リニアガイドのパイオニアであるTHK株式会社のベトナム生産拠点として、2007年に設立され、工作機械やロボット、半導体製造装置などの産業機器向けに、LMガイドやスライドレールの製造を行っているTHK MANUFACTURING OF VIETNAM様。高い精度と品質管理が求められる同社の検査工程において、作業者によらず正しい手順で作業が行える環境を整備すべくTeachme Bizを導入。導入背景や活用方法についてお話しを伺いました。
―――Teachme Bizを導入された背景を教えていただけますか?
吉田様(以下、敬称略):紙のマニュアルでは、特に検査工程での作業指示に苦労していました。「この角度から見る」「この光の当て方」「この力加減で」といった繊細な作業は、ベテランは経験で身につけていますが、紙のマニュアルでは伝えきれず、新人教育では大きな壁となっていたのです。
ズン様(以下、敬称略):紙のマニュアルでは、多くの問題がありました。マニュアルを見たい時にも探すことに時間がかかったり、マニュアルを見てもメンバーごとに手順の理解が異なることも多く、作業品質にばらつきが生じることもありました。そのため、作業開始前に先輩社員に確認するケースも多く、時間がかかっていました。
吉田:また、作業手順が改善された時の更新も課題でした。ページの差し替えや写真の撮り直しなど、手間がかかってタイムリーな更新が難しく、作業者による手順のばらつきが生じていました。
ズン:ExcelやPowerPointで1つのマニュアルを作るのに3時間ほどかかり、さらに印刷して配布する手間もありました。改訂があった場合は、古い資料を回収して新しい資料を配布し直す必要があり、その管理も大変でした。
吉田:動画を入れた分かりやすいマニュアルを作ろうかという話をしていた時、社長からTeachme Bizの紹介を受け、デモを見せていただきました。特にシンプルで分かりやすい点、画像や動画で作業を記録できる点に可能性を感じ、導入を決定しました。

品質保証部部長 吉田様
―――具体的にどのような業務でTeachme Bizを活用されていますか。
ズン:製品の最終検査工程で活用しています。各製品の見本にQRコードを貼り付けており、作業者はそれを読み取ることで、その製品専用の検査手順をすぐに確認できます。異なる製品の作業に入る際には、その製品独自の検査方法をしっかり理解してもらうため、必ずマニュアルを確認するルールとしており、各作業員は毎日マニュアルを参照しています。
吉田:作成したマニュアルは、まず新人作業者に使ってもらい、フィードバックを収集しました。「この部分の説明が足りない」「この動作をもう少しゆっくり見たい」といった具体的な改善点を随時反映していきました。システム上で簡単に編集できることも、このような継続的な改善を可能にしている要因です。
特に新人の視点からのフィードバックは、当たり前すぎて説明を省いていた部分を発見するのに役立ちました。このように段階的に改善を重ねていった結果、現場で実際に使える実践的なマニュアルが完成し、その後の他工程への展開もスムーズに進めることができました。

Mr. Nguyen Dinh Dung, Quality Assurance Inspection
―――Teachme Bizを使用する作業者の反応はいかがですか?
ズン:とても前向きな反応が多いです。特に若手のスタッフは、スマートフォンなどのデジタル機器に慣れているため、直感的に使いこなしています。入社したばかりの従業員からは「分からないことがあっても、すぐに確認できて安心」という声をよく聞きます。
一方で、最初は特に年配のスタッフから「今までの紙の方が慣れている」という声もありました。しかし、実際に使ってみると操作が簡単で、むしろ紙よりも便利だということを理解してもらえました。今ではベテランのスタッフからも「自分の経験やノウハウを若手に伝えやすくなった」という評価を得ています。
当社ではベトナム人従業員が多いのですが、日本人の技術指導員も定期的に日本から出張に来ています。以前は通訳を介してもニュアンスが正確に伝わらないことがありましたが、マニュアルをTeachme Bizで作るようになってから、動画と写真があることで、言語の壁を超えて正確な情報共有ができるようになっています。

検査前には必ず手順書を確認するルールを徹底
――現場での活用状況と導入効果を具体的に教えてください。
吉田:導入から約半年が経ち、特に2つの面で大きな効果が現れています。まず、作業の標準化による品質向上です。作業者間での判断基準が統一され、不良品の見逃しも大幅に減少しています。
2つ目は、新人教育の効率化です。以前は2週間かかっていた教育期間が、現在は1週間程度に短縮されています。動画の一時停止や繰り返し再生機能を活用することで、新人作業者が自分のペースで学習を進められるようになったことが大きいですね。また、ベテラン作業者の「コツ」や「勘所」が動画で可視化されたことで、暗黙知の継承もスムーズになりました。
――最後に、今後の展開についての具体的な計画を教えてください。
吉田:現在の作業手順書という活用方以外にも、幅広い展開を検討しています。具体的には、金型の分解・組立手順のマニュアル化や設備の修理・メンテナンス方法の文書化です。製造設備のトラブル対応や定期メンテナンスの手順を動画で残すことで、設備保全の質を向上させ、ダウンタイムの削減を目指します。
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https://biz.teachme.jp/casestudy/thk-manufacturing-of-vietnam/ (事例動画あり)