創業70年のリゾートホテルが実現した業務革命:Teachme Bizで習慣的作業から標準化プロセスへ完全移行

  • 宿泊業
  • #500名以上1,000名未満
  • #マニュアル作成・更新の効率化
  • #業務の標準化
  • #業務品質向上
  • #人材育成・研修
ポイント
導入目的 - 一元化された知識管理システムの構築
- 組織のノウハウと重要情報の損失防止
- あらゆるレベルの従業員の業務水準向上
課題 - 既存のマニュアル文書が読みづらく理解しにくいため、活用されていなかった
- スタッフが標準化されたプロセスではなく、習慣や慣れに基づいて業務を遂行する傾向があった
効果 - 組織内での大きな文化的変革:非公式な知識共有や習慣的な作業方法から、明確でアクセスしやすい基準とツールに導かれた体系的なプロセスへの移行

―まず、事業概要について簡単に教えてください
Ms. Anucharaporn: Thavorn Resort & Hotelは、プーケットでThavorn Beach Village Resort & SpaとThavorn Palm Beachの2つの施設を運営しています。当社は1950年にプーケット初のプレミアムレベルの総合サービス型ファミリーリゾート運営会社として設立されました。創業者たちはプーケットが世界中の観光客を惹きつける可能性を見越し、これらの国際的なゲストに対応する包括的なサービスを提供するホテルの設立を目指しました。
現在は創業者の孫や曾孫にあたる第4世代の経営陣によって運営されており、優れたサービス品質を情熱的に維持し、国際水準のサービスを提供するタイのホテルとして世界的な認知を得ることを目指しています。

Ms.Anucharaporn Tongluan - Group Director of Human Resources

―以前はどのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
Ms. Anucharaporn:新入社員の業務効率がベテランに比べて著しく低いという課題があり、その原因を探っていくうちに、業務基準が現場に正しく伝わっていないことに気づきました。既存のマニュアルを改めて確認してみると、内容が複雑で理解しづらく、結果として現場のスタッフがほとんど活用していない状況でした。
また、より深刻だったのは、マネージャーが退職する度に貴重な知識やノウハウが失われてしまうことでした。これらの知識は文書化されておらず、後任への引き継ぎも体系的に行われていなかったため、人が入れ替わる度にゼロからやり直しという非効率な状況が続いていました。
こうした問題を解決するために、ベテランから新人まで誰もが簡単に使えて、統一された業務基準を全員が理解・実践できる、使いやすい一元管理システムの導入が急務でした。

―Teachme Bizの導入目的を教えてください
Ms. Anucharaporn: 導入の目的は大きく3つありました。
1つ目は、ナレッジを一元管理できるシステムを作ることです。これまでは必要な情報を探すために、あちこちの部署に問い合わせる必要がありましたが、新人からベテランまで、誰もがいつでも必要な情報にすぐアクセスできる環境を整えたかったんです。
2つ目は、幹部やマネージャーが退職する際の知識流出を防ぐことでした。長年培った貴重な知識や経験が、きちんとした文書化や引き継ぎもないまま、その人と一緒にいなくなってしまう。そのたびに組織は振り出しに戻ってしまうという問題を何度も経験していました。
3つ目は、現場スタッフが統一された基準で業務を行えるようにすることです。これによって、私たちのホテルが目指すサービス品質を確実に維持・向上させたいと考えていました。

―Teachme Bizを選択された決め手は何でしたか?
Ms. Anucharaporn: Teachme Bizなら、これらの課題をすべて解決できると感じました。何より、誰が見ても分かりやすく、標準化されたマニュアル文書が作れるんです。スタッフは作業中でも、QRコードをスマホでスキャンしたり、リンクをタップしたりするだけで、すぐにマニュアルを確認できます。これは本当に画期的でした。

Ms. Rungpruhat : 私たちが重視したのは、見た目だけ立派で実際には使われないマニュアル文書ではなく、本当に現場で役立つものを作ることでした。特に現場のスタッフにとって、複雑なシステムは敬遠されがちですから、とにかく使いやすさとアクセスのしやすさにこだわりたかったんです。できるだけシンプルで分かりやすいものにしたいと。
実は以前、Google Spreadsheetといった他のツールも試してみたんですが、うまくいきませんでした。これらのツールは、ITに詳しい人には便利なんですが、スタッフによってスキルレベルがまちまちで、全員に浸透させるのが難しかったんです。ベテランの一部は何とか使えても、新人や若手スタッフの多くは「複雑すぎて分からない」と敬遠してしまって。
そんな時にTeachme Bizに出会って、これだ!と思いました。ステップ・バイ・ステップで手順が示されていて、どんなレベルのスタッフでも理解しやすく、自分のペースで学習できる。まさに私たちが求めていたものでした。

(左)Ms. Rungpruhat Suwanbodee - General Manager of Room Division
(右)Mr. Atthaporn Vichit - Group Reservation Manager

―組織全体への導入はどのように進められたのですか?
Ms. Anucharaporn: 導入にあたって、まずマニュアルを大きく2つのカテゴリーに分けました。1つは「ポリシー関連マニュアル」、もう1つは「運用マニュアル」です。
これらを組織構造に合わせて、分かりやすいフォルダ構成で整理しました。例えば、人事や営業、マーケティング、経理といった管理部門のマニュアルは、2つのホテル施設で共通して使えるものにし、フロント業務や客室清掃などの現場部門については、各ホテルの特色に合わせた詳細なマニュアルを作成しています。
特に人事部門では、新人研修の効率化にTeachme Bizをフル活用しています。「30日間チェックリスト」という仕組みを作って、新入社員の最初の1か月間の習得状況をきちんと追跡・評価できるようにしました。さらに「バディシステム」も導入して、先輩社員がメンターとしてTeachme Biz上のマニュアルを見ながら、新人を指導するんです。これで誰が教えても同じレベルの研修ができるようになりました。
経営陣としても、世界レベルのサービスを提供するために、管理職から現場スタッフまで、全社でTeachme Bizを使うよう積極的に推進しています。

Ms. Rungpruhat: フロント業務での活用例をお話しすると、ゲストのチェックイン業務があります。一見簡単そうに見えますが、実はスタッフそれぞれが前職での経験や癖を持ち込んでしまうんです。Aホテル出身の人はAホテル流のやり方に慣れているし、Bホテル出身の人は別のステップで覚えている。どうしても過去の経験を基準に動いてしまいがちなんですね。
でも、Teachme Bizでチェックインの手順を明確に定めることで、全スタッフが同じ基準で業務を行えるようになりました。誰でも同じ品質のサービスを提供できるのは、本当に大きな変化です。

Mr.Atthaporn: 予約業務では、スタッフの判断権限を明確にするガイドラインの作成にTeachme Bizを活用しています。予約業務って、実は複雑で多岐にわたる業務が含まれていて、時には重要な判断が求められるんです。
例えば、返金不可プランで予約されたお客様が後からキャンセルを希望された場合。こういうケースは頻繁に起こるわけではないし、状況によって対応も変わるため、現場が混乱しやすいんです。
Teachme Bizで意思決定のプロセスを標準化することで、スタッフが「これは自分で判断していいのか、それとも上司に相談すべきか」を迅速に判断できるようになりました。現場の迷いが減って、対応スピードも格段に上がっています。

―導入後、どのような変化を実感されていますか?
Mr.Atthaporn: 導入効果として最も実感しているのは、スタッフがお客様対応に自信を持てるようになったことです。以前は何か分からないことがあると、資料を探したり上司に聞いたりで時間がかかっていましたが、今は必要な情報にその場ですぐアクセスできるので、お客様をお待たせすることがなくなりました。
結果的に、一つの問い合わせにかかる時間が大幅に短縮されて、上司やマネージャーも細かい質問対応に時間を取られることが減り、より重要な管理業務に集中できるようになりました。

Ms. Rungpruhat: Teachme Bizは、今や私たちの組織の「バイブル」と言っても過言ではありません。人の入れ替わりがあっても、組織の知識がしっかりと蓄積される仕組みができたんです。
以前は、ベテランスタッフが辞めると、その人が持っていた貴重な知識やノウハウも一緒になくなってしまっていました。でも今は、重要な知識がすべて体系的に整理されているので、誰かが退職しても組織の知識は残り続けます。
それに、文書のクオリティも格段に向上しました。以前は部署によって書き方がバラバラで、内容に矛盾があることも多かったんですが、Teachme Bizで統一されたフォーマットを使うことで、一貫性のある正確な文書が作れるようになりました。

Ms. Anucharaporn: 人事の立場から見ると、Teachme Bizは単なるツールを超えて、組織文化そのものを変えてくれました。以前は「先輩の背中を見て覚える」とか「慣習でこうやっている」という、いわゆる職人的な文化が強かったんです。
それが今では、きちんと体系化されたマニュアルに基づいて、誰もが同じ基準で業務を行う文化に変わりました。この変化によって、個人のスキルや経験に左右される部分が減り、業務のミスや品質のばらつきが大幅に改善されました。標準化の力を実感しています。

―最後に、今後の活用構想を教えてください
Ms. Rungpruhat : 経営陣では現在、Teachme Bizをさらに発展させる計画を進めています。これまでは「必要な情報にアクセスできるツール」として活用してきましたが、次のステップでは本格的な「学習管理システム」として進化させたいと考えています。
具体的には、職位やレベルに応じた学習コンテンツの体系化です。まず全スタッフが必ず身につけるべき基礎知識を明確に定義し、その上で昇進に合わせてステップアップしていく学習コンテンツを段階的に用意する。そんな仕組みを作りたいんです。
例えば、新人はまず基本的なホスピタリティやホテルの理念を学び、主任になったら部下指導のスキル、課長になったらマネジメント手法、といったように、キャリアパスと連動した学習プログラムを構築していく予定です。
こうした体系的なアプローチによって、スタッフ一人ひとりの成長をより確実にサポートできるようになりますし、組織全体のサービス品質向上にもつながると期待しています。これこそが、私たちが目指す将来の姿そのものですね。

会社概要
会社名 CHAROEN CHANA (1986) CO., LTD.
URL https://www.thavornbeachvillage.com/ https://www.thavornpalmbeach.com/
所在地 6/2 Moo 6 Kamala, Kathu,Phuket 83150 Thailand
事業内容 ホテル、スパなど総合サービス型ファミリーリゾート運営

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