会員制リゾートホテルやラグジュアリーホテル、シティホテルを国内・ハワイの計49カ所で開発・運営する他、ゴルフ場、メディカル俱楽部、シニアレジデンスなどの事業を展開するリゾートトラスト株式会社様。経営者層、シニア層など、上質なくつろぎを求めるお客様に向け、品格あふれるひとときを提供しています。スタッフの数は約8,000名。その一人ひとりのサービスの質を平準化し向上を図るためのツールとして、Teachme Bizをご活用いただいています。
その活用法や効果、今後の活用の展望について、リゾートトラスト株式会社 人事企画部 企画戦略課 東 伸 様にお話をうかがいました(2021年3月)。
「ヒューマンタッチ」を理解するのに最適なツール
―――導入の背景をお聞かせください。
当社は、お客様にワンランク上のサービスを提供することで満足を超える感動、感激、感涙の3つの「感」を味わっていただくことを目指しています。そのためには質の高い教育が欠かせないわけですが、働き方改革の推進により年間所定労働時間の削減に全社的に取り組む中、教育研修の時間が思うように捻出できなくなり、少なからずサービスに影響を及ぼすようになってきていました。また、新規ホテル開業などの事業拡大により主力となる人財が分散してしまい、早期人財育成の必要性も感じていました。この2つの背景から導入を検討しました。
―――導入前はどのような教育資料をお使いでしたか?
毎年約500名の新入社員を迎えていますが、入社する際、ホテル全体のマニュアル、部署ごとのマニュアルなど、複数に分かれた分厚い資料を一人ひとりに配布し教育に使っていました。
Teachme Bizの導入を検討するにあたり、我々が毎年どれだけの紙をマニュアルに使っているか計算してみました。すると、A4換算で1名あたり約400枚、それが500名分ですので、年間約20万枚使っていることがわかりました。お台場に展示されているガンダム像の高さは19.7mあるそうですが、積み上げればほぼ一緒になるほどの量です。Teachme Bizを使えばそれが端末だけで済むわけですから、資源の大幅な削減につながると感じました。
―――それはすごい量ですね!紙の削減以外にも導入の決め手となったポイントはありますか?
ホテル業に不可欠な、血の通った対応、いわゆる“ヒューマンタッチ”というものを理解する上で最適なツールだと感じたことです。お客様との距離感や話す時の視線などは、文字ではなかなか伝えきれません。しかし動画であれば、そうしたことが一目でわかります。サービスやオペレーションに想いや人間らしさをどう込めるか、学ぶ側がそれを感じやすくなると思いました。
また、一つの作業において何を使いどう動くのか、そのプロセスを明確に表現できることも魅力でした。文字の場合は書いてあることを読み手の感覚で誤って理解してしまうことがどうしても起こりますが、Teachme Bizなら一人ひとりの行動に差異は出にくいだろうと考えました。
独自開発の人財教育システムとTeachme Bizを連携
―――具体的な活用方法について教えてください。
当社では、人財の教育、育成の促進を目的にしたHRDEC(ハーデック=Human Resource Development Coresystem)というシステムを独自開発し運用しています。その中にTeachme Bizを組み込み、活用しています。
HRDECで重視しているのは「自己学習」です。会社として社員を教育することは義務でもありますが、冒頭にお話しした通り、働き方改革によって教えたくても教える時間が確保できない事情もあります。その一つの打開策として、自己学習によって自分のキャリアを自らデザインしてもらうことを目指しています。そのための教材をTeachme Bizに落とし込み、HRDECを通して社員に提供することで、好きな場所で、好きな時間に、自分が興味のあるコンテンツを見ることができる環境を提供しています。
―――その自己学習の際、社員のみなさんはどの端末を使われるのでしょうか。
会社の端末はもちろん、個人の自宅にあるパソコン、スマートフォンなど、インターネット環境さえあればすべての端末で閲覧できます。社外での閲覧の際は、HRDECのログイン時に「業務であるか自己学習であるか」を選択してもらい、業務として閲覧する場合は上司が承諾しないとログインできない仕組みにして、セキュリティに関する配慮はもちろんのこと、コンプライアンスの徹底も図っています。
―――現在何本ぐらいの手順書を作成されていますか?
現在HRDECの中には約2,700の手順書がありますが、そのうちの33%がTeachme Bizで作られています。導入初年の2018年は45本、2019年には310本、現在は約1,000本までに充実。Teachme Bizの有効性が浸透してきたからこそ、これだけ本数が増えてきているのだと思います。
今年の新入社員が来年の新入社員のために手順書を作る
―――手順書の具体的な内容について教えてください。
コンテンツは大きく「調理」と「サービス」の2つに分かれます。
まず調理においてですが、当社のホテルは主に会員制であることから、毎回お客様がお楽しみになれるよう1~2ヵ月ごとにメニューを入れ替えます。その際、調理のスタッフに向けて料理説明会を開き、新しいメニューについてレクチャーをしていますが、この説明会の資料が以前は紙でした。そのため、作り方や出来上がりの写真、材料の原価などしか伝えることができませんでしたが、Teachme Biz導入後は料理長が料理を作る手順や盛り付けの様子などを動画で共有できるようになり、料理の質の向上につながっています。撮られる側の料理長も「ここがポイントだよ」などと言いながら手順を紹介してくれるので親近感も沸きますし、社員への料理の浸透度が高まったと思っています。
サービスにおいては、今年の新入社員が来年の新入社員のために動画を作る取り組みをおこなっています。例えば、1年目の社員がワインを開けようとしても決して上手にできているとは言えませんが、あえてその動画を次の年の新入社員に見せるのです。本来手順書は完成されたものを見せるものだと思いますが、あえてそうではないプロセスを見せることで、自分もこの過程を経て成長していくということが理解できるようにもなります。
自分の姿は自分の目では見ることができませんが、フェーズが近いスタッフの動きを見ることが自らの動きの参考になることもあると思います。また先輩社員側にとっても、人に何かを伝えること、理解してもらうことの大変さを知ることにもつながると思います。
こうした取り組みができるようになったこともTeachme Biz導入の大きな効果だと思います。新たな時代に向けて、Teachme Bizが社員の意識や当社の文化をよりよい方向へ変え始めていると感じますし、これからも期待しています。
―――今後の活用イメージを教えてください。
動画の影響力はとても大きいものですし、だからこそ、Teachme Bizを手順書としてのみ活用するのはもったいないと思っています。今後は、リゾートトラストのブランドアイデンティティを、Teachme Bizを通して具現化していきたい。それもまた人事企画部の仕事の一つだと思っています。社員の心を動かすような、また社員をはじめ、その先のお客様がもっとハッピーになれるようなコンテンツを工夫・実現できればと思っています。