業務効率化

業務品質向上の方法とは? 5つの推進ポイントと具体的手順を解説

「品質向上」 と一口に言われてもさまざまな意味があり、実際の仕事上では何をどうすべきなのか、いまいちわかりにくいですよね。
製品のクオリティを上げるのか、欠陥品を無くすのか、それともそれ以外のことが求められるのか……。そこで本記事ではまず「品質向上」を「製品・サービス」と「業務」に切り分け、それぞれの「品質」が向上した状態がどのようなものかを整理しました。

さらに、現在特に求められている「業務品質向上」の内容と施策を実施する方法について詳しく解説しています。企業成長のために、ぜひご覧ください。


業務効率化ハンドブック

そもそも「品質」とは?

品質向上には「製品・サービス」と「業務」の2種類がある

製品・サービスの品質

品質と聞いたときに多くの方が思い浮かべるのが、「製品・サービスの品質向上」ではないでしょうか。

製品ならユーザーにとってより魅力的な製品を設計・製造すること、サービスならよりお客様の満足度が高まるようなサービスを提供することが、品質向上にあたります。特にサービス品質については、正確性やスピード、柔軟性はもちろん、安心して使える、サービスが自分たちに寄り添ってくれる、ブランドとして良い印象があるといった要素も重視されます。

製品・サービスの品質は、顧客からの評価や売上によって向上できているかどうかを測ることができると言えるでしょう。

業務の品質

もう一つは業務の品質です。会社の中で皆さんが普段行っている業務に手を加え、付加価値やクオリティを高めることが、業務品質の向上です。これは、社内の誰もが能力を発揮して、同じように業務を遂行できる状態とも言い換えられます。さらにムダ、ムリ、ムラを排除して業務品質を向上すれば、業務効率化や業務改善、生産性向上なども実現可能です。

現在の日本には「業務品質向上」が強く求められている

上記のように品質向上には2種類ありますが、製品・サービスと業務は密接に絡んでいるため、両方の品質向上を達成しなければいけません。業務品質の向上そのものが製品・サービス品質向上にもつながりますし、逆もしかりです。

ただし、現在の日本の労働環境などを鑑みると、特に業務品質向上が重要視されている傾向にあるといえます。業務品質向上によって業務の属人化を排し、生産性や社員の働きやすさなども向上すれば、働き方改革や労働人口減少への対策などを推進できるからです。
また、成熟した企業、業界においては他社と製品・サービス品質の差別化をするのが難しいからこそ、業務品質向上に注目すべきだとも言えます。

とはいえ、業務品質向上は数字や第三者の評価による成果が見えづらく、いざ取り組んでも挫折してしまう、あるいは何から手を付けたらいいのかわからない状態になりがちです。

ここからはこの「業務品質向上」への道筋について見てみましょう。

業務品質を向上のために――「5つの化」で業務標準化を行う

業務品質向上を考える際の有効な手立ての一つが、「業務標準化」です。これは簡単に言うと「誰でも同じように作業ができるように、業務の手順を統一すること」です。業務標準化によって作業者の違いによる品質のバラつきをなくし、常に一定の成果を出し続けられます。

業務標準化を進めるために必要なのが、「5つの化」という考え方です。これは経済産業省と株式会社日本能率協会コンサルティングが作成した業務品質の改善マニュアルに載っているものです。以下では、これら5つの「化」の手順を具体的にご紹介します。

可視化

まずは業務内容の現状を把握し、目指す成果や目標を見えるようにする「可視化」を行います。改善したい業務において優れたやり方をしている社員をピックアップし、業務の手順やどこがポイントになるのかなどをヒアリング。その内容を社員全員が共有できるように、マニュアルとしてまとめます。

定量化

次に、実際に業務を行う社員に対してスキルチェックを行い、能力を数値化します。不足しているスキルや知識は人によって異なりますから、標準化によって誰がどのような状態を目指すべきなのかも数値で洗い出します。

課題化

目標が定まったら、次はその達成のために必要な要素を洗い出し、課題を個別に設定します。具体的なタスクを、実行計画書に落とし込むということです。

実践化

目標・課題を明確にしたら、いよいよ実践です。タスクを実行し、課題解決のために業務に取り組んでいきます。

定着化

完了したタスクに対してフィードバックや評価を行い、改善するべきポイントを見つけていきます。PDCAのサイクルを仕組みとして繰り返すことで、業務の改善内容を社内に定着させていくのです。

業務品質向上の過程には「マニュアル化」が重要

マニュアルの作成・運用が業務標準化のベースになる

上記にご紹介した「5つの化」の「可視化」の段階から登場したのが、業務のマニュアル化です。マニュアル化は業務の課題解決を図る上で欠かせません。最適な業務のやり方を言語化、視覚化することで、初めて業務標準化を実践できるからです。

「定着化」のフェーズにおいても、目に見える形となったマニュアルがあるからこそ、フィードバックや改善がやりやすくなります。

「業務品質向上=業務標準化の推進=わかりやすいマニュアルの作成」と捉えても良いでしょう。

実際にマニュアルによって業務品質を向上した事例

JR東日本フードビジネス株式会社様は、駅構内を中心に「ベックスコーヒーショップ」を展開中している企業です。これまでは8冊にもわたる分厚い紙のマニュアルが存在していましたが全く活用されておらず、業務改善が非常にやりづらい状況でした。

そこでマニュアルを整備し、クラウドで共有できるようにした結果、業務品質が向上。期間限定メニューの販売時なども各店舗への通達が楽になり、大幅に人件費を削減できました。

また、お客様からのクレームも減少するなど、業務品質向上がサービス品質向上にまでつながっています。

業務品質向上の具体的推進プロセス

事例のようにマニュアルを整備し、なおかつ「5つの化」を実践すれば業務品質向上の取り組みは万全かと言われると、そう簡単ではありません。
業務品質の向上を図る上で、「段取り」は必要不可欠です。責任の所在や具体的な品質向上の手順を把握しないことには、十分な成果を見込めないからです。

では、その「段取り」の手順をご紹介します。

推進部門設立

主体となって業務品質向上を推進していく部門を設置し、責任者を決めます。この部門がイニシアチブを握り、責任を持つことが大事です。

関係部門の責任者決定

推進部門以外に業務品質向上に関わる部門を「担当部門」として設定し、各部門の責任者を決定します。この責任者が推進部門と担当部門のハブとなり、進捗管理や連絡を担当することになります。

スケジュール設定

経営幹部を巻き込み、業務品質向上プロジェクトの具合的な進め方を策定します。業務品質向上の取り組みは多くの場合業務のやり方を変えることになりますから、現場からしてみると反発も出やすいものです。いきなり大規模に実施するよりは、スモールステップでアジャイル的にPDCAを回すスケジュールを組み立てるのがおすすめです。

発信・周知

最後に、従業員に取り組みの目的や内容をメールなどで説明・発信します。
ここでは、経営幹部などの影響力がある層が発信し、積極的に社内の理解を得ることが重要です。というのも、業務品質向上は製品・サービスの場合と異なり、売上など経営に影響する数字として成果が見えるわけではありません。このため、営業チームなど数字を追うような立場からしてみると優先度が低くなりがちです。経営陣自らが「業務品質向上は全社としての取り組みである」と定義し、必要性や実施の意思を伝えると、現場浸透につながります。

こうした「段取り」を終えてから本題に入ることが、遠回りのように見えて実は近道なのです。

困ったときはITツール活用による業務のデジタル化を検討

ここまで読んだ皆さんは、理論上は業務品質向上を実践することが可能になりました。
しかし、全てを準備するのはとてもじゃないが大変でやる気が出ないという意見も多いかと思います。実際手作業で取り組むにしても、社内のあちこちに分散した情報を集約したり、社員一人ひとりの進捗をその都度確認したりするにも限界があります。

そんなときは、ITツールを駆使した「ノウハウを共有する仕組み」や「業務プロセスを見直す仕組み」を整えましょう。システム上に情報が集積されるので社内で共有しやすくなり、一人ひとり連絡せずともプロジェクトの進捗具合をグラフで管理できます。
また、マニュアル化の作成においてもオフィス系のソフトで手作りするよりは、あらかじめマニュアル作成に特化したITツールを利用するほうが便利です。

ITツールの導入が業務品質向上の心理的なハードルを下げ、業務品質改善だけでなく企業の飛躍に結び付くカギになるかもしれません。実際にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社の調査によると、9割近くがデジタル化の推進が「生産性の向上につながる」と回答したデータもあります。目的達成のために、ぜひ効率的な手段を選んでみてください。

dxの落とし穴