ツール浸透で社内IT化を実現するには?課題や失敗事例、対応策をご紹介

最終更新日: 2022.08.12 公開日: 2022.02.24

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DX推進の波を受けてITツールを導入してみたものの、なかなか社内浸透が図れない……。そんな課題の裏にあるのは、ITツールを活用する社員の心理的・時間的・運用的負担です。本記事ではこれら3つの課題とともに、よくある失敗事例もご紹介。その上で社内IT化を成功させるヒントをご紹介します。

DXを推進するためのポイントをぎゅっとまとめたホワイトペーパーもご用意していますので、記事と併せてご覧ください。

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ITツールの社内浸透における3つの課題

1.心理的な負担

ITツールの導入をはじめとする社内のIT化施策に対し、社員は必ずしも積極的になれないことがあります。その理由は、多かれ少なかれ自分が普段行っている業務に「変化」が起きるからです。

例えば新たに導入されたITツールを上手く使いこなせるかどうかわからず、不安を感じる人は少なくないはずです。またツールが浸透することによって自分がこれまで積み重ねてきた仕事が奪われ、スキルやキャリアが無駄になってしまうのではないかといった懸念を感じるケースは間々あります。

そのほかにも「なぜ以前から慣れている業務のやり方を変えなければいけないのか」「ITツール導入の意味や意義がわからない」など、さまざまな心理的な障壁がITツールの浸透を阻害します。

まずはこうした社員の意識から変革しなければ、社内浸透は進まないでしょう。

2.時間的な負担

ITツールは、導入したからといって即座に効果が出るとは限りません。どんなにITツールの機能が優れていても、使うのは社内のメンバー、すなわち人間だからです。

そもそも全員が同じように100%ツールを活用してくれるわけではないため、全社導入してもごく一部の部署でしか使われていないといった状態になることがあります。部署単位で見ても、デジタルに慣れている人とそうでない人では活用度合いに差が生まれるでしょう。
とりわけ、初めてITツールを使い始めた人が上手く使いこなせるようになるには、相応の時間がかかります。

その結果、せっかく導入したのになかなか成果が出ないばかりか、ツールの導入費や維持費、教育費ばかりがかかっている状態が長く続き、挫折してしまいます。

3.運用の負担

ツール導入後運用のために工数がかかりすぎて、通常業務に支障が出てしまうという課題もあります。

例えばツールの使い方がわかりづらく、管理部が社員からの問い合わせ対応に追われてしまうというのがその典型です。そのほか運用ルールが曖昧だったために、入力するデータの形式や保存方法がバラバラになって運用しづらくなるといったケースもあります。

だからといって、運用のルールを細かに決めればいいかというとそうではありません。ガチガチに固められたルールを遵守するのは煩雑に感じるものですし、結果として「面倒だから今までのやり方にしよう」と使用頻度が下がってしまいます。

社内IT化におけるよくある失敗事例

上記に紹介した課題に加え、社内IT化で実際に起こり得る失敗シチュエーションの例とその原因をご紹介します。

事例1:シニアクラスの社員がITツールを使いこなせず導入が進まない

ITツールを導入したものの、本来率先して活用すべきマネージャーや役員など、シニアクラスの社員がツールを使いこなせないことがあります。
社内のルールや仕事のやり方を全社浸透するには、ある程度トップダウンでの指令が必要ですから、まずは上司が使ってくれないと若手層にまで浸透しません。

<原因>
こうした事例の原因は、「ITツールを活用していこう」という意識が上層部にないことです。
社会的に必要とされているから、流行っているからという理由でなんとなくITツールを導入した結果、ツール導入に期待する効果や目的などが曖昧になり、活用の意識が薄れてしまうのです。

事例2:ITツールの存在が形骸化してしまう

ITツールを意図したように使ってもらえないこともあります。例えば営業ツールを導入したのに、必要な情報を営業マンが記入してくれないというのはよくある事例です。そのほかにもコミュニケーションツールを導入したのに、1対1のDM機能ばかりが活用されて、全社的なコミュニケーションが行われないといったケースもあります。

その結果、社内で必要な情報が共有されず結局今までと同じように口頭での確認が発生し、業務効率化どころかかえって二度手間を招いてしまいます。

<原因>
原因はITツールを導入する意義や目的が社員に上手く伝わっていないことです。これは、一部事例1の状況とも共通しています。
社員自身が「このデータを入力することで、営業業務が改善される」「チャットで迅速にコミュニケーションすることでビジネススピードが加速する」といった実感が得られないままITツールを使っても、存在が形骸化してしまいます。

事例3:ITの機能に振り回されてしまう

経営層がITツールの導入に積極的で、専任チームが次々とITツールの活用アイデアを考案する。一見良い状況のようですが、ここにも落とし穴があります。

アイデアを実現するために便利な機能を次々と拡張し利用を推進していった結果、社員が本来の業務に集中しづらい環境になってしまう可能性があります。システム自体も煩雑になりすぎ、使いこなせるのは一部の社員だけになってしまうかもしれません。

<原因>
原因は、ITツールの活用自体が目的化してしまったことです。ITツールはあくまで人間の行う業務を補助してくれる存在であり、とにかくITツールを活用すれば絶対に成果が出るとは限らないのです。

ツールを浸透させ社内IT化を図るための対応策

ここまでにご紹介したように、ITツールを活用し社内IT化を図る上ではいくつもの落とし穴があります。IT技術は確かに便利なものですが、浸透のためには地道な取り組みが必要だと意識しておきましょう。
以下では基本のポイントをご紹介しますので、参考にしてください。

ITツールを導入する目的や意義を明確にする

事例1、2の失敗からもわかるように、大前提としてITツールによって達成したい目標や、働き方のあるべき姿などをきちんと明確にしておきましょう。
これはITツールを導入する部署やチーム単位で決めるのではなく、経営層とも一緒に共有して決めるのがベターです。ツールの導入を周知する際、経営者自身や役員から目的や意義を伝えたほうが、効果が高いからです。その際は文書に加えて、口頭でも共有するようにしましょう。
常に社員が目的意識を持ってITツールを使ってくれる状態を目指すことが、社内浸透への第一歩です。

ITツール運用のルールを定める

ITツール導入による目標や目的が定まったら、それらを実現するための方法としてルールを策定しましょう。

細かくなりすぎない、曖昧になりすぎないのはもちろんですが、ポイントは情報の「蓄積」「共有」「活用」が達成できるような手段を検討することです。
「蓄積」とは、ITツールを活用した履歴を確認できるような状態にすること。「共有」は、それらのデータを社員の誰が見てもわかるような状態にすること。「活用」は、蓄積・共有された情報が意味のある形で運用できる状態にすることです。

ルールを遵守することでこういった活動が可能になるかどうか。ここを基準にして、ルールを定めていきましょう。

スモールステップで導入を進める

実際にITツールを導入する際は、まずは基本機能を短期間導入することから始めましょう。いきなり大々的に複雑なシステムを全社導入すると、失敗したときのリスクが大きいからです。

小さな範囲でトライアルをする中でツールを使いこなせない人が出てきたら、利用マニュアルを作成する、講習を行うなどフォローアップを行います。改善の結果、成果を見込めそうであれば、範囲を広げて展開します。
仮に成果が見込めなさそうであれば、別のツールを選ぶ、あるいは新たに運用ルールを設けるなど、適切なタイミングで立ち止まって方向性を柔軟に変えられるよう、アジャイル的に導入を進めるのが大事です。

また実際のツールの選定や検証は、専任チーム内だけではなく現場のメンバーや役員まで巻き込んで行うのがおすすめです。
実際にツールを運用する現場社員の意見を基に検討することで選定ミスが起きにくくなりますし、決裁権を持つ役員がいれば導入までのスピードが速くなります。

社内IT化にはマニュアルの導入がおすすめ

ITツールを誰でも使える状態にすることも重要

以上で紹介した対応策を講じたとしても、ITツールを利用した経験がない人にとってはやはり心理的なハードルが高くなります。ITツールを利用する目的がわかっても、実際に使いこなせるかどうかの不安を払拭できるわけではないからです。

そこでもう一つ必要なのが、「誰でもITツールを使える状態」を作りだすことです。そのためには、以下の3つの条件を満たしましょう。

  • 使い方が周知されている
  • 初心者でも使える
  • わからないことは人に聞かなくても調べられる

一般的には研修やセミナー、OJT、そしてマニュアルなどを活用することで、こうした状況を作るための社員教育が行われます。

ツールを活用の再現性を高めるためにおすすめなのはマニュアル

ITツール浸透のための社員教育手法として特におすすめなのが、マニュアルの作成です。マニュアルは形に残る資料なので、いざツールを使いこなそうとしたときに、研修やOJTのように記憶に頼って作業をする必要がありません。わからなければマニュアルを参照して取り組めるため、業務の再現性は非常に高くなります。

よりITツールの活用を促進し、社内浸透を進めるためのマニュアルの作り方や成功事例については、以下のホワイトペーパーにまとめています。
ITツールの活用はDXを推進するためにも欠かせないものです。DX推進のためのITツール導入において重要なポイントも記載していますので、ぜひチェックしてみてください。


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まとめ

ITツールを浸透させ社内IT化を実現させるのは、DXが求められる時代において必須だといえます。特に昨今はペーパーレス化やテレワークをはじめ、デジタルツールを活用した新しい働き方への変革が急務であり、会社として他社におくれを取らず生き残るためには、積極的にITツールの導入を推進していかなければなりません。

そのとき課題となるのが、ITツール導入に対する心理的、時間的、運用的な社員への負荷です。解決のためには経営層主導でITツール導入の目的とルールをしっかりと定め、スモールステップで導入を進めることです。
その際はマニュアルの存在が業務のさまざまな場面で活躍するので、併せて作成を検討してみてはいかがでしょうか。

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