全世界に48拠点を構え、自動車やロケット、産業プラント用設備など、様々な場面で使用される高性能なメカニカルシール製造を行う業界大手のイーグルブルグマンジャパン株式会社様。そんな同社が所属するEKKグループでは「永遠のゼロ」と銘打った、品質問題をなくしてさらなる品質向上を実現する方針を打ち出しています。そうした活動の中、改善活動の要がマニュアルにあると考え、2022年にTeachme Bizを導入。同社の取り組みについて、イーグルブルグマンジャパン株式会社 代表取締役社長 村上 佳津宏様、品質管理部長 能勢 太樹様にお話を伺いました。
不具合の4割がマニュアル起因
品質向上に向けてTeachme Bizを導入
―――導入の背景を教えてください。
村上様(以下、敬称略) 全世界のグループ全体で品質向上を目指す中、イーグルブルグマンジャパンでは、まず発生した不具合要因の分析に取り組みました。その結果、4割がマニュアルに起因することが判明しました。そもそもマニュアルを作っていないケースや、作っていても使われていないケースもあって、運営方法を見直す必要性を感じました。作成ツールがバラバラでフォーマットが定まらない、文字ばかりで分かりづらく理解度に差がでる、そうした課題を解決するため導入したのがTeachme Bizです。
能勢様(以下、敬称略) これまでもトラブルや困った事があった際には、社内規定やマニュアルへの落とし込みをしていたのですが、文章が中心でわかりづらいものになっていました。品質向上に向け、Teachme Bizであれば手順がステップごとに区切られており順番に迷わない、フォーマットがあるため誰が作っても同じスタイルでわかりやすいマニュアルが作成できる、編集機能で動画や画像に図形やテキストをつけて伝えたいことを強調することもできます。バラバラだった保管場所を一つのサービス内に集約し、そこで作成から保管まで完結できるのも大きいと思いました。
ISO規格の運用を前提とした品質マネジメントにも活用
―――具体的な活用方法について教えてください。
能勢 当グループはISO 9001の認証を取得し、世界標準の品質マネジメントシステムを運用しています。文書の一部としてTeachme Bizを使用していますが、正確性や信頼性を担保できるように、公開時の承認ワークフロー機能を活用しています。改訂履歴や承認日・承認者などを記録し、遡って確認することもできるので、最新の2015年版ISO 9001に沿った文書管理ができると判断しました。
マニュアル作成は、安全や品質などカテゴリーで分類し、優先度の高いものから着手していきました。特定の従業員しかできなかった機械の操作や検査を手順化すれば属人化解消に、ヒヤリハットや過去のトラブルをまとめておけば未然防止につながります。作業のコツには動画を活用し、伝え方を工夫しました。例えば、品質管理でハンマーを用いた検査があるのですが、叩く強さを動画で音も含めて伝えることで、従来のマニュアルよりもわかりやすさが大幅に向上したと感じています。
承認ワークフローや改訂管理の他にも、マニュアル複製機能で簡単に過去の手順を残しておけるので、文書管理ルールを満たしつつ、作業品質を標準化できるツールとして活躍しています。
―――導入後の現場の反応を教えてください。
村上 作業を可視化するときや、苦情・困ったことの再発を防止するとき、真っ先にTeachme Bizを思い浮かべてマニュアルを作ろうという従業員が増えてきたように思います。先日、社内でうまくマニュアル作成をしている社員・部署を表彰するコンテストを開催したのですが、多数のエントリーがあり、積極的に業務改善について考えてくれているのがわかりました。
また、Teachme Bizのコメント機能は、作る側・見る側双方にとって主体的にマニュアルに取り組むきっかけにもなっていると感じます。従来のマニュアルでは作った後の反応がわからない、見る側も気になる点をフィードバックできないのでマニュアル自体の改善を進めにくいという課題がありました。Teachme Bizであればコメント機能を使って双方向にコミュニケーションが取れるため、お互いが自分ごとになりやすく、それが活用にも繋がっていると考えています。
能勢 これまでは問題が起きたときの対策も、伝え方がわからず、組織学習に苦戦する面もありましたが、Teachme Bizがあることで現場も迷わずアクションが取れていると感じます。「Teachme Biz化する」という言葉が社内で誕生したくらいです。
改善活動の結果、クレームが半減。Teachme Bizの取り組みは内部監査やお客様からも好評
―――導入の効果はどのようにお感じでしょうか。
村上 品質管理のためにさまざまな活動をしているので一概には言えませんが、Teachme Bizによって品質に対する意識が高まったのは間違いありません。実際のところ、2019年と比べると苦情は半減しています。当社がTeachme Bizを使ってわかりやすく情報を伝え、事故・不具合等の未然防止や改善活動を進める取り組みは、お客様だけでなくISOの内部監査時や、海外拠点からの視察時も好評で注目を集めています。
また、マニュアルを見直す過程で業務の棚卸しも進めた結果、人がやるべき仕事とAIなどテクノロジーで解決できる仕事にわけることもできました。業務の全体像が見えたことは、人材の適切な配置にもつながると考えています。
能勢 現在マニュアル数は1500件ほどになり、業務全体の30%程度がTeachme Bizでマニュアル化され、優先度の高い業務の大半が標準化できている状況です。各部にわかれてマニュアル作成を進めている段階ですが、マニュアルを活発に作成している部署ほど苦情が減少している可能性が出てきました。全ての業務をマニュアル化している状態ではないので、定量測定はこれからになりますが、実際にそうした傾向が見えてきています。
Teachme Bizで簡単にマニュアルが作成できるようになり、作成者が増えました。多くの社員がルールを守る側から設ける側に変化したことも、品質改善の要因だと考えています。自身がマニュアルを作成することで、正しく手順を行う意識が高まり、品質への相乗効果が生まれています。
―――今後はどのような活用の計画をお考えですか。
能勢 Teachme Bizを使ってから、マニュアル数と品質の連動性など定量的な検証ができるようになったので、今後も品質向上を目指していきたいですね。
村上 当グループは全世界で品質向上に向け、今後も取り組みを強化していきます。Teachme Bizはイーグルブルグマンジャパンにとって、高い品質を維持するために組織の隅々まで標準作業を行き渡らせる”神経”や“血管”になると考えています。
トップとして社内には「マニュアル活用の目的は、コストを下げながら、品質、スピード、生産性を上げる取り組みだ」と繰り返し話をしています。この活動に終わりはなく、ミスや苦情を限りなく”ゼロ”に近い数値にしていくことを目指していきます。