九州を中心にラーメン店8業態を展開する株式会社ヤマナミ麺芸社は、Teachme Bizを活用し、マニュアルを軸とした育成・評価の仕組みづくりを推進しました。
マニュアルをポジション別・時間帯別に整理し、トレーニング機能や確認テストを組み合わせることで、教える順番や習得基準を明確化。教育担当者の負担軽減と、スキル習得を評価・時給アップにつなげる仕組みを実現しました。その結果、教育時間を年間約1,800時間(約200万円相当)削減しました。
今回は、その取り組みについて、代表取締役社長の吉岩 拓弥様と、フード事業部の峰松 太一様にお話を伺いました。
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※Teachme Biz Award 2025「最優秀賞」受賞企業
【お話を伺った方々】
吉岩 拓弥 様
株式会社ヤマナミ麺芸社 代表取締役
峰松 太一 様
株式会社ヤマナミ麺芸社 フード事業部 課長代理
紙マニュアルでは防げなかった、教え方のばらつき
―――Teachme Bizを導入した背景を教えてください。
吉岩様(以下、敬称略):2015年頃にTeachme Bizを知り、2019年に導入しました。当時も紙のマニュアルはありましたが、更新状況が分からず、現場では十分に活用されていませんでした。そのため、人によって教え方や作業内容にばらつきが生じ、業務が属人化していました。誰かが辞めると現場のオペレーションや品質に影響が出ることもありました。
こうした状況を改善し、業務を標準化するためには、常に最新の情報を誰もが同じように確認できるマニュアルの整備が必要だと考え、Teachme Bizを導入しました。

―――導入後、Teachme Bizはどのように定着していったのでしょうか。
吉岩:まずは一店舗で運用を始め、仕事を覚えやすくなったことや早期戦力化につながったことを確認しながら、少しずつ全社へ展開していきました。 現在、Teachme Biz上のマニュアル数は3,330本にのぼります。マニュアルは作ること自体が目的ではなく、成果につなげるための基盤として活用し続けてきました。
業務の標準化が進むにつれ、「なにをどの順番で教えればよいのか」「どこまでできれば評価されるのか」といった育成・評価の課題が見えてきました。そこで取り組んだのが、マニュアルを活用した育成と評価の仕組みづくりです。

3,330本以上のマニュアルは、店舗業務からバックオフィス業務まで多岐にわたる
店長の主観ではなく、「できる」で評価する
―――業務の標準化が進んだ後、どのような課題が見えてきましたか。
峰松様(以下、敬称略):従業員のスキルを見える化して、給与に反映させる仕組みは以前からありました。一方で、十分に運用できていない面がありました。
「キッチンがある程度できるようになったから時給を上げよう」「キャリアが長いから時給を上げよう」と、店長の主観で判断されることが多かったんです。 また、キッチンができる人が評価されやすい傾向がありました。でも、お客様に対して全力を尽くしているという点では、ホールもキッチンも変わりません。職種に関わらず職務を極めた人は、きちんと評価されるべき。そう考えたことが、この取り組みの出発点でした。

―――評価の基準を、より客観的にする必要があったのですね。
峰松:はい。店長の主観ではなく、客観的な評価にしていく必要がありました。なにを覚えればよいのか、なにができればスキルアップなのか。それが本人にも、周りのスタッフにも分かる状態にしたかったんです。
マニュアル自体はありましたが、どの順番で教えるのか、どこまでできれば次のステップに進めるのかが分かりづらい部分がありました。そこで、Teachme Bizのマニュアルを、育成と評価の基準として使っていこうと考えました。
ポジション別に、1日の業務を整理。「教える順番」を明確に
―――具体的には、どのような取り組みを進めたのでしょうか。
峰松:まず、マニュアルをポジション別に整理しました。「ホールA」「ホールB」「キッチンA」「キッチンB」といった形です。さらに、ポジションごとの1日の流れを時系列で整理し、「ポジション別×時間帯別」で業務内容を可視化しました。
それぞれのポジションで習得すべきスキルを整理し、マニュアル化しました。その後、マニュアルで学習し、確認テストを受ける育成フローを設計しています。
こうすることで、教える側も「どの業務をどの順番で教えればよいか」が明確になります。教わる側も、自分がどのポジションでなにを習得すればよいかを確認しやすくなり、成長意欲も高まります。

単体のマニュアルから、順番に学べるトレーニングコースへ
―――Teachme Bizのトレーニング機能も活用されていると伺いました。
峰松:はい。単体のマニュアルを見るだけではなく、学ぶ順番まで含めてトレーニングコースとして設計しています。 また、確認テストにはGoogleフォーム、通知にはGoogleカレンダーを活用するなど、他のツールとも組み合わせながら、現場で運用しやすい仕組みにしています。Teachme Bizだけで完結させるのではなく、必要に応じて外部ツールも活用している点が特徴です。
確認テストで「できる」を見える化。納得感のある評価へ
―――確認テストや検定は、どのような流れで行われるのでしょうか。
峰松:スタッフは、マニュアルでの学習と実務を終えた段階で、自分のタイミングで確認テストを受けます。合格すると、そのスキルを習得したことが認定されます。
これまでは店長の主観で判断していた評価が、テスト結果という客観的な基準で示せるようになりました。本人だけでなく周囲のスタッフから見ても、「あの人は合格したからスキルアップしたんだ」と分かるため、評価への納得感も高まったと感じています。
―――実技を確認する取り組みの一例として、「チャーハン検定」も行われています。
峰松:キッチン部門のチャーハン検定は、確認テストの実技版のような位置づけです。知識理解度テストで80%以上の正答率をクリアすることに加え、店舗責任者による実技評価を通して、職務スキル習得の合格判定を行っています。 検定に何度も挑戦して合格したときには、周りのスタッフも一緒になって「おめでとう」「おいしいよ」と声をかける、そんな温かい場面もあります。商品品質の標準化はもちろん、スタッフにとっても大きな自信につながっています。

―――マニュアルが、学ぶだけのものではなくなっているのですね。
峰松:そうですね。学んで終わりではなく、実際にやってみる。できたかどうかを確認する。できたことが評価につながる。そこまで含めて、仕組みとして回るようになってきました。
がんばりが、評価と時給アップにつながる仕組み
―――確認テストの結果が、評価や時給アップにつながっていると伺っています。
峰松:はい。確認テストの結果をもとにスキルアップ認定を行い、昇給も実施しています。
自分がなにを覚えればよいか、なにができれば評価されるかがスタッフ自身にも分かるようになったことで、モチベーションも高まっていると感じます。

―――管理者側にとっても、評価しやすくなったのでしょうか。
峰松:そうですね。店長としても、主観だけで判断するより、テストや検定の結果という客観的なデータを見て判断できる方がやりやすいです。スタッフに説明する際も、納得してもらいやすくなります。
とはいえ、最初から従業員全員が前向きだったわけではありません。昇給を目指すかどうかには個人差もあります。この仕組みの浸透には一定の時間がかかりましたが、店舗ごとに運用改善を重ねることで、全社の仕組みとして軌道に乗せることができました。
教育時間を年間1,800時間削減。成果を時給アップで還元
―――取り組みによる定量的な成果について教えてください。
吉岩:OJTなどの教育時間が、全店で年間約1,800時間削減されました。コスト換算で、約200万円相当の削減効果が出ています。マニュアルを整備し、教える順番を明確にしたことで、早期戦力化につながっています。
Teachme Bizを使えば、教育担当者が毎回「次になにを教えようか」と迷う時間をなくせます。スタッフも順を追って学べ、確認テストや検定で習得状況を確認できる。そうした積み重ねが、大幅な教育時間の削減につながっています。
―――削減したコストは、時給アップにも充当されているそうですね。
吉岩:はい。削減できたコストを時給アップに充当するという考え方で実施しました。マニュアルは、単にコストを削減するためのものではありません。成果を生むためのものです。
仕事は、お客様や仲間を喜ばせ、成果につながることが大切です。マニュアルを使って成果を出す。その成果を収入アップや人事評価につなげる。そこまで含めて、Teachme Bizの活用が、人材育成を支えていると感じています。

マニュアルを、仕事を覚えるためのものから、キャリアを広げる仕組みへ
―――Teachme Bizの役割も変化しているのですね。
吉岩:導入当初は、業務を標準化するための「教科書」でした。今はそれだけではありません。成長、評価、報酬、定着へつながる仕組みの中に、マニュアルが組み込まれています。
―――今後、Teachme Bizをどのように活用していきたいですか。
吉岩:これからは、早期戦力化の先にある、スタッフ一人ひとりのキャリア形成にもつなげていきたいですね。 マニュアルを使って、こういうステップで学べば、このスキルが身につく。さまざまなスキルを身につけることで、スタッフ自身の労働市場価値も上がる。そうした育成の仕組みとして、さらに発展させていきたいと考えています。
