長年の課題だったマニュアルの統一化と標準化に向け、住友ゴム工業株式会社様が全社的な改革に乗り出しました。異なる部門間の連携という珍しい形で広がりを見せる「Teachme Biz」と「Teachme AI」の導入について、研究企画部の脇野宏章様、山根宏光様と、製造技術部の塚田泰正様にお話を伺いました。
高いセキュリティ基準と圧倒的なシェアによる安心感が決め手
ーーーまず、Teachme Bizの導入に至った背景を教えてください。
脇野様(以下、敬称略):事業継続と成長のためには、ベテラン社員の専門知識を効率よく継承することが不可欠です。しかし、以前の属人的な共有方法では、増加する業務量と減少する人員という相反する状況に対応できず、新たな技術伝承の仕組みが求められていました。もともと作業手順書はあったのですが、ExcelとWordで作成していたためフォーマットが統一されておらず、品質にもばらつきがありました。写真が詳細なものもあれば、文字だけのものもあり、不統一な状態だったんです。
マニュアルの管理自体にも課題があり、必要なマニュアルがなかったり、更新が滞っていたりするメンテナンスの問題もありました。これらの課題を総合的に考えると、従来のやり方では限界を感じ、新しいシステムを探していました。
社内でフォーマット統一を試みたのですが、うまくいきませんでした。社内ソフトもあったのですが、動作が不安定で、改善要望を出しても時間とコストがかかるという課題がありました。そこでクラウドサービスに方向転換しました。ちょうど社内でもDX活動が推進されていた時期だったことも後押しになりました。
ーーーTeachme Bizを選ばれた理由をお聞かせください。
脇野:「シェアNo.1」という点でまず魅力を感じました。YouTubeの宣伝動画もわかりやすかったです。セキュリティ面についても、ホームページの情報が明確で、社内のセキュリティ担当者からも評価が高かったため、導入を決めました。

住友ゴム工業株式会社 研究企画部 脇野宏章様
塚田様(以下、敬称略):私自身も3年ほど前からこのサービスに興味を持っており、紆余曲折を経て契約に至りました。ExcelやWordで作成したマニュアルは、時間をかけても新入社員には理解しにくいという課題がありました。冒頭から専門用語が並び、新入社員にはハードルが高かったんです。どうしても作り手が中級者以上のレベルになってしまう傾向がありました。
ーーーTeachme Bizを実際に使ってみてどのような印象を持たれましたか?
山根様(以下、敬称略):当初は「虎の巻」のようなイメージで導入しましたが、実際新人に「これを見てやってみて」と渡したところ、問題なく作業ができました。さらに、他部署の数年目の社員にも同じマニュアルで教えることができ、非常に効果的だと感じています。
塚田:Teachme Bizの良い点は、ステップ形式で手順が明確に示せることです。「まずこれ、次にこれ」というように落とし込みやすく、誰かのためにマニュアルを作成することで、自分自身の理解も深まります。動画や写真を使えるため、専門用語を知らなくても視覚的に理解できる点が大きいです。文字だけよりもはるかに伝わりやすいですね。
社内初の大規模連携で業務効率化を全社に拡大
ーーーその後、社内での展開はどのように進んだのでしょうか?
脇野:最初は研究部門のみでの導入でしたが、セキュリティ担当者の報告を通じて他部署にも知られるようになりました。その後、「うちでも使いたい」という声が上がり始め、徐々に利用部署が増えていきました。当初の想定よりも速いスピードで広がり、1ヶ月で登録者が5倍になったこともありました。
塚田:私も以前より生産部門で活用したいと考えていました。タイヤ生産を管理する立場として、各拠点からマニュアルツールの要望が以前からあったんです。そんな中、社内でTeachme Bizを導入したと聞いて、すぐに自部門での導入に向けて動き出しました。

ーーー今回、部署を超えた連携で利用範囲が拡大したそうですね。その経緯を詳しく教えていただけますか?
塚田:脇野の部署がTeachme Bizを導入していると聞き、すぐに連絡を取りました。それまで面識はなかったのですが、同じ課題意識を持っていたため、スムーズに話が進みました。私は製造技術部、脇野と山根は研究企画と、全く異なる部門でしたが、このような大きなプロジェクトで連携できたのは本当に珍しいことです。
山根:全く面識のない塚田が飛び込んできたときには正直おどろきましたが(笑)、お互いにマニュアルにおける苦労がわかるので、どんどん話が進みました。私自身、当社に34〜35年勤務していますが、これほどの規模で部署間連携するのは初めての経験です。
脇野:研究部門だけでなく、塚田の製造技術部や他の部署にも広がっているのは、Teachme Bizのわかりやすさと使いやすさの証だと思います。部門によって業務内容が全く異なるのに、同じツールで効果を出せているのは素晴らしいことです。
ーーー部署を超えた連携はどのような効果をもたらしていますか?
山根:互いのノウハウを共有できるのが大きいですね。研究部門で効果的だったマニュアルの作り方を製造部門に共有できますし、逆に製造部門での工夫も参考にしています。それぞれの部署の強みを活かしながら、全社的な取り組みになりつつあります。
塚田:社内での認知度が飛躍的に高まりました。私は自称「社内営業兼広報担当」として各拠点を回り、Teachme Bizの使い方や効果を伝えています。研究部門の成功事例があることで、生産部門での説得力も増しています。部署を超えた横のつながりがあることで、組織としての推進力が大きくなっていると感じます。

住友ゴム工業株式会社 研究企画部 山根宏光様
使ってみて実感したTeachme AIのインパクト
ーーーTeachme AIを追加導入された理由を教えていただけますか?
脇野:昨年トライアルさせていただき、本当にすごいと実感しました。Teachme Bizによってフォーマットが統一されてはいるのですが、それでも多少発生してしまう個人差やばらつきをAIが解消してくれる点が大きいです。人の手で最終的に仕上げれば良いと考え、導入を決めました。
塚田:「音声付きで作業の動画を撮ってもらったら、ほぼマニュアルができる」という点と、「アップロードしてお昼休憩に行けば、戻ってきた時に出来上がっている」という点が魅力的でした。特に現場の人がツールに詳しくなくても作業できそうだという点が一番の決め手になりました。現地検証の際にAI機能を見て、これは導入するしかないと感じました。
ーーー実際のマニュアル作成で、どのようなものを作られているのでしょうか?
塚田:タイヤの製造部門では、主にタイヤの作り方と設備の扱い方のマニュアルが中心です。準備するものから始まり、次の手順へと進む内容を細かく用意しています。これまでは手順書と実際の作業にずれがあり、タイムリーな編集ができないという悩みがありました。
山根:研究部門ではゴム製品関連の作業手順書だけでなく、OA機器等の事務系マニュアルなども作成しています。現在約400件のマニュアルがあり、それらを段階的にTeachme Bizに移行しているところです。
ーーーマニュアル作成の過程で、何か工夫されていることはありますか?
塚田:Teachme AIを使う際には、機材の選び方や撮影環境が重要です。騒音下で声が拾いづらい場合はピンマイクを使うなどのアドバイスをしています。また、話し方についても「次はこうします、ここがポイントです」というように話すとAIが正しく理解してくれるので、そういった使い方のコツを各拠点に広めています。

住友ゴム工業株式会社 製造技術部 塚田泰正様
ーーー導入後、具体的にどのような変化がありましたか?
塚田:最も大きな変化は、手順書が実際に業務で使われるようになったことです。以前の教育は OJT で担当者が「見て覚えろ」というスタイルでしたが、正しい手順を確認するために手順書を確認して業務を実行するという頻度が格段に上がりました。ノウハウは暗黙知でしたが、その暗黙知を徐々にTeachme Bizに落とし込むことが出来ております。
山根:実際に新人に渡して「これを見てやってみて」と言うだけで作業ができるようになったのは大きな変化です。以前はマニュアルがあっても更新されず、使われなくなっていましたが、今は現場で実際に活用されています。利用者が急激に増えていることも大きな変化で、最初は研究部門だけでしたが、今では様々な部署に広がっています。
ーーー特に「Teachme AI」導入後の効果はいかがですか?
塚田:AIを使うことで、動画を撮影するだけでマニュアルの下書きが自動生成されるため、作成時間が大幅に短縮されました。説明しながら動画を撮ることに最初は抵抗がある人もいましたが、慣れるとスムーズにできるようになります。私自身も各拠点を回り、AIを効果的に活用するためのレクチャーを行っています。
脇野:Teachme Biz導入後1年ほど経った頃、Teachme Bizで以前よりはかなり楽にはなったけど、まだ少し大変だなと感じていたタイミングでAIの話を聞いたので、自動化は本当に助かります。個人差によるクオリティのばらつきもAIによってある程度解消されるのが大きいです。

20,000アカウントのフル活用を目指して社内に拡大
ーーー今後の展開についてお聞かせください。
山根:研究部門には約400件のマニュアルがありますが、まずは来年いっぱいで研究部門全体のマニュアルをTeachme Bizに移行したいと考えています。さらに国内の全拠点で活用できるよう展開していく予定です。
塚田:生産本部では、現状アカウント配布が400~500件となっておりますが、今後は1,000件、2,000件とどんどん拡大させていく予定です。最終的には「わからないことがあったらTeachme Bizを開く」ことが社内の一般常識になるようにしたいですね。
ーーー今後の活用で期待されることはありますか?
塚田:若手社員にとっての心理的安全性が高まることを期待しています。新人が作業中にわからないことがあっても、周りが忙しそうで質問しにくい状況があります。そんな時、Teachme Bizを見れば何かしら手がかりがあり、その情報から安心して作業を進められるようになると思います。情報が整備されていることで、心理的な安心感が生まれると考えています。
脇野:当社には海外からの実習生もいる拠点があります。そういった外国人材に対しても、Teachme Bizなら言語の壁を越えて教えやすくなります。動画や写真があれば、文字だけよりも格段に理解しやすくなりますし、翻訳機能もあるので非常に助かります。
山根:マニュアル管理の観点からも期待しています。従来はマニュアルの更新が滞り、古い情報のままになっていることがありました。Teachme Bizなら簡単に更新できるため、常に最新の状態を維持できます。また、クラウドサービスなので、システム自体も常に進化していくのが魅力ですね。
ーーー最後に、他社で Teachme Bizの導入を検討している方へのアドバイスがあれば教えてください。
塚田:まずは小さく始めてみることをお勧めします。最初から全社展開しようとすると壁にぶつかります。まずは一部署や一工程だけでも成功事例を作り、それを広げていく方が効果的です。また、マニュアル作成は「面倒」と思われがちですが、Teachme AIを使えば初期ハードルが大幅に下がるので、ぜひ検討してみてください。

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https://biz.teachme.jp/casestudy/sumitomogomukogyo/ (事例動画なし)