません。どれくらいの時間なら問題ないのかを確認しておくことで、信頼の失墜を防げます。

中核事業がストップした場合、取引先に多大な迷惑をかけるおそれがあります。それだけでなく、違約金の支払いが発生し、経営を圧迫してしまうかもしれません。状況が長引くほど補填すべき損失も大きくなり、どんどん状況が悪くなる可能性もあるため、スピーディーな復旧が求められます。

5. BCPの文書化

策定したBCPは、きちんと文書化しましょう。口頭で決めただけでは、いざというときBCPが機能せず、いたずらに被害を拡大させるおそれがあります。また、文書化されていないと引き継ぎも難しくなるため注意が必要です。

文書には、行動レベルまできちんと落とし込むことが大切です。非常時において、具体的にどのような行動を取ればよいのかわからないと、正しく機能しません。また、指揮命令系統や目的が明確であることも重要です。

そのほか、非常時にBCPをしっかりと機能させるためには、いつでもBCPやマニュアルを利用できる体制が求められます。非常時には急いでその場を離れなくてはならないこともあるため、分厚いBCPのファイルを持ち出せない可能性があります。そのような状況でも速やかに内容を閲覧できるよう、携帯型BCPを作成しましょう。常に身につけられるタイプのBCPやマニュアルであれば、いざというときも速やかに閲覧できます。

BCP対策の事例

日本企業を取り巻く環境もどんどん変化しているため、近年では積極的にBCP対策へ取り組む企業が増えています。これから取り組みを始めるのなら、他社の事例を参考にするとスムーズに進められるかもしれません。

BCPの継続アップデート

全国に数多くの拠点を展開しているヤマト運輸は、これまでいくつもの大災害に直面してきた経緯があります。そのため、積極的に災害対策へ取り組んでおり、継続的にBCPのアップデートを行っています。

同社におけるBCPの基本方針は、「人命を最優先」「グループ各社の事業の早期復旧を目指す」「社会的インフラとして、地域社会の期待に応える」の3つを軸にしています。これら3つの基本方針を軸に、「人命を守る行動マニュアル」「対策本部マニュアル」「業務復旧マニュアル」「被災地支援マニュアル」「自然災害の手引き」という5つのマニュアルを整備しているのも特徴です。

参考: ヤマトホールディングスの事業継続計画(BCP)

地震災害からの復旧

製造工場におけるBCP対策事例として、地震災害のケースをご紹介します。震度6強の地震が発生したとき、BCP対策をしていなかった企業では多くのプレス機が転倒し、従業員の安否確認もできませんでした。一方、BCP導入企業はプレス機の転倒を免れ、従業員の安否確認もできています。

また、BCPを導入していない企業の従業員は、半数が1ヶ月半ものあいだ出社できませんでした。対してBCP導入企業は、従業員に耐震診断済みの住宅で暮らすよう指導を徹底してきたため、大半の従業員が出勤できました。

復旧スピードにも違いがあります。BCP導入企業は約1ヶ月で全面復旧しましたが、非導入企業は復旧に約3ヶ月もかかり、しかも受注は戻りませんでした。

参考: 工場(製造業)のBCP対策事例

データのバックアップ

株式会社エイビスは、東日本大震災の発生を機に事前対策の必要性に気づき、2013年から本格的に取り組みを始めました。同社が力を入れたのは経営資源の保護で、データ消失を回避するため定期的に本社と支店のデータをバックアップしています。

本社と支店の双方でデータをバックアップすることで、データの完全な消失に備えています。また、BCPをアップデートするため、月に1回の委員会を開催し、内容のチェックや更新を行っています。なお、同社はBCP策定後、顧客からの信頼獲得に成功し、売上増大にもつながっています。

参考: 株式会社エイビスの事業継続計画(BCP)

企業の信用力向上

有限会社共栄資源管理センター小郡は、過去に台風の被害を受けた経緯があり、非常時の対策を進めるべきと考えました。そこで同社は2007年にBCPを策定し、その後2011年にもアップデートを行いました。

同社のBCPには、災害発生時における業務の優先順位や、研修の実施などが定められています。このようなBCPの強化に努めた結果、同社は他社との差別化に成功し、地域からの信頼獲得に成功しました。

参考: 有限会社共栄資源管理センター小郡の事業継続計画(BCP)

感染症対策

新型コロナウイルスが世界的に流行し、日本でも多くの人々が感染しました。このような惨状を目の当たりにし、感染症への備えを強化した企業も少なくありません。バックオフィス業の場合、人員がいなければ事業を再開できないため、従業員を守るための準備が求められます。

北九州工業団地協同組合は、兼ねてから災害へのBCP強化に取り組みたいと考えていましたが、コロナ禍のため対面による策定が難しい状況でした。そこで同組合は、アンケートで組合員の意思統一を進め、計画の策定までこぎ着けました。

取り組みの結果、同組合はBCPを従業員にしっかりと周知でき、防災意識の向上にも成功しました。また、緊急連絡網の整備も進み、組合全体の連携力強化にもつながっています。

参考: 北九州工業団地協同組合の事業継続計画(BCP)

BCP対策のマニュアル作成なら「Teachme Biz」

BCP対策のマニュアルは、「Teachme Biz」で簡単に作成できます。動画や画像を用いて、誰にでもわかりやすいマニュアルを作成できることが特徴です。しかも、用意されているテンプレートを利用できるため、誰でも短時間でマニュアル作成が可能です。PCやスマートフォンなどさまざまな端末で利用できるため、携帯型BCPマニュアルの作成にも適しています。

キーワード検索を用いればすぐに求めるコンテンツを見つけ出せるうえ、従業員がマニュアルを閲覧したかどうか、管理者側から確認できるのも特徴です。そのため、マニュアルを作成したものの従業員が見てくれない、浸透しないといった課題を解決できます。

BCP対策だけでなく、「Teachme Biz」を用いたマニュアル作成により、業務の効率化や標準化、コスト削減、品質向上などの効果が見込めるのも魅力です。

まとめ

BCPを策定しても、マニュアル化しないと非常時に適切な対応ができません。正しく機能せず、意味のないBCPになってしまうおそれがあるため、マニュアル化まで含めて取り組みを進めていきましょう。「Teachme Biz」のようなツールを用いれば、誰でも簡単に理解しやすいマニュアルを作成できるためおすすめです。

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