企業に防災マニュアルが必要な理由とは? 作り方やポイントを紹介

最終更新日: 2024.03.21 公開日: 2024.03.15

企業に防災マニュアルが必要な理由とは? 作り方やポイントを紹介

いつ発生するかわからない災害に備えるため、企業は防災マニュアルを完備しなくてはなりません。ただ、いざ作成するとなると、どのような内容を盛り込むべきかわからないと感じる担当者もいるでしょう。本記事では、防災マニュアルの必要性や作り方のポイントを解説します。

防災マニュアルとは

防災マニュアルの役割

防災マニュアルとは、災害時にとるべき行動を整理した手引書です。非日常な災害に直面した際、パニックに陥り冷静な行動ができなくなるケースは珍しくありません。そうした混乱状態によって引き起こるさまざまなリスクの回避、軽減が防災マニュアルの役割です。

防災マニュアルには、突発的な災害に備えるためのさまざまな情報が網羅されています。シーンに応じて、誰が何をすべきか、どこへ避難すればよいのかといった情報を盛り込むのが一般的です。

企業に防災マニュアルが必要な理由

災害発生時に、従業員や顧客の安全を確保するために防災マニュアルは必要です。災害時にどのような行動をとるべきかをマニュアル化していないと、個々が思い思いの行動をとってしまい、かえって混乱や危険を招きかねません。冷静な判断力を失い、適切な対応ができないと重大な二次災害にもつながります。

事業を営む企業にとって、従業員はもっとも重要なリソースです。災害に巻き込まれ、貴重な戦力を失う事態になってしまった場合は生産性の低下にも直結します。新たに人材を採用するのに多大なコストが発生するだけでなく、災害への備えが不十分な企業であると非難される可能性もあります。

防災マニュアルがあれば従業員は自分がとるべき行動を理解でき、突発的な災害が発生した際、適切に対応しやすくなります。従業員や顧客はもちろん、企業組織を守るためにも防災マニュアルの作成は必要です。

BCPと防災マニュアル

防災マニュアルと混同されやすい言葉にBCPがあります。どちらも災害の発生に備えるためのコンテンツではあるものの、重視しているポイントが異なります。

BCPとは

BCPとは、Business Continuity Planの略であり、事業継続計画と訳されます。災害やパンデミック、テロなど突発的かつ緊急的な事態が発生した際に、企業へのダメージを最小限に抑え事業を継続するための計画であり、内閣府によって以下のように定義されています。

「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のこと」

(引用元:内閣府 防災担当「事業継続ガイドライン―あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応―(令和3年4月)」 3ページ)

自然災害や人為災害などで業務がストップすると、取引先や顧客に多大な影響を与えかねません。その期間の売上や利益も大幅に低下し、甚大なダメージを負うおそれもあります。このような事態を避け、一刻も早く正常な状態へ戻すための計画がBCPです。

防災マニュアルとの違い

防災マニュアルとBCPでは、重視している点が異なります。防災マニュアルが、災害発生時における従業員や顧客の安全確保を第一としているのに対し、BCPは事業継続に主眼を置いています。また、通信回線の遮断や電力の停止、物流の停滞といった間接的な被害を想定しているのも大きな違いです。

また、企業の脅威は自然災害だけでなく、労働災害や事故、従業員による違法行為、情報漏洩やウイルス感染などのセキュリティリスク、感染症の大流行など多々あります。これらの非常事態に対応できる体制を整えておかないと、いざそのシーンに直面したとき適切な行動をとれず、事業継続が難しくなってしまいます。

よって防災マニュアルのみでは、企業を守るのに不十分です。BCP対策については以下のページで詳しく説明しているので、気になる方はぜひ目を通してください。

あわせて読みたい:
BCP対策とは?効果的な策定方法や対策事例をわかりやすくご紹介!

防災マニュアルの作り方

時間をかけて防災マニュアルを作成しても、緊急時に役立たないと意味がありません。盛り込むべき内容を理解したうえで、正しい手順のもと作成に取り組みましょう。

1.災害が発生した際の役割を決める

災害はいつ発生するかわかりません。緊急時に迅速かつ適切な行動をとれるよう、あらかじめ災害発生時に備えて以下のような役割を決めておきましょう。

  • 総括責任者:全体を指揮する
  • 情報連絡班:消防署などへの連絡を担う
  • 救護班:怪我をした従業員をケアする
  • 避難誘導班:避難を先導する
  • 消化班:初期消火にあたる
  • 総務担当:対策本部を立ち上げる
  • 従業員ケア担当:従業員の安否確認やフォローを行う

ただ、災害は突発的に発生するため、発生時に担当者がいない、となることも少なくありません。担当者が災害に巻き込まれ、役割を果たせなくなるケースも考えられます。そのため、それぞれの役割に代行者を選定しておくと緊急時でも適切に対応できます。

2.情報収集の内容や手段を決める

安全に避難するには、事前の情報収集が欠かせません。情報がないまま飛び出してしまうと、避難所へたどり着く前に災害に巻き込まれてしまうおそれがあります。災害発生時には、周辺地域の被災情報や公共交通機関や道路の情報を確認し、安全に避難できるルートなどの確保に努めなくてはなりません。

そのためには、情報収集や従業員へ共有する体制の確保が不可欠です。テレビやラジオ、インターネットなどのメディアをはじめ、行政が発信している災害情報などが情報収集に役立ちます。ただ、災害はいつ発生するかわからないため、いついかなるときでも情報収集と共有ができる体制を整えておく必要があります。

3.情報をいち早く伝えるための連絡網を作成する

休日や仕事が終わったあとに災害が発生することもあります。このようなとき、速やかな従業員の安否確認や災害対策本部からの情報を取得するため、緊急連絡網を作成しておきましょう。

連絡網を作成するときは、部署などでグループ分けするのが一般的です。また、大勢が一斉に対策本部へ連絡してしまうと混線するおそれがあるため、本部とのやり取りを担うリーダーや副リーダーも決めておきましょう。

また、連絡網は常に最新の状態を保つことも大切です。電話番号やメールアドレスが変わったらすぐ更新しないと、いざというときに使えません。連絡先が変わったらすぐ申告と登録を行うよう、日ごろから周知しておきましょう。

連絡網を用いた定期訓練も必要です。日ごろから訓練していないと、いざというとき慌ててしまい行動に移せなくなります。

4.避難時の対応を決める

災害発生時にもっとも重視すべきは人命保護です。従業員や顧客の安全を確保できるよう、あらかじめ避難時の対応を決めておきましょう。避難場所や避難経路の選定、防火シャッターの稼働など二次災害対策のためにやるべきことを決めます。

避難場所は複数選定しましょう。災害にはさまざまな種類があるため、ひとつの避難場所では対応しきれません。津波が発生しそうなときはA、火災のときはBの避難場所といった具合に、複数を選定しておくと安心です。

また、防火シャッターや消火器など、防災設備が問題なく使用できるか定期的にチェックします。いざというときに使える状態を保つことで、二次災害の防止にもつながります。

防災マニュアルは定期的に更新する

防災マニュアルは、一度作成しておしまいではありません。企業を取り巻く状況や周辺地域の環境などが変化すると、マニュアルに記載されている内容では対応できなくなるおそれがあるため、定期的に見直しましょう。必要に応じて内容を更新しつつ運用するのが基本です。

防災マニュアルのブラッシュアップにあたっては、防災訓練の実施が有効です。防災訓練を行うと、防災マニュアルの有用性を確認しつつ課題も抽出できます。訓練で浮き彫りになった課題と向きあい、防災マニュアルのブラッシュアップに取り組みましょう。

わかりやすい防災マニュアルを作成するには

防災マニュアルで大事なのはわかりやすさです。読みにくい、意味が理解しにくいマニュアルでは、いざというときに役立ちません。

あらゆる被害を想定する

地震や台風、火災、火山噴火、雪害など災害の種類は多岐にわたります。特定の災害にしか対応できないマニュアルでは、いざというとき顧客や従業員を守れません。あらゆる災害を想定したうえで、どのような被害が起こりえるかを考え、対策を盛り込みましょう。

地震なら、津波や地面の液状化、建物の倒壊などの被害が考えられます。また、台風なら強風や大雨、洪水によって交通網が麻痺しかねません。

自然災害だけでなく、人為災害も視野に入れておきましょう。たとえば、従業員が喫煙したあとの灰皿から出火して火災を引き起こす、顧客を送迎していたバスが事故を起こすなどです。

5W2Hの手法を取り入れる

5W2Hのフレームワークを使うと、災害時に誰が何をすべきかを具体的に示す防災マニュアルを作成できます。Why(目的)、What(やるべきこと)、When(順序)、Who(誰が)、Where(場所)、How to(どのように)、How much(数量)にあてはめて考えましょう。

  • 津波からの避難(目的)
  • 従業員の安否と避難経路の確認(やるべきこと)
  • 従業員の安否確認→避難経路の確認→避難場所への移動(順序)
  • 避難誘導班(誰が)
  • 拠点の裏手にある高台(場所)
  • 避難誘導班に従って徒歩で(どのように)
  • オフィスにいる全員(数量)

5W2Hを意識することで、具体的かつ誰にでも伝わりやすい防災マニュアルの作成が可能です。

写真や図を活用してわかりやすくする

誰もが見てもすぐ理解できるマニュアルでないと意味がないため、文章はできるだけ短く簡潔にすることが基本です。また、写真やイラストも積極的に活用しましょう。たとえば、防火シャッターの操作方法をテキストで長々と説明するよりも、実際の写真を交えた方が読み手は容易に理解できます。

チェックリストの活用もおすすめです。避難時にもっていくものや点検すべきことなどをチェックリストに整理しておくと、いざというときスムーズに行動できます。

顧客や従業員の安全確保に防災マニュアルの導入を

従業員や顧客を守るため、防災マニュアルの作成は必須です。わかりやすく、伝わりやすいマニュアルを作成するには、「Teachme Biz」のような専用ツールの利用がおすすめです。

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