多言語マニュアルとは?制作時のポイントやツールの選び方を解説

ビジネスのグローバル化が進む中で、業務において日本語以外の言語が必要となる場面が増えています。マニュアルも例外ではなく、日本語に加えて英語、中国語、ベトナム語など、多言語対応が求められるケースが多いのではないでしょうか。この記事では、多言語マニュアルの作成ポイントや課題について解説します。


マニュアル作成の教科書1

多言語マニュアルとは

多言語マニュアルとは、その名の通り、さまざまな言語に翻訳された説明書のことです。日本語と英語だけでなく、多数の言語に対応したマニュアルを指しています。マニュアルによっては、数十言語に対応したものもあります。

世界で英語を話す人は推定で約15億人、中国語を話す人は約14億人とされています。2024年時点の世界人口は約81億人であり、これを考慮すると、英語や中国語だけでは十分ではなく、他の言語への対応が求められる場面も少なくありません。そのため、多くの企業が日本語、英語、中国語に加えて、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語など、多くの言語に対応したマニュアルを整備する必要が生じています。

多言語マニュアルを作成するメリットのひとつは、海外拠点や日本国内で働く外国人労働者の業務効率化に寄与することです。自国語でマニュアルが読めれば、外国人労働者も業務ルールやレギュレーション、作業手順などをきちんと理解できるので、業務進捗がスムーズになります。言語の壁が取り除かれることで従業員の満足度が向上し、職場への定着率が高まれば、採用コストや教育コストの削減にもつながります。

参照元:https://japan.wipgroup.com/media/language-population

多言語マニュアルが必要とされる背景

近年、多言語マニュアルの必要性は多くの職場で高まっています。その背景には、日本企業の海外進出と、日本国内の外国人労働者の増加が関係しています。

日本企業の海外進出が増加している

日本企業のグローバル化が加速する中、海外拠点を保有する企業や新規進出を検討する企業が増加しています。特に製造業においては、生産拠点を海外へ移転する大企業が多く見られますが、近年では中小企業も積極的に海外市場に参入しています。生産活動のみならず、現地市場での販売戦略を推進する企業が増加傾向にあります。

このような海外進出に伴い、現地従業員の雇用が不可欠となります。これにより、採用した現地従業員の教育や研修に対応するための多言語マニュアルが求められます。また、現地顧客向けの商品取扱説明書やサービスガイドラインの整備も重要です。

日本国内での外国人労働者が増加している

日本国内で働く外国人労働者の数も増え続けています。2023年10月時点の厚生労働省の報告によると、日本で働く外国人労働者数は前年比22万5,950人増の204万8,675人となり、届け出義務化が始まった2007年以降で過去最高を更新しました。外国人を雇用する事業所も前年比約2万増加し、過去最高を更新しました。

外国人労働者の出身国は多様化しており、ベトナム、中国、フィリピンが上位ですが、ネパール、インドネシア、ブラジル、韓国など、さまざまな国からの労働者が増加しています。このような状況下で、職場での多言語対応マニュアルの必要性はさらに高まっています。

参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html

多言語マニュアル作成時のポイント

多言語マニュアルは、さまざまな言語を使用する人が読むため、見やすく、要点が分かりやすいものにする必要があります。そのため、作成時には以下のポイントに気を配りましょう。

グローバルなデザイン・構成にする

グローバルなデザインや構成とは、さまざまな国籍や文化的背景を持つ人々に配慮したデザインやレイアウトを指します。一部の国や地域では好まれるデザインが、他の地域では受け入れられない場合もあるため、注意が必要です。多くの人に親しみやすい色使いやフォントを選び、場合によっては言語ごとにデザインやフォントを調整してください。

また、文化や習慣の違いによる表現の差異にも気を配りましょう。例えば、日本では「正解」を〇、「間違い」を×で表しますが、多くの国ではこれが通じません。特に欧米では「正解」にチェックマークを使い、「間違い」には〇を使用する場合があります。

数字の表記も国によって異なります。日本では「1,000」とカンマを使いますが、ドイツ語やスペイン語などでは「1.000」とピリオドが使われます。一律に統一するのではなく、各国の慣習に従った表記が必要です。

さらに、使用するフォントが、マニュアルの対象国で使われているパソコンのOSで適切に表示されるかも確認しましょう。一部のOSでは全角文字が正しく表示されないことがあり、文字化けが発生する場合があります。

具体的で明確な表現にする

多言語マニュアルを作成する際には、あいまいな言い回しを避け、具体的で明確な表現を使うことが大切です。日本では、直接的な表現を避け、角が立たないような遠回しな表現が好まれる風潮があります。しかし、こうした表現は異なる文化や背景を持つ人々には伝わりにくい場合があります。特に、「自社の常識」や「暗黙の了解」を含んだ表現が含まれている場合、それが誤解を招かないために、表現の修正が必要です。

また、あいまいな言い回しや表現は、自動翻訳を使用した場合に誤訳されるリスクが高くなります。誤解が生じやすい部分については、具体的で簡潔な表現に置き換え、誰にでも理解しやすい形にすることが求められます。

分かりやすい文章にするためには、主語を明確にし、できるだけ短文化することが肝要です。5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識することで、情報を正確かつ明瞭に伝えられます。

翻訳・校正を徹底する

翻訳・校正を徹底することは、誤解のない多言語マニュアル作成において大変重要です。複数の翻訳ツールを使用して結果を比較し、最適な翻訳を選ぶことで精度を高められます。

翻訳の精度が十分でない場合、文章全体の意味は伝わるものの、細かい部分で誤りがあったり、不自然なニュアンスになったりします。そのような場合は、翻訳結果をその言語を母国語とするネイティブスピーカーに確認してもらう「ネイティブチェック」を依頼するのが有効です。ネイティブスピーカーであれば、文法の正しさだけでなく、文化的背景に合った自然な表現へ修正できます。依頼する相手は、その言語の母語話者であるだけでなく、校正スキルや業務に関する知識を持つ人が望ましいです。

翻訳ツールやネイティブチェックを併用し、スペルミスや誤訳を防ぐことで、質の高い多言語マニュアルが完成します。

継続的に改善する

多言語マニュアルは、一度作成したら終わりではありません。内容を定期的に見直し、必要に応じてアップデートすることが求められます。

マニュアル公開後は、実際に使用する現場からのフィードバックを収集し、それをもとに改善を重ねましょう。特定の表現が特定の言語話者にとって理解しづらい場合は、それを修正して誰にでも分かりやすい内容にします。また、業務ルールやレギュレーション、操作手順などに変更が生じたら、その都度マニュアルも改訂して、情報を最新に保ちます。

マニュアルをアップデートする際、特定の言語だけではなく、すべての言語で統一して改訂を行うのが基本です。これにより、外国人労働者間で言語による不公平感が生じるのを防ぎます。

マニュアルの定期的な改訂を円滑に進めるには、バージョン管理を徹底することが欠かせません。改訂作業は言語ごとに進捗状況を管理し、すべての言語間でマニュアルのバージョンを統一させます。

このように、継続的な改善を続けることでマニュアルが形骸化するのを防ぎ、有用なものとして活用され続けます。

多言語対応のマニュアル作成ツールを使用する

多言語マニュアルを作成する方法としては、いくつかの選択肢があります。

一般的なOfficeソフトを利用すれば、比較的簡単にマニュアルを作成できます。特にWordは多くの人が使い慣れており、操作が手軽な点がメリットです。しかし、複雑なレイアウトの作成には向いていないというデメリットがあります。例えば、Wordは文章作成には適していますが、自由なレイアウトや画像の細かな調整には不向きです。そのため、グラフや画像が意図した位置に配置されず、結果として見にくくなることがあります。また、Officeソフトで作成したマニュアルは、長期的な管理が課題です。複数の編集者が関与する場合、バージョン管理が煩雑化し、誤って古いバージョンを使用してしまうリスクが高まります。

こうした課題を解決するため、多言語マニュアルの作成には専用ツールを使用する方法がおすすめです。マニュアル作成に特化したツールは、編集や修正が容易であり、異なる言語やバージョンの管理も効率的に行えます。また、WordやExcelのデータを簡単にインポートできるため、既存の資料を活用することも可能です。さらに、自社内で作業を完結できるためコスト削減にもつながり、電子化と紙媒体の両方に対応できます。

このような便利なツールを活用することで、作成から管理までの作業を一元化でき、マニュアル作業に伴うストレスや無駄な時間を大幅に削減することが可能です。

多言語マニュアル作成時のよくある課題

多言語マニュアルを作成する際には、グローバルなデザインや構成の採用、翻訳・校正の徹底が重要です。しかし、作成・運用にはさまざまな課題も伴います。多言語対応を適切に進めるために、以下のような課題をあらかじめ理解しておきましょう。

  • 言語ごとにデザインやレイアウトなどの微調整が必要となる
  • 問い合わせの対応コストがかかる場合がある
  • 継続的なメンテナンスが求められる

例えば、日本語から英語に翻訳する場合、文字数は増える傾向にあります。一方、日本語から中国語への翻訳では文字数が減るのが一般的です。そのため、言語ごとに文字サイズやレイアウトを調整しないと、スペースが不足したり、逆に余分なスペースが生じたりする可能性があります。

また、多言語マニュアルを公開すると、それを受けて外国人労働者から問い合わせが発生することも予想されます。これに対応するために、自社で言語能力のあるスタッフを配置したり、外部のサービスを利用したりするなどのコストが発生します。

多言語マニュアルは長期的な運用を前提とするため、こうした課題を解決することが重要です。その手段のひとつとして、多言語マニュアル作成に特化したツールを活用する方法があります。次の段落では、そのツールの選び方について紹介します。

多言語マニュアル作成ツールの選び方

多言語マニュアル作成ツールにはさまざまなものがあり、どれを選択するか迷うことがあります。ツールを選ぶ際には、以下のポイントに留意し、使いやすく優れたツールを選びましょう。

翻訳精度の高さ

多言語マニュアル作成ツールには、翻訳機能が搭載されています。この翻訳精度の高さは、完成するマニュアルの品質に直結します。

単に日本語を他の言語に自動翻訳するだけのツールでは、文章が機械的で不自然になりやすいです。非ネイティブには気にならなくても、ネイティブが読むと違和感を覚える可能性があります。また、精度の低いツールを使用すると誤訳が生じ、誤った情報を伝えてしまう恐れもあります。

翻訳精度が高いツールを選べば、信頼性の高いマニュアルを効率良く作成することが可能です。優秀な翻訳機能を備えたツールなら、数十言語に対応するマニュアルを短時間で作成できます。

対応言語の多さ

ツールによって対応する言語数は異なります。先進的なツールでは60~100以上の言語に対応しているものもあります。ただし、単に対応言語数が多いだけではなく、自社で必要とする言語に対応しているかを確認することが大切です。さらに、今後進出を予定している地域がある場合、その地域で話されている言語がカバーされているかを事前に確認することを推奨します。

操作方法・使用感の容易さ

実際に使用する際、使い勝手は非常に重要です。ユーザーインターフェースが直感的で、操作が簡単であれば、初めての利用でも迷わずに使いこなせます。マニュアルは継続的に更新する必要があるため、操作が容易であれば、初期作成だけでなく改訂作業もスムーズに行えます。

ITツールやデジタル操作に慣れている人だけでなく、誰でも簡単にマニュアルを作成できるかどうかを基準に、ツールを選定してください。

更新・共有の容易さ

マニュアルの更新作業が簡単に行えるか、更新後のマニュアルをスムーズに共有できるかは、ツール選びの重要なポイントです。

便利な更新・共有機能が備わっているものもあり、例えば、クラウド機能が搭載されたツールでは、どのデバイスからでもマニュアルにアクセス可能です。また、編集履歴が記録される機能を持つツールでは、複数人での共同作業が容易になり、リアルタイムで変更内容を確認できます。さらに、マルチデバイス対応のツールを選ぶことで、マニュアルを受け取った側もスマートフォンやタブレットから簡単にアクセスでき、必要な情報をいつでも確認できます。

多言語マニュアルの作成なら「Teachme Biz」がおすすめ

多言語マニュアル作成ツールをお探しなら、「Teachme Biz」がおすすめです。「Teachme Biz」は、オプション機能により、ボタンひとつで20言語に自動翻訳ができます。辞書機能も搭載されており、誤翻訳されやすい固有名詞なども適切に翻訳します。

操作はシンプルで、テンプレートを活用すれば画像や動画を取り入れたマニュアルも簡単に作成可能です。クラウド機能を搭載しているため、作成したマニュアルの共有も非常に簡単です。PDF形式での出力や共有コードを利用すれば、受け取ったマニュアルをタブレットやスマートフォンなどで表示できます。また、アクセスログを活用して、マニュアルの利用状況や活用度を分析することが可能です。よく検索される語句の説明を強化すれば、さらにニーズに応じたマニュアルにブラッシュアップできます。

さらに、業務マニュアルを自動で読み上げる専用アプリ「Teachme Player」では、20言語の読み上げに対応しています。「座学研修モード」と「技能研修モード」という2つの再生モードを備えており、学習ニーズに合わせてマニュアルの自動再生が可能です。

「Teachme Biz」の自動翻訳機能ついては、以下をご覧ください。
https://contents.teachme.jp/automatic-translation

まとめ

多言語マニュアルを活用することで、業務効率化や従業員満足度の向上、さらには顧客満足度の向上など、多くのメリットが得られます。マニュアル作成時は、翻訳を徹底し、グローバルなデザインにし、明確な表現で作成することが重要です。多言語マニュアル作成ツールを選ぶ際は、対応する言語の数、翻訳の精度、使用の容易さを考慮してください。

海外展開や外国人労働者の採用に伴い、多言語マニュアルが必要な場合は、ぜひ「Teachme Biz」をご利用ください。専門的なスキルがなくても、簡単な操作で高品質なマニュアルを作成できます。便利なツールを活用して、作成にかかる時間と手間を削減し、業務効率化を実現しましょう。

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