事業の拡大に伴い、マニュアルで業務を標準化
―――貴社の事業内容をお聞かせください。
私たちは、ネット印刷の事業「ラクスル」を基軸に、集客サービスや運送サービスなど、大きく3つのサービスを運営しています。ラクスルは、「中小企業の商売をラクにして、商売革命を起こす」という使命を掲げており、インターネットの力で新しい仕組みを構築して、世の中の仕事を円滑に進めることを目指しています。
―――Teachme Biz導入の背景を教えてください。
2015年末に代表の松本を経由して、Teachme Bizを知りました。その後、私自身がオペレーションに携わるようになったタイミングで、本格的に興味を持ち始めました。弊社は、オペレーション作業が多く、ウェブだけで完結しないところに特徴があります。従来は、その質の担保を「人」と「ホスピタリティ」でカバーしていました。しかし、事業拡大とともに質に差が出てきたため、ルールを統一するマニュアルが必要になり、Teachme Bizの導入を決めました。

ラクスル株式会社 カスタマーリレーション部 部長 田島 裕也 様
―――導入の決め手は何でしたか?
初心者でも簡単に使える操作性の高さが決め手でした。導入前は、スプレッドシートやパワーポイントでマニュアルを作っていましたが、現場の人間にとっては操作が難しく、自分たちで改善しながら作ることができませんでした。私たちは、そこに課題を感じていました。あくまでも「作りやすく、見やすい」ことだけに特化したツールがほしいと考えて、Teachme Bizを選びました。他には、価格的な面で魅力を感じたのも決め手のひとつでした。
―――マニュアル自体を導入することになった理由は何だったのでしょうか?
お客様への対応の質の差に課題を感じていたことが理由です。現在、約100名もの社員が、コールセンター業務とお客様のデータチェック業務を担当しています。特に後者の、印刷工場に印刷を手配する前の、データチェック作業は、お客様から送られてきた様々なデータを精査して、時にはお客様に尋ねる必要があります。この際に、受け取ったデータに対する対応者の判断基準を明確にして、統一しなければ、担当者によって対応が異なるという印象をお客様が抱きかねません。
人が少ない時は意図せずともこうした判断基準の共有ができていましたが、人や拠点が増えると、それが難しくなりました。判断基準の「見える化」をエクセル等で試みたこともありましたが、印刷ファイルやデータを取り扱うため、文字にするのには限界があったのです。
―――どのようなマニュアルを作っていますか?
現在、約200点のマニュアルが作られています。マニュアルの種類は、データチェック業務の手順と、ソフトウェアの種類や商品によって変わる入稿時のルールなどです。

実際のマニュアルの一部。業務ごとに細かくフォルダ分けしている
全体の8割のオペレーションは、定番商品の対応なので、入社して約2ヶ月間でオペレーションに慣れます。しかし、のぼり(店名や商品をプリントした旗)や名入れ伝票など、それほど注文頻度の高くない商品のオペレーションは、取り扱いが難しいのです。従来、そういった商品は注文が入ったら周囲の人に尋ねるやり方をしていましたが、現在は、マニュアルを活用して自己完結できるようになりました。
―――Teachme Biz導入直後はどのように運用をしましたか?
Teachme Bizを導入した当初は、半年をかけてマニュアルの下地を作りました。最初の約2ヶ月間は、WBS(プロジェクト全体を細かい作業に分割した作業計画図)を引き、自分たちの業務オペレーションを分解して、マニュアル化が必要なものを定量的に洗い出しました。そして、担当を割り振り、ノルマと提出期限を決めました。
最初は、全員が操作に慣れておらず、書き方も三者三様になっていたので、毎週アウトプットをして確認することで足並みを揃える良い取り組みになっていました。
―――社内にマニュアルを浸透させる上で気をつけていたことはありますか?
マニュアル作りは「要点だけおさえていれば型はいらない」というスタンスで、個人に任せるようにしました。本当は、見ないと仕事が進まない状態を作るのが一番効果的だと思いますが、私たちの場合、マニュアル作りはしているが、活用がされていないという状態でした。
そのため、社員に「マニュアルを見たほうが良い」という意識を根付かせることから始めました。その取り組みとして、マニュアル化したい仕事を完璧に網羅したマニュアル作りをしました。10個、20個のマニュアルしかない状態で周知しても、必要なマニュアルがないと見なくなってしまうので、まず100点マニュアルを作り、ある程度の業務を網羅した状態で、周知するようにしました。そうしたことで、わざわざ尋ねなくても、マニュアルにすべてが書いてあるという認識を根付かせることができました。
他には、マニュアルを読んでいることを前提とした、スキルチェックテストも実施しました。これはTeachme Bizを導入したことで生まれた取り組みだったので、そういう意味ではとても良い流れができたと感じます。
―――現在はマニュアル作りをどの様に進めていますか?
オペレーションのリーダーを務める3名が柱になって、マニュアルの運用をしています。彼らは、実際にオペレーションをしながら、既存のルールをどのように改定するべきか考え、メンバーから上がった意見を集約しています。現場のオペレーターが気付いてマニュアルを作成し、最後の承認だけもらうというやり方もあります。
必要な情報をTeachme Bizに集約。探す時間を削減。
―――導入の効果はいかがでしたか?
社員がルールを認識するようになりました。今までは暗黙知として終わらせてしまうものが多かったのですが、しっかりと形にして提示できる様になったので、社員の共通の基準ができました。Teachme Bizを見ることで、意見の食い違いが生まれなくなり、提供するサービスの質の標準化にもつながりました。
また、情報がTeachme Bizというひとつのツールの中にまとまっているという状態がとても良いと感じています。これまでは情報が散在してしまい、探すのが大変でした。もちろん、すべてがTeachme Bizで完結するわけではありませんが、最終的にたどり着くのはTeachme Bizに統一されています。新人トレーニングプログラムも、項目はスプレッドシートで管理していますが、詳細の内容はTeachme Bizにリンクさせる形にしたところ、非常に学びやすくなりました。
―――今後の活用計画を教えてください。
現在、海外に2つの拠点があり、これから3つ目の拠点を立ち上げる予定です。海外で新規事業を立ち上げる際は、基準が揃わず現場が混乱することが多く、テレビ会議を頻繁にしています。Teachme Bizを活用することで、これらの確認や混乱をなくして、よりスピード感を高めたいと考えています。マニュアルを読むのが現地の社員なので、現地の言葉に翻訳した使い方も試したいです。
マニュアル利用の領域の拡大も考えています。現状では、データチェック業務に特化していますが、今後は印刷工場での印刷工程解説もTeachme Bizで作成する予定です。お客様から印刷の色味が違うという問い合わせをいただくことがあるのですが、その都度担当者が印刷会社に確認することが多いためです。印刷会社の作業工程を理解することで、わざわざ確認することなく、自力で対応を完結できるようにしたいと考えています。
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https://biz.teachme.jp/casestudy/raksul/ (事例動画あり)