1957年に豊田通商グループ初の海外拠点としてタイに進出し、自動車や金属、化学、食品、物流など幅広い分野を取り扱う総合商社へと発展してきた「Toyota Tsusho Thailand 」。近年はその多彩なネットワークを活かした日本ブランドの販促やマッチングビジネス、スタートアップ企業との連携など新規事業への取り組みが加速。そんな同社で、“昼寝スペース”開設やタイにおけるDX(デジタルトランスメーション)イベント開催など、既存の枠に囚われないアイディアで構想をカタチにしてきたのが同社の市原さん。日本への本帰国直前にこれまでのタイでの活動、そしてタイにおけるDX化について尋ねた。
シンガポール法人から日本、タイと3カ国の現場を経験
―— 市原さんはもともとシンガポール法人にいらっしゃったのだとか
そうなんです。弊社の中ではやや特殊ではあるのですが、最初にシンガポール法人に在籍し、その後の日本勤務を経て2015年3月にタイ赴任になりました。私自身は、既存の業務ではなく潮流に合わせた新規サービスの立ち上げを中心に担当してきました。
―— 具体的にはどのような事業に関わってきたのでしょう?
分かりやすい例として3つ挙げるならば、まず一つは日本のグルメや観光、ファッション、伝統芸能などを通した日タイ交流イベント「Toyotsu Japan Festival」です。2016年が開催初年度となり、2019年の第4回開催時には来場者10万人超え、出店企業も増加するなど年々その規模を拡大しました(2020年は新型コロナウイルスの影響により中止)。
そして、タイ航空によるバンコク— 仙台間の直行便再開に向けたタイ側の調整。2014年から運行停止となっていた同便の復活を目指し、豊田通商が運営に携わる仙台空港とタイ航空の仲介役として調整を重ね、2019年10月末に運行再開が実現しました。新型コロナウイルスの影響により現在運休していることは非常に残念なのですが、タイ法人としては引き続き双方の活性化に向けて尽力していく予定です。
また2020年4月からは、タイ法人の食料・生活本部傘下として新設された「Toyotsu L&C (Thailand)」のゼネラルマネージャーとして、これまで以上に日本ブランドの販促やビジネスマッチングに取り組んできました。その一つとして取り扱っているのが、日本No.1の品質を誇るマットレスブランド「Nishikawa Air」のセールスプロモーション。チャオプラヤー川沿いの商業施設「サイアム髙島屋」内に出店すると同時に、タイ本社に併設したショールーム、仮眠による生産性向上を目的とした従業員のための“昼寝”スペース「Nap Station」などを通し、タイの方々へのブランド訴求を行っています。今後も日本ブランドのタイ進出を後押ししていきたいと考えています。
アドミンから派生し、社内でのさまざまなオペレーションにTeachme Biz を活用
―— Teachme Biz のサービスはご存知でしたか?
タイ法人として2020年3月から業務の簡略化・効率化を図ろうとアドミン(総務・経理部)からTeachme Biz の導入が始まったと聞いていますが、私が直接的に関わりを持ったのは11月頃です。現在はアドミンから派生し、他の部署でもTeachme Biz を活用しているのですが、弊員周りでの活用例としては、部署内の輸出入、在庫管理に関するオペレーションのノウハウ蓄積、そしてNishikawa AiRの販売員の教育、PoP UP的に参加しているイベントの当日の動きなど向けにマニュアルを作成し連動させております。
また現在、弊社が投資・提供するドライバーの運転・勤怠管理システム「Flare」があるのですが、やはりオペレーションに対しての教育、ノウハウ蓄積は必要と感じており、今後Teachme Biz と連携したい分野であると思っております。
タイのDX化促進を目的に「Toyotsu DX Event」を初開催
―— 2020年にDXをテーマにしたセミナーを初開催していましたが、その経緯とは
6月に開かれる予定だった「Toyotsu Japan Festival」の中止が決まり、その代わりに何ができるかを考えていたところ、頭に浮かんだのがDXでした。コロナ禍で求められているのはお祭りではなく、デジタルを駆使した将来に繋がる仕組みづくりだと。
そうしてIT技術の活用を通じて組織やビジネスモデルを変革するDXの促進、日タイのスタートアップ及び、大企業側の連携・関係強化を目的に、同年12月に「Toyotsu DX Event」を開催しました。近年、タイで支持を高めるスタートアップ企業としてTeachme Biz を提供する「Studist(Thailand)」、スマートフォンのアプリを使ったクラウドドライバー管理サービスを提供する「Flare」、オンライン上での請求書発行や会計ソフトウエアによる業務効率化を図る「Flow Account」それぞれの視点から業務の簡略化・効率化についてお話しいただき、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていました。
―— タイにおけるDX化の現状について
日本同様、まだまだ普及に向けての取り組みが不可欠ですが、さまざまな外的要員を吸収しながら急成長を遂げてきたタイは、新しい技術への抵抗がない分、その浸透スピードはある意味日本より速いと言えるかもしれません。
前述したDXイベントは今年も引き続き開催することが決まっているのですが、ただ同じことをするのではなく、いかに需要を把握し、求められているサービスを提供できるかだと考えていますので、私自身も常にアップデートしていきたいと思います。
イベント案内でTeachme Biz が活躍。作業の負担が大幅に軽減!
―— 前述したイベントにもTeachme Biz を活用されたと伺いました
会場へのアクセスや事前資料、登壇者のプロフィール、事後レポートといった参加者の方々への連絡に活用しました。
特に、目に見えて効果があったのは会場へのアクセスです。通常のイベントでは3日ほど前から会場についての問い合わせが届き、当日の慌ただしい状況でも多くの問い合わせ対応に追われていたのですが、Teachme Biz で作成した案内はサイアムパラゴン外観から会場までのルートを細かく場面分けし、視覚的に分かるようにしたら問い合わせがほぼゼロになり、当日の現場作業やアテンドに集中することができた点は非常に助かりましたね。
※実際に作成したマニュアル
TOYOTSU DX Event 2020
TOYOTSU DX 2020 – Introduction of guest speaker
また、これまでは事前案内や事後レポートといった資料はメールで共有していたのですが、万が一内容に誤りがあった場合、改めて説明のメールと共にデータを送り直さなければいけない。けれどTeachme Biz はサーバー上にデータを保管しているので、小さな誤りはその場ですぐに資料をアップデートできる。さらに、メール添付できないような容量が重いデータもリンクを送るだけで共有できるので総合的な作業量が大幅に軽減されました。
Teachme Biz が、日本でも推し進められているDX化に対する一つの選択肢になるのはもちろん、他の管理アプリやシステムと連動した新たな活用方法が見出せるよう私自身も追求していきたいですし、関わる皆さまにとって最良のシナジーを生み出せるよう注力していきたいと思います。