タイに特化したITソリューション・サービスを提供
―――事業概要を教えてください。
日本本社は1982年、「コマツ」の全額出資による情報システム会社「小松ソフトウェア開発株式会社(現QUALICA Inc.)」として創業し、現在はTIG(TISインテックグループ)の一員として、製造業および流通サービス業(飲食業・小売業)様に向けたIoTやクラウドサービス、業務用システム開発、パッケージソフト開発といったITソリューション・サービス事業を幅広く展開しています。
―――タイ進出の経緯をお伺いできますか?
日本本社では以前よりグローバルビジネス拡大を成長戦略の一つに掲げ、タイよりも先に中国・上海とシンガポールに現地法人を設立していましたが、経済発展の目覚ましい東南アジア諸国(ASEAN地域)へのビジネス展開は自社の事業拡大を目指す上で避けては通れません。その基点となるバンコクに2018年8月、駐在員事務所を開設しました。私はその当初からプロジェクトリーダーとしてタイを訪れ、現地の販売代理店と連携を図ると同時に市場調査や情報収集を行ってきましたが、ありがたいことに予想を上回る需要があり、より迅速な顧客対応とサービス体制の強化を目的として2020年1月、タイ現地法人を設立しました。現在は私を含めた6人体制で運営しています。
―――提供する商品は日本同様なのでしょうか?
ITソリューションを提供すること自体は同様ですが、取り扱う商品は大きく異なります。日本では数多くのシステム・ソフトを揃えていますが、文化や国民性、市場が異なるタイで日本同様のサービスを提供するだけではその需要に応えることはできません。上海やシンガポールもそうなのですが、郷に入っては郷に従え。現地が本当に求めているサービス、よりローカライズしたソリューションを意識し、タイ法人では日本でも好評のクラウド対応生産管理システム「ATOMS QUBE」をはじめ、タイ向けに販売開始した鋳造シミュレーションソフト「JSCAST」やIoTソリューション、マニュアルサービス、会計システムなど5つの商品を提供しています。
業務効率化を目指し、進出初期からTeachme Bizを導入
―――Teachme Bizのサービスを知ったきっかけは?
タイ事務所を開設した頃に、SNSの広告を通して知りました。Teachme Bizでのマニュアル作成や管理・運用方法など基本的な機能や操作を学べるトライアル講習を受けられるとあり、すぐさまタイ人スタッフを送り込んだのがお付き合いの始まりです。当時は事務所を立ち上げたばかりで、細かい就業規則や業務フローなどがなく、いかにそれらを作成し、タイ人スタッフに共有するかを模索していた時期でもありました。
ITソリューションを提供する弊社ですが、現場スタッフはあえてIT業界未経験者を採用しています。過去のやり方を引きずらず柔軟な姿勢で業務を吸収できるので、成長が早いんです。トライアル講習を受けたスタッフが、Teachme Bizの基本的な操作を習得しスムーズにシステムを理解できていたことでその汎用性を強く感じ、導入を決めました。また、Teachme Bizをタイで提供する「Studist (Thailand)」さんの現地に向けた事業展開とビジョンに共感した点も理由の一つです。
業務内容がTeachme Bizに集約され、生産性向上
―――導入の目的を教えてください。
目的は大きく分けると3つあり、1つ目は前述した社内業務の視覚化・均一化。2つ目は、マニュアル作成作業の効率化。3つ目は、社外に対して自社サービスの理解を深めてもらうことです。
―――実際には、どのように落とし込んだのでしょう?
どんなビジネスを立ち上げる際にも、枠組み(フレーム)が欠かせません。Teachme Bizで作ったマニュアルをフレームに見立て、就業規則や社内での諸手続き、パソコンやプリンターの使用方法など社内業務を洗い出し、細かく視覚化していきました。些細な業務ですが、既存のスタッフがその内容を忘れたり、新しいスタッフが入ってきたりということは会社を続けていけば何度も起きますよね。そんなときもマニュアルが保管されたTeachme BizのURLを送ればすぐに解決でき、ひとつひとつに時間をとられることもありません。また、その他の業務やお客さま対応も同様です。マニュアルという視覚化された基盤があることで同じ説明を繰り返さなくて済みますし、業務の質も均一化されていきました。
―――従来のマニュアル作成と比較すると?
日本での営業時代は自ら作成したマニュアルを携えてお客さまのもとを回っていました。若干の画像は入っているものの全体を見ればほとんど文字ばかり。実作業に関わらない細かい点まで説明しているためわかりづらいにもかかわらず、フォーマットを整えるなど時間ばかりかかり…… 今思えば、そのマニュアルはあってないようなものでしたね。Teachme Bizだったら見やすいデザインが先に組まれていますし、あとは指定に沿って文字や画像を入れるだけ。作業時間はもちろん、マニュアル作成に対する精神的な負担もなくなりました。
―――現場スタッフの反応はいかがでしたか?
当初からマニュアル作成は各担当者に任せていたのですが、特になんの支障もなくTeachme Bizを操作していました。初めてマニュアルを作る際は私が最終確認を行いますが、細々起こるアップデートなどはスタッフに任せています。また自らマニュアルを作ることで、業務や自社サービスへの理解も深まり、顧客目線で業務を考えることができるようになるなど、スタッフの育成面もカバーしてくれていると感じます。
<タイ人スタッフの声>
ボー様(役職:リーダー)
お客さまの課題を解決するコンサルタント業務を主に担当していますが、打ち合わせの際にはシステム・ソフトの具体的な説明が求められます。そのときにTeachme Bizで作った商品マニュアルがあれば利用イメージをすぐに伝えられますし、現場で撮影したものもすぐにマニュアルに落とし込むことができるので、サンプルとしてその場でお客さまに見せると「イメージができた」「わかりやすい」とその場で契約に繋がることも。社内でも導入当初からみんなすぐに操作を覚えられ、新しいスタッフが入社したときの業務説明にも活躍しています。
>>実際のマニュアルはこちら
顧客からの問い合わせ件数が大幅に減少
―――社外に向けた利用方法はいかがでしょう?
弊社のサービスを説明する際に使うマニュアルはもちろんのこと、サービス導入後には、それぞれの企業体制に合わせた形で利用マニュアルを共有しています。文字での説明では流されがちだった内容をTeachme Bizを通して提供することで、操作に関わる問い合わせが大幅に減少しました。月最大20件ほどあったものが、少ないときには0件になることもあり、Teachme Bizの効果を実感しています。
導入してから時間が経つほどにTeachme Bizの重要性を感じますし、こういったノウハウが蓄積されていくことは会社として大きな財産になっています。
―――マニュアルの閲覧回数も確認できるのだとか。
はい、それも気に入っている機能の一つです。特にお客さまが弊社サービスを導入し、マニュアルを共有した後の回数は細かくチェックしています。なぜなら、導入からしばらく経っても閲覧回数が少ない場合、「システムが活用されていない(うまく機能していない)」または「誤った操作で作業を続けている」などさまざまな不安要素に気づくきっかけになるからです。せっかくシステムを導入していただいても、活用されていなかったり誤った操作により非効率な成果しか上げられなかったりしたら、それはお客さまにとって無駄でしかありませんし、我々にとっては求めるサービスを提供できていないと判断され、契約解除にも繋がります。そういった不安要素を見つける一つの指標になりますし、わかりづらいマニュアルになっていないかなどフィードバックを与えてくれる機会にもなっています。
Teachme Biz を“利用する側”から“提供する側”へ
―――今後の展望をお聞かせください。
マニュアルの活用に関しては、社内業務や商品説明に加えて、マネージングダイレクターという自分自身の業務内容・役割についてもマニュアルに落とし込んでいきたいと考えています。私の業務はあまり表には出ませんが、書き出せば意外と細かい内容が多くあり、今のうちにアウトプットとして残しておきたいです。
また、当初はTeachme Bizを利用する側でしたが2019年にパートナーシップ提携を結び、弊社で提供するサービスの一つに加わりました。利用するうちにタイでのビジネス展開において欠かせない機能だという実感が増しましたし、Teachme Bizを求めている人はもっといると確信したのです。具体的な利用シーンや効果、活用方法など実体験を交えながら、タイ国内はもちろんASEAN全域へTeachme Bizをどんどん発信していきたいと思います。