ビジネスに有用なルーティンとは?重視すべき理由を解説!

最終更新日: 2023.10.03 公開日: 2022.08.11

routine

「ルーティン」を私生活や仕事の中に取り入れて、もっと毎日を充実させたい……。
そんなふうに考えて、自分なりのルーティンを組んでいる人も多いのではないでしょうか。
ルーティンは個人が自分のライフスタイルや考え方に合わせて実施するものと思われがちですが、実は「組織」単位で生産性向上を図る上でも、切っては切れない存在です。

この記事では、ルーティンの意味や業務をルーティン化するメリット、ルーティン化のコツをご紹介します。

業務効率化ハンドブック

ルーティンとは

ルーティンの意味や使われ方

ルーティンとは、「決まった動作」「日課」を意味する英語です。日常的な例を挙げると、毎朝起きてから行う洗顔や歯磨きなどの習慣はルーティンにあたります。ルーティンは物事を習慣化させるために有効な手段の一つだといえるでしょう。

とはいえ、ルーティンはそれ以外にもさまざまな場面で用いられます。

例えばスポーツで活用されるルーティンは、選手がいつも通りのパフォーマンスを発揮するためのもの。一定の決められた動作・行動を行うことによって、緊張する場面でも自分のリズムを取り戻せます。

ほかにも、時間を有効活用したり、良い1日を送るためにコンディションを整えたりする方法として、「モーニングルーティン」が取り入れられることがあります。YouTubeやSNSなどでは、インフルエンサーが自分のモーニングルーティンを紹介するのが流行しました。
朝起きたらカーテンを開けて背伸びをする、コップ一杯の白湯を飲む、日の当たる場所でヨガをする……こういった行動を日課として続け、パフォーマンスを高めるのです。

日本のルーティンの従来のイメージは「退屈なルーティンワーク」

決められた内容を毎日行うという意味から、ルーティンはビジネス上「ルーティンワーク(定型業務)」として用いられることも多い言葉です。
例えば、人事や経理、総務などのバックオフィス業務で行うデータ入力作業(顧客情報や給与計算など)、受付、清掃、電話対応業務などはルーティンワークに該当します。

ルーティンワークは毎日行うような作業から数ヶ月単位で繰り返す作業まで含まれ、作業の発生頻度はさまざまです。

ルーティンワークはもちろん会社運営のために必要不可欠ではあるものの、どうしても「退屈」「マンネリ」といったネガティブなイメージも伴いやすいものでした。
しかし業務のルーティン化は、やり方次第で業務を効率的にこなし、生産性を高められる可能性を秘めています。今回の記事では、このルーティン化のポテンシャルについて、じっくり触れていきます。

ルーティンの種類

さて、業務のルーティン化について詳しく説明する前に、ルーティンの種類について改めて整理しておきましょう。大別すると2種類です。

気分の切り替えやモチベーションを高めるためのルーティン

1つ目は、仕事をはじめとした何かの作業で高いパフォーマンスを発揮するためのルーティンです。物事に取り掛かる前に特定の動作をすることで、気分を切り替えるのが主な手法となります。
例えば元プロ野球選手のイチロー選手は、「バッターボックスに立ったら、袖をまくりバットを投手の方に掲げてから構えに入る」というルーティンワークを実行していました。ほかにも元ラグビー日本代表の五郎丸歩選手は、キック前に必ず行う独特な動作をルーティンワークにしています。
スポーツ以外の分野では、物理学者のアルベルト・アインシュタインが「仕事に取りかかる前に成功イメージを描く」というルーティンを行っていたといわれます。

ビジネスマンが1日のパフォーマンスを高めるためのルーティンとしては、「前日にタスク整理をしておく」「早起きをする」「マインドフルネスをする」「散歩で頭を空っぽにする」などが考えられます。

作業そのものを効率化するためのルーティン

2つ目は、毎日行う特定の作業自体を効率化し、意欲的に行うためのルーティンです。手順や行動そのものを最適化し、時間を有効活用できます。

企業の実例を挙げてみましょう。企業の情報セキュリティ、業務効率化のコンサルティングを手掛けるLRM株式会社では、見積もり手順やPC設定などをルーティン化し、マニュアルにまで落とし込み効率化しています。「頭を使わなくて良いことはマニュアル通り行えばOK」という環境を構築し、アウトプットの質まで高めているそうです。

LRM株式会社様のケーススタディについて詳しくはこちら
頭を使う仕事だから、「考えないで済む」業務を明確にする LRM株式会社様

今回着目したいのは、この「作業そのものを効率化するルーティン」なのです。

なぜルーティンを重視するべきなのか?

ルーティンは個人単位・会社単位どちらの視点でも、重視して毎日の仕事に取り入れるべきです。なぜならルーティンは単純に「業務を淡々とこなす」ものではなく、仕事全体のクオリティをも左右する大きな力を持っているからです。以下ではその理由をご説明します。

仕事全体のパフォーマンスが上がる

ルーティンワークはパターン化されており、仕事量から作業時間を推測しやすくなります。そのためタスク管理がしやすく、無理のない範囲のスケジュール設定ができるのが大きな利点です。時間管理意識が向上し、「ダラダラ作業」を防げるでしょう。
またやり方が決まっており不確定要素も少ないため、ミスが減ります。マニュアル化して手順を見える化することで、誰が作業をしても同じクオリティのアウトプットを生み出せる点もメリットです。

効率的に最低限の時間で作業を進めて、余った時間をほかの作業にあてるなど工夫をすれば、仕事全体のパフォーマンスがぐっと向上するでしょう。

脳のキャパシティが空く

ルーティンを上手く活用すれば、考えなくても作業ができるようになります。何か行動をするにあたって、迷ったり、探したりする手間がかからないからです。
日々の業務をルーティン化すればするほど、考える時間が少なくなる――つまり、脳のキャパシティに余裕が生まれます。人間の脳の要領は決まっていますから、全ての業務に同じだけの熱量は注げません。自分がじっくり考えるべきこと、創造すべき事柄に集中するためにも、ルーティン化は欠かせないのです。

企業文化の構築・改善につながる

ルーティンワークを効率よく実施するためにはマニュアル化が欠かせませんが、文書などで見える化されたルーティンは、そのまま企業文化として社内に浸透していきます。
つまり、「業務内容をもっとアップデートしたい」「より効率の良い方法を探っていきたい」といったときにはマニュアルを改善していけば、企業文化全体が進化していけるのです。ただ単にトップダウンで口頭の指示をするだけでは、新しい方法を全員が確実に実施してくれるとは限りませんが、マニュアル化されたルーティンなら社内浸透できる確率が高まります。

ルーティン化のコツ

それでは、特定の作業をルーティン化するためには具体的にどういったことが必要なのでしょうか?
ルーティンワークは最初にご紹介した通り、ともすると「退屈でつまらない」作業にもなりかねません。コツを押さえてルーティン化を図りましょう。

作業の目的やゴールを設定する

同じ作業の繰り返しで飽きないよう、あらかじめ「何のために作業を行うのか・何の成果を出さなければいけないのか」、作業の目的・ゴールを明確にしておきましょう。
内容が単純でも、必ずその作業をしなければならない理由は存在します。目的やゴールを思い出しながら作業を進めればやりがいを持って取り組めるので、意欲の低下を防げます。

また、自分の中で仕事に対する目標を設定してもらうのもおすすめです。例えば「〇時間以内に終わらせる」「このステップを効率化させる」といった目標を設定し、達成できるように技術を向上させるのです。
やりがいを感じるだけでなく自分自身の成長にもつなげられますし、より良い手法が見つかったらマニュアルに反映して、会社のノウハウとして蓄積もできます。

作業を見える化する

ここまでにも何度か触れていますが、ルーティンワークの作業手順はマニュアルにして、作業の見える化をしましょう。
ルーティンワークは定型化されている作業ですが、もともと定められている手順の中にも無駄があるかもしれません。しかし、作業に慣れていると無駄な作業も見落とされているケースが多いのです。
担当者ごとに独自の手順で作業を行っていた場合はその手順を統一したり、無駄な工程を洗い出し省いていくことで作業を標準化・効率化していくと、作業時間の短縮や業務品質向上につながります。
マニュアルを見れば誰でも最適な方法で作業を進められる状態を常に作るよう心掛けましょう。

作業時間を設定する

ルーティンワークの作業時間を推測しやすいという特徴を生かして、作業ごとに目安となる時間を設定しておきましょう。
例えば「2時間作業して5分休憩する」など、集中力を高めて作業を進める時間と休憩時間をあらかじめ定め、時間を意識しながら作業を進めるのがポイントです。メリハリがつき、作業効率を高められます。

また作業ごとの締め切り時間を設定する際には、1つの作業単位で長めの締め切りを設定するよりも、いくつかのステップごとに短めの締め切りを設けるのがおすすめです。短めの締め切り設定により、想定より作業が進んでいる、遅れているといった締め切りに対する進捗状況が把握しやすくなります。

ルーティンを継続するためには?

ルーティンは習慣として継続させることで効果を発揮します。単発の施策で終わらないよう、継続させる工夫も実施しましょう。

スモールステップで開始する

新たなルーティンワークを組織の中に定着させる際には、いきなり大きな作業をルーティン化せず、スモールステップで少しずつ小さな作業をルーティンとして設定するようにしましょう。
大きな作業の定型化には不具合や無理・無駄が発生しやすくなり試行錯誤が必要になりますが、小さな作業からなら無理なく浸透を図り、継続できます。

マニュアルの運用体制にも気を配る

ルーティンのマニュアルは作って終わりにせず、誰でも必要な時に必要な情報を探し出せるよう、運用体制に気を配りましょう。

マニュアル作成方法が非効率だったり、作成しても見られていなかったりする場合はマニュアル運用体制の見直しをしてみてください。マニュアル作成ツールを用いてマニュアル運用体制を再構築するのもおすすめです。

本当に重要なビジネスにおけるルーティンの考え方

最後に、ビジネスで有効活用できるルーティンについてもう一つ重要な考え方をご紹介します。それは、「変化」のルーティン化です。

ルーティンの定義は冒頭でもご紹介した通り、「決まった動作」をすることです。その効果も本記事でご説明しました。
しかし、実はルーティンによって「変化の習慣化」も可能です。もっと噛み砕いていえば、ルーティンを通して「毎日違ったこと」をして、ビジネスに活用するのです。

なぜ、「変化」がビジネスに有用なのでしょうか?

それは、現在が変化の激しい、人との交流のあり方も変わっていく時代だからです。現代においては、「変化に慣れること」がビジネスの世界で勝ち抜いていくためには欠かせません。変化を恐れずに毎日違った刺激を受け、より深い「知の探索」をする。これこそが、ルーティンの最も有益な活用方法といえるかもしれません。

ルーティンによる「知の探索」とはなんなのか、「変化の習慣化」のためには何をすればいいのか。詳しい内容が気になった方は、以下の記事をぜひチェックしてみてください!

【カンファレンスレポート】「ルーティン×経営」を再考する ~世界標準の経営学でもルーティンが重要視されている理由とは?~(前編)

【カンファレンスレポート】「ルーティン×経営」を再考する~世界標準の経営学でもルーティンが重要視されている理由とは?~(後編)

まとめ

ルーティンは日常、スポーツ、仕事……さまざまなシーンで用いられる言葉であり、時間の有効活用や作業の効率化、パフォーマンスの向上などの有効な手段です。

特にビジネスにルーティンを上手く取り入れれば、組織全体の生産性向上にもつながります。今回ご紹介したルーティン化するコツを押さえながら、ぜひ積極的にルーティンを取り入れてみてください。

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