熟練の技術が失われないよう、マニュアルの整備を推進
―――Teachme Biz導入の背景を教えてください。
当社、井上整備センターは建設機械の販売および修理・点検・整備を行い、安全かつ効率よく機械を稼働させるお手伝いをしております。
私が井上整備センターに入社した段階では、「マニュアル」というものはなく、このままでは伝承すべき熟練の技術・知識が失われていくのではないかという危機感を抱きました。しかし、いざマニュアル作成に乗り出してもなかなかうまく進みませんでした。WordやExcelなどのOffice系ソフトに画像を貼り付けて作成していたので、その手間がネックで日常業務の後回しになり進捗せず、また、新たに人材を採用しても指導法に個人差があり、統一的なマニュアル作成・人材育成ができませんでした。そのため、簡単にマニュアルを作成できるツールを導入検討していたところ、Teachme Bizを知り導入を決めました。
―――導入の決め手は何でしたか?
導入までは1年間の検討を重ね、体験会にも参加させていただきました。ITとは縁遠い業界なので、iPadで直観的に操作できるところにも、導入のしやすさを感じました。同行した現場スタッフからも賛同を得られたので、翌月には導入を決めました。
画像を選びコメントも付け加えるだけで作成できるという特徴は、マニュアルだけでなく、お客様向けの資料作成ツールとしても活用できます。iPadでそのまま見せることができるのでとても便利です。また、それまではサービスマンの記憶や口頭伝達を頼りに、お客様向けにサービス提案を行っていたので、人的ミスによるトラブルの回避は非常に困難でした。Teachme Bizを使えばマニュアルに記録を残せるなど、様々な用途としての可能性を感じられたことも導入における大きな後押しとなりました。
―――実際にどのようなマニュアルを作っていますか?
主に車両機械のリスト、いわゆる管理・修理履歴などを記した「カルテ」として活用していて、現時点で400件ほど作成されています。年に1度法定点検整備を実施し、不具合箇所を撮影し、作った“カルテ”を基に、お客様へ直接報告・修理のご提案まで行っています。また、Teachme Bizは作成したマニュアルのPDF出力にも対応し、お客様と対面できない時にも活躍します。特殊な修理の場合は、作業自体を記録しておくことでお客様への報告に活用できますし、ゆくゆくは若手たちへの技術伝承に役立てられればとも考えています。
資料作成時間が1/3に!熟練の職人もiPadで資料作成が可能に
―――導入の効果はいかがでしたか?
Office系ソフトを使っていた時は、マニュアル作成に1時間を要し、時間外労働などで対応していました。Teachme Bizの導入により、日常業務の合間で作業でき、所要時間もわずか20分。矢印・文字入れ等も他のソフトを一切使わずに画像編集ができて、マニュアル作成の工数も削減できています。
クラウド型なので、どこにいても共有できますし、なおかつフォルダごとに閲覧権限を細かく設定できるので、点検を担当したスタッフ以外でもお客様への対応が可能になりました。また、マニュアル本文や検索タグのほか、マニュアル名でも検索できるので管理が効率化し、目的のマニュアルにもすぐに辿りつけるようになりました。
導入当初は、現場スタッフの間に戸惑いもありました。それでも「導入サポート」でスタッフに操作レクチャーをしていただいたことで、スムーズに導入することができました。今では68歳の最年長スタッフも楽しく使いこなしており、現場のサービスマンにとっても使いやすいツールだと実感しています。
―――今後の活用計画を教えてください。
車両機械リストとしての活用が先行していますが、本来必要としていた、専用端末の使い方など事務系を中心とした業務マニュアルの作成も推進していきたいと考えています。
現在、整備業界は、少子高齢化・後継者不足という深刻な悩みを抱えており、特に「先輩の背中を見て学ぶ」という文化がいまだ残る中小企業は、特に厳しい状況に立たされています。ルーティンワーク以外の業務も多いので、新人スタッフに1から10まですべて指導するわけにもいきませんし、毎年必ず新入社員の採用があるわけではないので、教育する側も指導法に迷いを感じているのも事実です。
だからこそ、次世代を担う若手たち、そして企業成長のためにも、Teachme Bizのように便利なツールも取り入れながら、マニュアルを整備していくのもひとつの方法だと考えています。そして、先輩たちが培ってきた長年の経験と技術を、目に見えるかたちで後輩たちに伝えていってほしいと願っています。