もともと顔料と色箔の輸入業者として設立されたMipoxは、箔の塗布技術を応用して研磨フィルムの製造に成功して以来、自社製品の提供から受託加工、コンサルティングまでを手がける、研磨業界のワンストップソリューション企業へと成長してきました。
Mipox様では品質保証に関わる「ISO9001」と環境に関わる「ISO14001」の2つを取得し、厳格な品質基準のもとで製造工程を管理しています。ISOの基準を満たすためには、膨大な量の手順書の作成やその維持管理が欠かせません。そこで同社では、Teachme Bizの活用を通し、手順書の作成だけでなく手順書の改定時に必要となる承認業務においても効率化を実現しています。
今回はMipox様の製造本部に所属する御三方にお話を伺いました。
製造本部/製造部 受託事業部 部長 輿水誠 様
製造本部 品質保証課 課長 佐々木一憲 様
製造本部 品質保証課 小野田崇 様
時間をかけることなく活用される手順書を作りたい
―――Teachme Bizを導入した背景を教えてください。
私たち製造業者のISO取得には、規定を満たした手順書を整備する必要があります。今までOffice系ソフトで作成していましたが、文字の割合が多くなってしまう、個人によって表現のほか作業手順にまで違いが出てしまう、作成者が固定化されてしまう等、いろいろな不具合が発生していました。なかでも、作成に時間がかかってしまうことによって周知徹底が遅れるのは、絶対に避けなければならない問題でした。
また、お客様ごとに異なる包装仕様が何千種類とあるため、紙ベースの手順書はその度に持ち出すだけでも一仕事。それが負荷になって、作ることも見ることもなくなり、なかなか活用されない。記憶を頼りに手順書を見ずに作業してしまうため、包装や手順の間違いも起こりやすい状況にありました。
さらに、ISOの基準を満たすためには膨大な量の文書を長期間にわたって保管する必要があるため、その維持管理においても課題がありました。
―――Teachme Biz導入の決め手は?
Teachme Bizなら画像や動画をベースにした手順書を簡単に作成できるので、文字が少なく済む、説明しやすい、理解しやすい。今までの手順書作成はパソコンに向かうものでしたが、スマホを使ってその場で作れるという点でも魅力的に感じました。
スタッフの学ぶ意欲を育てる手順書作り
―――実際にどのような手順書を作っていますか?
お客様の要望に沿って、袋の大きさや種類、止めるテープの種類、ラベルの貼る位置などをカスタマイズできるのが、私たちの強みです。だから、各種申請の方法や労務にまつわる手順書もありますが、包装や梱包にまつわるものが必然的に多くなります。
作業者のなかでもベテランは身体が覚えている部分もあるので適宜確認のために使う、新人の場合は間違いのないように必ず確認しながら使っています。
新人教育は現場訓練が中心なので、手順書を片手に行うことも多いのですが、紙ベースのものだとやはり見てもらいにくい。でも、Teachme Bizなら一通り訓練が終わったあとでも、分からないことがあれば、自分で探して覚えようという意欲も出てくるようです。
手順書作成や新人教育の時間も大幅カット
―――導入の効果はいかがでしたか?
Teachme Bizを導入したことで、手順書を作る・持ち出す・探す手間が省略でき、大幅な時間短縮になりました。新規作成ではパソコンを使って、多いときで1日、少ないときでも3時間はかかっていましたが、スマホで簡単に出来て1時間くらい。新人教育に至っては、教育する側と教育される側双方の工数が低減でき、1週間が1日になりました。
また、簡単に見られるようになったおかげで、手順書が活用され、ミスも減ってきています。
お客様にお褒めいただくケースもあります。先日も、あるメーカー様の監査があり、Teachme Bizで作成した手順書をお見せしたのですが、動画やQRコードを駆使して手順を簡単に閲覧できる手順書を整備していることに対して大絶賛をいただきました。
ISO遵守における手順書の維持管理・更新にも効果を実感
―――ISOに紐づく手順書の作成において、どのようにTeachme Bizをご活用いただいていますか?
ISOと手順書の兼ね合いで重要なのは、作成よりも維持管理です。手順書を常に最新化すると同時に、過去に遡っていつでも確認できる管理体制にしておく必要があり、それができて初めて品質が担保されていると言い切れます。その中でいろいろな工夫をしながら手順書を管理しているのですが、Teachme Bizは更新だけでなくその管理もしやすく、以前に比べて大きく手間が省けています。
―――管理の面で特にお役に立てている機能があればぜひ教えてください。
承認ワークフロー機能を使っています。手順書に変更が出る場合、これまでは現場の担当者が手順書の変更案を出し、その上長が承認し、さらにそれを品質保証のセクションに上げてチェックをするといった段取りを踏む必要がありました。それだと承認が下りるまでに1週間かかる場合もありましたが、今は現場の担当者がTeachme Bizの承認申請ボタンを押せばダイレクトに品質保証まで申請が届くようになったため、申請から承認までの時間が1~2日まで短縮できました。
管理側としては、ISOに則らなければいけないという認識をあまり強く現場に持たせたくはありません。あくまでお客様のために質の高いものを効率的に製造していくことが目的であり、ISOを守るのが目的ではないからです。品質を担保するための作業を重ね、気がついたらISOに従っていた。そんなふうに自信を持ってISOの監査委員に断言できるような状況を作る上でも、管理側からでなく現場からの声をスムーズに確認できる承認ワークフロー機能は有効だと思います。
QRコード経由で該当の手順書へダイレクトアクセス
―――今後の活用計画を教えてください。
今ある手順書の半数は紙ベースから移行したもの、もう半数は新しく加えたものです。ただ、紙ベースのものも一部まだ使っているので、すべての電子化・ペーパーレス化を目指します。
あとは、最近使い始めたQRコード出力機能でプリントアウトして設備などに貼ることによって、現場においてある端末をサッとかざすだけでその設備関連の修繕やメンテナンスなどの手順もすぐに表示できるので、検索する手間まで省けてかなり楽になりました。
また、ISOにおける過去の手順書や資料等も、工場での作業におけるPDF類は今後すべてTeachme Bizに集約し、すぐにさかのぼれる体制を作る方針です。
手順書を作る・探す手軽さや管理のしやすさを思うと、Teachme Bizはやめられません。これからもどんどん全社に展開し、生産性向上につなげたいと思います。