人件費削減の具体的な方法とは 業務の可視化と手順書化がポイント!

最終更新日: 2023.10.03 公開日: 2020.04.27

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、これまでのかけてきたコストの見直しを迫られ、人件費の削減に取り組まれた企業も多かったのではないでしょうか。

人件費削減と一口に言っても短期的視点と中長期的視点の二点に大別することができます。

短期的な人件費削減の手段といえば人員の削減や給与の引き下げなどが挙げられます。しかし、その場しのぎの人員削減や給与の引き下げが将来的に見てみると、より多くの弊害を生み却ってコストが増加していた、なんてことになりかねません。

そこで今回は下記のような業務改善による中長期的視点での人件費削減について紹介いたします。

  • 業務コストの削減
  • 採用コストの削減
  • 育成コストの削減

人材という資源を最適化させるためには多くの時間とコストが伴うものです。しかしながら、適切に時間とコストを投資すれば企業を支える大きな強みにもなるのが人材です。 業務の効率化を行うことで人件費を削減していくという中長期的な視点で考えていきましょう。

業務効率化ハンドブック

そもそも人件費とは?

頭を抱える人の画像
人件費とは、一般には給与や福利厚生費を指す場合が一般的ですが、今回は人件費削減を考える上で重要な広義の「ヒトに関するコスト」として人件費を考えてみます。

人件費の内訳

一般に以下のものが挙げられるでしょう。

  • 給与手当・賞与・雑給 …基本給、時間外手当、通勤手当、家族手当など
  • 福利厚生費、法定福利費 …社会保険・労働保険など

しかし、人件費を「ヒトに関するコスト」と捉えると次のように解釈することができます。

広義のヒトに関するコスト

狭義の人件費ではなく、広義の「ヒトに関するコスト」として捉えると経営に与える影響がいかに大きいかを理解することができます。

  • 給与手当・賞与・雑給
  • 福利厚生費、法定福利費
  • 労務費
  • 外注費
  • 旅費交通費
  • 採用教育費

業種別の平均的人件費率

当然、業種によって経費に占める人件費の割合は様々です。(人件費率=人件費/売上高)
傾向としては、原材料費や仕入原価の割合が小さい業種は人件費率が高く

  • サービス業:40〜60%
  • 飲食業:30〜40%
  • 宿泊業:30%前後

一方で、原材料費や仕入原価の割合が大きい業種は相対的に人件費率が低くなります。

  • 建設業:15〜30%
  • 製造業:10〜50%
  • 小売業:10〜30%
  • 卸売業:5〜20%

これらの業界全体を総括すると、人件費は約20〜30%ものウェイトを占めていると言っても過言ではありません。
人件費を見直す際には、ただ人員を削減するのではなく業務プロセスを見直し業務効率化をする必要があります。

人件費の計算方法

人件費は、基本給や通勤手当といった従業員本人に支払う「給与」と、いわゆる社会保険・労働保険にあたる「法定福利費」を合計することによって計算することができます。

人件費 = 給与 + 法定福利費

各保険料の料率

法定福利費のうち、法律で支払いが義務化されている項目は次の6つです。各保険料の料率表より料率を参照することで、法定福利費を計算することができます。料率は地域や業種によって異なることに注意しましょう。

東京都にある食料品製造業の各保険料の料率を見てみましょう。(2021年2月現在)
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は事業主と従業員が折半して負担します。

  • 健康保険料 …9.87% → 事業主負担分は4.935%
  • 厚生年金保険料 …18.3% → 事業主負担分は9.15%
  • 介護保険料 …1.79% → 事業主負担分は0.895%
  • 雇用保険料 …0.6%
  • 労災保険料 …0.6%
  • 子ども・子育て拠出金 …0.36%
  • 料率の合計 …16.54%

おおよその人件費の計算方法

給与に各保険料の料率の合計をかけて、給与と合計することでおおよその人件費を求めることができます。東京都にある食料品製造業の計算例を見てみましょう。

<月額給与が25万円の場合>
給与 250,000円
法定福利費 250,000円(給与)× 0.1654(料率の合計)= 41,350円
月額人件費 250,000円(給与)+ 41,350円(法定福利費)= 291,350円

厳密な人件費の計算方法

法定福利費を厳密に計算する際は、それぞれの保険の料率に標準報酬月額や給与総額をかけなければいけません。給与と標準報酬月額の対応はこちらをご覧下さい。(2021年2月現在)

東京都にある食料品製造業の計算例を見てみましょう。

<月額給与が25万円の場合>
給与 250,000円
標準報酬月額 260,000円
健康保険料 260,000円(標準報酬月額)× 0.04935(料率)= 12,831円
厚生年金保険料 260,000円(標準報酬月額)× 0.0915(料率)= 23,790円
介護保険料 260,000円(標準報酬月額)× 0.00895(料率)= 2,327円
雇用保険料 250,000円(給与総額)× 0.006(料率)= 1,500円
労災保険料 250,000円(給与総額)× 0.006(料率)= 1,500円
子ども・子育て拠出金 260,000円(標準報酬月額)× 0.0036(料率)= 936円

法定福利費(各保険料の合計) 40,784円

人件費は給与と法定福利費の合計によって求めることができます。

月額人件費 250,000円(給与)+ 40,784円(法定福利費)= 290,784円

人件費削減の3つのアプローチ

業務改善をしていく上でどういったコストを削減できるかというと、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

  • 業務コストの削減
  • 採用コストの削減
  • 育成コストの削減

業務・採用・育成において必ずムダが存在します。
ほんの少しの業務効率化でも全体としては大きいな人件費削減効果が出ます。

コスト削減効果の説明画像

たった1%改善するだけで数千万単位の人件費削減が可能なことを意識しましょう。

業務コストの削減:業務手順の見直しと周知徹底

ゴールは業務手順の見直しと周知徹底を行うことで、仕事のムダを徹底的に無くし業務コストを削減することです。
職場で以下のような事態に陥ってないでしょうか?

  • 業務手順が定まらず、試行錯誤
  • 業務手順に潜む無駄に気づかず、非効率
  • 業務手順を教わる機会がなく、半信半疑

このような負を解消し次のような体制を作り上げなければなりません。

  • 業務手順が明確に定義され、悩まない
  • 業務手順が最適化され、ムダない
  • 業務手順の伝達が容易で、迷わない

採用コストの削減:採用に依存せず、既存社員のパフォーマンスを最大化する

そもそも採用コストの増大は、業務過多を人員数の拡大によってカバーするという「採用」に依存しすぎた体制が原因です。
職場で以下のような事態に陥ってないでしょうか?

  • 業務量=人員数となり、 調整や融通が効かない ➡︎ ピークに合わせて、人員数が肥大化
  • 退職時の欠員対応にも採用必須

特に「業務量=人員数となり、調整や融通が効かない」は陥りがちです。
同じ会社内なのに部門Aと部門Bでは業務量や忙しさに著しい差がある場合、忙しい部門Aのために新たに人員を補充し、比較的暇のある部門Bは人員の削減もなく見過ごされるという事象がよく見られます。
これは 各部門のピーク時に合わせた人員採用を行っているがために、生じてしまう問題です。

これらを解消することで次のような状態を目指しましょう。

  • 業務に合わせて、 人を柔軟に配置 ➡︎ パフォーマンスを最大化し、人員数を抑制
  • 退職時の対応も調整可能

育成コストの削減:研修を効率的・効果的に行う

集合研修などを定期的にやられている企業は、当然ですが講義を依頼する外注費以外にも様々なコストが存在します。実際に集合研修などを運営されたことのある方は以下のような問題を感じたことはないでしょうか?

  • 移動,宿泊,会場に要する多大な経費
  • 講師と受講者の時間と体力の負荷
  • 講義日程の都合つかず、育成が長期化

この育成コストも抜本的に業務手順を見直し以下のような体制にすることが理想です。

  • 移動,宿泊,会場にかかる経費削減
  • 講師と受講者双方にとって負荷軽減
  • 柔軟に日程を組め、育成を短期化

どのアプローチにも業務手順の共有が必須

3つのアプローチを整理すると以下のようになります。

  • 業務コスト削減 ➡︎ 業務手順の見直しと周知徹底
  • 採用コスト削減 ➡︎ マルチタスク化し業務調整を容易に
  • 育成コスト削減 ➡︎ 研修リモート化で低コスト&高効率に

そしてこれらを成し遂げるには業務の手順化と共有がなければ成し遂げられないことがわかります。
つまり、人件費削減をするための第一歩は 「標準作業手順」の定義と共有だということです。

業務手順の定義と共有

話し合う二人の人の画像
では、人件費削減を実現するために、どのように業務手順を定義し共有すれば良いのでしょうか?
標準作業手順による業務改革には、どの業界にも共通する3つの壁があります。

  • 業務手順の作成
    ➡︎わかりやすく再現性が高い手順書をいかに簡単に整備するか
  • 業務手順の浸透
    ➡︎人材育成の仕組みを構築しいかに組織内に浸透させるか
  • 業務手順の改善
    ➡︎業務のプロセスやルールの変更をいかに迅速に反映し続けるか

今回は「業務手順を作成する壁」の前準備として必要な、業務手順の洗い出し方についてご紹介します。

業務には3パターンに分類できる

業務には以下の3パターンが存在します。

  • 感覚型:経験や知識から高度に判断
  • 選択型:一定のパターンから選択
  • 単純型:誰がやっても同じ

業務を項目ごとに洗い出していく際には、業務一つ一つをこの3種類に分類していきます。この業務がどのタイプにあたるのか、それに正解はありません。方針や考え方次第でどのタイプに割り振るかを決めていきます。

業務の種類3パターンの表の画像

選択型業務と単純型業務をいかに仕組み化するか、それが最も重要

一般に全業務のうち感覚型業務は平均13%で、選択型や単純型業務が大部分の87%を占めます。
一見、 この選択型業務や単純型業務を「誰でもできる簡単な仕事」と蔑ろにしがちですが、当たり前の作業ゆえに「現場も当然のようにできている」と思い込んでしまう節があります。

例として銀行員の通常業務を考えてみましょう。
銀行窓口での振り込み手続きなどは、誰がやっても当たり前にできなければいけない仕事です。この振り込みの業務が誰がやっても同じ金額が滞りなくいつも通りの手順で実行される、これこそ「誰でもできる簡単な仕事」と蔑ろにされがちですが、当たり前の業務故に「確実にミスなくこなさなければならない仕事」でもあります。

そして、これを実現するためには 業務手順の徹底が不可欠です。銀行では数多くの手順書が整理され、従業員に教育できる体制が整っているのです。

多くの方がクリエイティブな仕事である感覚型業務を重要視されますが、単純・選択型業務が業務の約90%を占めるという事実に気付いていません。 この90%の業務を仕組み化することが業務効率化、そして人件費削減のためには最も重要なのです。

Teachme Biz で業務改革の3つの壁を乗り越える

Teachmebizの導入効果を示した画像

「Teachme Biz」は、業務改革を実現するための手順書ツールです。
手順書で業務改革を実現するために、超えなければならない壁となるものは「作成」「浸透」「管理」の3つです。

  • 作成の壁:わかりやすく再現性が高い手順書を如何に簡単に整備するか
  • 浸透の壁;人材育成の仕組みを構築し如何に組織内に浸透させるか
  • 改善の壁:業務のプロセスやルールの変更を如何に迅速に反映し続けるか

「Teachme Biz」はこれらの壁を乗り越える機能を搭載した手順書ツールであり、導入することで 「売上向上」と言った経営効果を得ることができます。

  • 業務手順の見直しや周知徹底 ➡︎ 売上向上&業務コスト削減
  • 既存人員のマルチタスク化 ➡︎ 新規採用コスト・人件費削減
  • 研修のリモート化や育成期間の短縮 ➡︎ 研修コスト・会場費削減

当然、手順書は作って終わりではありません。手順書を作成や共有が容易になることは大前提として、その上で正しい手順が社内に浸透し初めて導入成果に繋がります。

また「Teachme Biz」には 手順定着を加速させるトレーニング機能も搭載されており、手順書を作成するだけではなく、現場教育のデジタルトランスフォーメーション化(DX)を可能にします。

>> Teachme Biz の新機能「トレーニング機能」についてはこちら
Teachme Biz トレーニング機能_従業員の成長を支える新機能

まとめ

いかがだったでしょうか?
人件費は経費に占める割合が非常に大きいため、どこの会社でも業務効率化による対応を迫られています。

社内でどの業務が単純型業務・選択型業務なのか視覚化し、手順を共有することが業務か効率化のための一歩目です。当たり前の業務をいかに当たり前にこなすか、これを徹底することで人件費を削減しましょう。

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