職場環境を改善する8つのアイデアと進め方! 成功事例も紹介

最終更新日: 2024.07.04 公開日: 2023.03.07

職場環境を改善する8つのアイデア

企業の経営層や管理職の方の中には、職場環境を改善したいものの、どのように進めていくべきか迷っている方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、職場環境改善により受けられるメリットや、8つの提案について具体的に解説します。改善に成功した企業事例も紹介しますので、自社で取り組む参考にしてください。

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職場環境を改善する重要性

政府は、潜在化している働き手が労働市場で活躍できる社会を目指すため、働き方改革を推進しています。2019年には「働き方改革関連法」が施行されたことで、本腰を入れて労働環境の整備に取り組んでいる企業も増えています。

では、職場の環境を改善することで、どのような効果やメリットが生まれるのでしょうか。ここでは主に4つのポイントについて解説します。

生産性向上が期待できる

温度や湿度、騒音など外部環境が快適になれば、従業員の集中力やモチベーションが高まり、生産性の向上を期待できます。反対に、もし環境が悪いままになっていると、ミスが増えるなど仕事の質が低下したり、従業員の心身のストレスが増えて体調を崩したりするおそれがあります。

動線を考えて機器やデスクを配置するなど仕事をしやすい環境に整えて作業効率も高めることも、生産性向上に繋がるでしょう。

離職率が低下する

通常、従業員は少なからずストレスを抱えながら仕事をしています。そこで、特に制度面での改善を図り育児や介護と両立しやすい環境を整えることで、従業員は働きやすく感じ、「この会社で長く働きたい」と思う人も増えるでしょう。自社に対して愛着を感じやすくなり、定着率の改善を見込めます。

日本では、これからも少子化によって生産年齢人口が減り続けると予想されています。そのため、職場環境を改善することで離職率が下がり、人手を確保できるのは大きなメリットです。

参照元:内閣府「令和4年版高齢社会白書」

コミュニケーションが増える

従業員が雑談したり、休憩したりできるスペースや時間を設けることで、おのずと従業員同士の会話がはずみます。普段から気軽にコミュニケーションを取るようになると、仕事でのコミュニケーションも円滑になり、協働しやすくなります。認識違いによるミスや、人間関係のストレスも減らせるでしょう。
チームといった小さな枠組みはもちろん、企業全体のコミュニケーションを活性化させることは、企業の成長に必要な要素です。

企業イメージが良くなる

快適な労働環境は、社内だけの評価にとどまらず、取引先や株主、顧客といったステークホルダーからの信頼を得られやすく、企業にとってよいアピールポイントになります

昨今は企業の公式サイトのほか、SNSなどでも情報発信できるため、職場環境に関する情報も拡散されやすくなっています。自社の良い情報が就職希望者の興味を引けば、応募者が増えるかもしれません。人材を募集しているもののなかなか人が集まらないといった課題をお持ちであれば、職場環境の改善を進めてそれを広く発信することで、企業イメージを高めるのも一案です。

職場環境を改善する8つのアイデア

1992年5月に労働安全衛生法が改正され、「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)が提示されました。実際に企業で取り組むべきこととして、「作業環境の管理」、「作業方法の改善」、「労働者の心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備」、「その他の施設・設備の維持管理」の4項目が挙げられています。

参照元:事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(平成四年七月一日)

以下では、職場環境を改善する具体的な取り組みについて8つのアイデアを紹介します。上記4項目に加えて、近年必要性が増している人間関係やライフスタイルに関連した提案もありますので、自社の状況と比較しながらご覧ください。

1. 作業環境を管理する

作業する場所の室温や湿度、空気の汚れやニオイなどが不快に感じられると、業務に集中できずに効率が下がってしまいます。こうした外部環境は、人によって感じ方にばらつきがあるものの、一般的に作業しやすいと考えられる適切な状態を維持、管理することは大切です。

空調設備を整える

職場の温度や湿度は、作業効率に大きな影響を与える重要な要素です。不適切な環境が続けば、風邪をひきやすくなるなど体調を崩す原因にもなりかねません。空調設備や室内の温度・湿度を定期的にチェックしたり、従業員にヒアリングしたりして、現状が適切かどうかを確認しましょう。必要に応じて空調の温度設定を見直す、ハイブリッドファンで空気を循環させる、といった改善策を講じることができます。

ニオイ対策をする

多くの職場では、一定数の人が一か所に集まって作業します。そのため、体臭や口臭、タバコ、化粧や香水、柔軟剤などのニオイが気になることもあります。そのほか、ゴミ箱やトイレなどからニオイの発生源がはっきりしている場合もあるでしょう。

不快なニオイが放置されると、気分が悪くなるなど心身のストレスも増大し、作業効率も悪化する恐れがあります。一般的には、換気システムや空気清浄機、消臭剤などの利用により、不快なニオイを軽減できます。なお、特定の人が原因と思われる場合は、センシティブな問題なので慎重な対処が必要です。

2. 作業道具を見直す

ここでいう作業道具とは、仕事をするデスクやイスなどを指します。職場は、多くの人が1日の3分の1の時間を過ごすところです。体に負担がかかりやすい作業道具はないか、ヒアリングしながら確認し、もしあれば改善しなければなりません

具体的な例では、作業しやすい幅広いデスクや、適した高さのスタンディングデスクを導入するのも一案です。最近は、腰への負担を軽減し、正しい姿勢を保ちやすくするイスやクッションも販売されているため、それらを導入するのもよいでしょう。

3. 作業方法を改善する

現在、紙の資料やFAXなどアナログな方法で社内の情報をやり取りしたり管理したりしているなら、デジタル化を進めていくことも検討できます。紙ベースで情報を管理するのは、整理や保管に手間がかかり、のちに活用するのも困難です。また、口頭で情報を共有するのも誤解が生じやすく、非効率的です。

いきなり全面的に変革できなくても、まずはいくつかの分野で紙での情報管理をやめてデータ化する、あるいはデジタル管理するためのツールを導入する、といったことを始められるかもしれません。キャビネットやデスクに多くの書類を保管するスペースも不要になり、物理的な面でも職場環境を改善できるでしょう。

4. 個人に合った働き方を選べるようにする

昨今は、社会情勢が目まぐるしく変化し、ライフスタイルも多様化しています。そこでテレワークやフレックスタイム制などの導入を進めるのも、職場改善方法のひとつです。それぞれの従業員が、育児や介護などの家庭の事情や自身の体調、将来のキャリアプランに合わせて、働き方を選べるのは大変魅力的なことです。

こうして労働環境を改善し柔軟な働き方を認めれば、従業員の満足度やエンゲージメントが上がり、離職率低下にも繋がっていくでしょう。

5. 相談できる環境をつくる

多くの人が働く職場では、さまざまな人間関係が生まれます。関係を上手に築いていく人もいれば、圧力を感じるなどして嫌な思いをする人もいるでしょう。

パワハラ・セクハラを受けたとしても、それを誰にも相談できない職場は、従業員の心身面にマイナスの影響を及ぼします。そのため、そうした事象がないか、あればどういった状況だったのか、といった項目で、定期的にアンケートを実施するのがおすすめです。口頭ではなかなか言い出せなくても、匿名のアンケートなら、実態を把握しやすいでしょう。

また、上司と部下との面談を定期的に実施し、困っていることがないか確認する機会を設けるのも一案です。

6. 有給休暇を取得しやすくする

年次有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。以下の2条件を達成していれば、どのような業種、職種、雇用形態であっても取得できるとされています。

  • 半年間、継続して雇用されている
  • 全労働日の8割以上出勤している

2019年4月から施行された「働き方改革関連法」によって、法定の年次有給休暇日数が10日以上ある従業員に、年5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されました。年次有給休暇の取得状況を調査し、積極的に取得されていないようなら、取得を促したり、取得しやすいシステムに変えたりすることが必要です。従業員が気軽にリフレッシュできれば、生産性の向上も期待できます。

参照元:働き方改革関連法に関するハンドブック

7. リラックスできるスペースをつくる

仕事の合間にリラックスできるスペースがあると、心身ともにリフレッシュできるのでおすすめです。たとえば、コーヒーメーカーやフリードリンク、自動販売機の周辺にソファやテーブルを設置して、カフェのような空間を作るのも一案です。1人で静かに座れる席や数人でおしゃべりを楽しめる席など、さまざまなタイプの席を用意すると、多くの人が利用しやすくなるでしょう。

気軽に雑談しやすいので社内コミュニケーションが活性化され、人間関係の円滑化にも役立ちます。適切な休息により、再び集中して業務に取り組めるメリットもあります。

8. マニュアルを作成する

日々ルーティンで実施するような定型作業などは、マニュアルを作成することで、業務効率化を図れます。入社や人事異動があったときに、毎回新しいメンバーへ口頭やOJTなどで教える負荷やストレスが減り、作業時間を有効に使えるようになるでしょう。

教えてもらう側の従業員としても、自分が知りたいときにいつでも確認できるメリットもあります。マニュアルは、最初に作成するとき手間に感じられるかもしれませんが、一度作ると後は楽になるので、少しずつ取り組んでみるとよいでしょう。

職場環境を改善するときの進め方

職場環境を改善する際、どのように進めていけばよいでしょうか。ここでは大きな流れとポイントについて解説します。

1. 課題を特定する

まず、現状を把握するために、従業員に対してアンケートを実施します。記名式では本当のことを言いにくそうであれば匿名で実施できますが、部署やおよその年齢、性別などを記載してもらうと、傾向を把握しやすくなるでしょう。

そのほか部下との面談や、チームミーティングなどで課題を見つけることも可能です。その際、どのような意見が出ても批判しないようにして、思っていることを自由に言いやすい雰囲気を作るようにします。

2. 課題への改善策を実施する

課題を特定できれば、それを改善するための対策について、検討していきます。チームでディスカッションを重ねていくと、さまざまな改善策を抽出できるでしょう。その際、他社で成功している事例を参考にすることも有益です。自社にとって最善と考えられる改善策を決め、実行に移していきます。

3. PDCAをまわす

改善策は、決めて実行したら終わりではありません。実施した後に、得られた効果や残った課題は何かを検証し、改善策をブラッシュアップしていく必要があります。何度もPDCAをまわしていくことで、最終的に職場環境改善を成功に導けるでしょう。


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職場環境を改善した成功事例

では、ここからは実際に、職場環境改善に成功した企業の事例を2つ紹介します。自社の対策を検討する際に、ぜひ参考にしてみてください。

熊本医療センター

医療現場は業務の性質上、働き方改革が難しいとされてきました。熊本医療センターでは、看護業務が長時間労働になっていることを問題視し、解決策を検討し実行しました。具体的には、「日勤」と「夜勤」の勤務時間ごとにユニフォームの色を分け、就業時間の終了を集団で意識付けしました

残業している人は他の人と制服の色が違って目立つため、定時退勤を促す効果があります。これはアメリカンフットボールにおける攻守交代からヒントを得たといいます。その結果同センターでは、看護師の年間残業時間が1年後には約半分に、4年後には約5分の1に減少しました

参照元:看護部紹介 | 熊本地域医療センター

ENEOSホールディングス株式会社

エネルギー資源の調達から生産、販売など幅広く事業展開している同社では、オフィスの新たな空間活用として「オフィス改革プロジェクト」を推進しています。そのひとつの取り組みが「コモレビズ」です。

会議室の1室にコワーキングスペースを作り、大型テーブルの真ん中に植物を配置しました。鳥のさえずりを聞けるようにしたり、集中力と抗ウイルス効果が期待できるアロマも炊いたりする工夫も施しています。
オフィス環境を快適にすることで、従業員はリラックス効果を体感でき、生産性や創造性の向上にも繋がっています

参照元:ENEOSホールディングス株式会社/コワーキングスペース |コモレビズ

まとめ

現在企業は、政府が主導する働き方改革を念頭に置きつつ職場環境を改善する必要に迫られています。改善策を実施することで、生産性や企業イメージが向上し、離職率低下や新たな人員確保にも繋げていけるでしょう。

改善方法には、作業環境の適切な管理や、デジタル化やマニュアルの導入、休暇や休息を取りやすくすることなど、さまざまな方法があります。デジタル化を活かしたマニュアル作成は、DX推進にも寄与できるおすすめの方法です。「Teachme Biz」はマニュアル作成から共有まで簡単に行えるツールで、人気を集めています。ぜひ職場環境改善の一助として、導入をご検討ください。

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