生産性向上

社員のエンゲージメントを下げる3つの落とし穴とは?高める施策とワークエンゲージメント

従来は顧客満足度を高めることが企業活動の中心でしたが、近年特に「従業員満足度」や「社員のエンゲージメント」を高める施策を実施する会社が増加しています。顧客満足度と従業員満足度は比例するという調査結果も出ており、経営層も見逃せない指標になっているのです。

また人口減少に伴う人材不足が深刻化し、終身雇用・年功序列が変化する中、優秀な人材を採用して早期離職を防ぎ活躍してもらうためにも「従業員エンゲージメント」が重要だと考えている企業も多いのではないでしょうか。
今回はそもそもエンゲージメントという言葉の定義から、社員のエンゲージメントを下げてしまう3つの落とし穴と、高める施策についてご紹介いたします。

エンゲージメント(engagement)とは


まずはエンゲージメントとは何か、どのような指標をみていくかについて、従業員エンゲージメントが高い場合と低い場合の例も用いて説明します。

エンゲージメントの意味

エンゲージメント(engagement)という言葉本来の意味としては約束、婚約、雇用契約などいくつかありますが、本記事でお伝えするエンゲージメントとは「従業員の会社に対する愛着、思い入れ」という意味です。そのため、福利厚生の満足度とは関係ありません。

例えば、社員のエンゲージメントが高い会社では従業員が「自身が会社に期待されていると感じる」「同僚たちと質の高い仕事をしようとコミットしている」などの思いを抱いています。逆にエンゲージメントの低い会社だと、「上司が自分の仕事・役割を分かっていない」「自身のやっている仕事は世の中に対してもあまり意味がない」などと社員が感じてしまっていることがあります。

よりよい環境を求めて転職することが徐々に当たり前となっている近年、社員のエンゲージメントを高め仕事のやりがいを感じてもらうことは、早期離職を防ぐ効果があると言われています。特に、キャリアアップや自身のスキルを把握している優秀な人材ほど転職に関して抵抗がないということもあり、会社として対応するプライオリティが高いといえるでしょう。

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エンゲージメントの計測方法(エンゲージメントサーベイ)

いざエンゲージメントを計測しよう、というときどのような方法があるでしょうか。現在最も広く用いられるのは「アンケート調査」です。エンゲージメントの指標や推移を見るためのアンケート調査を「エンゲージメントサーベイ」と呼び、毎月~半年ごとなど定期的にサーベイを実施することで従業員エンゲージメントの高低や推移を見ることが出来ます。

エンゲージメントサーベイが実施できる会社で有名なのは、毎年「働きがいのある会社ランキング」もだしているGreat Place to Work®です。ランキングへの参加であれば無料で実施できるので、お試しやランキング把握のために実施することもできます。エンゲージメントサーベイにかかる費用は従業員1人1回300円であったり、年間契約であったりと会社によって大きく異るため、「なんのためにエンゲージメントサーベイを実施するのか?」という目的を明らかにし、その目的にあった会社を選定しましょう。

社員のエンゲージメントを下げる3つの落とし穴


社員のエンゲージメントを定期的に測ったり、社内イベントを実施したりとエンゲージメントを高めるために施策を実施する中で、実はエンゲージメントを下げてしまうということがあります。代表的な3つをお伝えします。

落とし穴1:オーバー・コンプライアンス(過剰法令遵守)

改めて記載するまでもありませんが、コンプライアンス(法令遵守)は重要です。社会的良識に沿って企業活動を実施することは社会貢献となるためです。しかし、過剰に法令を遵守しようとありとあらゆる成約・ルールを増やしていくと「オーバー・コンプライアンス」の状態になってしまいます。
例えば、愛社精神を持って仕事に取り組んでいる従業員が「お客様のために臨機応変に対応したい!」と考えているとします。今まさにお客様が困っており、会社としても、サービスとしてもすぐに対応しなければならないと思われる状況で「○○万円以上の変更はシステムへの入力と、翌日のバッチ処理での反映が必要」「○○に関する事柄は、営業部と法務部の押印が必要」などあらゆる成約があって対応できなくなった場合、その従業員のエンゲージメントはもちろん低下します。
基本的な法令遵守はもちろん必要ですが、社員にコントロールできる幅を持たせる、ということがエンゲージメントを高めるために最も重要です。過去のインシデントへの対応などが重なり、知らず知らずのうちにオーバー・コンプライアンスになっていることは往々にしてあるため、特に従業員が1,000人を超える企業では抜本的に見直す必要があります。

落とし穴2:職能型(メンバーシップ型)の人事制度

日本企業の多くが、人事制度として職能型を採用しています。もしくは形式上いくつか職務型(ジョブ型)の要素を取り込んでいても、運用を見ると職能型になっている、という企業も多くあります。
職能型では「従業員の職務遂行能力」を基準に賃金が支払われますが、その能力は仕事の経験を通じて向上していくと考えられているため勤続年数に応じて上がっていきます。まさに日本の高度経済成長を支えた年功序列・終身雇用を前提にしたシステムです。つまり、現代においてはむしろ勤続年数の長い従業員の賃金に圧迫され、20代・30代の賃金が実際の職務のわりに低くなってしまうのです。
もちろん会社への愛着を持っている従業員であっても、自分より勤続年数が長い”だけ”で多額の給料を得ている社員が多くいる場合、エンゲージメントは下がっていきます。会社としてはなぜその賃金なのか?なにを基準に給与を決定しているか?を改めて明確にし、たとえ勤続年数が長い社員の反対にあったとしても皆が納得できる人事制度に変更していく必要があります。

落とし穴3:業務手順が統一されていない

ここまでの2つは会社的・人事的な大きい要素でしたが、ひとりひとりのエンゲージメントを高めていくためには基本的な「日々の業務」が重要です。その中で最もエンゲージメントを下げてしまう要因となるのが、業務手順が統一されていない・手順が変わったのに知らない・属人的になっており誰かが居ないと出来ない業務があるなどの「業務手順」に関わるフラストレーションです。
マニュアルや手順書が無かったり、あるが集約されておらず検索できなかったり、使われていなかったりすると結局誰かの手を止めて質問するしかなくなります。もちろん非生産的ですし、それが元でさらなる属人化に繋がり、「AさんとBさんの言っていることが違う」などの要因からミスを引き起こす、ひいてはクレームに発展することもあります。
そういった会社としての手順・ルールや、統一する体制がないことで社員のエンゲージメントは低下してしまいます。本来力をかけていきたいお客様向き合いや、発展的な提案に着手することができなくなるためです。

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対策としては、会社としてどの手順を「標準」と認めているか明示し、基本業務については誰でも同じことができる状態にしておくことです。また、新しい手順ができたり手順の変更があった際は漏れなく対象者に通知し、確認したかどうかを把握・管理することも重要です。基本的な仕組みがあることはオーバー・コンプライアンスの抑制にも繋がります。
独自で開発すると多大な時間とコストがかかるため、KintoneやTeachme Bizなどのサブスクリプション型クラウドツールを導入し、手順をまとめていくのがスムーズです。

社員のエンゲージメントを高めるマネジメント

社員のエンゲージメントとマネジメントには密接な関係があります。その中で、部下に気を配らなければいけないマネジメント層自身は誰がマネジメントしてくれるのかという課題も同時にあります。

従業員の中には稀にセルフマネジメントが得意で常にエンゲージメントが高い状態である人も居ますが、ほとんどが「同僚・上司からの見られかた」「社内外の評価」ひいては「友人からの助言」などによってエンゲージメントが変動するものです。自分のやっている仕事を上司がわかってくれていない…お客様のためにこういう仕事がしたいのに、前例がないからと議題にも上げてくれない…そんな不満を抱えている場合もあります。

マネジメントとして重要なことは、エンゲージメントという観点で見ても基本と変わりません。部下の話を真摯に受け止め、気を払い、期待し、行く先を明確にして道標を定めます。その中でも、特に会社の中の立ち位置やチームの中の立ち位置を伝え、可能な限り裁量をもたせることが重要です。会社にとって愛着がある状態で自発的に動きたい、と思ったときの枷は少ないほうが良いためです。

まとめ

時代が令和に移り引き続き従業員エンゲージメントの重要性が高まっている中、あわせて根本的な課題や問題も浮き彫りになっています。人材不足で業務効率化を推し進めなければ行けない中、従業員のエンゲージメントが低く「9時から18時まで会社にいればいい」というようなマインドになってしまっていては生産性が上がるはずもありません。

改めて「社員はなんのためにこの会社で働いているのか?」「部下一人一人の状況がわかるか、自分が部下に何を期待しているか言えるか?」をマネジメント層も考え、日々のコミュニケーションに盛り込んでいくことも重要です。
抜本的な改革は推し進めながら、日々の積み重ねを大事にしていくことをおすすめします。

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