TOYOTA TSUSHO NEXTY ELECTRONICS (THAILAND) CO., LTD.では、業務の属人化・ブラックボックス化という課題解決のために人事総務部門でTeachme Bizを導入し、1年を経て社員トレーニング時間の大幅削減、新入社員の即戦力化を実現。この成功を受けて、IT部門への展開に踏み切りました。
人事総務部門での成功をIT部門へ展開
―――この取り組みは人事総務部門からスタートしたのですよね?
楠本様(以下、敬称略):はい、そうです。人事総務部門では業務の属人化、ブラックボックス化という課題を抱えていました。少ない人数で業務が偏り、担当者が退職すると誰も業務のやり方を知らないというリスクと常に隣り合わせでした。画像や動画を落とし込むだけで簡単に作成、更新できる点が決め手となり、Teachme Bizを導入しました。
導入1年で、研修チームの時間を年間最大148時間削減、問い合わせ対応も毎日4-5時間から1時間まで減少しています。さらに、新入社員がわずか1週間で既存社員と同じ水準で働けるようになったのは驚きでしたね。
―――その成果を受けて、どのようにIT部門へ展開していったのでしょうか?
楠本:人事総務部門で利用を始めたことで、知見が溜まっていくというメリットが見えてきました。誰かに聞かなくてもそこにアクセスすればやり方が全部わかるので、引き継ぎの説明工数が減ったと感じています。
IT部門の場合は、セキュリティやパソコンのセットアップ、トラブルシュートが多く、いろんな人が同じ問い合わせを個別にしていくことで、説明工数が非常にかかっているように見受けられました。同じようなコミュニケーションを減らしていくという意味において、IT部門に利用を拡大していきたいと考えました。

楠本様 - Division Manager, Corporate Division
―――IT部門への展開で苦労した点はありましたか?
楠本:一番難しいのは、どうしてマニュアルを作らなければいけないのかを理解してもらうことですね。みんなマニュアルを作ることは大切だという認識はあるものの、どうやって作ればいいのかがわからない。見せながら、こういうふうに作ったほうが簡単だよね、早いよねとやってみせることが一番重要で、みんなが腹落ちしやすかったところです。さらに、かなり根気強くTeachme Bizでやってねとお願いしました。
ITのメンバーはセンスもリテラシーもあるので、そこまで難しくはなかったですね。便利さをしっかりと理解してもらえれば、自分たちでこれを使えば確かに楽だよねと思ってもらえたと感じています。
IT部門が抱えていた深刻な課題
―――IT部門ではどのような課題があったのでしょうか?
Wiroon様(以下、敬称略):私たちの最大の業務はユーザーサポートでした。従業員は問題があると、メール、電話、Microsoft Teamsを通じてIT部門に連絡してきます。質問を受けるたびに、各ユーザーに対して個別に解決策を説明しなければなりませんでした。トラブルシューティングだけで月に500件近いリクエストがあり、本来の業務であるアプリ開発や戦略的業務になかなか集中できずにいました。
Ratakarn様(以下、敬称略):パスワードのリセット方法やVPNへの接続方法といった繰り返しの質問がチャットで寄せられていました。1日あたり10人以上の従業員から問い合わせがあり、同じ質問に何度も答えることに多くの時間を費やしていたのです。
既存マニュアルの限界
―――マニュアルは作成していなかったのでしょうか?
Ratakarn:マニュアルは存在していましたが、PDF、Microsoft Word、PowerPointで作成されていたため、ページレイアウトやフォーマットの調整が難しかったんですね。システムが更新されるたびにマニュアルも古くなりますが、更新作業があまりにも煩雑で、結局更新されないまま放置されることが多くありました。
Porntip様(以下、敬称略):マニュアル作成のプロセス自体も非効率でした。ユーザーマニュアル用に画面をキャプチャする場合、スクリーンショットを撮るツール、画像を編集するツール、ドキュメントにまとめるツールと、複数のアプリケーションを行ったり来たりする必要がありました。

Wiroon様 - General Manager IT Promotion Department
導入の決め手はシンプルさと更新の容易さ
―――人事総務部門の成功を見て、IT部門でも導入を決めたのですね?
Wiroon:そうです。人事総務部門が情報やマニュアルを効果的に管理していた成果を見て、私たちIT部門でも同様の課題を解決できると確信しました。
Ratakarn:Teachme Bizの紹介を受けて、Microsoft WordやPDFよりもはるかに複雑さが少なく、チーム全体が使いやすいと感じましたね。もう一つの大きな利点は、情報を簡単に更新できることです。ドキュメント全体を作り直す必要がなく、必要な部分だけを素早く更新できます。
Porntip:画面キャプチャ機能が決定的でした。Teachme Biz内で直接画像をキャプチャできるため、異なるアプリケーション間を切り替える必要がなくなりました。キャプチャボタンをクリックするだけで画像を取り込めるんです。

Porntip様 - Group Manager, IT Promotion Department
80%の業務削減と従業員の自立化
―――導入後、どのような変化がありましたか?
Wiroon:最も顕著な変化は、問い合わせ件数の劇的な減少です。導入後、トラブルシューティングのリクエストは月に約100件まで減少しました。500件から100件、つまり80%の削減です。この削減により、組織内のアプリケーション開発やその他の戦略的な業務に時間を使えるようになりました。
Ratakarn:日々のチャット件数も劇的に変わりましたね。以前は1日10人以上だったのが、今では1〜2人程度です。従業員がTeachme Biz上のマニュアルを使って自分で問題を解決できるようになったため、私たちに連絡する必要がなくなったんです。
Porntip:従業員に問題が発生したとき、私たちはガイドのURLを共有するだけで済むようになりました。さらに素晴らしいのは、解決策を見つけた従業員が、同じ問題を抱えている同僚にリンクをコピーして共有できることです。
Ratakarn:一度従業員にリンクを送れば、彼らは問題を理解し、自分のチームメンバーとも共有できます。もう一度私たちに尋ねる必要がありません。マニュアルの閲覧数は数千回に達していて、Teachme Bizが広く活用されていることがわかります。
ナレッジセンターとして進化する組織の知識基盤
―――チーム内での働き方にも変化はありましたか?
Ratakarn:文化そのものが変わりましたね。今では、新しい解決策や手順について議論すると、誰かがすぐに「Teachme Bizにアップロードしておきますね」と言うようになりました。これが私たちの反射的な行動になったんです。
Wiroon:私たちはこれを単なるサポートツールとしてではなく、組織全体の「ナレッジセンター」として発展させています。全員が参照できる単一のナレッジセンターが存在することで、全員が同じ情報を持つことができ、業務における誤解が大幅に減少します。
Ratakarn:定期的な更新を続けています。プロセスが変わったとき、システムが更新されたとき、より良い方法を発見したとき、すべての情報がTeachme Bizに反映されます。これは静的なリポジトリではなく、組織とともに成長し進化する生きたナレッジベースなんです。

Ratakarn様 - IT Promotion Department
ASEAN域内への展開とタイ発の新しい取り組み
―――IT部門での成功を受けて、今後の展望をお聞かせください。
楠本:現在、タイだけで700を超えるマニュアルがあり、そのうちの9割が間接部門のメンバーが作ってくれています。間接部門の業務は基本的に国が異なっても同じなので、東南アジアとインドの各拠点に対して、この仕組みを展開していきたいと考えています。
まず最初にやりたいのは、会社として共通の受講しなければいけない動画での教育コンテンツを、ASEANやインドのメンバーが受講できるような仕組みにすることです。具体的には、ITセキュリティのリフレッシュトレーニングやコンプライアンスの研修など、毎年繰り返し受けてもらわなければいけない研修です。内容は国によって同じなので、これを共通化して、トレーニングの履歴も残る、確認テストの実績も残るので、誰が受けていないのか、誰が受けたのかも全部管理できます。管理面においても非常に効率的だと思います。
―――ASEAN域内での展開はどのように進めていく予定ですか?
楠本:東南アジア、インドの域内においても同じようにポータルサイトを作って、Teachme Bizにアクセスできるようにすることを考えています。日本本社とも協議しながら作って徐々に広げていく予定です。
先日、日本の本社のあるグループに発表する場もあり、タイ発でいろんなことをやっている、我々の域内でこういう仕組みで今はやっていますよという事例も紹介させていただきました。反応が良くて、何名かの方から直接「すごいね」とか「こういうやり方があるんだね」というコメントもいただいたので、やってて良かったなと思いますね。
―――各拠点への展開で課題はありますか?
楠本:各拠点にどうやって展開したらいいのかは考えどころですね。導入したはいいが運用が全然できていない、運用する人がいなくて形骸化してしまうケースは往々にしてあると思います。タイの場合は人数が多い拠点なので担当者を決められますが、他の拠点はそこまで大きな規模じゃないので、担当者を決められるのか、放置されて誰も使ってないということにならないよう、誰がどうやってするのか、タイがコントロールした方がいいのかなど、今考えながら各拠点と横串で連携をしています。
スモールスタート、スモールサクセスでやりたいと思っているので、比較的人数の少ないマレーシアやフィリピンといった拠点成功事例を作って、比較的大きな拠点に展開していきたいと考えています。
※掲載している内容、所属や役職は取材を実施した2025年12月当時のものです。
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https://biz.teachme.jp/casestudy/toyota-tsusho-nexty-electronics-part2 (事例動画あり)
