新しい生活様式とは?企業が取り組むことができる事例をご紹介
令和の現代では、感染症の拡大を予防するため、新しい生活様式を日常として定着させることが求められています。人との距離をとるソーシャルディスタンスや外出自粛、うがい手洗い、マスクの着用など、一人一人が行う基本的な感染対策から、企業として取り組むことができる新しい生活様式まで様々です。ここでは、「新しい生活様式」の概要と「新しい生活様式に向けて企業が取り組んでいる事例」などを詳しくご紹介します。
新しい生活様式とは?
新しい生活様式とは新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、長期間にわたって感染拡大することを防止するために、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議からの提言を踏まえ厚生労働省が公表した行動指針です。生活の中で、基本的な感染対策を徹底するための取り組みです。
厚生労働省が発表する「新しい生活様式の具体的な内容」として以下の4つが挙げられます。
新しい生活様式とは | |
---|---|
内容 | 概要 |
一人ひとりの 基本的感染対策 |
感染防止の基本である、身体的な距離の確保、マスクの着用、 手洗いを中心に日常生活で行う基本の対策が記されています。 |
日常生活を 営む上での基本的生活様式 |
密集、密接、密閉の3密を回避することや、体温測定、換気など日々の生活で行うべき内容が記されています。 |
日常生活の 各場面別の生活様式 |
買い物、娯楽・スポーツ、公共機関の利用、食事、イベントへの参加などシーン別の生活様式が記されています。 |
働き方の新しいスタイル | テレワークやローテーション勤務、時差出勤、オフィスは広々と使う、会議はオンライン、対面での打ち合わせには換気とマスクを使用するなど、ビジネスシーンにおける様式について記されています。 |
※横スワイプでご確認いただけます。
この新しい生活様式について、より詳しく知りたい方は、厚生労働省のホームページで確認をしましょう。新型コロナウイルスの感染拡大を正しく予防するには、先に挙げた指針に従って行動をすることが大切です。
企業における感染リスク
テレワークを導入している企業であれば、通勤時の感染リスクや社内でのクラスターなども防ぎやすくなりますが、通勤が必要な企業や部署においては、様々な点で注意が必要です。以下では企業活動における感染リスクについて、シーン別に紹介します。
通勤時の感染リスク
通勤時にバスや電車等の公共交通機関を使用する方は、感染のリスクがあるといえるでしょう。公共交通機関は不特定多数の方が利用をする分、飛沫感染だけでなく、つり革や手すりを介して感染するリスクも高まりやすいです。マイカーや自転車通勤などが可能であれば、通勤手段を変更できますが、電車やバスの代わりとなる交通手段がなければ公共交通機関を利用せざるを得ません。結果として、「安心して職場に行けない」という声も多いのが現状です。
オフィス内の感染リスク
オフィス内にも感染リスクは潜んでいます。ドアノブやコピー機の操作画面、エレベーターのボタン、電気のスイッチ、固定電話、ホワイトボードやペンなど、複数の方が使用するものを触ることで感染リスクが高まります。このほかにも、会議室のように不特定多数の方が密集しやすい場所には注意が必要です。密室空間での長時間にわたる会議も、避けたほうが良いでしょう。
ランチ・懇親会等での感染リスク
感染リスクを防ぐ上で、特に注意が必要なのは、ランチや飲み会、懇親会といったマスクを着用しないシーンです。食事の席でクラスターが発生した事例は、テレビやニュースサイトなどを通じて数多く報道されています。
喫煙所での感染リスク
企業内感染の例として、喫煙所内での感染があります。オフィスの中でも喫煙所は、密な状況に陥りやすい環境です。加えてマスクを外しているため、飛沫感染のリスクが高いと言えます。喫煙所の使用に人数制限を設けるなど、企業として感染対策が必要です。対策を徹底している企業の中には、喫煙所を撤廃するケースもあります。
新しい生活様式における企業の取り組み
企業内で感染が拡大すると事業の継続にも影響を与える可能性があります。また、安心して仕事に取り組めない環境では従業員の離職にも繋がりかねません。企業としても全力で感染対策に取り組みましょう。企業が取り組める主な感染対策は、以下の10点です。
- 1.テレワークの導入
- 2.時差出勤の導入
- 3.徒歩通勤・自転車通勤・マイカー通勤の推奨
- 4.出勤率の調整
- 5.パーテーションの設置
- 6.感染防止アイテムの活用
- 7.定期的な換気を実施
- 8.オンライン会議の導入
- 9.ペーパーレス化の推進
- 10.接触確認アプリ「COCOA」の導入
1.テレワークの導入
最も有効な手段は、テレワークの導入です。テレワークであれば通勤や職場での接触がないため、企業内感染のリスクがありません。しかし、テレワーク導入には環境の整備や制度を定めるなど準備が必要です。セキュリティ対策なども欠かせません。現代では、サテライトオフィスを活用して分散型ワークに取り組む企業や、シェアオフィスを利用する手当を支給してテレワークを推進する企業なども増えています。
参考:テレワーク導入のポイントとは? 2021年 日本の働き方を変える考え方を解説 !
2.時差出勤の導入
テレワークが難しい場合は時差出勤を導入し、満員電車を避けて通勤することも感染防止に繋がります。時差出勤を導入している企業では、企業側が出勤時間のパターンをいくつか用意した上で、従業員が選ぶというやり方が多く採用されています。具体的には、8時~16時、10時~19時、12時~21時など企業が定めた出勤時間から希望の時間帯を選択してもらうという方法です。フレックスタイム制ほど自由度は高くありませんが、通勤時の負担を軽減することができます。
3.徒歩通勤・自転車通勤・マイカー通勤の推奨
自転車での移動は、コロナ禍で密を避ける手段として人気が高まっています。国も自転車通勤推進企業の認証制度をスタートしており、新しい生活様式の一つとして期待されています。しかし、通勤時の労災への対応など、導入のためには企業側にも課題が残されています。その他に徒歩での通勤やマイカー通勤など交通機関を利用しない通勤手段を選択することで通勤時の感染リスクを大幅に削減できます。
4.出勤率の調整
オフィス内での感染防止対策としては、出勤率を調整して密を回避することが有効です。同じ時間に企業の全社員が出勤するのではなく交代制で出勤する、計画的に有休を取得してもらい、社員が出勤率を調整することで、オフィスでの社員同士の接触を避けることができます。
5.パーテーションの設置
物理的に感染を防ぎやすくする方法としては、オフィスにパーテーションを設置して飛沫を防止するのも効果的です。営業職やコールセンターなど電話等で会話をする機会が多い業種であればパーテーションはマストアイテムです。様々な高さのパーテーションがありますので、オフィスのレイアウトに合わせて選びましょう。顔の高さより低いものは飛沫防止効果が低いです。素材はアクリルやアルミ、スチールなど様々なものが販売されています。パーテーションの選び方としては、掃除や除菌がしやすい素材がおすすめです。
6.感染防止アイテムの活用
感染防止対策の基本であるマスク(またはフェイスシールド)はもちろん、手洗いに使用する石鹸や消毒液、除菌シートなどの準備は企業として欠かすことができません。また、ソーシャルディスタンスを保つための誘導用の張り紙やシール、空気清浄機なども感染対策に活用可能です。このほか、冬場のように乾燥しやすい季節においては、オフィスに加湿器を導入することで、感染対策の効果が期待できます。
7.定期的な換気を実施
空気中のウイルスが増殖する可能性があるため、オフィス内の定期的な空気の入れ替えは必須です。新しい生活様式として、厚生労働省は「2方向の窓を1回に数分間程度全開にして換気をすること」を呼びかけています。具体的な換気回数は、1時間に2回以上です。部屋を閉め切っていると、2方向の窓を開けることで風の入り口と出口を作って空気を循環させることができます。窓を開けるのが難しい場合は、空気を入れ替えるために換気システムを常に回しておくのも良い方法です。
8.オンライン会議の導入
デスクや会議中の感染を防止するため、対面での会話を避けオンラインで会議を実施するのも効果的です。取引先との商談や打ち合わせなどをオンライン上で行えば、オフィスの内外で感染を防止することに繋がります。オンライン会議を導入すれば、コロナ禍の現代においてもビジネスをスムーズに進めやすくなります。
参考:Zoomの使い方を徹底解説!PC/スマホ別の参加・開催方法【わかりやすいマニュアル付き】
9.ペーパーレス化の推進
オフィスでは、コピー機の操作画面や書類などに触れることで物を介した接触感染のリスクが高まります。非接触化のためにペーパーレスを心がけたいものです。ペーパーレス化されると資料の回覧がなくなります。デジタル化によって複数名が同じ紙に触れることがなくなれば、感染の心配はありません。
参考:ペーパーレスの本当のメリットと目的とは?おすすめツールや事例も紹介
10.接触確認アプリ「COCOA」の導入
このほかにも、従業員に接触確認アプリ「COCOA」の導入をルール化している企業もあります。これらの取り組み以外にも、万が一感染が疑われる場合の対応フローなども周知しておくのも、感染対策として良い方法です。初動対応を、速やかに行うことができます。
以上、新しい生活様式が求められる時代は、働き方が大きく変化するきっかけと言えます。ニューノーマル時代という、「新常態・新常識」を意味し、ライフスタイルやビジネスを新しい常識にシフトすることを指す言葉も生まれました。
このニューノーマル時代の働き方として、テレワークの導入や業務のオンライン化はもちろん、業務を自動化するRPA、生産性向上のためのDXが加速することが予測できます。感染予防対策と経済活動を両立しながら、強い組織を作っていくことで、絶えず組織を成長させやすくなるのです。
新しい生活様式として、テレワークが一般的になりつつあります。しかし、コロナ以前と同じマネジメントではパフォーマンスが下がってしまうことをご存じですか?同僚とのコミュニケーションの薄れによる孤独感や業務効率の低下、業務過多や業務の偏りなど、多くの問題が発生しています。
以下では、Teachme Bizを提供する我々スタディストが独自に行ったテレワーク時代のマネジメントに関する意識調査を公開中です。一般社員とマネージャーそれぞれの目線から、テレワークでの不安や困りごとについて、詳しく公開しています。
オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン
日本経団連の「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」には、従業員への感染拡大を防止するよう、通勤形態などへの配慮、個々人の感染予防策の徹底、職場環境の対策の充実などに努めるもの、と記されています。
以下では、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに記された通勤と勤務の項目について、一部を抜粋してご紹介します。
■日本経団連が定めるコロナ対策のガイドライン「通勤」について
- テレワーク(在宅やサテライトオフィスでの勤務)、時差通勤、ローテーション勤務(就労日や時間帯を複数に分けた勤務)、変形労働時間制、週休3日制など、様々な勤務形態の検討を通じ、公共交通機関の混雑緩和を図る。
- 自家用車など公共交通機関を使わずに通勤できる従業員には、道路事情や駐車場の整備状況を踏まえ、通勤災害の防止に留意しつつこれを承認することが考えられる。
■日本経団連が定めるコロナ対策のガイドライン「勤務」について
- 従業員に対し、常時マスク着用に努めるよう徹底する。ただし、人との距離を十分確保できる場合には、状況に応じてマスクを外すこともできる。
- 他人と共用する物品や手が頻回に触れる箇所を工夫して最低限にする。
- 会議やイベントはオンラインで行うことも検討する。
- 会議を対面で行う場合、マスクを着用し、換気に留意する。また、椅子を減らしたり、机などに印をつけたりするなど、近距離や対面に座らないように工夫する。
■日本経団連が定めるコロナ対策のガイドライン「感染者が確認された場合の対応」について
- 保健所、医療機関の指示に従う。
- 感染者の行動範囲を踏まえ、感染者の勤務場所を消毒し、同勤務場所の従業員に自宅待機させることを検討する。
- 感染者の人権に配慮し、個人名が特定されることがないよう留意する。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的とした個人データについては、個人情報保護に配慮し、適正に取り扱う。
参照:経団連:オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン (2021-04-13)
コロナ禍でも感染防止対策と事業継続を両立させるために、これらの行政や団体のガイドラインを参考にしながら、自社のガイドラインを作成しておくと安心です。重要なのは、感染対策をして従業員が安心して働ける環境を整備することです。
まとめ
企業として従業員や取引先の健康を守りながらも、経済活動を続けていくためには、感染防止対策を徹底していくことが大切です。新型コロナウイルス感染防止、蔓延防止のためのテレワーク・在宅勤務の導入など新しい生活様式にフィットする働き方をお考えでしたら、ツールの導入やルール作り、それらに付随したマニュアル作成が不可欠です。
新しい生活様式によって変更された社内のルールや、ツールの使い方などは、きちんとマニュアル化して従業員に届けましょう!しかし、マニュアルを作るのがめんどうだ・・・時間がない・・・作り方がわからない・・・そんなことはありませんか?ポイントさえ押さえておけばマニュアルは簡単に作れます。
マニュアル作成・共有ツール「Teachme Biz」は、マニュアルを通しでテレワーク環境でも社内ルールやアップデートの情報を瞬時に従業員に届けることができます。わかりやすいマニュアルを作成でき、テレワークの導入だけでなく人材育の効率化や生産性向上を図れるため多くの企業から選ばれています。