衛星放送WOWOWのカスタマーセンターとして1998年に設立されたWOWOWコミュニケーションズ様。近年は蓄積されたノウハウを活かしてWOWOW以外の企業・団体のコンタクトセンター業務も受託する他、デジタルマーケティング事業やコンサルティング事業などを幅広く手掛けています。
コンタクトセンター事業を展開する企業では本社所在地以外の遠隔地に拠点を構えて事業を運営するケースが珍しくありません。WOWOWコミュニケーションズ様でも全国に複数の拠点を展開し、各種問い合わせに対応しています。
そうした事業展開の中、どんな点に課題を感じTeachme Bizを導入されたのか、また実際にどのように活用し、どういった効果を感じていらっしゃるのか、株式会社WOWOWコミュニケーションズ CRM第1事業部 安藤 由香 様、CRM事業企画部 伊藤 美和子 様にお話を伺いました。
新入社員の知識レベルのばらつきが課題に
――導入の背景から教えてください。
安藤様(以下、安藤) 当社には、電話やメール、チャットサービスの対応を担当する「コミュニケーター」と呼ばれるスタッフが年間数百名単位で入社します。そのスタッフに均等に研修をおこなうこと、また拠点が北海道、関西、沖縄、横浜本社と広範囲に分かれているなかで現場間のルールを統一することに課題を抱えていました。管理者それぞれのナレッジを集約しつつ手順書の作成や格納を一元管理できるツールの必要性を感じ、導入へと至りました。
――コミュニケーターさんへの研修は今までどのようにされてきたのでしょうか。
伊藤様(以下、伊藤) 入社時に集合研修を行っており、多い時は50名以上の規模で研修を実施していました。研修内容を統一しなければいけない一方で、18歳から60歳代まで幅広い年齢層の方もいらっしゃるため入社時のベーススキルが一律ではない状況もありました。新人のベーススキルのばらつきを吸収しながら、いかに統一した内容の研修が行えるかが課題となっていました。
――導入の決め手はどんなところでしたか?
安藤 Teachme Biz導入以前には別のツールを使って手順書作成をしていた時期もあったのですが、社内システムに組み込む形のツールだったため、システムの更新などがあるとそのたびに手順書も作り替えなくてはいけませんでした。その点、Teachme Bizはシステム更新に影響されず、作成自体も簡単にできることを知り、その手軽さが導入の決め手となりました。
社内浸透を目的に手順書コンテスト「T-1グランプリ」を開催
――現在どんな手順書を作られていますか?
安藤 コミュニケーターに向けて、入社時におこなう研修の資料やコールセンターで使うパソコンやシステム、電話機の使い方などの手順書を作成しています。コールセンターで働くうえで必要となる最低限の基礎知識を覚えてもらい、初歩的なレベルを揃えるような使い方はできているかなと思っています。
また、当社ではWOWOWだけでなくブライダル関連企業や健康食品関連企業、地方自治体など、さまざまな業種のコンタクトセンター業務を受託していますが、一つのクライアント様の業務を複数の拠点で分担しておこなう場合があります。その場合に拠点ごとで対応が違ってしまうようなことがないよう、業務内容を統一するための手順書も作成しています。
さらに、クライアント様が変わると使用するシステムも変わるため、情報共有や引き継ぎを確実におこなうための資料もTeachme Bizで作成しています。
――社内浸透においてはどんな工夫をされましたか?
安藤 社内報に導入の告知を数回にわたって掲載し、まずはTeachme Bizの存在を知ってもらうことから始めました。またテレビ会議で社内向けのお披露目会を開催し、導入の背景などを説明しながら作成の方法を紹介しました。
――手順書作成のコンテストも開催されたとうかがいました。
伊藤 はい。新ツールとなるTeachme Bizの浸透とTeachme Bizを通じた社内の一体感を作り出すことを目的として「T-1グランプリ」というコンテストを開催しました。編集権限を持つ約20名の管理者に、それぞれが考える「必要なコンテンツ」を自由に作成して応募してもらったのですが、1ヵ月ほどのエントリー期間だったにもかかわらず、実務にすぐに役立ちそうな実用的なものから社内のハロウィンイベントで仮装をする際の手順をまとめた遊び心のあるものまで、約100本の応募がありました。
安藤 コンテストのポスターもオリジナルで作成したのですが、作ったのは札幌の拠点にいる管理者で、私たちも初めてつながることができた管理者でした。拠点間を超えたつながりを作れたこともT-1グランプリのうれしい効果でした。
操作方法の問い合わせを10分の1まで削減
――導入の効果はどのようにお感じでしょうか。
安藤 以前は、例えば100人の新人コミュニケーターが一気にパソコンを立ち上げるとそのうち1~2割の人は操作方法がわからず、そこに管理者が走っていって説明をするという手間が発生していましたが、今はそれが10分の1程度、約1%まで減らせています。
それ以外の定量的な効果はこれから見えてくると思いますが、3ヵ月のPoC期間において4つの手順書を試験的に作成してみたところ、年間換算で管理者とコミュニケーターの工数を824時間ほど、経費にして162万円ほど削減できるという想定がすでに見えています。
また、定性的な面でも、手順書のフォーマットや出来映えのばらつきをなくすことができたことで、コミュニケーターの理解促進にもつながっています。
――今後はどのような手順書を作成するご予定ですか?
伊藤 管理者に向けた指示書を徐々に整備していきたいと考えています。WOWOWコミュニケーションズでは、20年以上のコンタクトセンター運営の実績をもとにしたノウハウが蓄積されており、そのノウハウを活かして高品質かつクライアントの要望を実現するセンター運営を行っています。しかし、ノウハウの共有度合い、理解度に個人差があることがわかりました。そうした差をなくすため、WOWOWコミュニケーションズのコンタクトセンター運営における一定のノウハウをまとめた手順書を作成し、Teachme Bizを活用した共有を図ろうという案が出ています。
安藤 現場だけでなく人事や経理など本社の管理部門にも活用を広げていこうというプランもあります。管理部門では問い合わせがあった場合に備えて誰かが必ず本社に待機するようにしていますが、Teachme Bizが有効に活用できればリモートワークの推奨という観点からも有効ではないかと考えています。
さらに、当社には教育や研修を専門におこなうWOWCOM Collegeという部門があり、管理者教育の他、お客様に向けたおもてなしやいわゆるサービスサイエンスを現場に教育するトレーナーの育成をおこなっています。今後はこのカレッジにおける教育カリキュラムを、Teachme Bizのトレーニング機能なども活用しながら構築していければとも思っています。
すでに社内では「TMB」と言えばTeachme Bizだと社員が普通に認識できるレベルにまで浸透しています。今後さらに導入の効果を実感してもらえるよう、活用の幅を広げていきたいと思います。