従業員エンゲージメントとは?測定方法や指標、高める施策をご紹介

最終更新日: 2022.05.11 公開日: 2020.03.18

エンゲージメントとは

従来、企業活動の中心は顧客満足度を高めることでしたが、近年特に「従業員満足度」「社員のエンゲージメント」を高める施策を実施する会社が増加しています。

具体的な取り組みはしていないまでも、人口減少にともなう人材不足が常態化し、終身雇用・年功序列制が揺らぐ中、優秀な人材を採用し長く活躍してもらうため「従業員エンゲージメント」を重要視する企業は多いでしょう。

そこで今回はエンゲージメントという言葉の定義から、測定方法やその指標、エンゲージメントを高めるための施策についてご紹介します。

エンゲージメント(engagement)とは

エンゲージメントの意味

エンゲージメント(engagement)という言葉本来の意味は、約束、婚約、雇用契約などいくつかあります。

ビジネスにおいてエンゲージメントという言葉を用いるケースには、「従業員エンゲージメント」と「顧客エンゲージメント」の主に2つがありますが、本記事では従業員の会社に対する愛着、思い入れを指す「従業員エンゲージメント」について解説いたします。

「従業員エンゲージメント」とは何を指す?

従業員エンゲージメントは主に社内の人事において用いられる言葉で、前述の通り従業員の自社に対する愛着 -例えば組織のビジョンや理念への共感度合いなどを示します。

働き方の多様化など、企業における労働環境に目まぐるしい変化が生じている昨今において、適宜対応がなされている企業ほど従業員エンゲージメントが高い傾向です。

社員のエンゲージメントが高い会社では、従業員が「自身が会社に期待されていると感じる」「同僚たちと質の高い仕事をしようとコミットしている」などの思いを抱いています。

逆にエンゲージメントの低い会社だと、「上司が自分の仕事・役割をわかっていない」「自身のやっている仕事は世の中に対してあまり意味がない」などと社員が感じてしまっている可能性があります。

ロイヤリティや従業員満足度との違いは会社への影響度

従業員エンゲージメントと意味合いの似ている言葉として「ロイヤリティ」や「従業員満足度」が挙げられます。従業員エンゲージメントが、これらとどう異なるのかについてもご紹介します。

まずロイヤリティという言葉は、従業員の企業に対する「忠誠心の有無」に主眼が置かれています。会社との主従関係の意味合いが強く、この点において「従業員がどれだけ自社のファンであるか」を表す従業員エンゲージメントとは意味合いが異なることが分かります。

また従業員満足度とは、自社の給与や休暇日数、福利厚生など職場環境に対する満足度を指し、自社への愛着を表す従業員エンゲージメントとはやはりニュアンスが違います。

従業員エンゲージメントが高い企業では、従業員が自ら進んで会社の成長のために能力を発揮し、従業員自身の成長と自社の成長を同時に実現していくことが可能です。

従業員満足度やロイヤリティは互いに関連がありいずれも重要ですが、単に従業員満足度が高いだけで、自社の業績に対して従業員が積極的に貢献を試みるとは限りません。このため、従業員エンゲージメントは企業にとってもっとも直接的なメリットが大きいものであると定義できるでしょう。

エンゲージメントを高めることで得られるメリットとは?

エンゲージメントの概要を把握できたところで、エンゲージメント向上により企業が得られるメリットについても見ていきましょう。

1. 生産性の向上

従業員エンゲージメントを高めることにより、生産性の向上が見込めます。各従業員のモチベーションが上がり、自社の売上に寄与する行動を自発的にとる状況が生まれるからです。

実際に、従業員エンゲージメントと業績には相関関係があるとも言われています。また人口減少問題や、それに伴う働き方改革の必要性といった社会背景においても、生産性の向上は企業の将来を考える上で特に重要です。

2. 離職率の低下

従業員エンゲージメントが高まれば、早期離職の防止につながります。従業員が仕事のやりがいを感じることで企業に対し愛着が生まれ、長く務めたいと思ってもらえるからです。

エンゲージメントが高い企業は職場の雰囲気や人間関係も良くなり、言いたい意見があれば誰もが忌憚なく発言できる環境が生まれます。

また、従業員エンゲージメント向上によって優秀な人材の流出を防げれば、ことさら人材の流動性が指摘される現代において、競合他社に対し大きな強みともなりえます。

3. 顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントが高まることで、顧客満足度の向上も期待できます。エンゲージメントが高い熱意ある従業員は顧客と積極的にコミュニケーションを図り、「より顧客のニーズに応える」という明確な目的に基づいた業務を遂行できるからです。

その結果、顧客のLTV(ライフタイムバリュー/生涯顧客価値)の増加など、企業にとっての長期的なメリットが見込めるでしょう。

現在の従業員エンゲージメントを測るには?測定方法と指標

測定にはアンケート調査が有効

自社の従業員エンゲージメントの計測で、現在最も広く用いられているのは「アンケート調査」です。エンゲージメントの指標や推移を確かめる目的で行われるアンケート調査を、「エンゲージメントサーベイ」と呼びます。

月1回から半年ごとなど、定期的にアンケート調査を実施することにより、従業員エンゲージメントの高低や推移を確認できます。

エンゲージメントサーベイが実施できる会社として知られているのは、毎年「働きがいのある会社ランキング」を出しているGreat Place to Work®です。ランキングへの参加のみであれば無料なので、お試しやランキング把握のために実施することもできます。

見るべきエンゲージメントの指標

エンゲージメントサーベイを実施する際、指標として把握しておきたい点はサーベイによっても異なりますが、主に以下の3点です。

・総合指標

自社に対する総合的な満足度や、将来的な期待度を把握することが可能です。

・仕事への熱量レベル

実際に行っている業務のやりがいや、仕事への没頭度合などを推し量ることができます。また、仕事を楽しむ活力を従業員自身が持っているかどうかの把握も可能です。

・エンゲージメントの向上要因

組織との関係性や職務自体の行いやすさ、従業員本人が持つ業務における資質などを把握することが可能です。

エンゲージメントサーベイで従業員に対し出題される設問には、これらに関する質問が必ず含まれています。

先にご紹介したGreat Place to Work®が実施しているアンケートの出題内容の例を、以下に記載しておきます。

  • 経営・管理者層は、誠実で倫理的に仕事を行っている
  • 経営・管理者層は、仕事を進める上で失敗はつきものであることを理解している
  • この会社では、誰でも特別に認められる機会がある
  • 私は、自社で従業員として働いていることを、胸を張って他人に言える
  • この会社は、入社した人を歓迎する雰囲気がある

あくまで一例ですが、これらの質問によって従業員の自社への信頼の有無、自身が社内で尊重されているか否か、従業員同士の連帯感の有無などを図ることができます。

【注意点】無目的なエンゲージメントサーベイは厳禁

アンケート調査は、実施頻度や設問数次第では従業員にとって負担になる可能性もあります。また目的が明確ではないまま実施しても、回答から正確なデータが得られない場合があるでしょう。

このように、単に調査を実施すればよいというものではありません。目的があやふやだと、結果が有効に活用されにくいものとなってしまう恐れがあるため注意しましょう。

上記を踏まえ、エンゲージメントサーベイを実施する際は、以下の点に特に注意を払うと良いでしょう。

  • 企業が抱える課題を明確にし、その改善のための調査であることを各従業員へ共有する
  • 実施頻度やアンケートごとの設問数を最適化する
  • 集計・分析は素早く実施し、必要に応じて従業員へのフォローを行う

社員のエンゲージメントを下げる3つの落とし穴

社員のエンゲージメントを定期的に測ることや、社内イベントの実施などエンゲージメント向上施策により、かえってエンゲージメントが低下することがあります。

ここでは、3つのエンゲージメントの落とし穴をご紹介します。

落とし穴1:オーバー・コンプライアンス(過剰法令遵守)

ご存じの通り、コンプライアンス(法令遵守)は企業にとって重要です。しかし法令遵守のために制約やルールを増やし過ぎると「オーバー・コンプライアンス」が生じます。

例えば、愛社精神豊かな従業員が「お客様のために臨機応変に対応したい」と考えたおり、会社としてもサービスとしても迅速な対応が求められる状況があったとしましょう。

そのような中で「○○万円以上の変更はシステム入力および翌日のバッチ処理で反映が必要」「△△に関する決定には営業部と法務部の押印が必要」など制約のために対応不可となったとします。すると従業員のエンゲージメントは低下するでしょう。

基本的な法令遵守は必要ですが、社員にコントロールの幅を持たせることがエンゲージメントを高めるためには重要です。過去のインシデント対応などが重なり、知らないうちにオーバー・コンプライアンスになっているケースは往々にしてあります。目立つ場合は、抜本的に見直す必要があるでしょう。

落とし穴2:職能型(メンバーシップ型)の人事制度

日本企業の多くが、職能型人事制度を採用しています。形式上は職務型(ジョブ型)要素をいくつか取り込んでいても、全体的な運用は職能型の特徴を備えている企業も多くあります。

職能型では「従業員の職務遂行能力」を基準に賃金が支払われますが、能力は業務経験を通じて向上していくと考えられ、勤続年数に応じ賃金も上がります。いわば日本の高度経済成長を支えた、年功序列・終身雇用前提のシステムです。

しかし現代においては、勤続年数の長い従業員の賃金に圧迫され、若手従業員の賃金が職務に見合わない低さとなってしまいます。

会社への愛着が深い従業員であっても、自分より勤続年数が長いという「だけ」で高給を得る従業員が多い場合、エンゲージメントは下がるでしょう。会社として給与の決定基準を改めて明確にし、全従業員が納得できる人事制度に変更する必要があります。

落とし穴3:業務手順が統一されていない

上記2つは会社的・人事的な要素ですが、一人ひとりのエンゲージメントを高めるには基本的な「日々の業務」が重要です。その中で最もエンゲージメントを下げてしまう要因が、「業務手順」に関わる以下のようなフラストレーションです。

  • 業務手順が統一されていない
  • 手順の変更が周知されていない
  • 属人的業務中心かつ特定人材への依存度が高い など

マニュアルや手順書が無かったり、あったとしても要点の検索が困難だったりすると、結局誰かの手を止めざるを得なくなります。それによる生産性の低下が元でさらなる属人化に繋がり、「AさんとBさんの主張が食い違っている」など状況によるミスやクレームに発展することもあります。

このように会社としての業務手順・ルールや、統一体制がないと社員のエンゲージメントは低下してしまいます。本来集中したい顧客対応や、発展的提案への着手ができなくなるためです。

>>生産性向上についての記事はこちら
生産性向上とはどういう意味? 企業が実施できる7 個の対策方法

対策としては、どの手順が会社の「標準」に該当するかを明示し、基本業務は誰でも同様に行える状態にしておくことです。

また、新しい手順の追加や変更があった際には全対象者へ通知し、確認について把握・管理しましょう。標準仕様の存在は、オーバー・コンプライアンスの抑制にも繋がります。

上記の仕組みを独自開発するには多大な時間とコストがかかるため、KintoneやTeachme Bizなどのサブスクリプション型クラウドツールを導入し、業務手順をまとめていくとスムーズです。

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従業員エンゲージメントを向上させる施策

前項でご紹介した落とし穴を踏まえ、会社として従業員エンゲージメント向上のために行いたい施策の例3つをご紹介します。

施策1.経営層によるビジョンの発信

企業規模が大きくなればなるほど、経営理念や会社のビジョンが各従業員へ浸透しにくくなります。エンゲージメント向上のためには、会社や経営陣の考えをオープンな形で従業員へ周知することが重要です。

特に昨今増えているテレワーク環境下において、こちらは特に注力すべきポイントです。遠隔では経営者のメッセージが伝わりにくく、帰属意識が薄れる可能性があるためです。

経営者自身が、コミュニケーションチャットや定期総会、あるいはイベントや勉強会などで定期的に考えを発信することが必要でしょう。

施策2.従業員の価値観、ニーズを把握する

エンゲージメント向上のためには、「個人の期待」「企業の期待」の合致がとても重要です。これを図るには社員一人ひとりの価値観を知り、会社との方向性を極力一致させる必要があります。

具体的な手段としては本記事でも推奨しているアンケート調査のほか、1on1ミーティングの実施なども有効でしょう。個人のやりがいやニーズが明確になったら、それらを創出するために人事異動や権限委譲など具体的な対応を考案していきましょう。

施策3.労働環境の整備

上記の2つを推進の上エンゲージメント向上を図るには、落とし穴2で触れた評価制度以外にも、社内制度の新設などエンゲージメントを高める環境の構築が必要です。

例えば、以下のような取り組みが有効になるでしょう。

  • 社内のキャリアステップを明確にする
  • スキルアップのための制度を設ける
  • 社内公募制度、社内FA制度を設ける
  • インセンティブ制度を設ける など

全ての従業員が何らかのやりがいを持てて、新たなチャレンジへのハードルが低い風土へと、社内の制度面から変えていくことが重要です。

従業員のエンゲージメントを高めるために意識したいエッセンス

最後に、エンゲージメント向上施策を実施するにあたって意識しておくべきポイントも簡単にお伝えします。

自社にとっての「エンゲージメントが高い状態」を定義する

エンゲージメントが高い状態とは、先に述べた通り従業員が自ら会社のために能力を発揮してくれる状態を指します。このため、「エンゲージメントが高い状態」の具体的な定義は会社によって異なる場合もあるでしょう。

エンゲージメント施策に取り組む前に、自社における「安定してエンゲージメントの高い理想の状態」についてあらかじめ定義しておくことが重要です。

「マネジメント層のマネジメント」にも着目する

従業員のエンゲージメントとマネジメントは密接に関係します。その中では、部下への配慮が求められるマネジメント層のマネジメントは誰が行うのかという課題も同時に存在します。

マネジメント側として重要な取り組みは、エンゲージメント施策という観点でも基本的に変わりません。部下の話を真摯に受け止め、気を配り、期待し、明確な道標を定めます。

その中でも社内やチーム内での立ち位置を伝え、可能な限り裁量をもたせることが特に重要です。会社への愛着を持って自発的に動きたいと思ったとき、制約は少ないほうが良いためです。

こうしたエンゲージメント向上に際した動き方については、事前にマネジメント研修を実施するのが有効です。

まとめ

現代においては従業員エンゲージメントの重要性が高まっているとともに、向上に向けた課題も浮き彫りになっています。人材不足にともない業務効率化が求められる中、従業員のエンゲージメントが低く「定時まで職場にいればいいか」といったマインドが蔓延していては、生産性向上は見込めないからです。

マネジメント層も「従業員はなんのためにこの会社で働いているのか」「部下一人ひとりの状況がわかり、部下への期待を明確に言語化できるか」などについて考え、部下とのコミュニケーションを図っていきましょう。

抜本的な改革を推し進めつつも、日々の積み重ねも怠らずに継続していくことが大事です。

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