マニュアルのペーパーレス化で
トレーニングコストを大幅セーブ
―――Teachme Biz導入の背景を教えてください。
マレーシアで回転寿司をはじめとした和食サービスを提供する、スシキング。1995年の創業以来、順調に店舗を拡大し、国内最大の回転寿司チェーンへと成長してきました。近年、ハラル認証を取得。保守的な食文化を持つマレー人のお客様に、ご利用いただく機会も増えています。
紙のマニュアルを使用していた当時は、大きく3つの課題を抱えていました。1つ目は、標準化における課題です。弊社では、マレーシア国外からのスタッフも相当数雇用しています。その場合、言語の壁が存在して“見よう見まね”でトレーニングするので、何度もトレーナーが店舗を訪れて指導する必要があります。そのため、新人スタッフのスキルやサービスクオリティに、バラつきが生まれていました。
2つ目は、トレーニングに時間がかかるという課題です。外食産業は離職率が高いため、常に新人スタッフを何名も抱えている状況です。教えては辞め、また教えての繰り返しで、とにかく教育に時間がかかってしまっていました。
3つ目は、マニュアル配布のリードタイムです。新興国ならではの悩みかもしれませんが、日本ほど物流が発達していない上に、陸地でつながっていないところにも店舗があるような状況のため、配送中にマニュアルを紛失してしまうという事態も起こります。マニュアルを更新するたびに、1週間から10日ほど時間を要していました。
―――導入の決め手は何でしたか?
最大の決め手となったのは、ROI(投資対効果)が期待できたことです。マニュアルの印刷代だけでも250万円から30万円へ、85%のコストカットを実現できます。トレーナーが店舗に赴くための出張費や、マニュアル配布のデリバリーコストなど、年間300万円の削減になります。Teachme Biz導入のためだけにタブレットを新規導入しても回収できると算出されました。オーバースペックな他社サービスと比べて、必要なものだけがパッケージ化されており、リーズナブル。導入しない手はありませんでした。
コメント機能や評価制度を駆使して、現場で活きるマニュアルを!
―――どのようにTeachme Bizを運用していますか?
マニュアルの内容は、メニューやレシピが中心です。既存のマニュアルをスライド化し、なかでも重要なものは動画化するようにしています。ただ、せっかく作ったものが“宝の持ち腐れ”になってはもったいないので、「新人教育ビデオ DAY1・2・3」を作成し、絶対見ておくように指導しています。受講状況を管理するとともに、小テストを実施することで、クロスチェックできるような体制も整えています。
本部・マネージャーと現場の間で双方向コミュニケーションが図れるので、マニュアルをブラッシュアップすることも可能です。「こんなマニュアルがあったらいいな」を提案してもらい、KPIとしてそれを数値化、個人の評価につながるような仕組みも取り入れています。
マニュアルとの“にらめっこ”は卒業!ワンタップでスキルをボトムアップ
―――導入の効果はいかがでしたか?
長くて複雑なことや、活字では伝えづらかったことを動画に置換できて革新的。また、完成したマニュアルをすぐ配信することができるので、1週間~10日ほどかけていた配送の時間短縮になるのも大変重宝しています。
スキルの底上げには、何よりもまずマニュアルを見てもらうことが重要です。今までは資料と“にらめっこ”でしたが、タブレットをワンタップするだけで、「何をするべきか」が一目瞭然。現場スタッフからも、シンプルで分かりやすいと好評で、作る側も見る側も楽しめているのが印象的です。
また、本部やマネージャー側から一方的に発信するマニュアルづくり体制へのテコ入れになり、現場の声を吸い上げる体制も出来上がりました。現場スタッフにもそこに参加している感覚が生まれ、双方向コミュニケーションに対する意識づけができたのも良かったと感じています。
言語の壁を超えるマニュアルがビジネス拡大の一翼を担う
―――今後の活用計画を教えてください。
今のところは、マニュアル共有のためのツールとして使用する機会がほとんどですが、「この店舗でこのような改善施策を実行したので効果が上がった」という、“処方箋”として横展開していく予定です。「こういう問題が起きたときにどうすればいいか」に対するベストプラクティスを共有し、全社的な標準化につなげたいです。
また、Teachme Bizでマニュアルを動画化することによって、言語の壁を越えて共有することができるため、他国展開にあたって大きなアドバンテージとなります。実際に、マレーシアで作ったマニュアルを、ベトナムやインドネシアにも展開しようと考えています。
更に、評価制度に関係のないところで、マニュアルに対する議論が活発になれば、楽しみながらマニュアルをつくるという、社内カルチャーが芽生えるはず。トレーニング部門で予算を組み、現場スタッフを巻き込みながら、マニュアルコンテストを開催するのも良いアイデアかもしれません。