事業に不可欠なエンジニアの人件費高騰を見据え、タイに進出
—— タイ進出の経緯をお伺いできますか?
バンコクに現地法人を開設したのは2014年です。弊社の事業にエンジニアは欠かせないのですが、当時の日本では年々その人件費が高騰していました。将来的にコストの負担が大きくなると感じ、日系企業、特に製造業が多く進出し、東南アジアの中枢であるバンコクを弊社の海外初拠点に選びました。
本社は自動車や航空機、精密機器など製造業が盛んなエリアの愛知県・名古屋市に構えていて、製造業界を中心としたお客さまに向けたスマホアプリや業務支援システムの開発、それに伴うITソリューションの提案をはじめ、ITインフラ構築といったIT事業を軸にビジネスを展開しています。
—— サービス内容は日本と同様でしょうか?
大部分は変わりませんが、日本よりもシンプルです。皆さまシステム構築やアプリ開発を求めているのかと思いきや、進出当初の依頼の多くはホームページ制作。本社のホーム ページはしっかりと整っているのに、タイ側では手をつけていない企業が予想を超えてあったことには少々驚きました。そうしたタイのニーズを掴み始めた3年目から人員を強化し、開発・制作総務と、私を含めた現在の7名体制が出来上がりました。
「手の施し用がない」と諦めていたスタッフ間の業務量の差を Teachme Biz で最適化
—— Teachme Biz 導入を決断したきっかけは?
スタッフ間の意識や業務量の差が広がっていることに不安を覚えたからです。特に、立ち上げから一緒にやってきたスタッフは自分のペースで仕事を進められるようになってはいるものの、後輩が入っても業務の引き継ぎがうまくいかず、業務量に差が生まれていました。そして、解決策を投じながらも実を結ばない日々が続き、半ば諦めかけた時に知人から紹介されたのがTeachme Biz でした。
ただ、正直に言うと説明を聞くまではあまり期待していませんでした。当時の私は、 Teachme Biz = 業務マニュアルを簡単に作るだけのサービスだと思っていたんです。過去の経験から、マニュアルは作っても誰も見ない、一切活用されないものだと記憶に刷り込まれていたため、問題解決に繋がるイメージが湧きませんでした。
けれど、説明を聞いてみたら単純な業務マニュアル作成だけでなく、スタッフの業務を可視化することで業務格差の改善にも繋がる。まさに今、自分が求めているものだとすぐに導入を決意しました。その話を聞いたのが2020年夏だったのですが、ちょうど本帰国が決まったタイミングでもあり、自分がタイにいる間に今の問題をクリアしたいという想いが重なったことも一因です。
属人的になっていた業務をマニュアル化したら…3人分の作業が2人で完結!
—— 現場ではどのようにTeachme Biz を取り入れたのでしょう
属人化され、ブラックボックスと化していた業務を何とかしなければとそれぞれの業務をすべて洗い出し、マニュアルを作るよう現場スタッフに指示を出しました。私自身はマニュアル制作に一切関わっていません。Teachme Biz を提供するStudist (Thailand)にはタイ人担当者がおり、操作方法からトレーニング研修まで行っていただいたので、タイ人同士でのやり取りが中心です。
また、導入後に不明点が出てきたらLINEですぐに問い合わせできますし、毎週金曜にはStudistオフィスで無料相談会を行うなどアフターフォローも万全。安心して任せられました。
—— タイ人スタッフに戸惑いはありませんでしたか?
第一弾として、ルーティーン業務が多い総務スタッフにマニュアル作成を依頼しました。自分の業務を説明する人とTeachme Biz を操作する人の2人1組で行ったところ、特に躓くことなく、スタッフのみで進めることができました。操作を担当したスタッフは大学を卒業したばかりの新入社員だったのですが、すぐに操作方法を覚えるなど、利用開始直後は非常にスムーズに進みました。
操作がシンプルなため現場スタッフに浸透するのが早い。これはTeachme Biz の魅力だと感じます。今はパソコンの他タブレットやスマートフォンなどデバイスが多様化していますが、Teachme Bizはそのすべてに対応していますし、ちょっとした修正ならスマホで即座に対応できる。若い世代はワードやエクセルよりも、Teachme Biz のようなツールの方が順応しやすいでしょうね。
—— 導入してまだ半年ほどですが、効果を実感する場面はありますか?
総務スタッフの業務はすべてマニュアル化できたのですが、内容を見てみると月ごとや週ごとなどのルーティーン業務が大部分を占めており、一人当たりの勤務時間と照合すると業務量が少ないことが判明しました。過去に「自分は忙しい」と新しい業務を受け入れてもらえなかった経験があるのですが、業務が可視化できたことでそういったセリフを言われても反論できるようになりました。
そうして業務全体が見えたことで、これまで3人で行ってきた作業も2人で十分対応できると分かった点は会社として大きな進歩でした。1人分の手が空いたことで、これまでに手が回らなかった業務を依頼できますし、ひいては会社の成長に繋がる。たった半年ですが、長く抱えていた悩みがクリアになったことは紛れもない効果です。また、マニュアルというそれぞれの業務を振り返る場所ができたことで、安心してタイを離れることができました。
テレワークで増える申請手続きの対応もTeachme Biz に置き換え可能
—— その他に活用している場面があれば教えてください
日本に帰任後、Teachme Biz を使用しているうちに、自分の中でストレスになっている業務がTeachme Biz のマニュアルに置換できることに気づき、試験運用しているところです。
その業務とは、社内で発生するさまざまな申請手続きの問い合わせ対応です。メールやカレンダーのアカウント発行や備品の手続きなど、こまごまとした社内申請が弊社ではフロー化されておらず、また昨年からテレワークを始めたことにより社外から社内サーバーへアクセスするための申請が新たに加わったため、その方法や申請先の問い合わせが急増したんです。弊社はまだ人数が少ないので一つひとつ処理することもできますが、大企業になればそうもいかないでしょう。
ささいなことですが、積み重なれば時間的にも精神的にも大きな負荷になり、生産性がどんどん低下してしまう。こうした悪循環を断ち切るためにも、Teachme Biz は最適だと感じました。まだ試験運用中ですが、マニュアルの保管先であるリンクを社内で共有したら、想像以上に反響がありました。
それぞれの申請マニュアルはTeachme Biz のサーバー内に「申請一覧」フォルダを作って一括しているので、各々が探しているデータを簡単に見つけられる。さらに、それぞれの申請ステップには説明と一緒に画像を添えられるので、考えなくともゴールまで辿り着くことができる。まだ試験段階ですが、社内の申請に関する問い合わせがゼロになることを期待しています。
人材育成や引き継ぎもTeachme Bizのマニュアルがあれば心強い!
—— 本社でもTeachme Biz の活躍の場は多そうですね
はい。Teachme Bizはタイ法人として導入しましたが、アカウントを分け、すでに新人教育を目的に日本でも活用しています。テレワークに起因するかもしれませんが、社会人としての基本的な応対やマナーを十分に教育できていないと感じる場面が見受けられ、挨拶の仕方や掃除、お客さまを社内へ案内する際の手順など当たり前の行動一つひとつをマニュアルに落とし込みました。
上司からしたら何度も注意したくないですし、新人からしたら何度も怒られたくないじゃないですか。そういったお互いのストレスもマニュアルがあるだけで解消できる。もちろん新入社員に限らず、外部から新しく赴任してきた人たちにも各業務を把握できるマニュアルがあるだけで、仕事のスピード感が大幅に増しますよね。
タイ法人は現在私が日本から遠隔でマネジメントしているのですが、次の駐在者が決まったらTeachme Biz で作った現地用の業務マニュアルを共有して送り出すつもりです。「これが駐在セットだよ」って。