営業プロセスとは?見える化のメリットや設計のポイントをご紹介

最終更新日: 2022.09.01 公開日: 2022.08.10

営業プロセスのOGP

現在企業のさまざまな業務にITツールが導入されており、営業も例外ではありません。その中で注目されているのが、営業プロセスの見える化です。
どのような手順・手法で営業を行うのかを見える化できれば、ITツールを駆使した営業の効率化や標準化、属人化からの脱却など、数々のメリットを享受できます。
そこで本記事では、営業プロセスの見える化や設計のポイントなどについて、詳しくご紹介します。

 

営業プロセスとは?

営業プロセスの定義と「見える化」が重視される背景

営業プロセスとは、顧客との最初の接点から受注、アフターフォローに至るまでの一連の営業活動の流れを指します。これはそのまま、営業マンの活動範囲を示しているといってもいいでしょう。

営業プロセスの「見える化」が重視されているのは、近年SFAやCRMなどITツールが普及し、データを生かした生産性向上が求められているからです。
見える化とは言葉の通り、営業マンがいつ、どこで、どのような活動をするのか、誰が見てもわかるように文書やフローチャートなどに落とし込むということです。

ではなぜ、「営業のデータ活用」のために「営業プロセスの見える化」が必要なのでしょうか?

実際のところ、多くの企業はデジタルツールを売上拡大など直接的な会社の利益創出にまでは活かしきれず、課題を感じています。
その要因の一つは、例えば営業活動の属人化です。営業マン個人が自分だけのノウハウを活かして自分の判断を中心に営業活動をしていると、どんなデータをいつ取得すべきなのか、組織として把握できずツールが形骸化してしまいます。仮にオペレーションに無駄があっても、ボトルネックを発見できないでしょう。

また、社内で「営業データを入力してください」と周知していても、営業活動が属人化しているとそのデータが自分の営業活動にどう活かされるのかがわからず、そもそも社内にツールが浸透しません。

以上を踏まえると、データによってより効率的な営業活動を行うには、第一歩として営業プロセスを見える化し、営業状況の把握と最適化を図らなければならないのです。

営業プロセスの例

営業プロセスモデルの一例として有名なのが「THE MODEL(ザ・モデル)型」です。これはSaaS型サービスのSalesforceで長年活用されてきたモデルで、2019年に出版された福田康隆氏の著書『THE MODEL』によって広く知られるようになりました。

THE MODEL型の営業プロセスは、おおまかに以下の通りです。

  • マーケティング
    • リードの獲得
  • インサイドセールス
    • 営業メール
    • 電話
    • 営業へのホットリードのトスアップ
  • 営業
    • 訪問
    • 課題のヒアリング
    • 見積もり提案
    • クロージング
  • カスタマーサクセス
    • 契約継続
    • アップセル
    • クロスセル

組織やプロダクト、採用している営業のフレームワークによって営業プロセスはさまざま異なりますが、多くの場合以上のような工程を含みます。THE MODEL型ではリード獲得はマーケティング部門の役割として分業されていますが、ここを営業が担うケースも多いでしょう。

営業プロセスを見える化するメリット

冒頭でも軽く触れましたが、改めて営業プロセスを見える化するメリットを把握しておきましょう。

メリット1:営業活動の課題やボトルネックを発見できる

営業プロセスを見える化し営業活動の状況を数値で俯瞰的に見られるようになると、営業上の課題やボトルネックの発見が容易になります。

例えば営業プロセスのどの段階で失注しているのかがわかれば、その原因も探りやすくなります。顧客のニーズを掴めていないのか、提案内容が弱いのか、クロージングが上手くできていないのか……。案件の個別状況が確認できるためマネジメントがしやすくなりますし、改善策を打ち立てることで、より洗練された営業プロセスの構築が可能です。

また、プロセスを変更した際社内に周知しやすいのも、見える化のメリットです。社内での情報共有が容易なので、マーケターやカスタマーサクセス部隊との連携も取りやすくなります。

メリット2:営業活動を標準化し属人化を脱却できる

営業の標準化も、見える化の大きなメリットです。会社として営業の「勝ちパターン」を社員に共有できれば、営業部門のスキルを底上げできるでしょう。
これまでは勘や経験則で行ってきた「いつ、どこで、どんな行動をすれば営業すべきか」が明確になり、営業マンが行動に迷うことはありません。いつでもトップセールスと同じような、限りなく最適に近いプロセスを踏めるのです。

その結果、一部の優れた営業マンだけが売上を独占するような、属人化も解消できます。会社として利益向上を図れるだけでなく、社員のモチベーション維持につながります。

メリット3:人材育成につながる

営業プロセスの見える化はスムーズな人材育成にもつながります。OJTではどうしても経験則に頼りがちで、人によって教え方にムラが生まれることもしばしばですが、営業が標準化されていれば、体系的な営業スキルの獲得が可能です。現場経験が浅いメンバーも、営業プロセスごとのベストプラクティスを簡単に把握できます。
社内の人員異動で引き継ぎが発生した場合も、一種のマニュアルとして活用可能です。

また営業マンの評価にも営業プロセスは活用できます。売上や受注件数といった結果的な数値だけではなく、顧客との関係値やアクション内容など、営業プロセスの中で行う行動を営業の評価基準に組み込めるからです。
結果的な数値のみで評価される場合だと、売上を伸ばそうとするあまりときに押し売りのような強引な営業になってしまう可能性がありますが、プロセスそのものが評価されれば、営業マンはより質の高い営業活動に集中できるはずです。

営業プロセスの設計方法3ステップ

では実際に営業プロセスを見える化するにはどんな手順を踏めばいいのか、3ステップにまとめました。

ステップ1.既存の営業プロセスをヒアリングして分解

まずは現状のプロセスがどうなっているのか把握が必要です。ただし、闇雲にヒアリングをしてもそれが正しいのかどうか、判断がつきません。最初に現状の営業部門の掲げている目標と、そこにどのようなギャップが発生しているのかを整理して、チェックすべきポイントを明確にしておきましょう。

その上で営業マンにヒアリングを行い、それぞれのプロセスを言語化します。ヒアリング対象はトップセールスがおすすめです。
オーソドックスな流れを細かに分解し、ボトルネックになっている部分をチェックしたら、目標達成に必要な戦略を改めて考案します。

ステップ2.営業プロセスごとの活動整理と役割の定義

次に分解した営業プロセスをシンプルな内容に整理し、顧客フェーズや製品に応じたフローとして落とし込みます

    フロー例

  • リードの獲得
  • 営業メール、電話
  • 訪問
  • 課題のヒアリング
  • 見積もり提案
  • クロージング

上記のような営業プロセスだった場合、それぞれの工程で誰が何をするのか、部署ごとの役割まで定義します。

例えば顧客からの問い合わせがあった際に、テレコールをし、相手が出たらどんな内容を案内するのか、出なかった場合はどんなタイミングで2度目のコールをしたり、フォローとしてどんな内容のメールを送ったりするのかなどを定義していきます。営業プロセスの全体像を、解像度高く俯瞰できるようにしていくことが重要です。

ステップ3.営業プロセスをデータに紐付けて管理

完成した営業プロセスの中にMAやSFA、CRMなどのデータを組み込んで連携させましょう。案件の進捗や顧客情報をデータで管理し、営業マンが各プロセスで次に取るべき行動をしっかり規定します。
このとき何をKPIとするのか、重視する数値なども併せて決定していきます。ステップ3の設計を綿密に行えば、後々のデータ分析がしやすくなるでしょう。

営業プロセスを活用した営業の標準化のポイント

営業プロセスの見える化は、そのまま営業の標準化につながります。「誰もが同じように営業の成功プロセスを踏めるようになること」が目的なので、以下のようなポイントに注意しましょう。

営業プロセスにおける行動の定義は明確に

営業プロセスの設計ステップでは営業フローにまで落とし込むことが必要だとご紹介しました。この際、営業マンが取るべきアクションは極力具体的な内容にしましょう。
例えば何をもって「アポ」とするのか、「提案」とするのかは会社によって違います。「アポが取れたら提案をする」と規定するだけでは、受け手によって解釈に違いが生まれかねません。
「提案」をするにしても、製品の説明をするのか、課題のヒアリングを行うのか、あるいはその両方なのか。ここを明確にしておくと、より再現性の高い営業プロセスを構築できます

営業プロセスのどこが「勝ちポイント」になるのかを把握する

自社の営業プロセスの中には、必ず成功につながる「勝ちポイント」が存在するはずです。それが提案のタイミングなのか、それとも顧客との接点数なのかは、営業モデルによって異なります。事前の情報収集こそが勝ちポイントだった、というケースもあるでしょう。
最適な営業プロセスを設計するために、どこに力を入れれば勝率が上がるのかは必ず意識しておきましょう。

営業プロセスはPDCAを回して最適化する

トップセールスの営業プロセスを見える化しても、それが必ずしも組織全体にとって最適な手法になるとは限りません。実際に営業プロセスに基づいたアクションが有効に働くのかどうか、データを基に常に効果検証を繰り返しましょう

ポイントは、定量・定性両面から分析を行うことです。定量面だけを見ていると、なぜ失注したのか、あるいはなぜ受注できたのかが見えなくなる可能性が高くなります。
せっかく営業プロセスを見える化するのですから、「こんな提案をしたら効果があった」といった定性的な情報も、逐次チーム内で共有しましょう。

まとめ

ビジネスの速度が加速している現代において、営業業務にITツールの活用は欠かせません。しっかりとデータを活かすために、営業プロセスの見える化は必須です。従来の属人化から脱却し、人材育成にも役立てるような「営業の標準化」を目指しましょう。
重要なのは、営業プロセスの具体的な内容まで言語化し、データ連携してPDCAを回すことです。まずは営業マンへのヒアリングから、見える化への第一歩を進めてみてください。

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