紙のダンボールに比べ耐久性や加工性が高く、リサイクル・リユースも可能であることからSDGs的観点からも注目を集めるプラスチックダンボール、通称プラダン。株式会社ヤマコー様は、その市場において独自の製造直販会社として10万社を超える取引実績点数を誇ります。また、インターネット通販による小ロット・カスタマイズ可能な販売ルートをいち早く確立。現在プラスチックダンボール業界において主流となっているECサイトチャネルの構築における先駆的存在でもあり、2015年には「関西IT百選」優秀法人賞を受賞。2017年には経済産業省が選出する「攻めのIT経営中小企業百選 2017」に選ばれました。
一方、小ロットからのカスタマイズ対応は製造現場や営業上の事務処理において作業の煩雑さにもつながるため、その効率化や属人化解消は長年の懸案事項だったそうです。そこでヤマコー様では2020年の春にTeachme Bizをご導入。営業部や製造部をはじめ、総務、生産管理、調達、品質保証、設計の全7部署で多角的にご活用いただき、課題の解消に効果を実感されています。
今回は、株式会社ヤマコー 代表取締役社長 山崎惠弘様、営業部課長 小竹由希子様、製造部 係長 Teachme Bizプロジェクトリーダー 石原 哲朗様、調達部・品質保証室 Teachme Bizプロジェクト副リーダー 長谷川将大様に、各部署での活用事例や導入の効果についておうかがいしました。
事業が成長するにつれ属人化が課題に
―――プラスチックダンボールを取り扱うことになった経緯から教えてください。
山崎社長 当社はもともと包装資材の卸販売会社で、その中で最も大きなウェイトを占めていたのが紙のダンボールでした。しかし、ダンボール業界はいわゆる「レッドオーシャン」で、価格勝負を続ける中で営業効率を上げるのが難しい状況にありました。そんな中で1995年頃に出会ったのがプラスチックダンボールです。これなら紙のダンボールのノウハウを活かすことができるし、使い捨てではなく何度でも使える。ちょうど阪神淡路大震災の直後でバブル崩壊後の失われた10年と言われる時期だったこともあり、リターナブル、リユースというプラダンの特性が時代の流れに合致するのではないかという経営者としての直感のようなものがありました。
―――インターネット販売にもいち早く乗り出されたそうですね。
山崎社長 プラダンを始めてはみたものの最初はなかなか軌道に乗せることができず、藁をもつかむ思いでインターネット販売を始めたというのが正直なところです。しかし、時流に押されて、その後ネットからの受注が増え続けました。2007年には京都府南部の宇治田原工業団地に8,200坪の土地を取得し、プラダン専用の自社工場を建設するまでに成長しました。今ではプラダンの売上が全体の95%、そのうちインターネットからの受注が90%以上を占めています。
ところが、事業が拡大すると今度は別の課題も浮かび上がってきました。その一つが業務の属人化です。それを解決するサービスとしてTeachme Bizをご紹介いただき、導入の検討を始めました。
トライアルで使いやすさ、作りやすさを実感
―――導入をご決断された一番の決め手はどんなところでしたか?
石原様(以下、石原) 導入前の商談で見せていただいたTeachme Bizの資料が非常にわかりやすく、効果をリアルに感じることができたこと、また無料トライアルで複数の社員が実際に手順書を作る中、「使いやすい」「作りやすい」という声が非常に多く上がったことが決め手となりました。
―――導入において苦労された点はありましたか?
石原 これまでは各部署がExcelやWordなどバラバラのフォーマットでマニュアルを作っていました。それらは各セクションがこだわって作ったものでもあったので、フォーマットを統一することについて納得してもらうことには多少時間がかかりましたが、実際にTeachme Biz使ってもらうことですぐに社内の意識は統一されたと思っています。
「この人しかできない」ことから優先して手順書化
―――具体的にはどんな手順書を作っていらっしゃいますか?
長谷川様(以下、長谷川) 製造現場においては、操作に携わる特定の社員しか操作方法がわからない加工機も多かったため、まずそうした加工機の操作手順書を作り、誰もが同じように扱えるようにしました。機械操作は危険を伴う作業なので、手の位置、動かし方、体の姿勢などを動画で説明できるのは大きなメリットだと感じています。
また検品においては、担当者の個人の感覚に頼って検品作業を行っていたこれまでの体制を見直し、具体的にどこをチェックすべきか、項目を洗い出して手順書化しました。さらに材料調達においても事務作業を手順書にして、担当が休みになったときにも調達に支障が出ないような体制を作り始めています。
小竹様(以下、小竹) 営業部でも、「この人しかできない」という業務から優先して手順書化しています。たとえば、請求書や伝票の作成方法においてはお客様ごとに細かなルールがあり、これまでは各お客様を担当するスタッフしかその作成方法がわからない状態でした。しかし、手順書化したことで手が空いているスタッフが誰でも対応できるようになり、業務量の波をなくすことができました。
また、AmazonなどECサイトからの受注を処理する担当者はこれまで1名しかおらず、その担当が休んでしまうと対応できない状況になっていたため、その処理の流れをTeachme Bizで手順書化してもらい、代理の者でも対応できるようにしました。
実は先日、EC担当者とその代理の者が2人とも休んでしまったことがあり、私がその手順書を見て対応したことがありました。右も左もわからない状態で手順書しか頼れない状況でしたが、それでも問題なく対応できたので、わかりやすい手順書を作れているんだなと身をもって実感しました。
石原 実務以外の手順書で意外と良く見られているのが扉の施錠の仕方ですね。たまに自分が最後の退勤者になったときにどうやって施錠するのかわからず、かといって誰かに電話で聞くのも申し訳ない。そんなときの助けになっているようです。
YouTuberのような気分で楽しく作成
―――実際に手順書を作った感想を教えてください。
長谷川 自分の動画を自分で撮ることって普通はなかなかないですよね。でも、作業手順の動画を撮るために三脚にスマホをセットして自分の作業風景を撮っていると、ちょっとしたYouTuberになったような気分になれます(笑)。撮影中に誰かがそばを通ったりすると少し恥ずかしくなったりもするんですが、楽しんでやってますね。
小竹 これまではWordやExcelで、また私自身は以前設計を担当していたことからCADでマニュアルを作っていたこともあるんですが、Teachme Bizはスクリーンショットを貼り付けるのも簡単ですしレイアウト崩れもなくて抜群に使いやすいです。画像に文字を入れたり注目ポイントを目立たせたりする加工も簡単なので、画像編集ソフト代わりとしても使っています。
障がいを持つ社員の教育にも効果を発揮
―――御社は障がい者雇用にも積極的に取り組まれているそうですね。
山崎社長 はい。地域の方々に働いていただいている以上、地域の方を分け隔てなく雇用する責任があると考えています。2019年には「障がい者雇用優良事業所(JEED)」として全国表彰を受けました。現在、身体に障がいをお持ちの方が1名、精神に障がいをお持ちの方が3名、知的障がいのある方が4名働いていますが、我々が知恵を出せばハンデがある人でも十分に働ける場所を提供できるはずですし、戦力として一緒に利益を上げ活躍してくれる人を育てていきたいと思っています。
―――障がいを持つ社員の方はどのようにTeachme Bizを活用されていますか?
石原 現状は、作業の手順確認や注意事項の確認に使用したり、機械の操作などの説明に使用したりしています。最終的には、設計図面など各所に手順書を閲覧するためのQRコードをつけることで、製造のために必要な注意事項をいつでも確認できるようにしたいと考えています。一定のコミュニケーションを確保しつつも、知りたいときに周囲に聞かなくても、いつでも手順がチェックできるような環境を整えたいです。
製造現場では、専属で作業についている方や作業を任せている方もいます。その作業に対して誰よりも詳しいスペシャリストですので、今後は手順書の作成についても担っていただけるのが理想のかたちですので、少しずつチャレンジし始めています。誰もが操作簡単にできる点はTeachme Bizを選んだ理由の一つでもあります。障害のあるなし関わらず「作りたい」と思ってくれる社員には、どんどん手順書を作ってほしいですね。
―――最後に、今後の事業の展望をお聞かせください。
山崎社長 2020年4月より弊社は経営の柱としてSDGs宣言を致しました。まだまだマイナーなプラダンをもっともっとメジャーにすることで地球温暖化などの課題解決に貢献し、「プラダンといったらヤマコーだ」と言っていただけるような存在に会社を育てていきたいと思います。また、フランチャイズ化を図り一緒にプラダンを広める仲間を全国に増やすのが私の夢です。
そのためにも、事業に関わる人たちが仕事を通じて自分の成長を感じ、自己実現が果たせる職場環境を整えていきたいですし、その実現にはTeachme Bizを活用した働く環境の健全化が欠かせないと思っています。