半年をかけて「まずはマニュアルを見る」という文化を醸成
―――貴社の事業内容をお聞かせください。
弊社は、ラーメン店や居酒屋などの飲食店の企画・運営と社員独立制度による全国展開を軸に、事業を展開しています。海外展開にも力を入れており、上海と台湾でも飲食店を運営しています。
―――Teachme Biz導入の背景を教えてください。
Teachme Bizは、私が起案者となり2年前に導入しました。ラーメン、居酒屋(かぶら屋・丸冨水産)の3つの事業部がありますが、提供している商品は違っても、店舗運営の考え方や設備・備品の管理方法は基本的には同じです。
私の担当する業務が1つの事業部のマネジメントから、3つの事業部すべてのサポート業務(営業に直接かかわらない事すべて)になったとき、仕事の量が増えたことがきっかけで導入を考えました。いち事業部の店舗のマネジメント担当のときは、自分が課題に対して対応し、教育はできますが、マネジメントする店舗数が増えたため、ひとつの事業部のマネジメント方法ではうまくいかなくなりました。
課題を考えた結果、店舗運営や設備管理などの基本的な作業手順をスタッフが適切に把握できていないために、問題が起きるとすべて自分に電話で対応依頼がくるため、本来やるべき業務ができないのだという結論に至りました。
そこで、私が対応している業務をすべて書き出し、業務に優先順位をつけ、これらを効率的に解決するには、私が一から教えるのではなく、マニュアルを活用した方が早いと考えたのです。
―――導入の決め手は何でしたか?
Teachme Bizのマニュアルを見たときに「自分が持っている業務を仕組み化するのに便利かもしれない」と閃いたのが、導入の決め手でした。冒頭で述べたように、私は業務の裏方全般を担当しています。仕事は店舗運営に必要な修繕マニュアルの作成や、ウェブ・紙媒体のプロモーション、店舗開発など多岐に渡ります。さらに、私1人で仕事を進めていたため、効率良く整理する方法が必要でした。そこで、最初は業務マップを作成し、順番にマニュアル化しました。
店舗スタッフがマニュアルを見て自己解決。問い合わせ時間を削減
―――どのようなマニュアルを作っていますか?
特に多いのが、掃除に関するマニュアル作成です。掃除は、人によってやり方や完了基準が異なるので、手順を事細かに記して、徹底的にマニュアル化を進めています。そうすることで、掃除の質を保てるからです。
他には、食材、容器、包材、消耗品の誤発注の防止を目的にした、発注マニュアルを作っています。発注に関する電話問い合わせも多く、頻出していたのは、現場で読んでいる呼称と発注時の正式名称が異なり、商品を発注できないといった問題でした。紙面で確認するといった対策もしていましたが、貼っているだけで使われていませんでした。Teachme Bizを導入してからは、スタッフが各自でマニュアルをみて問題を自己解決するようになったので、とても良い習慣ができたと思います。
―――マニュアルの利用はどのように広めたのですか?
電話で問い合わせがあっても「マニュアルを使ってください」と、ある意味突き放したことで少しずつマニュアルを使う文化が醸成されました。また、本部会議でマニュアルの必要性を伝えて、役員にも協力してもらったことで、広めることができました。
―――マニュアルは主に誰が作成していますか?
マネージャー職のスタッフです。Teachme Bizのアカウントを持っているのは20名です。弊社は複数の業態の飲食店を展開しているのですが、現在は1業態につき、だいたい3人から4人で使っています。以前は、現場のスタッフのマニュアル作成も認めていましたが、レシピの更新などでトラブルがあったため、現在は店舗でマニュアルは作成せず、私やマネージャー職の人間が管理しています。
―――導入前と導入後でどのように改善されましたか?
現場の改善で言うと、導入前は、物が壊れたときの対処法から粗大ごみの捨て方、インターネットへの接続など、やり方さえ理解していれば誰でも対応出来るような問い合わせを、逐一電話で受けていました。多いときには設備周りだけで、1日に5回も電話対応をしていました。頻出する問い合わせをマニュアル化して、半年間をかけて現場にも浸透させたことで、電話の問い合わせは0件になりました。
海外店舗へのマニュアルにも活用。タブレットひとつで完結
―――今後の活用計画を教えてください。
海外展開時のマニュアル作りを進める予定です。現在、クールジャパン機構と協働して、ドバイへの出店計画を詰めています。11月半ばに現地視察をして、2017年3月には1号店をオープンする予定です。
海外出店をする際は、現地の人々に店舗オペレーションを教える必要があります。国やひとによってはラーメン自体を知らないことがあるので、レシピを教える以前に「どんぶりとは何か」といったところから教えなければなりません。これらを一から直接教育していくのは、時間と労力がかかります。そこで、Teachme Bizに必要なマニュアルを入れてタブレットで配布するやり方で、社員教育を効率的に進めようと考えています。