キリンシティ株式会社は、直営34店舗、フランチャイズ8店舗のビアレストランを展開している(2016年6月現在)。看板メニューである樽生ビールはもちろんのこと、料理においても「生産者の想いに“ひと手間”加えたおいしさをお届けする」というコンセプトのもと、こだわりのメニューを提供している。セントラルキッチンを持たず、下ごしらえから各店舗で行うため、同社のスタッフは覚えることが多く、高いスキルが求められる。しかし、マニュアルはあまり充実しておらず、口頭での伝達がメインで、人材育成に課題を抱えていた。
幅広い業務のマニュアルをTeachme Bizに集約。情報共有を迅速化
現在キリンシティでは、ホール、キッチン、共通業務の各マニュアルおよび店舗の巡回記録をTeachme Bizで作成、共有している。これまでは、紙のマニュアルが配布され、各店舗で管理を行っていたが、情報が古かったり、しまいこまれて結局誰も見ていないような状態が続いていた。店舗のメンバーにとってマニュアルは「重たくて面倒くさいもの」という印象が強かったが、Teachme Bizの導入後は「面白い」「楽しい」という声に変わっている。
巡回記録に関しても、以前はデジタルカメラなどで撮影、パソコンで報告書を作成して店舗にフィードバックを行うという形で時間がかかっていたが、現在はスマートフォンやタブレットで撮影した写真にTeachme Bizで指摘事項に関するマークを付け、コメントを入れて共有するだけで完了している。リアルタイムで共有できるため、改善のサイクルが早くなった。
効率的な人材育成が可能になり、定着率が向上
Teachme Bizの導入は、多くの飲食店の課題である人手不足の解決にもつながっている。
鈴江様(以下、鈴江)(以下鈴江) 外食産業共通の課題ですが、弊社でもいわゆる『未戦力賃金』が多く発生していました。お金をかけて採用しても、一人前になる前に退職してしまうスタッフが多いのです。
飲食店で働いたことのないスタッフは、専門用語の多さに戸惑い、業務を習得する前にやめてしまうことも多々あるというが、Teachme Bizのマニュアルで事前に学ぶ環境を整えたことにより、最初の不安を取り除けるようになった。教える側も、ゼロの状態から指導するのではなく、新人スタッフでも基礎知識を身につけた上で話ができるため、より高度な教育を行うことができる。社内資格の合格者も増加傾向だ。
また、キリンシティでは、ベトナム人のスタッフも多く働いている。食品衛生やコンプライアンスといった日本のルールをいかに理解してもらうかが課題として上がっていたが、日本語の得意なベトナム人スタッフが用語集のようなマニュアルを作って展開し、成長につながっている。
店舗対抗のマニュアルコンテストで各店舗のノウハウを可視化
キリンシティでは、店舗での活用促進を目的として、店舗対抗のマニュアルコンテスト「Teachmeグランプリ」を開催した。
内田様(以下、内田) トップダウンではなく、店舗に納得して使ってもらうことが大切。
1ヶ月の期間を設けて、キッチン、ホール、共通業務の3部門でそれぞれマニュアルを作成。予選、本選と進み、もっとも分かりやすく、役に立つものを決定する流れだ。合計100マニュアルほどの応募があった中から、キッチン部門は「キッチンで使用するお皿の名称」(CIAL桜木町店)、ホール部門は「グラスの名称と使用例」(CIAL桜木町店)、「ロス入力の仕方」(池袋西口店)が、それぞれグランプリに輝いた。
これまで、マニュアルは本社で作成して店舗に展開していたが、グランプリを通じて、本社では作れない、店舗ならではのマニュアルが多数作成された。
鈴江 店舗にはマニュアル化、可視化されていないノウハウが沢山眠っている。これは立派な財産なので、きちんと残していきたい。
マニュアルをブラッシュアップ、人材育成プログラムにも活かす
今回のグランプリを通して作成されたマニュアルは、8割ほどは全店舗に展開できる内容だ。今後はそれらを本社でブラッシュアップして全店舗に展開する。現在キリンシティではアルバイトスタッフのキャリアプランの改善を検討している。
鈴江 ステップごとに習得すべきことをTeachme Bizにまとめていきたい。
キリンシティでは、店舗の増加やリニューアルも控えており、Teachme Bizの活用シーンが更に増えそうだ。